153 / 167
第六章 神様を起こしに
基礎トレーニング
しおりを挟む
カーンカーンカーンと軽快な音が響く。
ここは天界、天界の騎士であるハウニールが、汲広に稽古を付けているのである。
ハウニールが木剣で右けさぎり、左けさぎりと交互に打ち付けるのを、汲広もまた木剣で受け止める。
「ほらどうした?打ち返してこないのか?」
「…」
手がジンジンする。
ハウニールの剣は重く、受け止めるだけでも手が痛い。
でも受けなければ頭をかち割られてしまう。
返事をする間もない。
言葉を返していると一瞬腕が止まってしまう。
攻撃する暇を与えないハウニールの打撃に、汲広は木剣で受け流すしかなかったのである。
「今日はこの辺にしよう」
「ありがとうございました」
次はランニングである。
白一色の地面を、時間が来るまでただひたすら走るのである。
「手首、まだジンジンするな」
そう言いながらただひたすら走る。
汲広は中学も高校も部活をしていなかった。
部活をするくらいなら帰って無線でダベっていたかった。
アマチュア無線は汲広の生まれるずっと前にブームは過ぎ去っている。
やっている人は少ない。
ニーズがないのだから当然、中学でも高校でも無線部や、無線同好会はなかったのである。
汲広は体育の時間以外運動らしい運動をしてこなかった。
体力がない。
なので1から体力作りに励むのである。
ランニングの次は、腕立て伏せ、腹筋、背筋である。
しかし体力がない汲広はどれも体を成していない。
しかし今しなければ、いつまで経っても体力は付かないし、今後向かう戦いには勝てない。
神獣との戦い。殺しも殺されもしなくて良いのだが、相手は守衛。
普段はこれ以上近づくなと態度で示せば済むのであるが、主を守るためなら、侵入者を殺してしまってもいいのである。
「ファイアーボール!」
虚空に生み出されたソフトボールくらいの火の玉は、相手に一直線に向かっていく。
「シールド!」
しかし、その火の玉は、相手に届く直前、魔法で生み出された盾に弾き飛ばされてしまうのである。
「次はこっちから。アイシクルアロー!」
多数の氷の矢がステファニアめがけてけて飛んで来る。
「シールド! キャッ」
ステファニアは盾で防ぎきれずに足下は氷漬けになった。
「そんなことでは相手に勝てませんよ」
ステファニアの相手をしているのは天界で魔術師をしているアレリア。
「こちらも手加減しているというのに、それでも攻撃に当たるとはどういうことですか?」
「すみません」
「キャンセル!」
そう唱えた瞬間、ステファニアの氷付けされた足下の氷は砕け散り、ステファニアの足は自由になった。
「受けるだけが防御ではありません。受けきれなければ逃げるなり避けるなりしなさい!」
「すみません」
ステファニアもラメリアに教わり魔法の授業は受けてきた。
しかしそれは一対一。
相手から攻撃されたことはなかった。
護身術。それも、最低限。
ステファニアは騎士や護衛ではない。
あくまでも守られる立場だ。
護衛が到着するまで、または逃げるための時間稼ぎ。
今のステファニアはそれすらできないのであった。
「さぁ、動けるようになったのならもう一度やりますよ!」
「はい。アイシクルボール!」
「シールド!」
「あなたは逃げるための体力も付けなければならないようですわね」
「はい」
「それでは走ってらっしゃい!」
「はい!」
ステファニアのマナは尽きかけていた。
次はランニングである。
白一色の地面を、時間が来るまでただひたすら走るのである。
「はぁ、疲れた」
「私も、疲れましたわ」
夕方、夕食前。互いの講師にしごかれ、体力作りと称してランニングやらトレーニングをした後はやはり疲れるものなのである。
大粒の汗をかき、息も荒い。床に大の字で寝転がり、呼吸が戻るのを待った。
少し呼吸が落ち着いたところで食堂に向かう。
食事は楽しみだ。
人間界よりおいしいものが出るのである。
「天界の者にとっては食事は嗜好ですが、あなたたちには生きていくためには必要でしょう。ほら、食べなさい」
そう言って出されたのは、白米に野菜スープに焼き魚にサラダであった。
