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吉野の山奥へ
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私の師匠は住職である。
もうかれこれ20年以上、禅寺で住職をしている。
在家から家族の反対を押し切って、出家した人である。
あんまり、禅関係では、別の宗派と違って、法力(一般的には霊能力ともいう)は、ひけらかさない。あっても言わない。
私は今まで、ある程度の修行を積んだ、お坊さんというのは、普通に誰でもそういう能力があるものだと、思っていた。
この前関東から、遥々この寺までやって来た同じ禅宗のお坊さんにも聞くと、「1%くらいですよ。お坊さんの中でも。」
じゃあ、師匠は、その1%に入るんだ。
凄いなぁ。今は70代だから体力的にも衰えてるけど、全盛期は法力MAXだったようだ。
何はともあれ、此処の寺には全国あちこちから色んな人がやって来る。
どちらかと言えば、関東圏が、多い。
よくも、まあ、こんな辺鄙な場所にワザワザ来なくても...と、毎回思うが、やはり、何かを求めてやって来る。
兎に角、
食べる場所と、寝る場所が欲しくて、片道切符で、来る人、何か職場でやらかして、逃げて来た人、霊に取り憑かれてるから、何とかして下さい!と土砂降りの雨の中親子で来る人。新宿の歌舞伎町で、ホストやってた人。
まあ、色んな人がやって来る。
に加えて、師匠の携帯には、悩み相談の電話が、しょっ中かかってくる。
私が、ここに来た当初は、東京の女性から朝、昼、夜の食事時、夜中、 風呂の時、朝夕の勤行時まで、かかって来ていた。
精神的なストーカー状態と化していた、その女性。
大晦日までかかってきていたが、流石に寺は、大晦日は忙しい。相手していられない。すると、メールで師匠に、何で出てくれないんですか?とシツコクきていたらしい。
身内が、精神病院に入院しろと、言われてると。
新年明けてから、プッツリ途切れた電話とメール。多分入院してるのだろう。
何はともあれ、関西より関東の人間が多い。
不思議である。
それだけ、精神的に余裕が無いのか。
関西は元々、特に、京都や奈良の人間は、普通に近所にお寺があって、馴染んで育っている。精神的な土壌が違うのかも知れない。
話は少し戻るが、以前、関東から遥々やって来た、お坊さんだが、歳は多分、40代くらい。
丁度、そのお坊さんの滞在時に、T県から遥来た男子が一人。寺で一緒だった。
師匠は、他府県にある、もう一つの寺の方に行っていて、留守だった。
朝食の朝粥を食べようした時、
急に、そのお坊さんが、苦しみだした。
「お、女の人が大声で泣いているのが、聴こえる...」
朝粥どころじゃなくなった。
「ウ~、ウ~!ウ~...ン」台所のテーブルで頭を抱え込んで突っ伏した。唸りだす。
(ヤレヤレ...またかい...しょうないな...取り敢えず、治ったら隣のコタツのある部屋に移動して寝てもらお。)
T県男子は、私の目の前で、気にせず黙々と朝粥を啜っている。
彼は霊的感受性が、全く無いのが、羨ましくもある。
「3人」とお坊さんが、テーブルに頭を伏せ、呻きながら、言った。
(オイオイ~!さ、3人もここまで遥々連れて来たんかい!)
