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第二話
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現れたのはエレンの唯一の直属の執事ローレンス。
しかしその表情には朝方に見た笑顔はない。
片目は開けないほど腫れ、顔中アザだらけでところどころ赤黒い血が付いている。
綺麗だったブロンドの髪も燕尾服も血で汚れ、全身切り傷にまみれていた。
爪も剥がされている。拷問を受けていたであろうことは素人目にもわかった。
頭もまともに回らないまま走って近付こうとすると、いつのまにか囲まれていた使用人たちに抑えらてしまった。
「ローレンス!これは一体…」
「このたび、私たち兄弟は我が屋敷に潜む悪党の発見、そして逮捕に成功いたしました!」
直後、声を上げようとするもメアリーの大声にかき消される。
そして数秒後、周囲のどよめきと共にメアリーの発言を理解する。
いや、理解はしていないが発言の大意は理解した。
混乱する周囲を置いて、メアリーは言葉を続ける。
「2ヶ月前に私たちの学園から、国王様より賜った大切な杖が盗まれるという事件がありました。その犯人がこの男だったのです!
この男はお姉様の使用人という立場を利用し学園に忍び込んだのです!そしてその証拠にこの男の部屋から盗まれたはずの杖が発見されています!」
何を言っているんだ。
頭は回らないまま、が必死に言葉の意味を理解する。
ローレンスが泥棒?私を利用して?
あのローレンスが?
使用人たちの制止を振り切り妹に近づき、声を上げる。
「メアリー。どういうつもり?一から説明を…」
「ああ、可哀想なお姉様!おいたわしや…」
私の接近には驚きもしなかったようで、またもや言葉を途中で遮られる。
「お姉様を騙していた悪人は私たちが捕まえました。どうかご安心ください。」
「安心?なにを言っているの、私は…」
「しかし、この男は未だに自らの罪を認めておりません。往生際の悪いことです。」
「待ちなさい!まだ話の途中よ!」
私との話を一方的に打ち切り、聴衆に向かって話し始める。
そして、私の登場に驚き、初めて顔をあげたローレンスに近づき耳打ちする。
「なにをしているの!」
「お姉様、落ち着いてください。幼少の頃より付れ添った使用人が犯罪者と言われても信じられない気持ちはわかります。しかしもう安全ですから…」
「ローレンス!あなたもなに黙ってるの!」
メアリーとの会話を諦めローレンスに呼びかける。
ローレンスは私の顔を見るとしばらく思案して、すると何かを決心したかのように聴衆の方を向いた。
「ローレンス!身の潔白を証明したいなら、まず…」
「私が学園から杖を盗みました。」
初めて聞いたローレンスの大声に身がすくみ、私はそれ以上言葉を続けることができなかった。
しかしその表情には朝方に見た笑顔はない。
片目は開けないほど腫れ、顔中アザだらけでところどころ赤黒い血が付いている。
綺麗だったブロンドの髪も燕尾服も血で汚れ、全身切り傷にまみれていた。
爪も剥がされている。拷問を受けていたであろうことは素人目にもわかった。
頭もまともに回らないまま走って近付こうとすると、いつのまにか囲まれていた使用人たちに抑えらてしまった。
「ローレンス!これは一体…」
「このたび、私たち兄弟は我が屋敷に潜む悪党の発見、そして逮捕に成功いたしました!」
直後、声を上げようとするもメアリーの大声にかき消される。
そして数秒後、周囲のどよめきと共にメアリーの発言を理解する。
いや、理解はしていないが発言の大意は理解した。
混乱する周囲を置いて、メアリーは言葉を続ける。
「2ヶ月前に私たちの学園から、国王様より賜った大切な杖が盗まれるという事件がありました。その犯人がこの男だったのです!
この男はお姉様の使用人という立場を利用し学園に忍び込んだのです!そしてその証拠にこの男の部屋から盗まれたはずの杖が発見されています!」
何を言っているんだ。
頭は回らないまま、が必死に言葉の意味を理解する。
ローレンスが泥棒?私を利用して?
あのローレンスが?
使用人たちの制止を振り切り妹に近づき、声を上げる。
「メアリー。どういうつもり?一から説明を…」
「ああ、可哀想なお姉様!おいたわしや…」
私の接近には驚きもしなかったようで、またもや言葉を途中で遮られる。
「お姉様を騙していた悪人は私たちが捕まえました。どうかご安心ください。」
「安心?なにを言っているの、私は…」
「しかし、この男は未だに自らの罪を認めておりません。往生際の悪いことです。」
「待ちなさい!まだ話の途中よ!」
私との話を一方的に打ち切り、聴衆に向かって話し始める。
そして、私の登場に驚き、初めて顔をあげたローレンスに近づき耳打ちする。
「なにをしているの!」
「お姉様、落ち着いてください。幼少の頃より付れ添った使用人が犯罪者と言われても信じられない気持ちはわかります。しかしもう安全ですから…」
「ローレンス!あなたもなに黙ってるの!」
メアリーとの会話を諦めローレンスに呼びかける。
ローレンスは私の顔を見るとしばらく思案して、すると何かを決心したかのように聴衆の方を向いた。
「ローレンス!身の潔白を証明したいなら、まず…」
「私が学園から杖を盗みました。」
初めて聞いたローレンスの大声に身がすくみ、私はそれ以上言葉を続けることができなかった。
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