天才怪盗の社会奉仕(エリート怪盗だった俺が問題だらけの学園で事件を解決します)

ハルサメ

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ミネルヴァの梟、助ける

第47話

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一日目。
「西城さーん、おはよー。今日も可愛いねー」

二日目。
「西城ちゃーん、好きだって聞いたからアップルパイ焼いてきたんだけど食べる?」

三日目。
「天里さーん、社会の資料集忘れたから貸してー」

四日目。
「天里ちゃーん、お弁当のおかず交換しよー」

五日目。
「おい天里ッ! てめぇ五百円早く返せや!」

「………………あんたちょっとこっち来なさい」

「あん?」

「いいからちょっとこっち来なさいッ!」

 昼休みに西城に会いに行ったら、何故か強制的に駐輪場へと連れて行かれた。

「……どういうつもり?」

 駐輪場に着くと、西城は不機嫌ゲージが限界を突破した顔で俺を睨む。

「その質問は俺の方だ。何故ここに連れてこられたのか説明を要求する」

 すると西城の頬が一瞬ピクッと動き、

「うッッッッッッざいのよあんたがあああああぁぁぁぁぁぁ!!」

 どこから出したのかも定かでない野太い声で絶叫した。

「朝のあいさつは分かる! アップルパイも許そう! 社会の資料集もまだワンチャンある! でもお弁当のおかずって何!? てか何で日替わりで呼び方が違うのよッ! しかも日に日にフレンドリーに変化してるしッ! あんたはあたしの彼氏かッ!」

「どうでも良いが五百円忘れんなよ」

「それでその五百円て何よ!? あたしあんたにお金なんて借りて無いわよ!」

「アップルパイの代金」

「アレ金取るの!? てか高ッ!?」

「あたしが作ったんだから当然でしょ! アイドル料金よ!」

「だから無駄に上手いあたしの声真似するんじゃないわよ!」

 俺とて一晩でその一万倍もの稼ぎをしたことがある人間だが、悲しいかな組織時代の俺の口座は差し押さえられ、今は一般の高校生と同じかそれ以下の小遣いでやりくりしている。あと声真似は、これがまたからかうと楽しいんだよ。

「ハァ、ハァ、ハァ……あんた、ほんと何なの? 本気で私の依頼達成する気あるの?」

「無論だ。俺は俺の出来る限り、お前のことをストーキングしているつもりだ」

 俺が西城をストーキングすることで、もともとの西城のストーカーをおびき出す。それがあーやの立てた作戦だ。

 始めは俺を西城の偽の彼氏にすることを考えたらしいが、そうするとストーカーがヤケを起こして西城に危険が及ぶことを考慮し、俺が西城をストーキングすることになった。西城はいつも通りに当たり障り無く接することで、俺の方が一方的に言い寄っている構図を作り、ストーカー犯の意識を俺に向けさせる。

 ストーカーになるほど好意を寄せている西城に、表立って自分以外の人間が近づいているのだから、その俺をさぞ憎たらしく思っているに違いない。こうすれば何かを起こそうとした時にも、西城よりは俺の方が標的になりやすい。俺はストーカー犯がヤケを起こした時の囮になっているというわけだ。

 そしてアイドルとして知られている西城に言い寄る男、ということで周囲からの目も日に日に痛々しくなっており、確かにあーやの言うとおり社会的地位が低下しつつある。まぁ元々高くなかったから、もう下がりすぎて地下深くでモグラと仲良くしてるだろう。

「ストーキングしてるって言ってもそれだけでしょ? 何も進展して無いじゃない」

「いや、そうでもないぞ」

 俺はポケットから一枚の紙を西城に見せる。

「『これ以上ふざけた真似を続けるなら、覚悟しろ』って、これ脅迫じゃない!」

「そうだ。それが昨日の夕方に届いた」

 何も進展していないと見せかけ、実はあーやの読み通り、犯人さんはまんまとおびき出てきてくれたってわけだ。だが事が上手くいっているにもかかわらず、西城の顔色はよくなかった。

「いや、でも……これってあなた大丈夫なの?」

「あん? 別に何も問題無いが」

「だってこれ、覚悟しろって! 分かってはいたけど、まさかこんな……」

 西城は口を押さえて、見るからにショックを受けていた。自分の都合で他人を危険に巻き込む。それが目に見える形で現れているのだ。

「別に気にするな。このくらいの脅しに屈するほどヤワでもなければ、黙ってやられるほど優しくもない」

 やられたらやり返す以上に、やられる前にやるスタイルだ。
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