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花菜香・風雅の留学と大戦
西方諸国、宮廷魔道士の試合
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勇者召喚で陸の孤島、サガンガ王国に呼ばれた二郎。家族と共に。そして陸の孤島と呼ばれる所以となった、東のゼバの大樹海、西のハスピリーネ山脈を二郎がそれぞれ超えて、新たにタンザナティア王国、ジルベチア王国と仲良くなったサガンガ王国。そして、その交流から関係を持ったアハントルト王国。タンザナティア王国とジルベチア王国の仲は悪いがそれぞれ交流を持つことによってタンザナティア王国とジルベチア王国の仲の悪さも少しは緩和されつつある。これら挙げた国と国同士では小競り合いはあっても恐らく戦争は起きないであろう。
「では、小麦の関税については徐々に税率を落として撤廃ということでよろしいですか?」
「それでかまわない」
「では、肉についてですが…」
そこで、水面下でこれらの国々の間での経済、軍事など様々な方面で、規制緩和、人的交流など、優遇措置をしないかと交渉がもたれていた。ここまで仲が良くなる空気ができたのは、本人は知らないが、二郎がそれぞれの国の王族から嫁をもらったことも後押ししているのである。
「宮廷魔道士の競技大会ですか」
「まぁ、どこの国の宮廷魔道士がより優れているか見るためと、あとは観客を入れて盛り上がろうと。お祭りみたいなものだな」
「それで私も呼ばれているのですか?」
「まぁ、君はこの国の宮廷魔道士の代表だからね」
「分かりました。そのつもりでいます」
「頼んだよ」
連合軍設立のため、騎士団と宮廷魔道士の国ごとの実力差というものを測る必要が出てきた。そのため、表向きはお祭りとして、騎士団、宮廷魔道士それぞれを実際に戦わせてみようという話になったのである。薫はサガンガ王国の筆頭宮廷魔道士としてその競技大会に呼ばれたのであった。
場所はアハントルト王国の第2の都市サガサーニ。そこのコロッセオで魔道士同士の戦いが行われるのである。薫は二郎のゲートで送ってもらった。他の参加者はおそらく馬車で来たのであろう。薫はコロッセオを見学して、
「これくらいの闘技場なら技も制限されるわね。大技は封印しなきゃ」
そんな感想を漏らすのであった。
薫は用意された宿屋に一泊して、明日の試合に備えた。
そして次の日。大会当日である。そして対戦表は、
第一試合 サガンガ王国 対 アハントルト王国
第二試合 タンザナティア王国 対 ジルベチア王国
決勝 第一試合の勝者 対 第二試合の勝者
という実にシンプルなものであった。
薫は入念にウォーミングアップをし、試合に備えた。
試合の前、コロッセオの中央で選手が並び、対面して主催者側の人が並び、何やら話し始めた。
「それじゃぁ聞こえないですよ」
観客席から二郎が飛んできて、
「はい、始めから」
と言い、始めから話させることにした。
二郎の拡声の魔法が効き、声はコロッセオの隅々まで届くようになった。
大会の挨拶、ルール説明、対戦スケジュールが読み上げられ、
「それでは魔道士大会始まります」
との宣言で、会場は大歓声に包まれるのであった。
「第一試合、サガンガ王国代表 対 アハントルト王国代表、前へ」
いよいよ薫の出番だ。
礼をし、試合が始まると、
「大地を潤す大いなる…」
「大気を潤す大いなる風の神よ、我に大いなる力を分け与えたまえ、バブルボム!」
薫の詠唱の方が早かった。アハントルト王国代表は複数の空気の爆発で衝撃を受け、そのまま気絶してしまう。
「勝者、サガンガ王国代表!」
あっけなく、1つの魔法で決着がついてしまうのであった。
「第二試合、タンザナティア王国代表 対 ジルベチア王国代表、前へ」
礼をし、試合が始まった。
「熱風荒れ狂う大いなる火の神よ、我に大いなる力を分け与えたまえ」
「寒風吹きすさぶ大いなる氷の神よ、我に大いなる力を分け与えたまえ」
詠唱はほぼ同時。しかし一瞬ジルベチア王国代表の方が早かった。
「アイシクルアロー!」
タンザナティア王国代表は逃げもせず直撃を受け、氷の矢でダメージを受ける。
「ファイアーアロー!」
ジルベチア王国代表も逃げもせず直撃を受け、炎の矢でダメージを受ける。
そして両者とも、移動し、間合いを取ってまた呪文詠唱に入る。
「詠唱中、動かないね」
「何でかな?打たれるのを分かってるなら避ければいいのに」
そんな二郎と薫の話の間に入ってきたのは復活したアハントルト王国代表であった。
「詠唱中移動って、集中力保つんですか?」
アハントルト王国代表の言うには、魔法使いが呪文を詠唱するときはそちらにだけしか集中力を回せず、移動なんてしたら集中力が切れて呪文が無効になるのだとか。
「へぇー知らなかったです。私、詠唱中に駆け回りますので」
「駆け回る…、へぇー」
