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第321章 人口を奪い、未来を設計する
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その言葉を、
人類語を理解しない獣人たちにまで叩き込み、
たどたどしい共通語で、無理やり叫ばせた。
声は重なり、増幅され、
雲を突き抜けるかのような轟音となって戦場に響き渡る。
――逃げ場はない。
――選択肢は、もう一つしか残っていない。
ミノタウロスたちの小山のような巨体が、ゆっくりと、しかし確実に距離を詰めてくる。
視線を向けただけで、呼吸が詰まるほどの圧迫感。
人類正規軍は、もはや正面からそれを直視することすらできなかった。
しかも、彼らはすでに気づいていた。
後方の営地から、貴族たちの姿が完全に消えていることに。
――ああ、そういうことか。
――俺たちは、捨てられた。
悟った瞬間、希望という言葉は音もなく崩れ落ちた。
一瞬にして、人類軍団全体が騒然となる。
五万人を超える農奴労働者たちは城内に縮こまり、動くことすらできない。
やがて隊列内の農奴兵たちが、ぽつり、ぽつりと武器を捨て始めた。
彼らにとって重要なのは、誰のために戦うかではない。
――今日、生き残れるかどうかだ。
三万ものミノタウロスを前に、戦う力など最初から存在しない。
それを、誰もが本能で理解していた。
残る二、三万の正規兵たちも、複雑な表情を浮かべたまま騒ぎに巻き込まれていく。
そして、ミノタウロスがほぼ顔を突きつける距離まで迫り、
寒々とした巨斧の刃が光を反射した瞬間――
最後に残っていた抵抗の意思は、完全に砕け散った。
武器が、地面に落ちる音が連鎖する。
対面が投降を選んだ最大の理由は、
フィルードが「危害を加えない」と明言したことだ。
もちろん、心の奥底では理解している。
――投降した後で裏切られる可能性があることを。
だが、それでもいい。
何の希望もないよりは、まだ賭ける価値がある。
もし最初から皆殺しだと分かっていれば、
ここまで容易に事は運ばなかっただろう。
(……よし)
フィルードはその光景を見渡し、
胸の奥で、静かに息を吐いた。
成功だ。
表情には出さない。
だが内心では、抑えきれないほどの高揚が渦巻いている。
人口――それ自体も十分すぎる戦果だ。
だが、フィルードを本当に興奮させたのは、別の点だった。
数千名に上る、職人たち。
正式な職人だけで、ほぼ千人。
見習いが二千人近く。
中でも石工が突出して多い。
正職人が六百人、見習いが千二百人近く。
大工も三百人、見習いが六百人。
鍛冶屋は最も少ないが、それでも百人、見習いが二百人超。
(……当たりだな)
これは、フィルードが最も欲していた職人種別の集合体だ。
おそらく、アモン王室が保有していた職人総数の、相当な割合を占めている。
全員が王室直属というわけではないだろう。
大貴族たちも、かなりの数を供出したに違いない。
今回の戦役における、最大級の収穫の一つ。
特に鍛冶屋。
彼らを領地へ連れ帰れば、鉄鋼の品質も生産量も、一気に跳ね上がる。
今のフィルード領地の鍛冶屋たちは、
正直なところ、流れ作業員に近い存在だ。
「職人」と呼ぶには、経験も発想も足りない。
だが、こいつらは違う。
幼少期から鉄と向き合い、試行錯誤を積み重ねてきた本物だ。
(火器の製法を教えても……)
火縄銃程度なら、すぐに理解するだろう。
教える側として、これほど楽な相手はいない。
石工と大工は、獣人たちの城郭建設に投入する。
鍛冶については、領地から熟練工を派遣し、監督させる。
作業自体は単純だ。
工具の補修、釘作り、部品加工――
だが量が桁違いに多い。
(労働力の質と量、どちらも満たしている)
完璧だ。
こうして、フィルードは一気に約十万人の人口を手に入れた。
そのうち、完全に自分のものにできるのは半分程度だろう。
だが、それでも十分すぎる。
領地の青壮年は決して多くない。
彼らを取り込めば、負担は劇的に軽減される。
フィルードは人族を耀獣城近くへ移動させ、即座に統計を取らせた。
成家と未成家、農奴と兵士――すべて分類。
結果は明確だった。
未成家が約六万人。
ほとんどが、成り立ての若者。
残り四万人が、家族持ち。
(……使いやすい)
フィルードは即断する。
六万人の未成家者には、食糧補給を増やし、体力を回復させる。
回復次第、大規模な集団訓練。
最終的には、軍への編入。
残る四万人の家族持ちは、土地開墾に回す。
数年かけて帰属意識を育て、
その後、家族を呼び寄せさせる。
あるいは――
その頃には、彼らの故郷そのものが、自分の領土になっているかもしれない。
(どちらに転んでも、損はない)
今は農作業と基礎訓練を並行させ、
将来の軍拡に備える。
大雁が頭上を飛ぶなら、
必ず数羽、羽を抜いておく。
無駄な努力は、絶対にしない。
職人たちについては、完全に別枠だ。
VIP待遇。
住居の優遇、報酬の保証、
場合によっては、直接妻をあてがう。
(逃がす理由がない)
この期間、フィルードは暇を見つけてはチャチャに乗り、
自らの支配領域の上空を飛び回った。
地形を俯瞰し、把握する。
山川河川、平地、防衛に適した地点。
何度も降り立ち、土を掴み、肥沃度を確認する。
最終的に、大量の羊皮紙を貼り合わせた、巨大な地図が完成した。
その地図と同じものを、地面に描き、
以前設計した都市計画を一つずつ配置していく。
この作業は、すべてフィルード一人で行った。
半月近くかかったが、妥協は一切しない。
大都市、小都市、町、村――
すべて地形と肥沃度を考慮した配置。
終えた瞬間、次の段階に入る。
大規模移住。
すべての大城周辺に集合点を設け、
獣人たちに待機と分配を命じる。
この間、フィルードはホワイトメイン配下、
五万のミノタウロス精鋭を従えた。
狐假虎威――
だが、使える力は、徹底的に使う。
この威勢の前で、一般部族が騒ぎを起こすことは不可能だ。
唯一の問題は――
こいつらが、異常なまでに食うこと。
後勤が悲鳴を上げている。
五万人で、ジャッカルマン十万人分。
一食二ポンド、一日六ポンド。
それでも腹八分。
満腹にすれば、一日十ポンドは軽い。
(……人型の家畜だな)
集結は、予想以上に難航した。
小部族の一部は姿を隠し、
ジャッカルマンの中には、露骨に反抗する首領もいた。
同族の肉を食いすぎたせいで、
常に暗殺を疑い、今回の集結を屠殺だと信じ込む。
暴動まで発生。
(……仕方ないか)
フィルードは即座に判断し、人族領へ飛び戻る。
マックに命じ、配下の五千騎馬歩兵を率いさせ、
獣人たちを定点的に駆り立てる策に切り替えた。
人類語を理解しない獣人たちにまで叩き込み、
たどたどしい共通語で、無理やり叫ばせた。
声は重なり、増幅され、
雲を突き抜けるかのような轟音となって戦場に響き渡る。
――逃げ場はない。
――選択肢は、もう一つしか残っていない。
ミノタウロスたちの小山のような巨体が、ゆっくりと、しかし確実に距離を詰めてくる。
視線を向けただけで、呼吸が詰まるほどの圧迫感。
人類正規軍は、もはや正面からそれを直視することすらできなかった。
しかも、彼らはすでに気づいていた。
後方の営地から、貴族たちの姿が完全に消えていることに。
――ああ、そういうことか。
――俺たちは、捨てられた。
悟った瞬間、希望という言葉は音もなく崩れ落ちた。
一瞬にして、人類軍団全体が騒然となる。
五万人を超える農奴労働者たちは城内に縮こまり、動くことすらできない。
やがて隊列内の農奴兵たちが、ぽつり、ぽつりと武器を捨て始めた。
彼らにとって重要なのは、誰のために戦うかではない。
――今日、生き残れるかどうかだ。
三万ものミノタウロスを前に、戦う力など最初から存在しない。
それを、誰もが本能で理解していた。
残る二、三万の正規兵たちも、複雑な表情を浮かべたまま騒ぎに巻き込まれていく。
そして、ミノタウロスがほぼ顔を突きつける距離まで迫り、
寒々とした巨斧の刃が光を反射した瞬間――
最後に残っていた抵抗の意思は、完全に砕け散った。
武器が、地面に落ちる音が連鎖する。
対面が投降を選んだ最大の理由は、
フィルードが「危害を加えない」と明言したことだ。
もちろん、心の奥底では理解している。
――投降した後で裏切られる可能性があることを。
だが、それでもいい。
何の希望もないよりは、まだ賭ける価値がある。
もし最初から皆殺しだと分かっていれば、
ここまで容易に事は運ばなかっただろう。
(……よし)
フィルードはその光景を見渡し、
胸の奥で、静かに息を吐いた。
成功だ。
表情には出さない。
だが内心では、抑えきれないほどの高揚が渦巻いている。
人口――それ自体も十分すぎる戦果だ。
