陛下、あなたが寵愛しているその女はどうやら敵国のスパイのようです。

ましゅぺちーの

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味方

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「王妃陛下、本当に助かりました!!!」


「いいのよ、何かあったら何でも言ってちょうだい」


あれから私の執務室に仕事を持って訪れた侍従は感激したかのような目で私を見て言った。


「王妃陛下、国王陛下の執務を引き受けるだなんて・・・大丈夫なのですか?」


「平気よ、心配しないで」


「そうですか・・・」


文官が私を心配そうな顔で見つめた。


(まぁ・・・そうなるわよね・・・)


王妃の仕事だけでもかなり大変なのに、それに加えて国王の仕事も代行するとなるとそのような反応になるのは当然だ。文官たちは優しい人だから私のことを心配してくれているのだろう。


しかし私はただの優しさで陛下の執務を引き受けているわけではない。そう、私には別の目的があった。


「・・・」


私は執務をこなしながら、数日前のお兄様との会話を思い出していた。


『カテリーナ、お前に頼みたいことがある』


『頼みたいこと・・・ですか?』


『ああ、王宮に勤めている人間を出来るだけお前の味方に引き入れてくれると助かる』


『え・・・』


『味方が増えて困ることはないだろう。そうすれば王弟殿下が王位に就くまでの間、お前も王宮で過ごしやすくなるはずだ』


『わ、私にそんなこと出来るでしょうか・・・』


『俺はお前を信じてるよ、何たってお前は自慢の妹だからな』


お兄様は陛下側の人間を出来るだけ私の味方にしろと言っていた。そうやって少しずつ陛下の周りから人を減らすのだと。


お兄様が何を思って私にそんなことを頼んできたのかは分からないが、お兄様の頼みなら断ることなど出来ない。


(私だって好きで陛下の尻拭いをしているわけじゃない)


そう思いながらも、私は机の上に積まれた書類に目を通していく。


本来これを処理するべき私の夫は今頃愛妾と遊んでいる。そのことを考えるだけで腸が煮えくり返りそうになったが、今は我慢だ。


だが、この一件で陛下の侍従は完全に私の味方になったと言ってもいいだろう。最も陛下の傍にいるであろう人物が味方になったのは大きい。


私は部屋にいた侍従に声をかけた。


「ねぇ」


「はい、何でしょうか?」


「陛下は一日のうちのどのくらいの時間をクリスティーナ様と過ごしているの?」


私の問いに侍従は一瞬ビクッとした。


「・・・それが、朝から晩までほとんどの時間をクリスティーナ様とお過ごしになっております」


「・・・あら、まぁ」


(これは予想以上だわ)


どうやら私が思っていた以上に陛下のクリスティーナ様に対するご寵愛ぶりは凄まじいらしい。こりゃ侍従が頭を悩ませるわけだ。どれだけ愛人を寵愛していても執務を放棄したことはなかったというのに。


私はそう言いながら私の顔色を窺っている侍従に対してニッコリと笑った。


「これからは何でも私に相談してね」


「・・・!」


私のその言葉に侍従は嬉しそうな顔をした。


「はい!王妃陛下!」


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