楽しい楽しい駆け落ち心中

神崎

文字の大きさ
31 / 35

追慕

しおりを挟む

貴女へ

最初にあった時は、凄い綺麗な子だと、下心満々で貴女に話しかけました。

顔を上げて俺を見てくれた貴女は長い髪がとても綺麗で、青い瞳は透き通るようで、目が離せなくなりました。

貴女と話していくうちに、貴女はあまり言葉を知らないことを知りました。
そこも可愛いと思えるくらいに、俺はあの時から貴女にすっかり惚れ込んでいたのです。

貴女の家庭のことは、なんとなく察しはつけていました。
でもそこまで踏み込む勇気はなく、それでも貴女には笑って欲しくて、告白をしました。
あの時の貴女の嬉しそうな顔を見て、一生かけて幸せにしようと思いました。

次の日に傷だらけで公園にいた時は、泣くのを必死に堪えていました。
その後公園に来なくなるものだから、焦っていろんなとこを探し回ったり、貴女の家の周りをうろうろしたりもしてみました。
次の日公園で貴女に会った時は本当に安心しました。

貴女が俺の家に行きたいと言った時は本当に驚きました。
俺としては全くやましい気持ちがなかったので、あんなことになるとは思わなくて、しばらくはずっと罪悪感に襲われていました。

親に相談したら両親は貴女の境遇に涙を流してくれて、全力でサポートするからねと言ってくれました。
俺は本当に幸せ者だと思ったし、貴女の事も責任を絶対とると決めました。

今でもたまに子供が生まれていたらなと思ったりもします。
貴女の家の人に会いに行く時、格好つけて一人で行ったのは間違いでした。
最初から両親も連れて挨拶に行けばよかったと、今でも本当に申し訳ないと思ってる。
本当にごめん。
守れなくて、ごめん。


警察が来た時は焦りました。
別に虐待のことを話せばよかったのだけれど、そうしたら君は孤児院などの施設に預けられると思ったから、逃げ出したのは俺と、俺の両親のエゴです。

俺は貴女が思っているほどカッコよくもないし、できる事も多くない。
日々自分の無力さに押しつぶされそうになっていました。
そんな中、貴女がご飯を作ってくれたり、抱きしめてくれたことに、どれだけ救われたのか分からない。

貴女が心中を持ちかけて来た時、本当に心中しようと思った。
だけど、俺は貴女のことも子供の事も守れなかったので、きっと地獄に行くと思います。

それに、貴女を死なせることだけは、どうしてもできませんでした。
だから生きてください、生きて幸せになってください。

あわよくば、罪を償って生まれ変わった俺を見つけて、話しかけてほしいのです。

きっと、また一目惚れするから。



しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

いちばん好きな人…

麻実
恋愛
夫の裏切りを知った妻は 自分もまた・・・。

思い出さなければ良かったのに

田沢みん
恋愛
「お前の29歳の誕生日には絶対に帰って来るから」そう言い残して3年後、彼は私の誕生日に帰って来た。 大事なことを忘れたまま。 *本編完結済。不定期で番外編を更新中です。

病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜

来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。 望んでいたわけじゃない。 けれど、逃げられなかった。 生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。 親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。 無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。 それでも――彼だけは違った。 優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。 形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。 これは束縛? それとも、本当の愛? 穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

処理中です...