5 / 58
悪役令嬢とヒーロー
しおりを挟む
それからしばらくして、私とシャルロッテのクラスの教室に着いた。
シャルロッテと共に、教室に貼られている座席表を見に行く。
(私の席は……シャルロッテの前だわ!これでもっと仲良くなれそう!)
何と私の席はシャルロッテの前だった。
これはもうそういう運命としか思えない。
もしかして、神様が私に味方してくれたのだろうか。
「あら、エルシア様と近いみたいです」
シャルロッテが私に対してニッコリと微笑む。
その笑みには、どこか安堵感が含まれていた。
「シャルロッテ様と席が近くてよかったです!」
(ああ、シャルロッテが天使すぎる……)
ついさっきまではレイチェルのことを天使だと思っていたけど、あんな姿を見た後ではシャルロッテの方がよっぽど天使だといえる。
(えっと……隣は……げッ!カイル・フォース!?最悪だ……しかもその後ろはレオンハルトだ……まぁシャルロッテとレオンハルトは婚約者同士だから納得だけど、何で私の隣がカイルなのよッ!)
私の隣の席は何故かあのカイル・フォースだった。
私を死ぬほど嫌い、見下しているあのカイル・フォース。
ちなみにエルシアの体で過ごしている間に、彼女の体に入り込む前の記憶がなだれ込んできた。
彼女の記憶によると、どうやらカイル・フォースは昔からエルシアを嫌っているようだった。
そんな人と隣の席だなんて、憂鬱だ。
「わ、私……レオンハルト殿下と隣……」
座席表をじっと見つめていたシャルロッテが頬を染めて俯いた。
「いいじゃないですか。私なんてカイル・フォースですよ。最悪ですね、本当に。こんなにツイてない日は初めてです」
私の言葉を聞いたシャルロッテは、顔を上げて意外そうに目を丸くした。
「フォース公爵家のカイル様ですか?あの方は素敵な方だとお聞きしていますよ」
(素敵な方……?あいつが……?)
小説の中でのカイルはいわゆる脳筋男だった。
何でも力で解決しようとする武闘派で、剣術の腕は王国で一番とまで言われていた。
(それでレイチェルをかけてレオンハルトに決闘を申し込むのだけれど結局は負けちゃうのよね……本来ならカイルの方が剣術の腕は上だけど、あのときのカイルはレオンハルトに対する憎しみで理性を失っていた……だからレオンハルトに負けちゃったんだよなぁ)
最終的にカイルはレオンハルトと和解することとなるが、結局は戦争で戦死してしまう。
(親友と自身が初めて惚れた女のために自ら最前線に行って帝国軍と戦う姿……今思うとすごいかっこよかったなぁ……)
って私は一体何を考えているのだろうか。
慌ててブンブンと首を横に振る。
「……エルシア様?」
「あっ、ごめんなさい、シャルロッテ様。そろそろ席に着きましょうか!」
「はい、そうしましょう」
席に向かうとレオンハルトとカイルは既に席についていた。
「……チッ、何でお前が隣なんだよ……」
私が席に着くと、カイルはあからさまに嫌そうな顔をした。
(すいませんねぇ?私が隣で)
後でしばきたい。
後ろをチラリと見て状況を確認するものの、相変わらず二人は無言だ。
シャルロッテはモジモジしていて、レオンハルトは彼女を出来るだけ視界に入れないようにしているのか窓の外をじっと眺めている。
(この二人にはまだまだ溝がありそう……とりあえずレオンハルトの誤解を解く必要があるわね……シャルロッテがどれだけレオンハルトのことが好きか分からせなければ!)
そう思い、私は椅子ごとシャルロッテの方を向いた。
「シャルロッテ様ッ!」
「エ、エルシア様?」
顔を真っ赤に染めたシャルロッテは、私に突然声を掛けられてビクッと肩を震わせた。
「シャルロッテ様って本当にレオンハルト殿下のことが大好きですよね!」
「エルシア様、急に何を―!?」
シャルロッテが慌てふためく。
私の言葉に、レオンハルトはこちらを向いた。
(よしよし、作戦通り!)