だが、フィルードを本当に興奮させたのは、別の点だった。
数千名に上る、職人たち。
正式な職人だけで、ほぼ千人。
見習いが二千人近く。
中でも石工が突出して多い。
正職人が六百人、見習いが千二百人近く。
大工も三百人、見習いが六百人。
鍛冶屋は最も少ないが、それでも百人、見習いが二百人超。
(……当たりだな)
これは、フィルードが最も欲していた職人種別の集合体だ。
おそらく、アモン王室が保有していた職人総数の、相当な割合を占めている。
全員が王室直属というわけではないだろう。
大貴族たちも、かなりの数を供出したに違いない。
今回の戦役における、最大級の収穫の一つ。
特に鍛冶屋。
彼らを領地へ連れ帰れば、鉄鋼の品質も生産量も、一気に跳ね上がる。
今のフィルード領地の鍛冶屋たちは、
正直なところ、流れ作業員に近い存在だ。
「職人」と呼ぶには、経験も発想も足りない。
だが、こいつらは違う。
幼少期から鉄と向き合い、試行錯誤を積み重ねてきた本物だ。
(火器の製法を教えても……)
火縄銃程度なら、すぐに理解するだろう。
教える側として、これほど楽な相手はいない。
石工と大工は、獣人たちの城郭建設に投入する。
鍛冶については、領地から熟練工を派遣し、監督させる。
作業自体は単純だ。
工具の補修、釘作り、部品加工――
だが量が桁違いに多い。
(労働力の質と量、どちらも満たしている)
完璧だ。
こうして、フィルードは一気に約十万人の人口を手に入れた。
そのうち、完全に自分のものにできるのは半分程度だろう。
だが、それでも十分すぎる。
領地の青壮年は決して多くない。
彼らを取り込めば、負担は劇的に軽減される。
フィルードは人族を耀獣城近くへ移動させ、即座に統計を取らせた。
成家と未成家、農奴と兵士――すべて分類。
結果は明確だった。
未成家が約六万人。
ほとんどが、成り立ての若者。
残り四万人が、家族持ち。
(……使いやすい)
フィルードは即断する。
六万人の未成家者には、食糧補給を増やし、体力を回復させる。
回復次第、大規模な集団訓練。
最終的には、軍への編入。
残る四万人の家族持ちは、土地開墾に回す。
数年かけて帰属意識を育て、
その後、家族を呼び寄せさせる。
あるいは――
その頃には、彼らの故郷そのものが、自分の領土になっているかもしれない。
(どちらに転んでも、損はない)
今は農作業と基礎訓練を並行させ、
将来の軍拡に備える。
大雁が頭上を飛ぶなら、
必ず数羽、羽を抜いておく。
無駄な努力は、絶対にしない。
職人たちについては、完全に別枠だ。
VIP待遇。
住居の優遇、報酬の保証、
場合によっては、直接妻をあてがう。
(逃がす理由がない)
この期間、フィルードは暇を見つけてはチャチャに乗り、
自らの支配領域の上空を飛び回った。
地形を俯瞰し、把握する。
山川河川、平地、防衛に適した地点。
何度も降り立ち、土を掴み、肥沃度を確認する。
最終的に、大量の羊皮紙を貼り合わせた、巨大な地図が完成した。
その地図と同じものを、地面に描き、
以前設計した都市計画を一つずつ配置していく。
この作業は、すべてフィルード一人で行った。
半月近くかかったが、妥協は一切しない。
大都市、小都市、町、村――
すべて地形と肥沃度を考慮した配置。
終えた瞬間、次の段階に入る。
大規模移住。
すべての大城周辺に集合点を設け、
獣人たちに待機と分配を命じる。
この間、フィルードはホワイトメイン配下、
五万のミノタウロス精鋭を従えた。
狐假虎威――
だが、使える力は、徹底的に使う。
この威勢の前で、一般部族が騒ぎを起こすことは不可能だ。
唯一の問題は――
こいつらが、異常なまでに食うこと。
後勤が悲鳴を上げている。
五万人で、ジャッカルマン十万人分。
一食二ポンド、一日六ポンド。
それでも腹八分。
満腹にすれば、一日十ポンドは軽い。
(……人型の家畜だな)
集結は、予想以上に難航した。
小部族の一部は姿を隠し、
ジャッカルマンの中には、露骨に反抗する首領もいた。
同族の肉を食いすぎたせいで、
常に暗殺を疑い、今回の集結を屠殺だと信じ込む。
暴動まで発生。
(……仕方ないか)
フィルードは即座に判断し、人族領へ飛び戻る。
マックに命じ、配下の五千騎馬歩兵を率いさせ、
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