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第1章 王都編
第1話 プロローグ
しおりを挟むーーーーーーーさて。
皆様は、《恋は盲目》と言う言葉を知っているだろうか?
これは、恋をした人間は、その恋以外何も見えないかのように、それだけを追い求めてしまうーーー
その様子が、まるで盲目かのように思えた事から出来た言葉である。
さて、ここに一人の人間がいる。
彼もまた、恋の魔物に取り憑かれた『恋する人』の一人であり、また、それによって盲目になってしまった人間の一人でもある。
彼の暮らす世界は、俗に言う『剣と魔法の世界』、ディアベル。
《神託の邪竜》ディアボロスが造ったとされるその世界には、いくつかの『ルール』が存在する。
例えばそう。
『人間と魔族が存在し、それらは常に争い続けている』ーーーーーだとか。
まあ、これは人間たちが勝手に決めたルールで、ディアボロスが造った訳では無いが、それはどうでもいい。
話を戻して、それらのルールの中には、こんな物がある。
それは、『人間族に限り、世界に生を受け、神託の巫女からの祈りを受けた人間が齢15になりし時、その人間は神託の巫女から、一つの【言葉】を授かる。』ーーーーーーと云うもの。
さて、言葉を続けよう。
そしてまた、そのルールの中には、こんな物がある。
『神託の加護と呼ばれる物、つまり【言葉】の中には、人の根源に位置する16の【心】が存在し、それらを持つ《神託者》は、強大なる力と、それに対応する《運命》を持つ。』
つまりは、【心】の【言葉】を持つ者には、強い力と、それら16の【心】ーーーー
憤怒、慈悲、傲慢、謙譲、嫉妬、忍耐、暴食、節制、色欲、純潔、強欲、救恤、怠惰、勤勉、勇気、そして恋慕。
これらの【心】を持つ者は、それに当てはまった《運命》を課せられる。
そして、人間の世界のジンクスとして、これらの『心託(しんたく)者』と呼ばれる16人の者は、
魔族を統べる王、『魔王』を倒し得るーーーーー
『勇者』とされる。
ーーーーーーーそしてこれは。
【恋慕】の神託を持つ、【恋慕の勇者】ーーーーー
ラヴァース・リルグリムの、片想いの物語である。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
ーーーーーー「さて、此の度は、《第4回勇者会議》にお集まり、有難うございます。第4回議長、《勤勉の勇者》アーリス・ストルディ、ここに感謝の意を表します。」
荘厳なる雰囲気を醸し出す、光差し込む神殿。
その中央に備え付けられた円卓を囲むようにして、16の人間が座っている。
彼等は、《神託の巫女》シーフィアの加護の元、人間の根幹に位置する16の《心》を授かりし、《選ばれし者》ーーーーーーーつまりは、人類に不幸と貧困を齎すとされる、憎むべき者、《魔王》を討伐するとされる者、《勇者》、その人である。
彼等は、想い想いにそれぞれの考えを持ち、自身の《運命》と共存しながら、《魔王》を討伐すべく、日々冒険の日々を送っている。
彼らは決して群れることは無い。
何故ならば、彼等には、生まれつき強大な《力》が宿っている。
《神髄》とも呼ばれるその力は、本気を出せばそう、世界すら滅ぼし得ると言う、一人の人間が持つには強大すぎる力。
本来ならば、危険を理由に国によって保護、という名目の元監禁されてもおかしく無い力を持つ彼等が、何故自由に行動する事が赦されているのか。
それは偏に、『勇者たる者にしか、魔王を倒す事が出来ない。』と言う、世界の意思ーーーーー神託の邪竜、ディアボロスが制定したとされる、《ルール》の影響である。
まあ、それはされとてーーー
彼等は、個々が強大な力を持つが故に、基本的には仲間を必要としない。
例えば、そう。
