天才怪盗の社会奉仕(エリート怪盗だった俺が問題だらけの学園で事件を解決します)

ハルサメ

文字の大きさ
40 / 115
ミネルヴァの梟、助ける

第40話

しおりを挟む
「あれは一年生の西城天里ちゃん。彼女が取るに足らないモブ二人に怒ってるみたいだね」

 モブって言うな。あと取るに足らないとか、もはや人権侵害してんぞ。しかし、確かに良い言い方ではないが、その女子生徒に比べると他の二人は容姿に劣る印象がある。だがそれは少女の容姿が優れすぎているため、という意味だ。

 まず遠目から見て、体の線が美しいのが分かる。髪形の補正もあるだろうが、全体的にスラッとしていて、等身も高い。所謂モデル体系というものだ。次に容姿は、これは憤慨している状態のため細部は分からないが、それでも整っている事は一目で分かる。まだ幼さを感じさせるが、それも世の男の視線を集める大きな要因の一つだろう。

 物静かなあーやと、活発な成美さんを足して割ったような印象。万人受けする美貌の持ち主。仕事柄、容姿を武器にする女を何人も見てきた俺から見て、少女はそう見えた。

「西城天理。中学生の時にデビューした、今売り出し中のアイドルだよ。知らない?」

「俗世に疎くてな。因みに、英語でアイドルは怠けているって意味なんだぞ?」

「仕事が忙しくて、あんまり学園にいる事って無いんだけど、何かあったのかな?」

 あ、スルーですかそうですか。正式には偶像崇拝だがな、という二段構えだったのに。

「これは分室の案件じゃないのかな?」

「悪いが、時間外労働はやらないと死んだじいちゃんにたった今誓った」

 じいちゃんなんて会ったことすらないので、死んでいるのかどうかも知らないが。

「分室の規則に『いついかなる時でも学生のために奉仕すべし』ってあるよね?」

「外国暮らしが長かったから、日本語が読めないんだ」

「じゃあ分かったよ。雅紀呼ぶから」

「それはそれで面倒だな」

 後で「なにお前? あの程度の問題も処理できねぇの? プププッ!」とか調子に乗られたら腹パンでさえ生ぬるい。全裸で市中引き回し確定コースだ。

 天秤にかけた結果、さっさと目の前の問題を処理することにする。

「おいそこ、何かあったのか?」

 何食わぬ体で会話に入る。

「外野は――ッ!」

 口調がヒートアップしていた西城だが、俺がつけている分室のバッチを見ると、途端にバツの悪い表情をして顔を背けた。

 分室に入って分かったことだが、分室は問題を解決し学生に奉仕する組織ではあるが、学則に則るという制約が前提であるため、全てが生徒の望むまま、というわけにはいかない。特に言い争いの仲裁に関しては、第三者がしゃしゃり出て状況の裁定を行うため、反感を買いやすい。よってこの場での分室の登場は、あまり好ましいものではない。

「あぁちょうどよかった。来てくれてありがとうございます」

 だが西城にメンチを切られていた女子生徒たちは、俺の登場に安堵の表情を見せた。まぁさきほどの状況から、この二人が西城から何か問い詰められていた事は想像出来るが。

「何故か西城さんが凄く怒っていて、私たちもどうすれば良いのか分からなくて」

「何故かですって!? よくその口で言えたものね! あなたたちがやったくせに!」

「ですから、私たちは何もしていません。言いがかりは止めてください」

「……まずどういう状況なのか説明してくれ」

 このパターンは無駄に話をさせると面倒なため、直ぐに本題に入った方が良い。

「簡単よ! こいつらが私の靴をゴミ箱の中に捨てたのよ!」

 親の敵、とでも言うように西城は二人を睨む。

「何度も言っている通り、私たちは知りません。ただ近くで立ち話をしていただけで、そんな疑いをかけられるなんて酷いです」

 だがそれすらもひらりとかわされてしまう。冷静なのが二人組の方であるのは一目瞭然だ。西城には、今にも二人に飛び掛らんとする気迫が見れる。

 しかしこの状況、西城が二人にいちゃもんをつけるメリットが無い。特にアイドルと言う肩書きを持っている有名人ならば、なおさらこんな問題は起こそうとしないだろう。通りがかりの人間に言いがかりをつけるなんぞ、どこの不良だって話だ。

「あ~じゃあこっちの方。この二人がやったと言う根拠は?」

「そんなもの、いつもこいつらが私を目の敵にしているからよ! いい、これは今回が初めてじゃないのよ! もう何回もやられてるの! こっちはもう頭にきてるのよ!」

「と言ってるが?」

「そんな! 私たちは西城さんとは、良い友人だと思っています」

「あなたたち、この期に及んで!」

 西城が一歩足を踏み出すが、

「ここで手を出したら暴行容疑が増えて、お前の心証が一気に悪くなるぞ」

 という口添えで、西城は動きを止めた。

「何、あんたはそっちを信じる訳!?」

「少なくとも、感情的に怒鳴り散らす人間は、一般的には信じられないんじゃないか?」

 この一言が効いたのか、西城はムッとした顔で、今度は俺を標的にして睨み始めた。可愛いと言うよりは綺麗な顔立ちが、今は見る影も無い。

「本当に今回が何回目なのかどうかは知らないが、とりあえず今日は聴取だけだな」

 そして俺は改めて――非常に遺憾だが――双方から現場の状況を聞きだす事にした。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

