天才怪盗の社会奉仕(エリート怪盗だった俺が問題だらけの学園で事件を解決します)

ハルサメ

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ミネルヴァの梟、助ける

第38話

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「いや、会議の帰りに姿が見えたから声をかけただけだよ。そうだねぇ……強いて言うなら、周防君とは上手くやってる?」

「イジリ甲斐がある。だが適度に終わらせないとウザイ」

「中々ゲスイ解答ありがとう」

「何だ? 何か気になることでもあるのか?」

「いや、そういうわけじゃないんだ。気にしないでくれると助かる」

 そう言われると、気になってもこれ以上は踏み込めない。と言っても、俺が気になったのは室長が何故そんなことを聞いたのか、ではなく、何故室長がこんな中途半端に会話を終わらせたのか、だったのだが。

 この人ならば、いくらでもはぐらかすことが出来たはずだろうに。

 ――と思ったその時。俺は反射的にその場を飛び退った。直後、先ほどまでいた場所にフラッシュがたかれる。

「えぇ!?」

「ハハハ、周防さん残念だったね」

 完全にフラッシュを浴びた室長は笑みを浮かべ、その言葉に釣られるように廊下の角からカメラを手にした成美さんが、驚愕の表情のまま現れる。

「ちょっと待ってちょっと待って! なんで避けれたの!?」

「避けないと魂抜かれるだろッ! いい加減にしろッ!」

「そっちじゃない! てか古い! これカメラだよ? フラッシュだよ? 光だよ? 一秒で地球七周半しちゃうんだよ? 気付いてからじゃ間に合わないよ?」

 と言われても、避けたのは正真正銘勘だ。以前までは仕事上、カメラなどに記録される訳には行かなかった。だから一種の危機回避能力として訓練を――っと横に飛び退る。シャッターを切る成美さんだが、今度は姿も見えているので、余裕を持って回避できた。

「だから無理だと言っ――」


               ピカッ!!
              ガシャーン!!


「うわぉ! 凄い雷だったね! すぐに音もなったし、どこかに落ちたかな?」

「雨も降りそうだね。これは早く帰るか、待った方がよさそうだ」

「そうですね…………それで、結崎君は何でそこで身を縮めてるの?」

「……ん? いや、なんでもないぞ」

 窓から離れた柱の下に身を隠していた俺は、制服についた汚れを払いながら立ち上がる。

 だが、成美さんのジッと俺を見つめる怪訝な表情は治らない。

「もしかして結崎君……雷怖いの?」

「そソソそソソそソそそソソそそ、そんなわけ無いだろッ!?」

「動揺で平仮名と片仮名が混同している!?」

 面白そうに驚く成美さんだが、俺はそれどころではない。雷が鳴ってしまったのだ。訓練のおかげで、俺はあらゆる閃光に対して回避を試みる域にまで達した。だがその反動で、目を瞑るほどの閃光に対して過敏に反応するようになってしまった。

さしずめ、閃光恐怖症。梟は夜目が利くが、昼間はその眩しさで目を細めてしまう。この症状を自覚していたからこそ、俺は早く帰りたかった。なんで今朝律儀に登校したんだよ馬鹿野郎。

「まさか結崎君にこんな弱点があったなんてね! スクープだよ!」

「はぁ……そうだよ! 俺は雷が苦手だよ! 何か文句あるかッ!?」

 だからここは敢えて開き直ってみる。

「ひぃ! 嘘だよ! 広めたりしない! あたしの秘蔵フォルダに納めるだけだって!」

「なんだってッ!?」

「嘘です嘘ですごめんなさいごめんなさいッ!! 忘れます、忘れます! お願いだからそんな怖いくらいに睨んで指をワキワキさせないで~そして近づかないで~」

 まるで俺が暴漢扱いするように泣き始めた。まぁ分かれば良いんだ分かれば。

「なんにせよ、帰るんなら急いだ方がいいと思うよ。それじゃ、僕は分室の仕事が残っているから先に失礼するよ」

 十分楽しんだ、という笑顔を見せ、室長は去っていった。美味しい所だけを持って行かれた形だが、そんなことよりも今はともかく帰ることが最優先だ。

「ねぇねぇところで二人で何話してたの?」

「……これはあれか、空気が読めないってやつか? 確かKYとか」

「ひどっ! 分室の室長さんと、今注目度鰻登りの新人が何やら神妙な顔で話していたから『これは何かあったんだ!』と私の勘が言っていたのだよ!」

 成美さんは俺に並んで歩いている。この兄妹は人を帰らせない芸風が持ち味なのか? まぁ昇降口までにはそれなりに距離もあるため、その間でなら会話をしてやろう。
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