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第1章 王都編
第2話 ストーカー・リスタート
しおりを挟む「ーーーーーー《恋慕の勇者》ラヴァース・リルグリムよ。貴様は第4回勇者会議にて、貴様の得た称号、武具、金銭ーーー貴様の持つ全ての財産を剥奪し、《勇者》たる立場からの追放が決定された。それは、存じているな?」
「、、、はい。そして、それらの処遇を受け容れ、受け止める、、、その覚悟も出来ています。」
「、、、、、、そうか。では、これより貴様の『称号剥奪の儀』を執行う。では、《恋慕の勇者》よ、前へ出ろ。」
さてーーーーーーー
この日、『第4回勇者会議』が行われた神殿にて、一つの『儀式』が行われようとしていた。
それは、15代目《恋慕の勇者》ラヴァース・リルグリムの、称号剥奪の儀ーーーーー
前回の勇者会議が行われた、《尊大なる神殿》ドームス。
其処には、《勇王皇国》リベリオン、現《皇王》にして6代目《憤怒の勇者》グランディスト・エンペラーが、
そして、《名無しの勇王》にしてリベリオン初代《皇王》、ブレイブ・エンペラーの石像と、
これより処断が行われる事と成る、《恋慕の勇者》、又の名を《盲愛の狐》ーーーーーー
ラヴァース・リルグリム、その人が存在した。
さて、此れより執り行われるのは、人類史に置いて最も重要な意を為す、《称号》の剥奪。
其れ即ち、彼と言う人間の、『存在』の抹消に等しい。
だが、彼はそれを受け容れ、受け止める。
「、、、、分かっていると思うが、これが終わったら、直ぐに《冒険者ギルド》へ行け。其処で、名を変え、正体を隠し、此の期の人生を生きろ。そして、これが終われば、貴様と我はもう他人と成る、、、、分かったな。」
「、、、、はい。皇王殿下の御好意、痛み入ります。この仮面に誓い、我が称号に誓い、そして勇王に誓い、尊き偉大なる貴公たる存在に従いましょう。」
「、、、、、本来ならば、この様な行為は許される物では無いのだろうがな、、、、、まあ良い。其れでは、、、、」
彼等は、そんなやり取りを交わす。
互いに他人行儀な、だがしかし、何処か関係の近さを感じさせる態度だ。
だが、彼等はもう、他人と成る、此れ迄の人生で二度出逢う事の無かった、『一般市民と皇王』と言う、遠過ぎる存在と成る。
「、、、、、祭壇、起動。
『我、皇王たる存在の名の下に、我が意思、我が心を伝えよう。
彼の者の罪を数え、其れに相応しき裁きを与えよう。
我等、尊き人類の元に生を受けし高尚なる存在。
其れ等頂点に君臨する我の意思の元に置き、世界の【意思(ルール)】を伝えよう。
其れは、彼の者に与えられし罰の名。
之は、彼の者に与えられる罪の名。
さあ、始めようぞ罪咎を。
《神託の巫女》の名を、そして、《神託の邪竜》ディアボロスの名を、我等人類に与え賜ろう。
ーーーーーー【神罰】罪状は、かの王国の破壊、されては王族殺しの罪に置いて。彼、《恋慕の勇者》ーーーーー』」
そんな、文章に起こせば数行にも渡る、長き、永き詠唱を経てーーーーー
《神託の巫女》の名の下に、裁きが下される。
「ーーーーー罪人、ラヴァース・リルグリムより、彼の者の持つ総ての《称号》、金銭、武具を剥奪し、其れ等総てを我が《皇国》に。その王たる存在、我が元に帰属する物とするーーーーーーーー」
詠唱を終え、《皇王》の眼前に置かれし《神託の紋版》に、手を触れた。
瞬間、神殿内が光に包まれる。
祭壇の床に描かれ、今現在《恋慕の勇者》がいるーーーーいや、居た魔法陣より、16色の光が溢れ、神殿に存在する総ての存在を、今にも飲み込もうとしている。
ーーーーーー軈(やが)て、其れは総てを飲み込み、そして薄れて行く。
軈(やが)てそれは、光の粒子となって霧散した。
そして、その光はーーーーー
“元”《恋慕の勇者》の持っていた総ての財産を、光と変え、そして、『皇城』の金倉庫へ運んで行く。
ーーーーーーー此れにて、儀式は終了した。
「ーーーー此れを持ち、貴様の『罰』を満了した物とする。貴様は此の先を、貴様の思う様に、自由に生きるが良い。」
「、、、、、、はい。ーーーーーでは、此れにて私は、この場から立ち去らせて頂く事と致しましょう。其れでは、愛しき尊き《皇王》、そして其れに附属する、総ての《人類》の幸運を祈ります。《神託の巫女》シーフィアの名の下に。」
「、、、、、、立ち去るが良い。我は、貴様の顔はもう、見たくない。」
「、、、、、、、、、、では。」
ーーーーーそして俺は、ゆっくりと、神殿の外へ向かう。
震える肩を、しっかりと見据えながらーーーーーーー
ーーーーーーこうして俺、ラヴァース・リルグリムの、《恋慕の勇者》としての、短かき『人生』、いや、『勇者生』は、幕を閉じた。
、、、、、、さって、取り敢えず、ギルド行くか、、、、、
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
さて、現在俺、“元”《恋慕の勇者》にして、現在は、住所不明職業不定無職、金も武器も持たない丸腰の一般ピーポーとなった『ラヴァース・リルグリム』は、《皇国》の、とある地区を歩いて居た。
皇国の西側に存在する冒険者の集う大通りをとぼとぼと歩く丸腰の俺は、そこらにたむろしている物盗りからすれば絶好の“獲物”だろう。
いや、むしろスリをする旨味が薄すぎて、誰も近寄って来ないか、、、?が、何方にせよ、俺から物を掠め取る事が出来る様なら、其れはもう、物盗りなんかやってないでそこらの商人の用心棒として働く事を勧めてやりたい。
ま、とにかく今の俺は、俺を嫌う《勇者》達からすれば絶好の獲物だろうし、早いとこ冒険者ギルドに向かいたいのだが、、、、
いかんせん、ちょっと人が多すぎるな、、、、、
さっきから屈強な冒険者達の人波に飲まれ、為す術も無く成されるがままになっている俺は、そんな事を考えて居た。
、、、、、ていうかあれ?この辺りの地区って、ここまで人多かったっけ?
