あなたの顔が無理なんです!

ちゅっ太郎

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23話 可愛いナイト

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部屋に戻って荷物の整理をした。段ボールは二箱で入寮したてだったので一箱はまだ開けていなかったから楽ではある。子虎は何を持って来たのか5箱分の荷物に四苦八苦している。


「つくづく変な学園だね……2階の1年生寮から5階の最上階に部屋替えなんて」

オレがそう言って振り向いたら、子虎はダンベルを手にしていた。まだいろいろな筋トレグッズが箱から出ていて……もしかして二箱分はそれ関係なのかと血の気が引いてしまった。子虎は文学や楽器を奏でるイメージがオレには少なくともあったけど……マッスル系に向かってるなんて。

「この学園ではですね、生徒会権限が絶対なんだそうですよ。生徒自治会何とかって制度があるそうです。生徒の権限で学園が動くなんて力が入りますねっ」

「そ、そうか……それには生徒会は生徒たちの模範にならなくちゃいけないわけだね」

自由って尊厳を取違えちゃいけないと思うんだよ。

「向糸兄様、大丈夫ですよ」

するすると這いながらやってきた子虎はオレの手を握る。ちょっと圧力が……。

「まだ、不安な気持ちがあるのは察してるよ。でももう一度新たな高校生活が送れることが可能な向糸兄様はちょっぴり得をしてると思うんです。だって過ぎ去った日々はやり直せないことを向糸兄様の意志でやり直せることが出来るんだから、それって凄いことだと思うんです。例えば、ずっと先のテストまで100点とかとれそうですっ」

えへへと首を肩に少し寄せながら励ませてくれようとしている。

「さすがにそんな……100点は無理な気がするけど……」

「少しづつ、頑張っていけば大丈夫です、辛くなったら僕が傍にいますので愚痴ってくださいね」

「まったく、子虎は男前だね……年下なのに」

「僕は、体が小さいからか守られるような要素を見せてるのかもしれないけど、本当は心体守る方の男になりたいんですっ……日頃、ダンベルや通販サイトで購入した腹筋ローラやゴムバンドなどで基礎体力付けてるし!牛乳だって毎日1リットルを目標にしてるし、プロティン摂取もして諸星様のような美しい筋肉にハァハァ…目標なのですっ」

「う、うん……子虎なら努力家なので、もしかしたら美筋肉を完成させるようになるかも……しれないね」

「はいっ!向糸兄様を二の腕で持ち上げるくらいムッキムキになりますよっ」いや、それは……。

気を良くしたのか何キロあるんだろう……スクワットしながらダンベル体操を始めた。こんな姿を子虎ファンが見たら興ざめじゃないかな……嗜好と言うのは人それぞれではあるけど。


「あ、それからこれは大事な情報です!実は生徒会長のお部屋と書記のお部屋は向かい合わせなんですよ! この話はアヤ先輩と昨日ご飯を食べた時に聞いたんです!なので部屋は変わっても、向糸兄様とはいつでもお会いできるの。えへ」

「うわ、それを早く言って凄い情報!もし何かあったら子虎の部屋に駆け付けられるかな」

「この話を聴いた時、ヤッター☆って思ったのです! なのでいつでも待ってますよ、向糸兄様~!」





のちに、この二人が未来の生徒会長と副会長になることなどは、誰も予期しないことである。

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