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第315章血と契約――大粛清の果てに得たもの
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再会が終わった後も、フィルードは捕虜となったミノタウロスたちを解放しなかった。
縄は解かれず、そのままの状態で管理を続ける。
ただし、家族だけは別に選り分け、戦士たちの視界から切り離した。
――まだ早い。
フィルードが彼らをホワイトメインに引き渡さなかったのには、明確な理由がある。
信頼が、まだ足りないのだ。
もしこの一万人の捕虜を丸ごと渡してしまえば、ホワイトメインは一気に二万を超える精鋭ミノタウロスを手に入れることになる。
その瞬間、力の天秤は簡単に傾く。
――上位中級超常者。
――二万の同族精鋭。
寝返らない保証など、どこにもない。
やがてホワイトメインは、自らの手で「大粛清」を始めた。
対象は明確だ。
戦死した兵士の家族、王族関係者、そして最後まで帰順を拒んだミノタウロスたち。
彼らは王族と共に選り分けられ、厳重に監禁された。
名目上は「一時拘束」だ。
周辺部族をすべて回収した後、まとめて解放する――そう説明されていた。
本音を言えば、フィルードの意向はもっと単純だった。
――全員、殺す。
だがホワイトメインは、そこだけは一歩も譲らなかった。
頑として首を縦に振らない。
フィルードも理解していた。
それが彼の底線なのだ。
もしそこを越えていれば、上位中級超常者であるホワイトメインが降伏などするはずがない。
捕虜たちがなかなか解放されないことを見て、ホワイトメインもフィルードの警戒を察したようだった。
彼は何も言わず、王庭の宝庫を開く。
そして、その最奥から一枚の巻軸を取り出した。
――高位契約巻軸。
ミノタウロス部族全体でも、底辺に封じられてきた至宝。
数枚しか存在しない、真の伝承物だ。
すでに消費された火球巻軸を除けば、残っていた高位巻軸は二枚。
契約巻軸と、防御巻軸。
そのほかにも、上位中級の巻軸がそれなりに揃っており、
契約巻軸がさらに二枚、
上位初級に至っては、もはや数え切れないほどあった。
――正直、これだけでも十分すぎる。
だが、宝庫の価値はそれだけでは終わらなかった。
魔法武器。
その数と種類は、フィルードが生まれて初めて目にするレベルだ。
素材の大半は見習い級。
中でも魔鉄の量は圧倒的で、数万ポンドに達している。
特に見習い初級が異常なほど多い。
――やはり、ここもか。
近年、フィルードはある秘聞を知った。
この世界では、もはや魔鉄の大規模鉱脈は存在しない。
だが、時折“空から落ちてくる”。
前世で言う隕石に近い現象だ。
つまり、この世界の魔力枯渇は局地的な異常にすぎない。
この星、あるいは位面の外側には、今も魔力が満ちている。
でなければ、こうした魔法素材が生まれるはずがない。
宝庫には他にも、
未上位素材、魔薬、魔獣の皮、魔法装備が山のように積まれていた。
中でもフィルードの目を奪ったのは、
一万株を超える魔薬だ。
――これで、空白が埋まる。
これだけあれば、大量の魔法薬剤を精製できる。
配下たちの境界を、一気に引き上げることも可能だ。
魔石は三千枚以上。
上位品は少ないが、量としては十分。
魔法木材は数百ポンド、樹心にして数個分。
魔鉄は二、三百ポンドほどで、種類は多岐にわたる。
明らかに、長い伝承を経て集められたものだ。
上位武器も数本あったが、加工技術は粗雑。
上位魔薬は百株ほど。
――完全に大勝利だ。
さらにフィルードは、
四つの聚魔装備と、
天然で聚魔効果を持つ土地を一箇所、発見した。
この地は、以前に見つけたものとは比べ物にならない。
魔力濃度が高く、高位見習い魔薬の栽培に最適。
核心部の小区域では、上位魔薬ですら育成可能だった。
――だから、ここに王庭を築いたわけか。
その効果は、フィルードの聚魔珠に匹敵する。
いや、地形補正を含めれば、それ以上かもしれない。
ただし、これは持ち運べない。
そのため、ここに残るミノタウロスに栽培を継続させるしかない。
代わりに、年季の入った魔薬はすべて回収し、
