異世界マゼマゼ奮闘記

ぷい16

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第五章 流通革命

宅配業者との面談―前編

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 汲広くみひろとアントネラが日本に帰ってきてから、時差ボケを2日で何とかし、1日おいて、今日は、宅配業者の会議に出席する。

 トップダウンで汲広くみひろとアントネラ指揮のもと、新しい『瞬達便しゅんたつびん』なるサービスをすることが決まったが、中身が何も決まっていない。

 今日は、企業側が考えた雇用形態の説明と、『企画会議』というものに出席することになっている。


 依頼主の木瀬通運は、運送会社の中でも大手だ。

 一般の宅配からバイク便まで手広くやっている。

 今回は、バイク便部門の一角を借りて、業務委託というかたち汲広くみひろとアントネラが関わるらしい。

 業務委託ということは、汲広くみひろとアントネラで新しい会社を作った方がいいかも知れない。



 都会のビル群の一棟に、木瀬運輸の持ちビルがある。

 低階層は他の企業に貸し、高階層に木瀬運輸の頭脳たる、事務職の方々がいるらしい。

 30階建ての16階に受付があるらしく、まずはそこに行って、会社に入れてもらうところからだ。


「10時からお約束していました岡塚おかつか汲広くみひろ、アントネラ夫妻です」

「どなたかお約束なさっていますか?」

「庶務課の熊元くまもとさんという女性が案内してくれる手はずになっているはずなんですが」

「庶務課の熊元くまもとですね。少々お待ちください」


 受付嬢のお姉さんが、電話で熊元くまもとさんを呼び出してくれているらしい。

 しばらくすると、


「今日、岡塚おかつか夫妻の案内をおおせつかっております熊元くまもと照代てるよと申します。よろしくお願いします。これ、会社に出入りするためのICカードです。首にぶら下げておいてください」


 汲広くみひろとアントネラは言われるがままに首からICカードをぶら下げた。


「お二人に渡したICカードはゲスト用です。今日はそのカードで移動してもらいますが、本カードをお作りしますので、まずは顔写真を撮らせていただきます」


 汲広くみひろとアントネラは言われるがまま顔写真を撮られた。


 その後エレベーターに乗り、


「これから向かいますのは企画部です。お二人を担当することになった北入きたいり太一郎たいちろうから、事業内容の説明をさせていただきます」


 22階に着いた。エレベーターホールから出ると、何だか駅の自動改札みたいなのが見える。


「ここに先ほど渡したICカードをかざして入ってください」


 ICカードをかざすと改札機が開いて通れるようになった。

 3人は改札を通ると、企画8課の扉の前へ来て、


「この部屋に入るにもICカードが必要になります。ここにICカードをかざすと扉の鍵が開きますので入室時には壁のこの部分にICカードをかざしてくださいね」


 ICカードを壁の装置にかざすと、扉から『ガチャ』と音がして、鍵が開く。

 3人は部屋の中に入り、


北入きたいりさん、岡塚おかつか夫妻をお連れしました」


岡塚おかつか汲広くみひろさん、アントネラさん、初めまして。今回の『瞬達便』を担当しています企画課の北入きたいり太一郎たいちろうと申します。これからよろしくお願いします」

岡塚おかつか汲広くみひろです。よろしくお願いします」

「妻の岡塚おかつかアントネラです。よろしくお願いします」


 すると、熊元くまもとさんは、


「また、お話しが終わりましたらまた来ますので、一旦失礼させて頂きます」


 と言って、部屋から出て行った。


 挨拶を終えると、パーティションで区切られた手前二人、奥二人の4人がけの椅子いすに机が1つの小さな会議室みたいなところに、北入きたいりさんに案内された。


「契約書と資料を持って来ますので少々お待ちください」


 汲広くみひろとアントネラは手前側の2席に座って待つことにした。


「こういうセキュリティのしっかりしたビルに入るのは初めてだから緊張しちゃうよ」

「私もこういった所に来るのは初めて」


 しばらくすると、北入きたいりさんが戻って来て、


「こちらが秘密保持契約書になります。よく読んで、よろしければサインとハンコをお願いします」


 汲広くみひろとアントネラはよく契約書を読んだ。

 この契約書のあらすじはこうだ。

 事業内容を他人に漏らさないこと。業務上知り得た情報を他人に漏らさないこと。宅配なので、この家には誰々がて、宛先あてさきには誰々がる。これは個人情報なので、これも他人に漏らさないこと。

 要は全部、『業務上知り得た情報を他人に漏らさないこと』である。

 業務内容を他社に漏らされても、お客様の個人情報を他人に漏らされても困るので、そういったことがないように契約書でしばるものだ。

 二人とも内容を理解し、合理的であると判断したので、持って来たボールペンでサインをし、判を押した。

つづく
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