『荷物持ち』が必要にでもならない限りは、彼等は自身と、神託の巫女によって与えられた、《使い魔》たるモノのみで活動、冒険する事となるし、彼等もそうしている。
だが、人手は多い方が良い、そう思う方もいる事だろう。
勿論、これにも理由がある。
彼等は自身の持つ力が強大すぎる故に、普通に戦闘しようとしても、どうしても周囲の自然物、人工物、生命ーーーー周囲に存在する、物体に対しても、確実に被害を及ぼしてしまう。
唯一彼等が被害を及ぼす事の無い物質は、自然界に存在する神秘エネルギー、魔術、《魔法》を行使する為に消費する微生物ーーーーー
《精霊(マナ)》、又の名を《魔力》と呼ばれるエネルギー、そして、それに帰属する《精命(せいめい)》と呼ばれる、要するに妖精ーーーー
此れ等に対しては、例え勇者、いや、それは《神託の巫女》に関しても例外無く、須らく、《魔法》を除いた如何なる方法でも干渉する事が出来ない。
いやまあ、妖精として存在しているマナに関しては、触れる事も会話する事も出来るが、もっと根幹の部分ーーーーー
《魂(イノチ)》に対しては、それは、同族の精霊、そして、自然にのみ干渉を許された絶対領域となり、人間には、如何なる方法を行使しようとも干渉する事が出来ず、又、干渉しようとする行為自体が禁忌とされ、忌み嫌われている。
よって、人間としては絶対不可侵領域とされる、精霊の《魂(イノチ)》に干渉し得る、《魔王》たる存在が忌み嫌われる理由ともなっている。
と、そろそろ話を戻して、まあそんな理由があり、勇者達は、自身に使える《使い魔》たる妖精、そして、自身の力に耐えうる《勇者》たる存在を除けば、基本的には他と群れる事なく生活している。
だが、基本的には他人と群れない彼等が、一年に一度、全員が集まり、活動を共にする日が存在する。
それが、《勇者会議》と呼ばれる、情報交換会。
それぞれが其れ迄の一年で得た魔王討伐の支えとなり得る情報を交換し、その後、1日活動を共にすることにより、
・情報の共有
・勇者同士の親睦を深める
・いつ死んでいてもおかしく無い勇者達の生存確認
などなど、様々な活動を一手に行う、親睦会の様な役割の会である。
ーーーーーで、此処からが、この物語の【プロローグ】と成る、一つの『問題』の提唱となる。
「まー、御託はいいからさっさと始めようぜ。“ガリ勉”君。」
「、、、、貴方は、いつもそんな調子ですね。、、、まあいいでしょう。ボクとしても、こんな前置きは面倒臭いと思って居た所です。」
「シシシッ、お前も、やっぱどっか不真面目っつーか、、、《勤勉の勇者》ともあろうものが、が、そんなんで良いのかね?」
「、、、、ま、余り良いとは思いませんが、、、今回は、議題が議題ですし、とっとと始めたいんですよね。」
「ま、そりゃそーだ。んじゃ、始めよーぜ。」
さて、今回の勇者会議。
前回、前々回と、基本的には格式なんか存在しなかったかの様に、全員が自由に行動する故に、毎度毎度宴会の様になっているこの会議。
まあ、それは当然といえば当然だ。勇者達は、全員が全員強い力を持つ故、全員がプライド高く、そして仲が悪い。
一部仲の良い勇者もいるのだが、基本的には全員の仲は悪く、誰かが誰かに従う、と言う事が殆ど無い。
そんな彼等が、何故全員が大人しく席に着き、又、進行役の言う事を黙って聞いているのか。
それにも理由がある、と言うより、今回の会議はーーーーーー
ある、特定の人物に対して、全員のヘイトが向いている故に、全員が一致団結している、と言っても良いだろう。
「、、、、では、取り敢えず、今回の議題を説明します。と言っても、多分全員分かっているでしょうが、、、、、、」
そんな前置きをして、勤勉の勇者は説明を始めた。
「さて、今回の議題ですが、それは一つです。率直に伝えましょう。今回の議題はーーーーーーーーー《恋慕の勇者》ラヴァース・リルグリムの、処遇についてです。」
その言葉を放った途端、その場に集まる勇者ほぼ全員の視線が、円卓の下座に座り、肩身を狭そうに縮こまっている、《恋慕の勇者》その人に、一挙に向けられる。
今、勇者会議の雰囲気は、《恋慕の勇者》に対する悪意のみで構成されている。
これ程までに恨まれるとは、この勇者は一体何をしでかしたのかーーーー
「さて、、、、この恋慕の勇者、以下アホ、とでも呼びましょうか、、、、このアホがしでかした事は、まあ皆さんご存じでしょう。ですが、此処は今一度このアホの罪の深さを皆さんに知らしめ、認識させるため、解説すべきでしょう。」
「ああ、それが良い。俺たちはこいつに対しては恨みしか抱いて居ないが、こいつに対して自身の罪を数えさせ、今一度自身の業の深さを知らしめるのは、大事だろう。」
その言葉の後、各席から様々な声が上がる。
が、それら全ては、例外無く《恋慕の勇者》に対しての悪意を述べた言葉であり、確実に《恋慕の勇者》に憎しみを伝える為の意思表示だった。
「さて、では全員異議は無い様ですね。それでは、今一度、このアホの罪を数えましょう。」
ーーーそうして述べられた言葉を、そのまま伝えようとすると。
言葉の一字一句に恋慕の勇者への恨み、憎しみが込められたその言葉を、全て伝えようとすると。
長くなり過ぎる上、その言葉に込められた憎しみの深さで文章が確実に地獄の阿鼻叫喚を全て詰め込んだ様な悪辣な文章になる事が容易に予想出来、放送コードを宇宙を飛び越える勢いでアウトしてしまい、運営から不適切な内容と判断された為、この動画は削除されました、と言われる事確実となってしまう為、、、、
此処は、言葉の概要を、切り取って伝えるに留めておこう。
その1 自身が想う人に良い所を見せようとして、街一個吹き飛ばした。幸い、その街の住民は避難して居たものの、自身の感情だけで力を抑えず攻撃をぶっ放してしまった事は、許される事では無い。
その2 自身の想い人を侮辱した一国の王を、その親族家来含めて全て滅ぼした。
その3 恋慕の勇者の事を想う美少女の告白を、こっ酷く振った。
その4 モテモテな癖にそれらに興味を示そうとしない。
その5 なんでアホの癖に俺たちがモテずお前がモテる。
その6 ふざけんなお前に群がってる美少女半分分けろ。
その7 なんでお前だけモテてんだよおかしいだろ不平等だろ
ーーーーと、まあ。
その後は聞くに耐えない恨み節の連続だった為、この辺りで打ち切りとしておこう。
因みに、話だけ聞くと、前半はただの犯罪者の様だが、一応理由あっての行動だったので、処遇は勇者達に任せる、という条件で許されて入る。
(街を滅ぼした件は、その街に沸いた鬼級魔獣、『暴虐の龍ディアブロ」から自身の想い人を助けようとして、勢い余って最大火力の魔術をぶっ放しちゃっただけで、ディアブロを倒さなければ何方にせよその国は滅びて居たので、まあしょうがないとされた。)
(王族殺しの件は、元々自分勝手な政治で嫌われて居た悪王や、それに比例して悪虐な王族を殺しただけだったので、その国の住人からは感謝されている、と言う事で、ギリギリ処刑されずに済んだ。)
まあつまりはーーーーーー
非モテ勇者達の妬み、と言う訳だ。
「、、、、と、まあ、アホのしでかした事を許すわけには行きません。ですが、皇王(こうおう)の意向により、魔王を倒しうる人材は減らさない方がいい、、、、との事なので、それを考慮した処遇にせざるを得ません。、、、、、、(ボクとしては、せっかくモテてんのに“あんな奴”にうつつを抜かしやがってるので、ぶち殺してやりたいですが。)」
あんな奴、と言う所で、ちらりと恋慕の勇者の方を見る。
が、その視線は、僅かに右にずれているようだが、、、?まあ、それは良い。
この発言をすると、各勇者からブーイングの声が上がった。
理由は明確、なんで殺したらダメなんだ、このモテ野郎はぶち殺してやろう、爆殺してやろう、と言う事だ。