チャチャを使って聚魔珠内へ移植した。
四つの聚魔装備も興味深い。
獣皮で作られた小さな旗状で、内部には古い魔陣が刻まれている。
素材から見ても、聚魔珠と同じ時代の産物だろう。
移動には膨大な魔力を消費するが、
効果を測定すると、一つは聚魔珠と同等。
残り三つは、低級聚魔珠三つ分に相当した。
――これこそ、真の至宝。
地形と組み合わせれば、
フィルードの聚魔珠を超える可能性すらある。
この地は、福地だ。
将来、ここに城を築く価値は十分にある。
その後、フィルードとホワイトメインは契約巻軸に署名した。
署名はホワイトメインが先。
内容は明確だ。
・ホワイトメインはフィルードを主と仰ぎ、永遠に裏切らない
・配下のミノタウロスも、フィルードの命令に従う
・生命を直接脅かされない限り、無条件で服従
・フィルードは理由なくミノタウロスを殺さず、安全を保証
・毎年一千万ポンド以上の食糧を提供する
契約は成立した。
魂への拘束は、以前の契約とは比べ物にならないほど深い。
――これで、本物の右腕を得た。
上位中級超常者のミノタウロス。
ウィーンと同格の存在。
道端の雑草ではない。
今回の戦いは、フィルードの予想すら超えていた。
当初は、撃退できれば十分だった。
だが敵は無謀なまでに突っ込み、補給は破綻し、
獣皇の強引な判断が、すべてを決定づけた。
今日を境に、勢力の質が変わる。
これからは、強力な戦闘種族を麾下に持つ。
数日後、ホワイトメインは二万を超える配下を率い、領地の掃討を開始した。
ミノタウロスは成体であれば個体差が少なく、
どれも異常なほど頑丈だ。
部族全体で青壮は約十八万。
老若を含めれば、六十から七十万。
それだけの人口で、
自分たちの数倍の眷属部族を支配してきたのだ。
二十日ほどの掃討で、全域は完全に制圧された。
十八万の青壮のうち、戦死を除いて十四万が残存。
そのうち三万以上が支配を拒否し、離脱した。
平民も十万から二十万。
王族を含め、離脱者はおよそ二十万。
結果として、
ホワイトメインが支配する人口は約五十万。
青壮は十一万、残りは少年と幼児。
高齢者は、ほとんど存在しなかった。
――戦争は終わった。
だが、支配はここからだ。
縄は解かれず、そのままの状態で管理を続ける。
ただし、家族だけは別に選り分け、戦士たちの視界から切り離した。
――まだ早い。
フィルードが彼らをホワイトメインに引き渡さなかったのには、明確な理由がある。
信頼が、まだ足りないのだ。
もしこの一万人の捕虜を丸ごと渡してしまえば、ホワイトメインは一気に二万を超える精鋭ミノタウロスを手に入れることになる。
その瞬間、力の天秤は簡単に傾く。
――上位中級超常者。
――二万の同族精鋭。
寝返らない保証など、どこにもない。
やがてホワイトメインは、自らの手で「大粛清」を始めた。
対象は明確だ。
戦死した兵士の家族、王族関係者、そして最後まで帰順を拒んだミノタウロスたち。
彼らは王族と共に選り分けられ、厳重に監禁された。
名目上は「一時拘束」だ。
周辺部族をすべて回収した後、まとめて解放する――そう説明されていた。
本音を言えば、フィルードの意向はもっと単純だった。
――全員、殺す。
だがホワイトメインは、そこだけは一歩も譲らなかった。
頑として首を縦に振らない。
フィルードも理解していた。
それが彼の底線なのだ。
もしそこを越えていれば、上位中級超常者であるホワイトメインが降伏などするはずがない。
捕虜たちがなかなか解放されないことを見て、ホワイトメインもフィルードの警戒を察したようだった。
彼は何も言わず、王庭の宝庫を開く。
そして、その最奥から一枚の巻軸を取り出した。
――高位契約巻軸。
ミノタウロス部族全体でも、底辺に封じられてきた至宝。
数枚しか存在しない、真の伝承物だ。
すでに消費された火球巻軸を除けば、残っていた高位巻軸は二枚。
契約巻軸と、防御巻軸。
そのほかにも、上位中級の巻軸がそれなりに揃っており、
契約巻軸がさらに二枚、
上位初級に至っては、もはや数え切れないほどあった。
――正直、これだけでも十分すぎる。
だが、宝庫の価値はそれだけでは終わらなかった。
魔法武器。