二人は夢中で食べた。
体力を使った後なので、お腹が減っていたのである。
ある程度マナーを守りながらガツガツ食べた。
地球やニーヘロイ星ではここまで食べなかった。
運動した後のメシはうまい。
一服して風呂の前はティータイムになっていた。
白い板には自分とそっくりな人間が映し出されている。
何かの講義をしているようだ。
ゆらゆらと揺らめく楕円を行き来することによって、生徒が次々と消えたり現われたりしている。
「ステファニア、これは一体何だろうね?」
「魔法は、掃き出し窓の魔法みたいだけど、一体何をしているんだろうね?」
そうしてゆったりとした時間を過ごしたあとは、風呂に入って寝るだけである。
「また明日もトレーニングか。こんな生活いつまで続くんだろう?」
汲広はそんな、いつまで続くか分からないトレーニングに悪態をつきながら、ステファニアが横になっているベッドに体を滑り込ませた。
汲広やステファニアが一人前になるまで続くトレーニング。
先は長いのであった。
ここは天界、天界の騎士であるハウニールが、汲広に稽古を付けているのである。
ハウニールが木剣で右けさぎり、左けさぎりと交互に打ち付けるのを、汲広もまた木剣で受け止める。
「ほらどうした?打ち返してこないのか?」
「…」
手がジンジンする。
ハウニールの剣は重く、受け止めるだけでも手が痛い。
でも受けなければ頭をかち割られてしまう。
返事をする間もない。
言葉を返していると一瞬腕が止まってしまう。
攻撃する暇を与えないハウニールの打撃に、汲広は木剣で受け流すしかなかったのである。
「今日はこの辺にしよう」
「ありがとうございました」
次はランニングである。
白一色の地面を、時間が来るまでただひたすら走るのである。
「手首、まだジンジンするな」
そう言いながらただひたすら走る。
汲広は中学も高校も部活をしていなかった。
部活をするくらいなら帰って無線でダベっていたかった。
アマチュア無線は汲広の生まれるずっと前にブームは過ぎ去っている。
やっている人は少ない。
ニーズがないのだから当然、中学でも高校でも無線部や、無線同好会はなかったのである。
汲広は体育の時間以外運動らしい運動をしてこなかった。
体力がない。
なので1から体力作りに励むのである。
ランニングの次は、腕立て伏せ、腹筋、背筋である。
しかし体力がない汲広はどれも体を成していない。
しかし今しなければ、いつまで経っても体力は付かないし、今後向かう戦いには勝てない。
神獣との戦い。殺しも殺されもしなくて良いのだが、相手は守衛。
普段はこれ以上近づくなと態度で示せば済むのであるが、主を守るためなら、侵入者を殺してしまってもいいのである。
「ファイアーボール!」
虚空に生み出されたソフトボールくらいの火の玉は、相手に一直線に向かっていく。
「シールド!」
しかし、その火の玉は、相手に届く直前、魔法で生み出された盾に弾き飛ばされてしまうのである。
「次はこっちから。アイシクルアロー!」
多数の氷の矢がステファニアめがけてけて飛んで来る。
「シールド! キャッ」
ステファニアは盾で防ぎきれずに足下は氷漬けになった。
「そんなことでは相手に勝てませんよ」
ステファニアの相手をしているのは天界で魔術師をしているアレリア。
「こちらも手加減しているというのに、それでも攻撃に当たるとはどういうことですか?」
「すみません」
「キャンセル!」
そう唱えた瞬間、ステファニアの氷付けされた足下の氷は砕け散り、ステファニアの足は自由になった。
「受けるだけが防御ではありません。受けきれなければ逃げるなり避けるなりしなさい!」
「すみません」
ステファニアもラメリアに教わり魔法の授業は受けてきた。
しかしそれは一対一。
相手から攻撃されたことはなかった。
護身術。それも、最低限。
ステファニアは騎士や護衛ではない。
あくまでも守られる立場だ。
護衛が到着するまで、または逃げるための時間稼ぎ。
今のステファニアはそれすらできないのであった。
「さぁ、動けるようになったのならもう一度やりますよ!」
「はい。アイシクルボール!」