が、今この場には、 第6代目《憤怒の勇者》にして、魔王を二度討伐したとされる大英雄、《15代目皇王》グランディスト・エンペラーが、勇者達の動向に目を光らせている。
その為、今回の処遇は、皇王の意思に沿って、処刑はせずに罰する、と言う結論にせざるを得ないのだ。
「と言う事で、、、今回僕が提案させてもらう罰は、『彼の者のこれまでの冒険で得た財産、褒賞、栄誉、、、その全てを奪い、勇者の資格を剥奪する』と言う物です。」
まあ要するに、身ぐるみ全部引っ剥がして勇者の資格も無くしてほっぽり出して仕舞おう。と言う事だ。
この世界では、称号、と言う物は最も重く、重要な『財産』として扱われる。
その証拠として、この世界で重要な位置に着くもの、例えば『英雄』なんかにも、須らく『二つ名』が与えられている。
それに、この世界では『人権』と言う物すら、称号として扱われている。
それを全て剥奪して仕舞おうと言うのだ。
簡単に言えば、職業を全部失って、人権も無く、金も武器も何もない状態にして仕舞おう、と言う事だ。
普通に考えれば、その先に待つのは死。
つまり、この《勤勉の勇者》は、暗に《恋慕の勇者》を殺して仕舞おう、としているのだ。
さて、この提案に勇者は、二つの反応に分かれた。
一つが、まあその位が妥当じゃないか、と言う声。
そしてもう一つが、そんなものでは生温い、と言う声だ。
そう言った意見の相違が、ちょうど半分に分かれる形で起こった。
で、まあ。
恋慕の勇者には選択権が無いとして、これらの意見を左右する、一人の人間が。
「、、、、では、まだ決めて居ないのは、貴女だけとなりましたね。、、、《勇気の勇者》」
「う、、、え、えっと、、、わ、わたしは、、、」
さて、未だ意見を決めかねている唯一の勇者。
それは、16の勇者の内、最弱とされる者ーーーー
《勇気の勇者》、ブレイブ・フランテール、その者だった。
その声を聞き、各各からブーイングが起こる。
ーーーーなんでそんな奴(やくたたず)の意見まで聞く必要があるのか、と。
まあ、そう言った声は《皇王》が一睨みを効かせただけで収まったが、その意見も、まあ賛同出来なくは無い。
何故なら、《勇気の勇者》と言う存在には、《神髄》が存在しない。
それどころか、勇者に与えられる《力》すら殆ど無く、荷物持ちにすらなりはしない程の最弱の勇者。
が、何故だろうか、この世界に伝わる《神話》に登場する主人公は、何故か須らく《勇気の勇者》であり、『役立たずだが特別な存在』とされている為、余り無碍にも出来ないのだ。
さて、全ての判断を委ねられた《勇気の勇者》。
この者の判断は、さてどうなるのかーーーーー
「、、、、えっと、わたしは、アーリスさんに、えっと、賛成、です。」
「、、、、、そうですか。では分かりました。此処に、《恋慕の勇者》ラヴァース・リルグリムから、全ての財産、名誉、称号を剥奪し、勇者資格を剥奪する、とします。、、、後の『儀式』は、皇王様にお任せし、今回の勇者会議を、これにて終了といたします。」
ーーーーーーーさて。
これにて、第4回勇者会議は、幕を閉じた。
これからは、この物語の【前振り】をさせて貰う事としよう。
ーーーーーーーこの物語は、全てを失った《恋慕の勇者》ラヴァース・リルグリムが、
想い人の追っかけをする中で、様々なトラブルに立ち向かう事となる。
『追っかけ』と言う名の、『二度目の冒険』ーーーー
そんな中で、彼は世界の闇に立ち向かう事となる、かも知れない。
もしかしたら、魔王を倒す事になるかも知れない。
『想い人と結ばれる』と言う、目標を達成するかも知れない。
ーーーーーその冒険の中で、彼が何に出会い、何を思うのかは、まだ誰も知らない。
ただ一つ言えるのは、『彼』は確実に、数多のトラブルに立ち向かう事になる、と言う事だ。
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