以前この辺りを拠点として活動して居た時と比べ、異常に人通りが増えている事に、かなりの驚愕を覚える。
以前はもっとこう、閑散として居たはずなのだが、、、まあ、あれからもう2年は立つし、その間に冒険者が増えた、、、って事なんだろうかね?
クッソ、こんな事なら隙間抜けのスキルレッスン、ちゃんと受けとくんだった、、、あの時は、そこまで必要だとは思ってなかったからな、、、、
あー、、、これ、いつになったらギルドまで辿り着けるかな、、、、、
と、そんな事を考えて居たのも束の間、中央広場にてポーションの格安販売会が開かれると言う放送が流れ、一気に人波が中央広場に流れていった。
で、まあ今の俺は無一文のスカンピンな訳で、当然そんなポーションなんか買えないと言うことで、これ幸いとギルドへの歩みを進めたのである。
そんなこんなで遂に辿り着いた、《冒険者ギルド本部》!
世界中の小中の国家や、一部の町村に散らばる形で、各地に建造されている《冒険者ギルド》と言う施設の本拠地、それがここである。
この施設は、読んで字の如く《冒険者》達が集う建物で、その用途はは多岐に分かれている。
その一つが、《冒険者》の登録を請け負う、『登録カウンター』の存在だ。
そこで自身の個人情報を設定する事で、15歳以上の【神託】を受けた人間ならば、誰でも無料で《冒険者》としての資格を得る事が出来る。
そして、以前は登録すれば直ぐに『クエスト』と呼ばれる、民間人の小間使いの様な物から国家規模の大魔獣討伐の依頼まで存在する、一種の“仕事”を請け負うことができ、それを達成、報告する事で報酬を得たり、《称号》を獲得したり出来た。
これによって生計を立て、その日暮らしで食や寝床を確保しつつ、『迷宮(ダンジョン』や宝物でビッグマネーの獲得を狙う、それが《冒険者》と言う職業な訳だ。
まあ、風の噂で聞いた話によると、最近はビギナー冒険者がビッグマネーを狙い過ぎて高難度ダンジョンに突撃、死亡すると言う事故が多発しているらしく、以前は受けたい者だけが受けて居た初心者講習が義務化しているらしく、若干冒険者になる敷居も上がっているらしい。
と言っても、ある程度剣か魔法の心得があれば簡単な物だし、俺なら難なく達成出来るだろうがな。
、、、、、まあ、他にも色々な施設を内包しているのだが、その辺は、ある程度冒険者としての実績を積まないと用は無い。
忘れてはならない、今の俺の立場は《恋慕の勇者》では無く、只の住所不定無職無一文の一般ピーポーなのだ。
これから暫くは、低ランク向けのクエストをこなしながら、彼女を追っかける資金を貯める事に注力して行きたい。
運良く彼女も、これから暫くはここに留まるらしいし、それまでには、暫くの間遊んで暮らせるくらいの金は貯めときたいな、、、、
それに、剥奪された俺の仮面や武器も買い戻したいし、これからはやる事がいっぱいだな、、、、、
、、、、、え?彼女って誰なのか、って?
ーーーーーーーーああ、それはだなーーーーーーー
《勇気の勇者》ブレイブ・フランテール、と言う人間だ。
もう、今の俺には《魔王》を倒す使命も、その為に冒険をする義務も無い。
そうなりゃ、やる事は一つーーーーーーー
フランたんを追っかける一択だ!
ま、俺は全部を奪われた、失った。
それも、モテているから、と言うことへの僻みだし、俺としてはフランたそ一択だからそんな気は無い。
それなのに、全てを奪われた、、、ってなったら、まあ理不尽といっても良いだろう。
けどまあーーーーー
今後の人生、フランたんの追っかけに使えるなら、それでも良いか、とも思えるのは、異常と言われても仕方がないだろう。
が、フランたんにはそれを全てひっくり返せるほどの魅力が込められている。
それを全て語り尽くすには一生では足りない程であり、故にここではこの一言で、現状フランたんの魅力を伝えるに最も適すであろう一言で言い表せて貰おう。
“女神”ーーーーーーーと。
、、、、じゃ、始めようか。
俺の、第二の人生ーーーーーーー
追っかけ人生の、始まりだ。
そして俺は、《冒険者ギルド》に、足を踏み入れた。
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