「子供の頃レオンハルト殿下の肖像画に一目惚れして皇帝陛下に婚約をねだったんでしょう?レオンハルト殿下のことになるといつも顔が赤くなりますもんね!だけどレオンハルト殿下を前にすると緊張して喋れなくなっちゃうんですよね!」
「エ、エルシア様!恥ずかしいのでやめてくださいまし!というか、どうしてそれを知っているんですか!?話した覚えは無いのですが!」
それを聞いたレオンハルトは驚いたような目でシャルロッテを見つめている。
とてもじゃないが信じられない、といったような顔だ。
レオンハルトがじっと自身を見つめていることに気付いたシャルロッテは、赤くなった顔を両手で隠している。
(これでとりあえず、レオンハルトの誤解が解けたかな……)
ひとまずやれることはやった。
後はこの二人次第だ。
レオンハルトは相変わらずシャルロッテをじっと見つめている。
(話しかけなさい……シャルロッテとの仲を深めるのよ……)
「――授業を始めるぞ!」
担任教師が入ってきたのはそんなときだった。
(もうッ!邪魔しないでよね!)
私は心の中で悪態をつきながらも、椅子を前に戻した。
シャルロッテと共に、教室に貼られている座席表を見に行く。
(私の席は……シャルロッテの前だわ!これでもっと仲良くなれそう!)
何と私の席はシャルロッテの前だった。
これはもうそういう運命としか思えない。
もしかして、神様が私に味方してくれたのだろうか。
「あら、エルシア様と近いみたいです」
シャルロッテが私に対してニッコリと微笑む。
その笑みには、どこか安堵感が含まれていた。
「シャルロッテ様と席が近くてよかったです!」
(ああ、シャルロッテが天使すぎる……)
ついさっきまではレイチェルのことを天使だと思っていたけど、あんな姿を見た後ではシャルロッテの方がよっぽど天使だといえる。
(えっと……隣は……げッ!カイル・フォース!?最悪だ……しかもその後ろはレオンハルトだ……まぁシャルロッテとレオンハルトは婚約者同士だから納得だけど、何で私の隣がカイルなのよッ!)
私の隣の席は何故かあのカイル・フォースだった。
私を死ぬほど嫌い、見下しているあのカイル・フォース。
ちなみにエルシアの体で過ごしている間に、彼女の体に入り込む前の記憶がなだれ込んできた。
彼女の記憶によると、どうやらカイル・フォースは昔からエルシアを嫌っているようだった。
そんな人と隣の席だなんて、憂鬱だ。
「わ、私……レオンハルト殿下と隣……」
座席表をじっと見つめていたシャルロッテが頬を染めて俯いた。
「いいじゃないですか。私なんてカイル・フォースですよ。最悪ですね、本当に。こんなにツイてない日は初めてです」
私の言葉を聞いたシャルロッテは、顔を上げて意外そうに目を丸くした。
「フォース公爵家のカイル様ですか?あの方は素敵な方だとお聞きしていますよ」
(素敵な方……?あいつが……?)
小説の中でのカイルはいわゆる脳筋男だった。
何でも力で解決しようとする武闘派で、剣術の腕は王国で一番とまで言われていた。
(それでレイチェルをかけてレオンハルトに決闘を申し込むのだけれど結局は負けちゃうのよね……本来ならカイルの方が剣術の腕は上だけど、あのときのカイルはレオンハルトに対する憎しみで理性を失っていた……だからレオンハルトに負けちゃったんだよなぁ)
最終的にカイルはレオンハルトと和解することとなるが、結局は戦争で戦死してしまう。
(親友と自身が初めて惚れた女のために自ら最前線に行って帝国軍と戦う姿……今思うとすごいかっこよかったなぁ……)
って私は一体何を考えているのだろうか。
慌ててブンブンと首を横に振る。
「……エルシア様?」
「あっ、ごめんなさい、シャルロッテ様。そろそろ席に着きましょうか!」
「はい、そうしましょう」
席に向かうとレオンハルトとカイルは既に席についていた。
「……チッ、何でお前が隣なんだよ……」
私が席に着くと、カイルはあからさまに嫌そうな顔をした。
(すいませんねぇ?私が隣で)
後でしばきたい。
後ろをチラリと見て状況を確認するものの、相変わらず二人は無言だ。
シャルロッテはモジモジしていて、レオンハルトは彼女を出来るだけ視界に入れないようにしているのか窓の外をじっと眺めている。
(この二人にはまだまだ溝がありそう……とりあえずレオンハルトの誤解を解く必要があるわね……シャルロッテがどれだけレオンハルトのことが好きか分からせなければ!)