その3人の中でも、一番大声で泣き叫んでる女性が居てるらしい。
朝から、朝ごはんどころではなくなった。
だけども、この、朝粥と、梅干し1個、クラコンの塩昆布にタクアン2切れ。食べねば。食べねば身体が持たない。寺の作務に支障をきたす。
ウンウン唸るお坊さんを、横目にしながら、朝粥を大急ぎで啜り、ご馳走さまをして、茶碗を洗って、一息ついた。
まだ、ウンウン呻いている。
取り敢えず、隣の炬燵のある部屋で、横になって貰った。
暫くしてから、症状が楽になった様である、その埼玉県から来たお坊さん。
全国あちこちの神社仏閣を回っているらしい。自分の寺はどうしてるんだろうか。
滝行もこちらでしたかったらしいが、通行止め中なので、次回と言う事に。
あと、もう少し滞在したいと言っていたが、急にお葬式が入ったので、埼玉県まで帰る事になった。
彼が、帰った後、暫くしてから栃木の男子も帰って行った。
何ヶ月か経ったある日、
東京の新宿は歌舞伎町で、ホストをしていた男子が一人で寺に現れた。18歳。
聞けば母親から、ずうっと虐待受けて育った子だった。
栃木県から来た男の子と同じ歳で、全く逆の境遇の苦労だらけの人生。
話を聞けば聞くほど、悲惨な人生。まだ18歳なのに。母親育児放棄。父親と一緒に行った中国で、父親が、事業に失敗。病に倒れ、1人で異国で父親の葬式。日本に兎に角帰る為に、何とか知り合いのアフリカの男の子の親に頼み込んで、お金を用立てて貰い、何とか帰国。生前父親に貰ったメモを頼りに、日本でその人を探して行った先が、何とヤクザやさん。断れきれずそのまま下っ端組員に。
端正な顔立ちからは想像もつかない悲壮な人生。たった1人の肉親の祖母にも、ヤクザの手が回り、言う事聞けと。祖母は、相手が全くヤクザと知らず、親切ないい人だと思い込んでたらしい。が、ヤクザが親切にしたのは、オバァちゃんの豊富な年金が目当て。
半ば人質状態の祖父母の為に、周囲の大人がよってたかって、彼に汚れ仕事をさせていた様だ。10代の幼い彼にとっては、唯一の生活の糧を与えてくれた悪い大人達。
彼なりに毎日生きるのに必死だった。
女社長に高級マンションで囲われてた時もあったらしい。ホストをしていた時の写真を私にそっと見せてくれた。
そこには、銀髪のバッチリメイクしたイケメンな別人の彼がいた。
何故にそんな世界から吉野でも秘境なこの地に?
聞けば、
清水寺のお坊さんに言われた言葉が、彼の心の奥底で、ずうっと引っかかっていたらしい。
15歳の時に修学旅行で、京都に来た彼は、
単独で清水寺へプラっと立ち寄った事があり、そこで一服してると、上の方からタッタッタッと、早足でお坊さんが彼の方にやって来て、突然、「お前かッ!」と叫んだらしい。
「?」と思う間もなく、その清水寺のお坊さんは、彼にこう言ったっいう。
「お前は、悪が、90%以上で、善が、10%や。この善の部分を悪の90%とひっくり返したら、とてつもないえぇ人間になれるんやけどな。なかなか難しいな。」
そのお坊さんは、全国にワンサカいるお坊さんの中でも、稀な、1%の確率の人に違いない。心眼が、開けている人だろう。と、私はそう思った。
お坊さんになりたいと、彼は言う。
今までの人生、精算したいのだろう。
彼が一旦、祖父母の元に戻った時に、師匠に相談した。
丁度その時、京都の寺から、師匠の弟子も来ていた。
そのホストの彼は、かなりの罪を犯しまくっていた。
経本に説かれている全ての罪を犯していた。
私は師匠に、こう言った。
「師匠、お釈迦さんの中に、彼の様な罪を犯した人間を、弟子にしたパターンて、ありますか?」
「1人だけある。」
「じゃあ、彼を師匠の弟子にしてみたら、清水寺のお坊さんが、言ったように、悪の90%の部分を、ひっくり返して、素晴らしいお坊さんになるのでは?」
「ワシじゃあ、無理や。アレは手に負えん。役不足や。」
師匠が、そういうなら仕方ない。
翌朝、師匠は、彼に電話して、自分では役不足なので、もっといいお坊さんを探すようにと、説得し、こちらには戻って来ないようにと、やんわり釘を刺した。
電話の向こうの彼は、案外すんなりと受け入れたらしい。
彼の置き土産が、台所のテーブルの上に2つ置いてあった。
一つは、眉を描くペンシル。
そしてもう一つは、練り香水だった。
本人は否定してたが、彼の眉毛は、いつも不自然な、クッキリ太い線だったっけ。
彼のこれからの人生が幸多かれと願うばかりである。
栃木県の同じ年齢の男子と、もし会っていたら、初めての同じ年齢の友達が、彼に出来る予定だった。
世間知や、世の中を渡る知識は、あのホストの子は半端ないので、栃木の男の子にとっては、頼もしい友達になったのではないかと、ふと想像してみた。
コインの表と裏の、あまりにも違う人生。
また、ホストの道に入って無ければいいのにな。
真っ当な人生送るんだよ?
最後におにぎり🍙を作って持たせたけれど、
「世の中には、いい人もいるんですね。」と、ポツリと呟いた彼。
いやいや、君の今までの周囲の人間が、あまりにも、あまりにも、あまりにも、悪過ぎたんだよ。
彼の心の隅っこに小さく埋もれていた、良心や、このままでいいのか?という疑問が膨らんだんだから、遥々此処まで来たんだよ?
バスに乗る前、おにぎりと一緒に、私が赤線で引っ張って渡した、経本のエキス部分のコピー。彼は帰りのバスの中で読んでいてくれればいいんだけど。
もうかれこれ20年以上、禅寺で住職をしている。
在家から家族の反対を押し切って、出家した人である。
あんまり、禅関係では、別の宗派と違って、法力(一般的には霊能力ともいう)は、ひけらかさない。あっても言わない。
私は今まで、ある程度の修行を積んだ、お坊さんというのは、普通に誰でもそういう能力があるものだと、思っていた。
この前関東から、遥々この寺までやって来た同じ禅宗のお坊さんにも聞くと、「1%くらいですよ。お坊さんの中でも。」
じゃあ、師匠は、その1%に入るんだ。
凄いなぁ。今は70代だから体力的にも衰えてるけど、全盛期は法力MAXだったようだ。
何はともあれ、此処の寺には全国あちこちから色んな人がやって来る。
どちらかと言えば、関東圏が、多い。
よくも、まあ、こんな辺鄙な場所にワザワザ来なくても...と、毎回思うが、やはり、何かを求めてやって来る。
兎に角、
食べる場所と、寝る場所が欲しくて、片道切符で、来る人、何か職場でやらかして、逃げて来た人、霊に取り憑かれてるから、何とかして下さい!と土砂降りの雨の中親子で来る人。新宿の歌舞伎町で、ホストやってた人。
まあ、色んな人がやって来る。
に加えて、師匠の携帯には、悩み相談の電話が、しょっ中かかってくる。
私が、ここに来た当初は、東京の女性から朝、昼、夜の食事時、夜中、 風呂の時、朝夕の勤行時まで、かかって来ていた。
精神的なストーカー状態と化していた、その女性。
大晦日までかかってきていたが、流石に寺は、大晦日は忙しい。相手していられない。すると、メールで師匠に、何で出てくれないんですか?とシツコクきていたらしい。
身内が、精神病院に入院しろと、言われてると。
新年明けてから、プッツリ途切れた電話とメール。多分入院してるのだろう。
何はともあれ、関西より関東の人間が多い。
不思議である。
それだけ、精神的に余裕が無いのか。
関西は元々、特に、京都や奈良の人間は、普通に近所にお寺があって、馴染んで育っている。精神的な土壌が違うのかも知れない。
話は少し戻るが、以前、関東から遥々やって来た、お坊さんだが、歳は多分、40代くらい。
丁度、そのお坊さんの滞在時に、T県から遥来た男子が一人。寺で一緒だった。
師匠は、他府県にある、もう一つの寺の方に行っていて、留守だった。
朝食の朝粥を食べようした時、
急に、そのお坊さんが、苦しみだした。
「お、女の人が大声で泣いているのが、聴こえる...」
朝粥どころじゃなくなった。
「ウ~、ウ~!ウ~...ン」台所のテーブルで頭を抱え込んで突っ伏した。唸りだす。
(ヤレヤレ...またかい...しょうないな...取り敢えず、治ったら隣のコタツのある部屋に移動して寝てもらお。)
T県男子は、私の目の前で、気にせず黙々と朝粥を啜っている。
彼は霊的感受性が、全く無いのが、羨ましくもある。
「3人」とお坊さんが、テーブルに頭を伏せ、呻きながら、言った。
(オイオイ~!さ、3人もここまで遥々連れて来たんかい!)
その3人の中でも、一番大声で泣き叫んでる女性が居てるらしい。
朝から、朝ごはんどころではなくなった。
だけども、この、朝粥と、梅干し1個、クラコンの塩昆布にタクアン2切れ。食べねば。食べねば身体が持たない。寺の作務に支障をきたす。
ウンウン唸るお坊さんを、横目にしながら、朝粥を大急ぎで啜り、ご馳走さまをして、茶碗を洗って、一息ついた。
まだ、ウンウン呻いている。
取り敢えず、隣の炬燵のある部屋で、横になって貰った。
暫くしてから、症状が楽になった様である、その埼玉県から来たお坊さん。
全国あちこちの神社仏閣を回っているらしい。自分の寺はどうしてるんだろうか。
滝行もこちらでしたかったらしいが、通行止め中なので、次回と言う事に。
あと、もう少し滞在したいと言っていたが、急にお葬式が入ったので、埼玉県まで帰る事になった。
彼が、帰った後、暫くしてから栃木の男子も帰って行った。
何ヶ月か経ったある日、
東京の新宿は歌舞伎町で、ホストをしていた男子が一人で寺に現れた。18歳。
聞けば母親から、ずうっと虐待受けて育った子だった。
栃木県から来た男の子と同じ歳で、全く逆の境遇の苦労だらけの人生。
話を聞けば聞くほど、悲惨な人生。まだ18歳なのに。母親育児放棄。父親と一緒に行った中国で、父親が、事業に失敗。病に倒れ、1人で異国で父親の葬式。日本に兎に角帰る為に、何とか知り合いのアフリカの男の子の親に頼み込んで、お金を用立てて貰い、何とか帰国。生前父親に貰ったメモを頼りに、日本でその人を探して行った先が、何とヤクザやさん。断れきれずそのまま下っ端組員に。
端正な顔立ちからは想像もつかない悲壮な人生。たった1人の肉親の祖母にも、ヤクザの手が回り、言う事聞けと。祖母は、相手が全くヤクザと知らず、親切ないい人だと思い込んでたらしい。が、ヤクザが親切にしたのは、オバァちゃんの豊富な年金が目当て。
半ば人質状態の祖父母の為に、周囲の大人がよってたかって、彼に汚れ仕事をさせていた様だ。10代の幼い彼にとっては、唯一の生活の糧を与えてくれた悪い大人達。
彼なりに毎日生きるのに必死だった。
女社長に高級マンションで囲われてた時もあったらしい。ホストをしていた時の写真を私にそっと見せてくれた。
そこには、銀髪のバッチリメイクしたイケメンな別人の彼がいた。
何故にそんな世界から吉野でも秘境なこの地に?
聞けば、
清水寺のお坊さんに言われた言葉が、彼の心の奥底で、ずうっと引っかかっていたらしい。
15歳の時に修学旅行で、京都に来た彼は、
単独で清水寺へプラっと立ち寄った事があり、そこで一服してると、上の方からタッタッタッと、早足でお坊さんが彼の方にやって来て、突然、「お前かッ!」と叫んだらしい。
「?」と思う間もなく、その清水寺のお坊さんは、彼にこう言ったっいう。
「お前は、悪が、90%以上で、善が、10%や。この善の部分を悪の90%とひっくり返したら、とてつもないえぇ人間になれるんやけどな。なかなか難しいな。」
そのお坊さんは、全国にワンサカいるお坊さんの中でも、稀な、1%の確率の人に違いない。心眼が、開けている人だろう。と、私はそう思った。
お坊さんになりたいと、彼は言う。
今までの人生、精算したいのだろう。
彼が一旦、祖父母の元に戻った時に、師匠に相談した。
丁度その時、京都の寺から、師匠の弟子も来ていた。
そのホストの彼は、かなりの罪を犯しまくっていた。
経本に説かれている全ての罪を犯していた。
私は師匠に、こう言った。
「師匠、お釈迦さんの中に、彼の様な罪を犯した人間を、弟子にしたパターンて、ありますか?」
「1人だけある。」
「じゃあ、彼を師匠の弟子にしてみたら、清水寺のお坊さんが、言ったように、悪の90%の部分を、ひっくり返して、素晴らしいお坊さんになるのでは?」
「ワシじゃあ、無理や。アレは手に負えん。役不足や。」
師匠が、そういうなら仕方ない。
翌朝、師匠は、彼に電話して、自分では役不足なので、もっといいお坊さんを探すようにと、説得し、こちらには戻って来ないようにと、やんわり釘を刺した。
電話の向こうの彼は、案外すんなりと受け入れたらしい。
彼の置き土産が、台所のテーブルの上に2つ置いてあった。
一つは、眉を描くペンシル。
そしてもう一つは、練り香水だった。
本人は否定してたが、彼の眉毛は、いつも不自然な、クッキリ太い線だったっけ。
彼のこれからの人生が幸多かれと願うばかりである。
栃木県の同じ年齢の男子と、もし会っていたら、初めての同じ年齢の友達が、彼に出来る予定だった。
世間知や、世の中を渡る知識は、あのホストの子は半端ないので、栃木の男の子にとっては、頼もしい友達になったのではないかと、ふと想像してみた。
コインの表と裏の、あまりにも違う人生。
また、ホストの道に入って無ければいいのにな。
真っ当な人生送るんだよ?
最後におにぎり🍙を作って持たせたけれど、
「世の中には、いい人もいるんですね。」と、ポツリと呟いた彼。
いやいや、君の今までの周囲の人間が、あまりにも、あまりにも、あまりにも、悪過ぎたんだよ。
彼の心の隅っこに小さく埋もれていた、良心や、このままでいいのか?という疑問が膨らんだんだから、遥々此処まで来たんだよ?
バスに乗る前、おにぎりと一緒に、私が赤線で引っ張って渡した、経本のエキス部分のコピー。彼は帰りのバスの中で読んでいてくれればいいんだけど。
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