異世界召喚は7回目…って、いい加減にしろよ‼︎

アノマロカリス
ファンタジー
『おぉ、勇者達よ! 良くぞ来てくれた‼︎』 見知らぬ城の中、床には魔法陣、王族の服装は中世の時代を感じさせる衣装… 俺こと不知火 朔夜(しらぬい さくや)は、クラスメートの4人と一緒に異世界に召喚された。 突然の事で戸惑うクラスメート達… だが俺はうんざりした顔で深い溜息を吐いた。 「またか…」 王族達の話では、定番中の定番の魔王が世界を支配しているから倒してくれという話だ。 そして儀式により…イケメンの正義は【勇者】を、ギャルっぽい美紅は【聖戦士】を、クラス委員長の真美は【聖女】を、秀才の悠斗は【賢者】になった。 そして俺はというと…? 『おぉ、伝承にある通り…異世界から召喚された者には、素晴らしい加護が与えられた!』 「それよりも不知火君は何を得たんだ?」 イケメンの正義は爽やかな笑顔で聞いてきた。 俺は儀式の札を見ると、【アンノウン】と書かれていた。 その場にいた者達は、俺の加護を見ると… 「正体不明で気味が悪い」とか、「得体が知れない」とか好き放題言っていた。 『ふむ…朔夜殿だけ分からずじまいか。だが、異世界から来た者達よ、期待しておるぞ!』 王族も前の4人が上位のジョブを引いた物だから、俺の事はどうでも良いらしい。 まぁ、その方が気楽で良い。 そして正義は、リーダーとして皆に言った。 「魔王を倒して元の世界に帰ろう!」 正義の言葉に3人は頷いたが、俺は正義に言った。 「魔王を倒すという志は立派だが、まずは魔物と戦って勝利をしてから言え!」 「僕達には素晴らしい加護の恩恵があるから…」 「肩書きがどんなに立派でも、魔物を前にしたら思う様には動けないんだ。現実を知れ!」 「何よ偉そうに…アンタだったら出来るというの?」 「良いか…殴り合いの喧嘩もしたことがない奴が、いきなり魔物に勝てる訳が無いんだ。お前達は、ゲーム感覚でいるみたいだが現実はそんなに甘く無いぞ!」 「ずいぶん知ったような口を聞くね。不知火は経験があるのか?」 「あるよ、異世界召喚は今回が初めてでは無いからな…」 俺は右手を上げると、頭上から光に照らされて黄金の甲冑と二振の聖剣を手にした。 「その…鎧と剣は?」 「これが証拠だ。この鎧と剣は、今迄の世界を救った報酬として貰った。」 「今迄って…今回が2回目では無いのか?」 「今回で7回目だ!マジでいい加減にして欲しいよ。」 俺はうんざりしながら答えた。 そう…今回の異世界召喚で7回目なのだ。 いずれの世界も救って来た。 そして今度の世界は…? 6月22日 HOTランキングで6位になりました! 6月23日 HOTランキングで4位になりました! 昼過ぎには3位になっていました.°(ಗдಗ。)°. 6月24日 HOTランキングで2位になりました! 皆様、応援有り難う御座いますm(_ _)m

異世界では地味な俺が、なぜか神々に最愛されて無双してる件

fuwamofu
ファンタジー
平凡な高校生・桐生ユウは、女神の手違いで異世界に転生した。 チートもスキルも貰えず、冒険者登録すらままならない落ちこぼれ……のはずだった。 しかし周囲の異常な好感度、意味不明な強運、そして隠された神格スキルによって、ユウは「無自覚に全能」な存在へと覚醒していく。 気づけば女神も姫騎士も魔王娘も彼に夢中。誤解と崇拝が加速する中、ユウの“地味な日常”は世界を揺るがす伝説になっていく。 笑いあり、胸キュンあり、ざまぁありの最強(なのに本人だけ気づいてない)異世界ファンタジー開幕!

クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる

アルカス
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。 でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。 でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。 その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。 そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。

スキル【幸運】無双~そのシーフ、ユニークスキルを信じて微妙ステータス幸運に一点張りする~

榊与一
ファンタジー
幼い頃の鑑定によって、覚醒とユニークスキルが約束された少年——王道光(おうどうひかる)。 彼はその日から探索者――シーカーを目指した。 そして遂に訪れた覚醒の日。 「ユニークスキル【幸運】?聞いた事のないスキルだな?どんな効果だ?」 スキル効果を確認すると、それは幸運ステータスの効果を強化する物だと判明する。 「幸運の強化って……」 幸運ステータスは、シーカーにとって最も微妙と呼ばれているステータスである。 そのため、進んで幸運にステータスポイントを割く者はいなかった。 そんな効果を強化したからと、王道光はあからさまにがっかりする。 だが彼は知らない。 ユニークスキル【幸運】の効果が想像以上である事を。 しかもスキルレベルを上げる事で、更に効果が追加されることを。 これはハズレと思われたユニークスキル【幸運】で、王道光がシーカー界の頂点へと駆け上がる物語。

出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜

シマセイ
ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。 起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。 その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。 絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。 役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。

異世界転移から始まるハーレム生活〜チートスキルを貰った俺は、妹と共に無双する〜

昼寝部
ファンタジー
 2XXX年、X月。  俺、水瀬アキトは戦争の絶えない地球で『戦場の悪魔』と呼ばれ、数多の戦で活躍していた。  そんな日々を過ごしていた俺は、ひょんなことから妹と一緒に異世界へ転移することになった。  その世界にはダンジョンが存在しており、ライトノベルなどで登場する世界観と類似していた。  俺たちはその世界で過ごすため女神様からチートスキルを貰い、冒険者となって異世界での生活を満喫することにした。  これは主人公の水瀬アキトと妹のカナデが異世界へ転移し、美少女たちに囲まれながら異世界で無双するお話し。

【完結】スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

処理中です...