天才怪盗の社会奉仕(エリート怪盗だった俺が問題だらけの学園で事件を解決します)

ハルサメ

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ミネルヴァの梟、探る

第6話

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「おい影宮、私はここの顧問だぞ? その言い方だと私がここに来る事が珍しいみたいじゃないか?」

 朱乃の言葉に、影宮と呼ばれた男子生徒――おそらく学芸特殊分室の長だろう――は、眼鏡をクイッと上げ苦笑いを浮かべた。

「いえ、事実そうだと思うのですか? 前にこちらにお越ししたのが四月の始――」

「あーあー、んなことどうだっていい気にすんなよ」

「顧問の後ろに飾りってつけ――って痛てーよッ!」

 笑顔で後頭部殴りやがった。

「おや、そちらの方は?」

「こいつが前に話していた私の甥だ」

「あぁ、たしか去年まで海外で生活していたとか」

 あながち間違った説明ではない。去年まで世界各国を飛び回っていたのは事実だ。まぁ海外の学校に通っていた、という意味ではないが。

「そうだ。なら、私の言いたい事は分かるな?」

「彼を分室の一員に加える、という件ですね。ですがここは任意ではなく、認証制です。ここの特殊性は先生もご存知でしょう?」

「分かっているさ。一週間の研修で存分に試すがいい。一つ言っておくが、こいつの対応能力……もとい器用貧乏さは私のお墨付きだ」

「いや全然褒めて無いだろ。ってか、俺を置いて勝手に話を進めるな」

 雇用される側に一切説明せずに話を進める組織なんて、ブラック以前の問題だろう。

「なに、簡単だ。お前はここに舞い込んで来る厄介事を、ただ無心に処理すれば良いだけだ。あぁだが夕食の時間には帰れよ。お前がいないと我が家の食卓が地獄絵図だ」

 簡潔すぎてわけが分からん。本当に教師かと言いたくなるほどのぞんざいな説明だ。と言うか自分が料理出来ないことに、少しは女性として恥じらいを持て。

「んじゃ、影宮あとよろしくな。私はまだ仕事が残っているから」

「おい朱乃!」

 本当にそれだけを言い残し、朱乃はそそくさと部屋を出て行こうとする。だが朱乃がドアを開けようとしたところで、一瞬早くドアが開かれた。

 部屋へと入ってきたのは長い黒髪の少女だった。少しつり気味の大きな目にすらっとした鼻立ちで、その口はきつく結ばれている。背は俺よりも頭一つ分小さい位だが、その凛とした立ち姿には華奢という印象を受けない。可愛いというよりは美しい。朱乃を野生的とするならば、こちらは人形のような人工的な美しさを感じさせる。

 のだが――俺はそれどころではなかった。見た瞬間に親族の誰かさんを思い出して、一瞬体が強張ってしまった。

「何やら騒々しいですね」

 静かな、そして落ち着いた口調。あまり感情を感じさせない声音と表情。言葉の中に潜む冷たく鋭い感じは、やはり面影が重なってしまう。まだ数秒の会合ながら、単刀直入に苦手なタイプだ。これで髪型がショートだったなら、俺は一目散に土下座からの逃走コンボを決めていたに違いない。
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