「シールド!」
「あなたは逃げるための体力も付けなければならないようですわね」
「はい」
「それでは走ってらっしゃい!」
「はい!」
ステファニアのマナは尽きかけていた。
次はランニングである。
白一色の地面を、時間が来るまでただひたすら走るのである。
「はぁ、疲れた」
「私も、疲れましたわ」
夕方、夕食前。互いの講師にしごかれ、体力作りと称してランニングやらトレーニングをした後はやはり疲れるものなのである。
大粒の汗をかき、息も荒い。床に大の字で寝転がり、呼吸が戻るのを待った。
少し呼吸が落ち着いたところで食堂に向かう。
食事は楽しみだ。
人間界よりおいしいものが出るのである。
「天界の者にとっては食事は嗜好ですが、あなたたちには生きていくためには必要でしょう。ほら、食べなさい」
そう言って出されたのは、白米に野菜スープに焼き魚にサラダであった。
二人は夢中で食べた。
体力を使った後なので、お腹が減っていたのである。
ある程度マナーを守りながらガツガツ食べた。
地球やニーヘロイ星ではここまで食べなかった。
運動した後のメシはうまい。
一服して風呂の前はティータイムになっていた。
白い板には自分とそっくりな人間が映し出されている。
何かの講義をしているようだ。
ゆらゆらと揺らめく楕円を行き来することによって、生徒が次々と消えたり現われたりしている。
「ステファニア、これは一体何だろうね?」
「魔法は、掃き出し窓の魔法みたいだけど、一体何をしているんだろうね?」
そうしてゆったりとした時間を過ごしたあとは、風呂に入って寝るだけである。
「また明日もトレーニングか。こんな生活いつまで続くんだろう?」
汲広はそんな、いつまで続くか分からないトレーニングに悪態をつきながら、ステファニアが横になっているベッドに体を滑り込ませた。
汲広やステファニアが一人前になるまで続くトレーニング。
先は長いのであった。
0
あなたにおすすめの小説
祝・定年退職!? 10歳からの異世界生活
空の雲
ファンタジー
中田 祐一郎(なかたゆういちろう)60歳。長年勤めた会社を退職。
最後の勤めを終え、通い慣れた電車で帰宅途中、突然の衝撃をうける。
――気付けば、幼い子供の姿で見覚えのない森の中に……
どうすればいいのか困惑する中、冒険者バルトジャンと出会う。
顔はいかついが気のいいバルトジャンは、行き場のない子供――中田祐一郎(ユーチ)の保護を申し出る。
魔法や魔物の存在する、この世界の知識がないユーチは、迷いながらもその言葉に甘えることにした。
こうして始まったユーチの異世界生活は、愛用の腕時計から、なぜか地球の道具が取り出せたり、彼の使う魔法が他人とちょっと違っていたりと、出会った人たちを驚かせつつ、ゆっくり動き出す――
※2月25日、書籍部分がレンタルになりました。
毒舌アイドルは毒の魔物に転生する。
馳 影輝
ファンタジー
毒舌を売りにして芸能界で活躍できる様になった。
元々はアイドルとしてデビューしたが、ヒラヒラの衣装や可愛い仕草も得意じゃ無かった。
バラエティーの仕事を貰って、毒舌でキャラを作ったらこれがハマり役で世間からのウケも良くとんとん拍子で有名人になれた。
だが、自宅に帰ると玄関に見知らぬ男性が立っていて私に近づくと静かにナイフで私を刺した。
アイドル時代のファンかも知れない。
突然の事で、怖くて動けない私は何度も刺されて意識を失った。
主人公の時田香澄は殺されてしまう。
気がつくとダンジョンの最下層にポイズンキラーとい魔物に転生する。
自分の現象を知りショックを受けるが、その部屋の主であるリトラの助言により地上を目指す。
ダンジョンの中で進化を繰り返して強くなり、人間の冒険者達が襲われている所に出くわす。
魔物でありながら、擬態を使って人間としても生きる姿や魔王種への進化を試みたり、数え切れないほどの激動の魔物人生が始まる。
五十一歳、森の中で家族を作る ~異世界で始める職人ライフ~
よっしぃ
ファンタジー
【ホットランキング1位達成!皆さまのおかげです】
多くの応援、本当にありがとうございます!
