異世界マゼマゼ奮闘記

ぷい16

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第五章 流通革命

汲広、日本へ帰る

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 方々への挨拶回りを終え、汲広くみひろとアントネラは日本へ帰るための準備をした。


「荷物はちょっとした小物以外はほとんど置いていくし、置いていったらアカツキ伯爵が使うだろうから」

「そうなんですよね。私もこっちのステファニアが使うと思うとあまりこちらからは持って行く荷物はあまりありません」


 アカツキ伯爵とこっちのステファニアが使うことを考えたら、日本に持っていく荷物はほとんどなかった。


「あとは、僕たち主導しゅどうで進めてきた事業やなんやらの引き継ぎくらいかな」


 引き継ぎには、パソコンで文書化したものと、頭の中に記憶だけしてあるものがある。


「引き継ぎ用の資料はあと少しといったところか」


 引き継ぎ用の資料はあと少しで完成する。それでダメなら記憶を思い出せばいい。何せ、記憶を共有しているのだから。


「引き継ぎ用の資料を済ませて、さっさと寝ないとな」


 時刻は夕方、食事と風呂を済ませ、残りの資料を作り終えた頃には夜の12時を回っていた。寝室に入ると、アントネラも今来たところのようだ。


「アントネラも引き継ぎ用の資料をまとめていたのかい?」

「はい。こちらに来てからいろいろとしましたから、こちらのステファニアにもいろいろと伝えておかなければならないことがいっぱいありまして」

「僕はもう資料を作り終えたが、アントネラはどうだい?」

「私の方もやっと終わりました」

「じゃぁ、心置こころおきなく寝られるな」

「はい」


 話し終えると、二人でベッドに入り、睡眠をとるのであった。



「出発は明日にする」


 汲広くみひろは代官のミラトにそう告げた。


「もうお別れになるのですね」

「なぁに、同じ顔をしたアカツキ伯爵が来るんだから何も変わりはしないさ」


 日本に帰ることが決まっているため、何かあったときの連絡先は、もうアカツキ伯爵にしている。

 久々の何も用事のない日。

 汲広くみひろはアントネラを連れ立って、別れをしむように、アカツキ邸の手入れの行き届いた花をでたり、町や村の様子を見に行ったりして1日を過ごした。

 夜、久しぶりに汲広くみひろはアントネラを抱いた。

 今までは忙しすぎて、同じベッドに寝ているのにお互いただ眠るだけだったのだ。

 しかし、まだ若い二人。心に余裕ができると互いに欲望のままに体を求め、重ね合うのであった。


 次の日。日本へ帰る日だ。

 持ち帰る荷物はもう土のう袋の能力にしまってある。

 朝食を終え、館に居る使用人全員に見守られ、汲広くみひろは日本へ掃き出し窓の能力でつないだ。


「もうお別れだ。みんな良くしてくれてありがとう」

「お世話になりました」


 簡単な挨拶あいさつのち汲広くみひろとアントネラは日本の自宅へ帰っていった。


 汲広くみひろとアントネラは日本の自宅前へ帰ってきた。

 久しぶりの自宅である。

 汲広くみひろかぎを開け、二人はそれぞれの自室へ向かう。

 それぞれインジスカン王国からの荷物をしまうと、二人で各部屋を回ってみた。

 汲広くみひろの母の朋子ともこに家の合鍵あいかぎは預けてあった。

 たまに掃除してくれていたのであろう、新築のときとほぼ変わらない家がそこにはあった。

 すぐに住める状態なのを確認し、汲広くみひろとアントネラはインジスカン王国の服から日本の服に着替え、隣の汲広くみひろの実家へ顔を出しに行った。


「ただいま」

「ただ今帰りました」


 二人でリビングに向かう。


「おぉ、汲広くみひろ、帰ったか」

「お帰りなさい」

「お兄ちゃんたち老けた?」


 三者三様の挨拶である。

 父の修司しゅうじはテレビを消し、インジスカン王国でどんなことがあったか質問し始め、汲広くみひろとアントネラはそれに答えた。

 領地めぐりのこと、発電所作り、油田の採掘、農作物のうさくもつの販路を増やしたこと、携帯アンテナの設置、第一工業地帯の建設など。


「お前たちは私たちの目の届かないところでいろいろな経験をしてきたのだな」

「体も大きくなって」


 高校を卒業もしないまま遠くの地へ送り出し、事情を抱え、数年ぶりに帰って来た。久々に家族と話をした。


「で、どうして帰って来ることになったんだ?」


 汲広くみひろとアントネラはバイク便のような早急にお届け物をする宅配業、通称つうしょう瞬達便しゅんたつびんの話を始めた。


「行ったことのあるところへ一瞬で行けるようになったのは知っていたが、それじゃぁ、どこへでも行けるじゃないか」

「どこへでも行けるかって聞かれれば行けるね。それで、宅配を始めるには今からその技能を教えて、使えるように育てなきゃならないから大変なんだけどね」

「魔法というもの随分ずいぶんと便利なんだな」

「便利な分、悪用しない人を選別してから教えないと大変なことになっちゃうんだけどね」


 修司しゅうじに目には、汲広くみひろの人となりは変わらないことに安堵しつつも、様々さまざまな事業をこなしてきて責任感が出てきてもう立派な社会人になったのだなぁと感心していた。

 いろいろ話しをしているうちに、もう夜も遅くなっていた。


「もうお話しはこれくらいにして、あなたと朝里《あさり》は明日もあるんだから早く寝てちょうだい。二人は時差ボケを何とかしなきゃいけないでしょ?お夜食を作ってあげるからそれを食べたら早めにお家へ帰って寝てちょうだいね」


 そうして久しぶりの一家団欒いっかだんらんはお開きになるのであった。
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