そう思い、私は椅子ごとシャルロッテの方を向いた。
「シャルロッテ様ッ!」
「エ、エルシア様?」
顔を真っ赤に染めたシャルロッテは、私に突然声を掛けられてビクッと肩を震わせた。
「シャルロッテ様って本当にレオンハルト殿下のことが大好きですよね!」
「エルシア様、急に何を―!?」
シャルロッテが慌てふためく。
私の言葉に、レオンハルトはこちらを向いた。
(よしよし、作戦通り!)
「子供の頃レオンハルト殿下の肖像画に一目惚れして皇帝陛下に婚約をねだったんでしょう?レオンハルト殿下のことになるといつも顔が赤くなりますもんね!だけどレオンハルト殿下を前にすると緊張して喋れなくなっちゃうんですよね!」
「エ、エルシア様!恥ずかしいのでやめてくださいまし!というか、どうしてそれを知っているんですか!?話した覚えは無いのですが!」
それを聞いたレオンハルトは驚いたような目でシャルロッテを見つめている。
とてもじゃないが信じられない、といったような顔だ。
レオンハルトがじっと自身を見つめていることに気付いたシャルロッテは、赤くなった顔を両手で隠している。
(これでとりあえず、レオンハルトの誤解が解けたかな……)
ひとまずやれることはやった。
後はこの二人次第だ。
レオンハルトは相変わらずシャルロッテをじっと見つめている。
(話しかけなさい……シャルロッテとの仲を深めるのよ……)
「――授業を始めるぞ!」
担任教師が入ってきたのはそんなときだった。
(もうッ!邪魔しないでよね!)
私は心の中で悪態をつきながらも、椅子を前に戻した。
163
あなたにおすすめの小説
【完結】ヒロインに転生しましたが、モブのイケオジが好きなので、悪役令嬢の婚約破棄を回避させたつもりが、やっぱり婚約破棄されている。
樹結理(きゆり)
恋愛
「アイリーン、貴女との婚約は破棄させてもらう」
大勢が集まるパーティの場で、この国の第一王子セルディ殿下がそう宣言した。
はぁぁあ!? なんでどうしてそうなった!!
私の必死の努力を返してー!!
乙女ゲーム『ラベルシアの乙女』の世界に転生してしまった日本人のアラサー女子。
気付けば物語が始まる学園への入学式の日。
私ってヒロインなの!?攻略対象のイケメンたちに囲まれる日々。でも!私が好きなのは攻略対象たちじゃないのよー!!
私が好きなのは攻略対象でもなんでもない、物語にたった二回しか出てこないイケオジ!
所謂モブと言っても過言ではないほど、関わることが少ないイケオジ。
でもでも!せっかくこの世界に転生出来たのなら何度も見たイケメンたちよりも、レアなイケオジを!!
攻略対象たちや悪役令嬢と友好的な関係を築きつつ、悪役令嬢の婚約破棄を回避しつつ、イケオジを狙う十六歳、侯爵令嬢!
必死に悪役令嬢の婚約破棄イベントを回避してきたつもりが、なんでどうしてそうなった!!
やっぱり婚約破棄されてるじゃないのー!!
必死に努力したのは無駄足だったのか!?ヒロインは一体誰と結ばれるのか……。
※この物語は作者の世界観から成り立っております。正式な貴族社会をお望みの方はご遠慮ください。
※この作品は小説家になろう、カクヨムで完結済み。
【完結】赤ちゃんが生まれたら殺されるようです
白崎りか
恋愛
もうすぐ赤ちゃんが生まれる。
ドレスの上から、ふくらんだお腹をなでる。
「はやく出ておいで。私の赤ちゃん」
ある日、アリシアは見てしまう。
夫が、ベッドの上で、メイドと口づけをしているのを!
「どうして、メイドのお腹にも、赤ちゃんがいるの?!」
「赤ちゃんが生まれたら、私は殺されるの?」
夫とメイドは、アリシアの殺害を計画していた。
自分たちの子供を跡継ぎにして、辺境伯家を乗っ取ろうとしているのだ。
ドラゴンの力で、前世の記憶を取り戻したアリシアは、自由を手に入れるために裁判で戦う。
※1話と2話は短編版と内容は同じですが、設定を少し変えています。
婚約破棄で悪役令嬢を辞めたので、今日から素で生きます。
黒猫かの
恋愛
「エリー・オルブライト! 貴様との婚約を破棄する!」
豪華絢爛な夜会で、ウィルフレッド王子から突きつけられた非情な宣告。
しかし、公爵令嬢エリーの心境は……「よっしゃあ! やっと喋れるわ!!」だった。
ワンチャンあるかな、って転生先で推しにアタックしてるのがこちらの令嬢です
山口三
恋愛
恋愛ゲームの世界に転生した主人公。中世異世界のアカデミーを中心に繰り広げられるゲームだが、大好きな推しを目の前にして、ついつい欲が出てしまう。「私が転生したキャラは主人公じゃなくて、たたのモブ悪役。どうせ攻略対象の相手にはフラれて婚約破棄されるんだから・・・」
ひょんな事からクラスメイトのアロイスと協力して、主人公は推し様と、アロイスはゲームの主人公である聖女様との相思相愛を目指すが・・・。
魔法学園の悪役令嬢、破局の未来を知って推し変したら捨てた王子が溺愛に目覚めたようで!?
朱音ゆうひ@『桜の嫁入り』発売中です
恋愛
『完璧な王太子』アトレインの婚約者パメラは、自分が小説の悪役令嬢に転生していると気づく。
このままでは破滅まっしぐら。アトレインとは破局する。でも最推しは別にいる!
それは、悪役教授ネクロセフ。
顔が良くて、知性紳士で、献身的で愛情深い人物だ。
「アトレイン殿下とは円満に別れて、推し活して幸せになります!」
……のはずが。
「夢小説とは何だ?」
「殿下、私の夢小説を読まないでください!」
完璧を演じ続けてきた王太子×悪役を押し付けられた推し活令嬢。
破滅回避から始まる、魔法学園・溺愛・逆転ラブコメディ!
小説家になろうでも同時更新しています(https://ncode.syosetu.com/n5963lh/)。
痩せすぎ貧乳令嬢の侍女になりましたが、前世の技術で絶世の美女に変身させます
ちゃんゆ
恋愛
男爵家の三女に産まれた私。衝撃的な出来事などもなく、頭を打ったわけでもなく、池で溺れて死にかけたわけでもない。ごくごく自然に前世の記憶があった。
そして前世の私は…
ゴットハンドと呼ばれるほどのエステティシャンだった。
とあるお屋敷へ呼ばれて行くと、そこには細い細い風に飛ばされそうなお嬢様がいた。
お嬢様の悩みは…。。。
さぁ、お嬢様。
私のゴッドハンドで世界を変えますよ?
**********************
転生侍女シリーズ第三弾。
『おデブな悪役令嬢の侍女に転生しましたが、前世の技術で絶世の美女に変身させます』
『醜いと蔑まれている令嬢の侍女になりましたが、前世の技術で絶世の美女に変身させます』
の続編です。
続編ですが、これだけでも楽しんでいただけます。
前作も読んでいただけるともっと嬉しいです!
悪役令嬢の物語は始まりません。なぜならわたくしがヒロインを排除するからです。
霜月零
恋愛
わたくし、シュティリア・ホールオブ公爵令嬢は前世の記憶を持っています。
流行り病で生死の境を彷徨った時に思い出したのです。
この世界は、前世で遊んでいた乙女ゲームに酷似していると。
最愛のディアム王子をヒロインに奪われてはなりません。
そうと決めたら、行動しましょう。
ヒロインを排除する為に。
※小説家になろう様等、他サイト様にも掲載です。
わたくし、連座で処刑は嫌ですわ!!!
碧井 汐桜香
恋愛
連座で処刑される、悪役令嬢の取り巻きに転生したわたくし。
悪役令嬢親衛隊の下っ端で、殿下と令嬢の恋を見守る会の一般会員。
そんな下っ端のわたくしが連座で処刑なんて、絶対に嫌ですわ!
必死に妨害をして、少しだけストーリーが変わったきがするような……?でも、ついに断罪の日になってしまいましたわ!
あれ?何か様子がおかしいですわ……?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる