狂気の推し活令嬢リリアーナ様!

YY

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第34話:ゼノンとの強制共闘

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わたくしたちの活躍(という名の、愛の奇襲攻撃)で、敵のアジトが美しいカオスと化していた、まさにその時でしたわ!

奥の扉が、内側から凄まじい力で蹴破られ、屈強な悪党どもが、獣のような雄叫びを上げながら次々と姿を現したのです!先ほどの者たちとは違い、その目には明確な殺意が宿り、その手には血に濡れた戦斧や、禍々しい紫のオーラを放つ歪な魔剣が握られております。どうやら、敵の増援、それも精鋭部隊のようですわね!その気迫は、これまでの雑魚どもとは比べ物になりません。わたくしの騎士団の団員たちが、その凄まじい気迫に一瞬怯んだように身構えます。無理もありませんわ、彼らはまだ初陣のひよこちゃん達ですもの。愛と勇気はあっても、実戦経験が足りておりませんわね。

ですが、今のわたくしには、何も怖いものはありませんでした。なぜなら、わたくしの隣には、この世界で最も頼りになり、最も気高く、そして何よりも愛しいゼノン様がいらっしゃるのですから!彼の存在は、わたくしにとって最強のバフ効果。全ステータスがカンストし、MPも無限に湧き上がってまいりますわ!彼が隣にいるだけで、わたくしは無敵なのです!

ふふ、そうですわ。これは、神がわたくしたちに与えたもうた、次なる試練。恋人同士の、初めての共同作業の舞台なのです!この戦いを乗り越え、わたくしたちの絆は伝説となり、吟遊詩人によって末永く語り継がれることになるのですわ!さあ、悪党どもを蹴散らして、わたくしたちの愛の力を見せつけてさしあげますわよ!

わたくしは、この日のために用意しておいた決戦用装備…わたくしの有り余る魔力を込めた、剣の形をした特製ステッキをきらりと構えました。その切っ先に宿る紫の宝石は、ゼノン様をお守りするという固い決意に輝いております。すると、隣に立つゼノン様が、それまで見たこともないほど血相を変えて、わたくしに叫ばれたのです。その声は、怒りと、焦りと、そして深い絶望が混じっているようでした。

「帰れ!」

まあ!なんてこと!

その、魂からの叫び!その、わたくしの身を案じるあまりの、必死の形相!彼の整ったお顔が、苦悩に歪んでおりますわ!わたくしの身を案じて、この危険な戦場から、一刻も早く遠ざけようとしてくださっているのね!ご自身がこれほどの窮地にありながら、まずわたくしの安全を第一に考えるなんて!ああ、これぞ騎士道精神!これぞ愛!乙女ゲームのヒーローが、ヒロインを守るために言う、あの王道の台詞ですわ!なんて自己犠牲的な、そして深い愛なのでしょう!感激ですわ!わたくし、涙で前が見えなくなりそうです!

ですが、愛する人を一人戦場に残して、自分だけが安全な場所へ帰るなんて、パートナー失格ですわ!ヒロイン失格です!物語のヒロインは、いつだってヒーローの隣で戦うものですのよ!ここで引き下がっては、バッドエンド直行ですわ!

わたくしは、彼のその深い愛に応えるべく、ステッキを固く握りしめ、潤んだ瞳で彼を見つめ返し、毅然として言い返しました。

「いいえ、帰りませんわ!ゼノン様のそばが、この世で一番安全な場所ですもの!」

そう言って、わたくしは敵に向かって、威嚇のために開発したとっておきの推しグッズ…胸元で輝く『威嚇用・超音波侯爵夫人(のブローチ)』を作動させました!ブローチから放たれる、人間には聞こえない特殊な高周波の音波が、悪党どもの戦意を削ぎ、三半規管を狂わせるはずですわ!敵の何人かが、眉をひそめて頭を振り、剣を取り落としております。効果は絶大のようですわね!

こうして、わたくしとゼノン様の、夢にまで見た初めての共闘が始まりました!

ゼノン様が、敵の一人を斬り伏せようと、流麗な剣技で踏み込みます!その動き、まさに漆黒の疾風!

「今ですわ!援護いたします!」

わたくしは、彼の視界を確保し、敵の目を眩ませるため、援護のために開発した閃光弾を投げつけました!あたり一面が真っ白な光に包まれます!ゼノン様が一瞬よろめいたように見えましたが、きっと眩いばかりのわたくしの愛の光に、目が眩んでしまったのでしょう!「見事だ」という賞賛の声が聞こえた気がいたします!

ゼノン様が、今度は気配を殺し、崩れた木箱の陰から敵の背後を狙おうと、隠密行動を取ろうとされています!ああ、なんて冷静な判断力!そのお姿、最高にクールですわ!

「ゼノン様!そのお姿、最高にクールですわ!フレー、フレー、ゼ・ノ・ン様!その剣で、悪を切り裂いて!」

わたくしは、彼の士気を最大限に鼓舞するため、この日のために作詞作曲した特製の応援歌を、朗々と響き渡る声で歌い上げました!『ああ、漆黒の騎士よ、その剣は正義の光!わたくしのため、愛のため、今こそ敵を討つのです!』わたくしの騎士団の団員たちも、それに合わせて手拍子を始めておりますわ!最高のライブ会場ですわね!

…なぜかしら。

わたくしが完璧な援護をすればするほど、ゼノン様の眉間の皺は深くなり、その動きはますますちぐはぐになっていくような気がいたします。時折、こちらを鬼のような形相で睨みつけて何かを叫んでおられますが、きっと「君の応援のおかげで、力がみなぎってくる!だが、少し声が大きいぞ!」と、そうおっしゃっているに違いありませんわ!ええ、わたくしにはそう聞こえますもの!照れていらっしゃるのね!

ええ、今はまだ、完全に息が合いませんけれど、これもきっと、恋人になりたてのカップルが経験する、愛の試練の一つですわね!お互いの戦い方(愛し方)を理解し、少しずつ歩み寄っていく…なんて素晴らしい過程なのでしょう!この試練を乗り越えた時、わたくしたちの絆は、さらに強く、固く結ばれるのです!さあ、次の連携攻撃ですわよ、ゼノン様!
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