その数と種類は、フィルードが生まれて初めて目にするレベルだ。
素材の大半は見習い級。
中でも魔鉄の量は圧倒的で、数万ポンドに達している。
特に見習い初級が異常なほど多い。
――やはり、ここもか。
近年、フィルードはある秘聞を知った。
この世界では、もはや魔鉄の大規模鉱脈は存在しない。
だが、時折“空から落ちてくる”。
前世で言う隕石に近い現象だ。
つまり、この世界の魔力枯渇は局地的な異常にすぎない。
この星、あるいは位面の外側には、今も魔力が満ちている。
でなければ、こうした魔法素材が生まれるはずがない。
宝庫には他にも、
未上位素材、魔薬、魔獣の皮、魔法装備が山のように積まれていた。
中でもフィルードの目を奪ったのは、
一万株を超える魔薬だ。
――これで、空白が埋まる。
これだけあれば、大量の魔法薬剤を精製できる。
配下たちの境界を、一気に引き上げることも可能だ。
魔石は三千枚以上。
上位品は少ないが、量としては十分。
魔法木材は数百ポンド、樹心にして数個分。
魔鉄は二、三百ポンドほどで、種類は多岐にわたる。
明らかに、長い伝承を経て集められたものだ。
上位武器も数本あったが、加工技術は粗雑。
上位魔薬は百株ほど。
――完全に大勝利だ。
さらにフィルードは、
四つの聚魔装備と、
天然で聚魔効果を持つ土地を一箇所、発見した。
この地は、以前に見つけたものとは比べ物にならない。
魔力濃度が高く、高位見習い魔薬の栽培に最適。
核心部の小区域では、上位魔薬ですら育成可能だった。
――だから、ここに王庭を築いたわけか。
その効果は、フィルードの聚魔珠に匹敵する。
いや、地形補正を含めれば、それ以上かもしれない。
ただし、これは持ち運べない。
そのため、ここに残るミノタウロスに栽培を継続させるしかない。
代わりに、年季の入った魔薬はすべて回収し、
チャチャを使って聚魔珠内へ移植した。
四つの聚魔装備も興味深い。
獣皮で作られた小さな旗状で、内部には古い魔陣が刻まれている。
素材から見ても、聚魔珠と同じ時代の産物だろう。
移動には膨大な魔力を消費するが、
効果を測定すると、一つは聚魔珠と同等。
残り三つは、低級聚魔珠三つ分に相当した。
――これこそ、真の至宝。
地形と組み合わせれば、
フィルードの聚魔珠を超える可能性すらある。
この地は、福地だ。
将来、ここに城を築く価値は十分にある。
その後、フィルードとホワイトメインは契約巻軸に署名した。
署名はホワイトメインが先。
内容は明確だ。
・ホワイトメインはフィルードを主と仰ぎ、永遠に裏切らない
・配下のミノタウロスも、フィルードの命令に従う
・生命を直接脅かされない限り、無条件で服従
・フィルードは理由なくミノタウロスを殺さず、安全を保証
・毎年一千万ポンド以上の食糧を提供する
契約は成立した。
魂への拘束は、以前の契約とは比べ物にならないほど深い。
――これで、本物の右腕を得た。
上位中級超常者のミノタウロス。
ウィーンと同格の存在。
道端の雑草ではない。
今回の戦いは、フィルードの予想すら超えていた。
当初は、撃退できれば十分だった。
だが敵は無謀なまでに突っ込み、補給は破綻し、
獣皇の強引な判断が、すべてを決定づけた。
今日を境に、勢力の質が変わる。
これからは、強力な戦闘種族を麾下に持つ。
数日後、ホワイトメインは二万を超える配下を率い、領地の掃討を開始した。
ミノタウロスは成体であれば個体差が少なく、
どれも異常なほど頑丈だ。
部族全体で青壮は約十八万。
老若を含めれば、六十から七十万。
それだけの人口で、
自分たちの数倍の眷属部族を支配してきたのだ。
二十日ほどの掃討で、全域は完全に制圧された。
十八万の青壮のうち、戦死を除いて十四万が残存。
そのうち三万以上が支配を拒否し、離脱した。
平民も十万から二十万。
王族を含め、離脱者はおよそ二十万。
結果として、
ホワイトメインが支配する人口は約五十万。
青壮は十一万、残りは少年と幼児。
高齢者は、ほとんど存在しなかった。
――戦争は終わった。
だが、支配はここからだ。
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