あなたの顔が無理なんです!

ちゅっ太郎

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3話 「向糸兄様」は、やめて

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「1年A組、田中悠」

「はい」

厳粛な場の入学式が滞りなく終わって、唐突に生徒の名前がその場で呼ばれた。


「1年C組、遠野向糸とおの むいと

「え……?」

オレも?

「呼ばれたら返事をして下さい」

「は、はい……」

考えて見ても呼ばれるほどの特殊な能力なんて持ち得てないし、学力だって止まってるし、一体なんで呼ばれたんだろうか。こういうの呼びなれてないので不安だ。

「1年C組、三坂子虎みさか ことら

「ハイ!」

子虎も呼ばれて返事をする。
一年生は元気で初々しい。
自分は偽物の新入生なので後ろめたい……。

子虎の後にもう一人呼ばれて、新入生計4名。

暫くこの場は騒然となった。

他の生徒たちは、各教室に戻るよう放送された。


「なんで呼ばれたんだろう?」

「でも、僕は向糸お兄様と一緒で良かったです!」

子虎は訳が判らないなりに喜んでいる。

うーん。選ばれた子虎を入れて3人は気になるとしたら顔面偏差値がイイ。

子虎も可愛い分類だ。オレは……どう見ても平坦だから趣が違いすぎる……全くなんの嫌がらせか疑問が大きくなるなぁ。

「はっ! 子虎、それよりお願いだからお兄様呼びはやめて欲しいんだよっ」

「大丈夫です。一度発言したらお兄様ってしっくりしましたから!向糸お兄様は向糸お兄様なんです」

悪意のない顔で言われると、そうじゃないって言えない……。
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