112 / 167
第五章 流通革命
宅配業者との面談―前編
しおりを挟む
汲広とアントネラが日本に帰ってきてから、時差ボケを2日で何とかし、1日おいて、今日は、宅配業者の会議に出席する。
トップダウンで汲広とアントネラ指揮の下、新しい『瞬達便』なるサービスをすることが決まったが、中身が何も決まっていない。
今日は、企業側が考えた雇用形態の説明と、『企画会議』というものに出席することになっている。
依頼主の木瀬通運は、運送会社の中でも大手だ。
一般の宅配からバイク便まで手広くやっている。
今回は、バイク便部門の一角を借りて、業務委託という形で汲広とアントネラが関わるらしい。
業務委託ということは、汲広とアントネラで新しい会社を作った方がいいかも知れない。
都会のビル群の一棟に、木瀬運輸の持ちビルがある。
低階層は他の企業に貸し、高階層に木瀬運輸の頭脳たる、事務職の方々がいるらしい。
30階建ての16階に受付があるらしく、まずはそこに行って、会社に入れてもらうところからだ。
「10時からお約束していました岡塚汲広、アントネラ夫妻です」
「どなたかお約束なさっていますか?」
「庶務課の熊元さんという女性が案内してくれる手はずになっているはずなんですが」
「庶務課の熊元ですね。少々お待ちください」
受付嬢のお姉さんが、電話で熊元さんを呼び出してくれているらしい。
しばらくすると、
「今日、岡塚夫妻の案内を仰せつかっております熊元照代と申します。よろしくお願いします。これ、会社に出入りするためのICカードです。首にぶら下げておいてください」
汲広とアントネラは言われるがままに首からICカードをぶら下げた。
「お二人に渡したICカードはゲスト用です。今日はそのカードで移動してもらいますが、本カードをお作りしますので、まずは顔写真を撮らせていただきます」
汲広とアントネラは言われるがまま顔写真を撮られた。
その後エレベーターに乗り、
「これから向かいますのは企画部です。お二人を担当することになった北入太一郎から、事業内容の説明をさせていただきます」
22階に着いた。エレベーターホールから出ると、何だか駅の自動改札みたいなのが見える。
「ここに先ほど渡したICカードをかざして入ってください」
ICカードをかざすと改札機が開いて通れるようになった。
3人は改札を通ると、企画8課の扉の前へ来て、
「この部屋に入るにもICカードが必要になります。ここにICカードをかざすと扉の鍵が開きますので入室時には壁のこの部分にICカードをかざしてくださいね」
ICカードを壁の装置にかざすと、扉から『ガチャ』と音がして、鍵が開く。
3人は部屋の中に入り、
「北入さん、岡塚夫妻をお連れしました」
「岡塚汲広さん、アントネラさん、初めまして。今回の『瞬達便』を担当しています企画課の北入太一郎と申します。これからよろしくお願いします」
「岡塚汲広です。よろしくお願いします」
「妻の岡塚アントネラです。よろしくお願いします」
すると、熊元さんは、
「また、お話しが終わりましたらまた来ますので、一旦失礼させて頂きます」
と言って、部屋から出て行った。
挨拶を終えると、パーティションで区切られた手前二人、奥二人の4人がけの椅子に机が1つの小さな会議室みたいなところに、北入さんに案内された。
「契約書と資料を持って来ますので少々お待ちください」
汲広とアントネラは手前側の2席に座って待つことにした。
「こういうセキュリティのしっかりしたビルに入るのは初めてだから緊張しちゃうよ」
「私もこういった所に来るのは初めて」
しばらくすると、北入さんが戻って来て、
「こちらが秘密保持契約書になります。よく読んで、よろしければサインとハンコをお願いします」
汲広とアントネラはよく契約書を読んだ。
この契約書のあらすじはこうだ。
事業内容を他人に漏らさないこと。業務上知り得た情報を他人に漏らさないこと。宅配なので、この家には誰々が居て、宛先には誰々が居る。これは個人情報なので、これも他人に漏らさないこと。
要は全部、『業務上知り得た情報を他人に漏らさないこと』である。
業務内容を他社に漏らされても、お客様の個人情報を他人に漏らされても困るので、そういったことがないように契約書で縛るものだ。
二人とも内容を理解し、合理的であると判断したので、持って来たボールペンでサインをし、判を押した。
つづく
トップダウンで汲広とアントネラ指揮の下、新しい『瞬達便』なるサービスをすることが決まったが、中身が何も決まっていない。
今日は、企業側が考えた雇用形態の説明と、『企画会議』というものに出席することになっている。
依頼主の木瀬通運は、運送会社の中でも大手だ。
一般の宅配からバイク便まで手広くやっている。
今回は、バイク便部門の一角を借りて、業務委託という形で汲広とアントネラが関わるらしい。
業務委託ということは、汲広とアントネラで新しい会社を作った方がいいかも知れない。
都会のビル群の一棟に、木瀬運輸の持ちビルがある。
低階層は他の企業に貸し、高階層に木瀬運輸の頭脳たる、事務職の方々がいるらしい。
30階建ての16階に受付があるらしく、まずはそこに行って、会社に入れてもらうところからだ。
「10時からお約束していました岡塚汲広、アントネラ夫妻です」
「どなたかお約束なさっていますか?」
「庶務課の熊元さんという女性が案内してくれる手はずになっているはずなんですが」
「庶務課の熊元ですね。少々お待ちください」
受付嬢のお姉さんが、電話で熊元さんを呼び出してくれているらしい。
しばらくすると、
「今日、岡塚夫妻の案内を仰せつかっております熊元照代と申します。よろしくお願いします。これ、会社に出入りするためのICカードです。首にぶら下げておいてください」
汲広とアントネラは言われるがままに首からICカードをぶら下げた。
「お二人に渡したICカードはゲスト用です。今日はそのカードで移動してもらいますが、本カードをお作りしますので、まずは顔写真を撮らせていただきます」
汲広とアントネラは言われるがまま顔写真を撮られた。
その後エレベーターに乗り、
「これから向かいますのは企画部です。お二人を担当することになった北入太一郎から、事業内容の説明をさせていただきます」
22階に着いた。エレベーターホールから出ると、何だか駅の自動改札みたいなのが見える。
「ここに先ほど渡したICカードをかざして入ってください」
ICカードをかざすと改札機が開いて通れるようになった。
3人は改札を通ると、企画8課の扉の前へ来て、
「この部屋に入るにもICカードが必要になります。ここにICカードをかざすと扉の鍵が開きますので入室時には壁のこの部分にICカードをかざしてくださいね」
ICカードを壁の装置にかざすと、扉から『ガチャ』と音がして、鍵が開く。
3人は部屋の中に入り、
「北入さん、岡塚夫妻をお連れしました」
「岡塚汲広さん、アントネラさん、初めまして。今回の『瞬達便』を担当しています企画課の北入太一郎と申します。これからよろしくお願いします」
「岡塚汲広です。よろしくお願いします」
「妻の岡塚アントネラです。よろしくお願いします」
すると、熊元さんは、
「また、お話しが終わりましたらまた来ますので、一旦失礼させて頂きます」
と言って、部屋から出て行った。
挨拶を終えると、パーティションで区切られた手前二人、奥二人の4人がけの椅子に机が1つの小さな会議室みたいなところに、北入さんに案内された。
「契約書と資料を持って来ますので少々お待ちください」
汲広とアントネラは手前側の2席に座って待つことにした。
「こういうセキュリティのしっかりしたビルに入るのは初めてだから緊張しちゃうよ」
「私もこういった所に来るのは初めて」
しばらくすると、北入さんが戻って来て、
「こちらが秘密保持契約書になります。よく読んで、よろしければサインとハンコをお願いします」
汲広とアントネラはよく契約書を読んだ。
この契約書のあらすじはこうだ。
事業内容を他人に漏らさないこと。業務上知り得た情報を他人に漏らさないこと。宅配なので、この家には誰々が居て、宛先には誰々が居る。これは個人情報なので、これも他人に漏らさないこと。
要は全部、『業務上知り得た情報を他人に漏らさないこと』である。
業務内容を他社に漏らされても、お客様の個人情報を他人に漏らされても困るので、そういったことがないように契約書で縛るものだ。
二人とも内容を理解し、合理的であると判断したので、持って来たボールペンでサインをし、判を押した。
つづく
0
あなたにおすすめの小説
祝・定年退職!? 10歳からの異世界生活
空の雲
ファンタジー
中田 祐一郎(なかたゆういちろう)60歳。長年勤めた会社を退職。
最後の勤めを終え、通い慣れた電車で帰宅途中、突然の衝撃をうける。
――気付けば、幼い子供の姿で見覚えのない森の中に……
どうすればいいのか困惑する中、冒険者バルトジャンと出会う。
顔はいかついが気のいいバルトジャンは、行き場のない子供――中田祐一郎(ユーチ)の保護を申し出る。
魔法や魔物の存在する、この世界の知識がないユーチは、迷いながらもその言葉に甘えることにした。
こうして始まったユーチの異世界生活は、愛用の腕時計から、なぜか地球の道具が取り出せたり、彼の使う魔法が他人とちょっと違っていたりと、出会った人たちを驚かせつつ、ゆっくり動き出す――
※2月25日、書籍部分がレンタルになりました。
毒舌アイドルは毒の魔物に転生する。
馳 影輝
ファンタジー
毒舌を売りにして芸能界で活躍できる様になった。
元々はアイドルとしてデビューしたが、ヒラヒラの衣装や可愛い仕草も得意じゃ無かった。
バラエティーの仕事を貰って、毒舌でキャラを作ったらこれがハマり役で世間からのウケも良くとんとん拍子で有名人になれた。
だが、自宅に帰ると玄関に見知らぬ男性が立っていて私に近づくと静かにナイフで私を刺した。
アイドル時代のファンかも知れない。
突然の事で、怖くて動けない私は何度も刺されて意識を失った。
主人公の時田香澄は殺されてしまう。
気がつくとダンジョンの最下層にポイズンキラーとい魔物に転生する。
自分の現象を知りショックを受けるが、その部屋の主であるリトラの助言により地上を目指す。
ダンジョンの中で進化を繰り返して強くなり、人間の冒険者達が襲われている所に出くわす。
魔物でありながら、擬態を使って人間としても生きる姿や魔王種への進化を試みたり、数え切れないほどの激動の魔物人生が始まる。
五十一歳、森の中で家族を作る ~異世界で始める職人ライフ~
よっしぃ
ファンタジー
【ホットランキング1位達成!皆さまのおかげです】
多くの応援、本当にありがとうございます!
職人一筋、五十一歳――現場に出て働き続けた工務店の親方・昭雄(アキオ)は、作業中の地震に巻き込まれ、目覚めたらそこは見知らぬ森の中だった。
持ち物は、現場仕事で鍛えた知恵と経験、そして人や自然を不思議と「調和」させる力だけ。
偶然助けたのは、戦火に追われた五人の子供たち。
「この子たちを見捨てられるか」――そうして始まった、ゼロからの異世界スローライフ。
草木で屋根を組み、石でかまどを作り、土器を焼く。やがて薬師のエルフや、獣人の少女、訳ありの元王女たちも仲間に加わり、アキオの暮らしは「町」と呼べるほどに広がっていく。
頼れる父であり、愛される夫であり、誰かのために動ける男――
年齢なんて関係ない。
五十路の職人が“家族”と共に未来を切り拓く、愛と癒しの異世界共同体ファンタジー!
底辺から始まった俺の異世界冒険物語!
ちかっぱ雪比呂
ファンタジー
40歳の真島光流(ましまみつる)は、ある日突然、他数人とともに異世界に召喚された。
しかし、彼自身は勇者召喚に巻き込まれた一般人にすぎず、ステータスも低かったため、利用価値がないと判断され、追放されてしまう。
おまけに、道を歩いているとチンピラに身ぐるみを剥がされる始末。いきなり異世界で路頭に迷う彼だったが、路上生活をしているらしき男、シオンと出会ったことで、少しだけ道が開けた。
漁れる残飯、眠れる舗道、そして裏ギルドで受けられる雑用仕事など――生きていく方法を、教えてくれたのだ。
この世界では『ミーツ』と名乗ることにし、安い賃金ながらも洗濯などの雑用をこなしていくうちに、金が貯まり余裕も生まれてきた。その頃、ミーツは気付く。自分の使っている魔法が、非常識なほどチートなことに――
異世界もふもふ食堂〜僕と爺ちゃんと魔法使い仔カピバラの味噌スローライフ〜
山いい奈
ファンタジー
味噌蔵の跡継ぎで修行中の相葉壱。
息抜きに動物園に行った時、仔カピバラに噛まれ、気付けば見知らぬ場所にいた。
壱を連れて来た仔カピバラに付いて行くと、着いた先は食堂で、そこには10年前に行方不明になった祖父、茂造がいた。
茂造は言う。「ここはいわゆる異世界なのじゃ」と。
そして、「この食堂を継いで欲しいんじゃ」と。
明かされる村の成り立ち。そして村人たちの公然の秘め事。
しかし壱は徐々にそれに慣れ親しんで行く。
仔カピバラのサユリのチート魔法に助けられながら、味噌などの和食などを作る壱。
そして一癖も二癖もある食堂の従業員やコンシャリド村の人たちが繰り広げる、騒がしくもスローな日々のお話です。
40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私
とうとうキレてしまいました
なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが
飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした……
スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます
企業再生のプロ、倒産寸前の貧乏伯爵に転生する
namisan
ファンタジー
数々の倒産寸前の企業を立て直してきた敏腕コンサルタントの男は、過労の末に命を落とし、異世界で目を覚ます。
転生先は、帝国北部の辺境にあるアインハルト伯爵家の若き当主、アレク。
しかし、そこは「帝国の重荷」と蔑まれる、借金まみれで領民が飢える極貧領地だった。
凍える屋敷、迫りくる借金取り、絶望する家臣たち。
詰みかけた状況の中で、アレクは独自のユニーク魔法【構造解析(アナライズ)】に目覚める。
それは、物体の構造のみならず、組織の欠陥や魔法術式の不備さえも見抜き、再構築(クラフト)するチート能力だった。
「問題ない。この程度の赤字、前世の案件に比べれば可愛いものだ」
前世の経営知識と規格外の魔法で、アレクは領地の大改革に乗り出す。
痩せた土地を改良し、特産品を生み出し、隣国の経済さえも掌握していくアレク。
そんな彼の手腕に惹かれ、集まってくるのは一癖も二癖もある高貴な美女たち。
これは、底辺から這い上がった若き伯爵が、最強の布陣で自領を帝国一の都市へと発展させ、栄華を極める物語。
神様の忘れ物
mizuno sei
ファンタジー
仕事中に急死した三十二歳の独身OLが、前世の記憶を持ったまま異世界に転生した。
わりとお気楽で、ポジティブな主人公が、異世界で懸命に生きる中で巻き起こされる、笑いあり、涙あり(?)の珍騒動記。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる