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13話:
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さて、四つのうち最後の選択肢が一つ減って、残り三つだ。
どれも選びたくない。
一つ目は山に捨ててくるとか論外であるため、そう伝えると「ならば側近か国王を打ち倒すのだな?」と言われた。
このあるようでない選択肢に愕然とする。
いや、逆に考えるとしよう。
スタルク第一王子は私のよくわからない部分に興味を持っているから味方をしてくれるのだ。だったら、王や側近を殺さずとも、彼に王になってもらえば解決するのではないかと思う次第である。
「あの、二と三の選択肢ですけど、できれば殺さずにできませんか?」
「なに? 敵を殺さずにどうやって現状を打開するのだ」
いや、敵ではなくて、あなたの父親とそれを慕う側近じゃないの? と私は言いそうになって、改めて自分が原因だったと口に出すのを思いどまる。
「その、幽閉とか、拘束とか、方法はいろいろあるのではないかと」
「お前、賢いな」
そう言えばこの人、理性的な会話ができるのに、言っていることはどこか脳筋で、完全な馬鹿ではないのに、こんなことで感心している。
妹の件も思い返してみると、言い聞かせるとか、教育するとかではなく、腕っぷしで猫でも扱うように引きずってきたという話をしていた。
あれは、何かの比喩的な話かと思っていたが、そのままの意味だったらしい。
この人、王子ということもあって、顔はきれいだし、身体の大きさに目を向けなければ私だってずっと見ていられる。けれど、その顔に発言があっていないため、彼の身体というか筋肉と会話している気分になる。
まるで肉体言語だ。
王子は結論を決めたようで、後ろにいた側付きの騎士にすべきことを伝えた。
黒い髪に白い肌と、とても騎士の風貌には見えない。特にこの第一王子の進化とはとても思えない。食べているものがもう違う気がする。
「今から宮殿に乗り込む。直ちに兵の準備をして、側近の拘束と王の幽閉に向かうことを指示せよ」
どうやらこの騎士は騎士隊長の位にあるらしく、命令を全隊へと伝えるべく外に向かった。
「本当によろしいのですか?」
「何がだ?」
「失敗したらあなたも……」
「問題ない。おれがこの程度の失敗を恐れると思うのか?」
クーデターをこの程度と言い放ったため、私は面食らった。「ここに教育に失敗した王子がいますよ~」と王の方に向かって叫びたい気持ちになった。もちろん、冗談である。
「では私も覚悟を決めます。あなたにこれからもついていき、添い遂げることを誓いましょう」
実際に、彼が与えた選択肢の二と三は、私がさまざまな問題から逃れる奇跡的な方法である。実行手段がないから自分だけでは解決策として選択肢にも入らなかったが、王子が手伝ってくれるのなら成功する可能性は十分にある。
失敗したときも運命共同体である。
たとえ女性として好かれていなくとも、自分の人生をかけてくれるのなら、前の夫よりも十分に優良物件であると言えよう。あとは、体の野性的な筋肉部分をあまり見ないようにすればいいだけだ。そこだけはあまり得意ではない。それでもこの状況ならば、強そうな部分に安心もする。
私は立ち上がって、騎士たちが勢揃いする全員の前に立った。
なぜこれほど兵の準備がそろっているのか。たぶん、スタルク第一王子は最初からこうするつもりだったのだろう。
もちろん、拘束や幽閉ではなく、王の首をはねるつもりだったのだろう。国王の命は私がいらから救われるようなものなのだ。
「お前たち、準備は良いか?」
「は、全員そろっております」
私は周囲を見回して、やはりスタルクと騎士たちでは育った環境や食事が違うように思えてならない。本当にスタルクだけ山のどこかで野生児のように鍛えてきた人ではないのか?
横から騎士団長が私に声をかけてきた。
「奥様は安心して我々に着いてきて下さい。スタルク配下の騎士一同は、国内で最も強靭な部隊にございます。なにより、スタルク様に勝てる武人はこの国内にはおりません」
「それは……たのもしいですね」
私は、決して戦う動機を与えてはいけない人物に、その動機と知恵を与えてしまったような気がした。取り返しのつかないことをした感が半端ないのだ。
「行くぞ!」
号令とともに、騎士たちは私が乗せた王子の後ろから、大きな塊となって宮殿に攻め込むことになった。
どれも選びたくない。
一つ目は山に捨ててくるとか論外であるため、そう伝えると「ならば側近か国王を打ち倒すのだな?」と言われた。
このあるようでない選択肢に愕然とする。
いや、逆に考えるとしよう。
スタルク第一王子は私のよくわからない部分に興味を持っているから味方をしてくれるのだ。だったら、王や側近を殺さずとも、彼に王になってもらえば解決するのではないかと思う次第である。
「あの、二と三の選択肢ですけど、できれば殺さずにできませんか?」
「なに? 敵を殺さずにどうやって現状を打開するのだ」
いや、敵ではなくて、あなたの父親とそれを慕う側近じゃないの? と私は言いそうになって、改めて自分が原因だったと口に出すのを思いどまる。
「その、幽閉とか、拘束とか、方法はいろいろあるのではないかと」
「お前、賢いな」
そう言えばこの人、理性的な会話ができるのに、言っていることはどこか脳筋で、完全な馬鹿ではないのに、こんなことで感心している。
妹の件も思い返してみると、言い聞かせるとか、教育するとかではなく、腕っぷしで猫でも扱うように引きずってきたという話をしていた。
あれは、何かの比喩的な話かと思っていたが、そのままの意味だったらしい。
この人、王子ということもあって、顔はきれいだし、身体の大きさに目を向けなければ私だってずっと見ていられる。けれど、その顔に発言があっていないため、彼の身体というか筋肉と会話している気分になる。
まるで肉体言語だ。
王子は結論を決めたようで、後ろにいた側付きの騎士にすべきことを伝えた。
黒い髪に白い肌と、とても騎士の風貌には見えない。特にこの第一王子の進化とはとても思えない。食べているものがもう違う気がする。
「今から宮殿に乗り込む。直ちに兵の準備をして、側近の拘束と王の幽閉に向かうことを指示せよ」
どうやらこの騎士は騎士隊長の位にあるらしく、命令を全隊へと伝えるべく外に向かった。
「本当によろしいのですか?」
「何がだ?」
「失敗したらあなたも……」
「問題ない。おれがこの程度の失敗を恐れると思うのか?」
クーデターをこの程度と言い放ったため、私は面食らった。「ここに教育に失敗した王子がいますよ~」と王の方に向かって叫びたい気持ちになった。もちろん、冗談である。
「では私も覚悟を決めます。あなたにこれからもついていき、添い遂げることを誓いましょう」
実際に、彼が与えた選択肢の二と三は、私がさまざまな問題から逃れる奇跡的な方法である。実行手段がないから自分だけでは解決策として選択肢にも入らなかったが、王子が手伝ってくれるのなら成功する可能性は十分にある。
失敗したときも運命共同体である。
たとえ女性として好かれていなくとも、自分の人生をかけてくれるのなら、前の夫よりも十分に優良物件であると言えよう。あとは、体の野性的な筋肉部分をあまり見ないようにすればいいだけだ。そこだけはあまり得意ではない。それでもこの状況ならば、強そうな部分に安心もする。
私は立ち上がって、騎士たちが勢揃いする全員の前に立った。
なぜこれほど兵の準備がそろっているのか。たぶん、スタルク第一王子は最初からこうするつもりだったのだろう。
もちろん、拘束や幽閉ではなく、王の首をはねるつもりだったのだろう。国王の命は私がいらから救われるようなものなのだ。
「お前たち、準備は良いか?」
「は、全員そろっております」
私は周囲を見回して、やはりスタルクと騎士たちでは育った環境や食事が違うように思えてならない。本当にスタルクだけ山のどこかで野生児のように鍛えてきた人ではないのか?
横から騎士団長が私に声をかけてきた。
「奥様は安心して我々に着いてきて下さい。スタルク配下の騎士一同は、国内で最も強靭な部隊にございます。なにより、スタルク様に勝てる武人はこの国内にはおりません」
「それは……たのもしいですね」
私は、決して戦う動機を与えてはいけない人物に、その動機と知恵を与えてしまったような気がした。取り返しのつかないことをした感が半端ないのだ。
「行くぞ!」
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