アハントルト王国代表は、薫の言うことを信じ、格の違いというのを思い知るのであった。
「勝者、ジルベチア王国代表!」
話し込んでいる間に試合は終わり、ジルベチア王国代表が勝ったようだ。
そして、薫対ジルベチア王国代表。
「熱風荒れ狂う大いなる火の神よ…」
「大気を潤す大いなる風の神よ、我に大いなる力を分け与えたまえ、バブルボム!」
薫が圧勝するのであった。
「では、小麦の関税については徐々に税率を落として撤廃ということでよろしいですか?」
「それでかまわない」
「では、肉についてですが…」
そこで、水面下でこれらの国々の間での経済、軍事など様々な方面で、規制緩和、人的交流など、優遇措置をしないかと交渉がもたれていた。ここまで仲が良くなる空気ができたのは、本人は知らないが、二郎がそれぞれの国の王族から嫁をもらったことも後押ししているのである。
「宮廷魔道士の競技大会ですか」
「まぁ、どこの国の宮廷魔道士がより優れているか見るためと、あとは観客を入れて盛り上がろうと。お祭りみたいなものだな」
「それで私も呼ばれているのですか?」
「まぁ、君はこの国の宮廷魔道士の代表だからね」
「分かりました。そのつもりでいます」
「頼んだよ」
連合軍設立のため、騎士団と宮廷魔道士の国ごとの実力差というものを測る必要が出てきた。そのため、表向きはお祭りとして、騎士団、宮廷魔道士それぞれを実際に戦わせてみようという話になったのである。薫はサガンガ王国の筆頭宮廷魔道士としてその競技大会に呼ばれたのであった。
場所はアハントルト王国の第2の都市サガサーニ。そこのコロッセオで魔道士同士の戦いが行われるのである。薫は二郎のゲートで送ってもらった。他の参加者はおそらく馬車で来たのであろう。薫はコロッセオを見学して、
「これくらいの闘技場なら技も制限されるわね。大技は封印しなきゃ」
そんな感想を漏らすのであった。
薫は用意された宿屋に一泊して、明日の試合に備えた。
そして次の日。大会当日である。そして対戦表は、
第一試合 サガンガ王国 対 アハントルト王国
第二試合 タンザナティア王国 対 ジルベチア王国
決勝 第一試合の勝者 対 第二試合の勝者
という実にシンプルなものであった。
薫は入念にウォーミングアップをし、試合に備えた。
試合の前、コロッセオの中央で選手が並び、対面して主催者側の人が並び、何やら話し始めた。
「それじゃぁ聞こえないですよ」
観客席から二郎が飛んできて、
「はい、始めから」
と言い、始めから話させることにした。
二郎の拡声の魔法が効き、声はコロッセオの隅々まで届くようになった。
大会の挨拶、ルール説明、対戦スケジュールが読み上げられ、
「それでは魔道士大会始まります」
との宣言で、会場は大歓声に包まれるのであった。
「第一試合、サガンガ王国代表 対 アハントルト王国代表、前へ」
いよいよ薫の出番だ。
礼をし、試合が始まると、
「大地を潤す大いなる…」
「大気を潤す大いなる風の神よ、我に大いなる力を分け与えたまえ、バブルボム!」
薫の詠唱の方が早かった。アハントルト王国代表は複数の空気の爆発で衝撃を受け、そのまま気絶してしまう。
「勝者、サガンガ王国代表!」
あっけなく、1つの魔法で決着がついてしまうのであった。
「第二試合、タンザナティア王国代表 対 ジルベチア王国代表、前へ」
礼をし、試合が始まった。
「熱風荒れ狂う大いなる火の神よ、我に大いなる力を分け与えたまえ」
「寒風吹きすさぶ大いなる氷の神よ、我に大いなる力を分け与えたまえ」
詠唱はほぼ同時。しかし一瞬ジルベチア王国代表の方が早かった。
「アイシクルアロー!」
タンザナティア王国代表は逃げもせず直撃を受け、氷の矢でダメージを受ける。
「ファイアーアロー!」
ジルベチア王国代表も逃げもせず直撃を受け、炎の矢でダメージを受ける。
そして両者とも、移動し、間合いを取ってまた呪文詠唱に入る。
「詠唱中、動かないね」
「何でかな?打たれるのを分かってるなら避ければいいのに」
そんな二郎と薫の話の間に入ってきたのは復活したアハントルト王国代表であった。
「詠唱中移動って、集中力保つんですか?」
アハントルト王国代表の言うには、魔法使いが呪文を詠唱するときはそちらにだけしか集中力を回せず、移動なんてしたら集中力が切れて呪文が無効になるのだとか。
「へぇー知らなかったです。私、詠唱中に駆け回りますので」
「駆け回る…、へぇー」
アハントルト王国代表は、薫の言うことを信じ、格の違いというのを思い知るのであった。
「勝者、ジルベチア王国代表!」
話し込んでいる間に試合は終わり、ジルベチア王国代表が勝ったようだ。
そして、薫対ジルベチア王国代表。
「熱風荒れ狂う大いなる火の神よ…」
「大気を潤す大いなる風の神よ、我に大いなる力を分け与えたまえ、バブルボム!」
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