職人一筋、五十一歳――現場に出て働き続けた工務店の親方・昭雄(アキオ)は、作業中の地震に巻き込まれ、目覚めたらそこは見知らぬ森の中だった。
持ち物は、現場仕事で鍛えた知恵と経験、そして人や自然を不思議と「調和」させる力だけ。
偶然助けたのは、戦火に追われた五人の子供たち。
「この子たちを見捨てられるか」――そうして始まった、ゼロからの異世界スローライフ。
草木で屋根を組み、石でかまどを作り、土器を焼く。やがて薬師のエルフや、獣人の少女、訳ありの元王女たちも仲間に加わり、アキオの暮らしは「町」と呼べるほどに広がっていく。
頼れる父であり、愛される夫であり、誰かのために動ける男――
年齢なんて関係ない。
五十路の職人が“家族”と共に未来を切り拓く、愛と癒しの異世界共同体ファンタジー!
底辺から始まった俺の異世界冒険物語!
ちかっぱ雪比呂
ファンタジー
40歳の真島光流(ましまみつる)は、ある日突然、他数人とともに異世界に召喚された。
しかし、彼自身は勇者召喚に巻き込まれた一般人にすぎず、ステータスも低かったため、利用価値がないと判断され、追放されてしまう。
おまけに、道を歩いているとチンピラに身ぐるみを剥がされる始末。いきなり異世界で路頭に迷う彼だったが、路上生活をしているらしき男、シオンと出会ったことで、少しだけ道が開けた。
漁れる残飯、眠れる舗道、そして裏ギルドで受けられる雑用仕事など――生きていく方法を、教えてくれたのだ。
この世界では『ミーツ』と名乗ることにし、安い賃金ながらも洗濯などの雑用をこなしていくうちに、金が貯まり余裕も生まれてきた。その頃、ミーツは気付く。自分の使っている魔法が、非常識なほどチートなことに――
異世界もふもふ食堂〜僕と爺ちゃんと魔法使い仔カピバラの味噌スローライフ〜
山いい奈
ファンタジー
味噌蔵の跡継ぎで修行中の相葉壱。
息抜きに動物園に行った時、仔カピバラに噛まれ、気付けば見知らぬ場所にいた。
壱を連れて来た仔カピバラに付いて行くと、着いた先は食堂で、そこには10年前に行方不明になった祖父、茂造がいた。
茂造は言う。「ここはいわゆる異世界なのじゃ」と。
そして、「この食堂を継いで欲しいんじゃ」と。
明かされる村の成り立ち。そして村人たちの公然の秘め事。
しかし壱は徐々にそれに慣れ親しんで行く。
仔カピバラのサユリのチート魔法に助けられながら、味噌などの和食などを作る壱。
そして一癖も二癖もある食堂の従業員やコンシャリド村の人たちが繰り広げる、騒がしくもスローな日々のお話です。
40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私
とうとうキレてしまいました
なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが
飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした……
スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます
企業再生のプロ、倒産寸前の貧乏伯爵に転生する
namisan
ファンタジー
数々の倒産寸前の企業を立て直してきた敏腕コンサルタントの男は、過労の末に命を落とし、異世界で目を覚ます。
転生先は、帝国北部の辺境にあるアインハルト伯爵家の若き当主、アレク。
しかし、そこは「帝国の重荷」と蔑まれる、借金まみれで領民が飢える極貧領地だった。
凍える屋敷、迫りくる借金取り、絶望する家臣たち。
詰みかけた状況の中で、アレクは独自のユニーク魔法【構造解析(アナライズ)】に目覚める。
それは、物体の構造のみならず、組織の欠陥や魔法術式の不備さえも見抜き、再構築(クラフト)するチート能力だった。
「問題ない。この程度の赤字、前世の案件に比べれば可愛いものだ」
前世の経営知識と規格外の魔法で、アレクは領地の大改革に乗り出す。
痩せた土地を改良し、特産品を生み出し、隣国の経済さえも掌握していくアレク。
そんな彼の手腕に惹かれ、集まってくるのは一癖も二癖もある高貴な美女たち。
これは、底辺から這い上がった若き伯爵が、最強の布陣で自領を帝国一の都市へと発展させ、栄華を極める物語。
神様の忘れ物
mizuno sei
ファンタジー
仕事中に急死した三十二歳の独身OLが、前世の記憶を持ったまま異世界に転生した。
わりとお気楽で、ポジティブな主人公が、異世界で懸命に生きる中で巻き起こされる、笑いあり、涙あり(?)の珍騒動記。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる