35 / 37
35 再会
しおりを挟む
王妃が連れて行かれた後、体調を崩した陛下は自室へと戻った。
終始何かをブツブツと呟いていたが、声が小さく聞き取ることは出来なかった。
「…………ビアンカ様」
「お久しぶりですね、シェリル様」
声をかけると、彼女はニコリと微笑んだ。
学園で毎日のように見ていた笑みと同じだ。
「ご無事で何よりです……エドウィンがビアンカ様を殺害したと聞いたときはもう……」
「殿下が助けてくださったのよ」
彼女はそう言いながら少し離れたところにいる第二王子殿下を熱い眼差しで見つめた。
そんな彼女の視線に気付いた殿下がクスッと笑った。
ああ、やはりお似合いな二人だなと改めて思った。
「……私も部屋へ戻る。今は少し一人になりたいんだ」
元婚約者と弟が見つめ合う姿を目の当たりにした王太子殿下はそれだけ言うと、父親と同じように謁見の間を出て行った。
しかし扉から出る寸前、彼は一度だけこちらを振り向いて言った。
「ビアンカ……悪かった」
「殿下……」
その言葉に、ビアンカ様は一瞬だけ目を丸くした。
もちろん私も彼女と同じ気持ちだ。
(あれだけ偉そうだった人が……随分変わったのね……)
彼が王になる未来は訪れないと思うが、せめてこれからは真っ当な人生を歩んでくれればと思う。
「ビアンカ様、先ほど殿下が助けてくださったとおっしゃっていましたが……」
「ええ、エドウィンの企みを事前に知っていた殿下が私を密かに保護してくださったのです」
「それで無事だったのですね……」
やはり第二王子殿下はとても優秀な方だ。
この国の王になるに相応しい。
「罪を犯してしまった彼らはこれからどうなるのでしょうか」
「どうでしょう……それは殿下に聞いてみなければ分かりません」
これから更生出来るか出来ないかは彼ら次第だろう。
決して期待しているわけではないが、二度と同じ過ちを犯さないようにと願うばかりだ。
「ビアンカ様、殿下が来ましたわ」
「殿下……」
しばらく侍従と会話をしていた殿下が、こちらへ歩いてきた。
野盗に襲われそうになったビアンカ様を保護したのは殿下だが、周囲の目を気にして一度も会っていなかったようだ。
私たちはその様子を少し離れたところでじっと見守った。
「ビアンカ、無事で良かった……」
「殿下……」
そう言って彼は彼女を抱き締めた。
「あら……」
「まぁ……!」
強く抱き締められたビアンカ様は人目を気にすることなく彼の背中に腕を回した。
「公衆の面前で婚約破棄される前に救ってやれなくて悪かった……本当に……」
「何を言っているのですか、殿下……」
ビアンカ様は目に涙を浮かべてクスリと笑った。
「今この瞬間が人生で最も幸せです……二度と殿下とは会えないとばかり思っていたので……」
「ああ、私もだ」
二人はしばらくの間涙を流して再会を喜び合った。
傍観していた私たちまで泣きそうになってしまうほど感動的なシーンだった。
「ビアンカ様があんな風に笑う姿は初めて見たわ」
「ええ、本当に第二王子殿下と愛し合っていたのね」
「お似合いな二人ですわ」
第二王子殿下とビアンカ様が王と王妃になれば、この国も安泰だろう。
長い間離れ離れになっていた恋人同士は、十年以上の時を経て再び結ばれた。
感動の再会に、誰もが涙せずにはいられなかった。
終始何かをブツブツと呟いていたが、声が小さく聞き取ることは出来なかった。
「…………ビアンカ様」
「お久しぶりですね、シェリル様」
声をかけると、彼女はニコリと微笑んだ。
学園で毎日のように見ていた笑みと同じだ。
「ご無事で何よりです……エドウィンがビアンカ様を殺害したと聞いたときはもう……」
「殿下が助けてくださったのよ」
彼女はそう言いながら少し離れたところにいる第二王子殿下を熱い眼差しで見つめた。
そんな彼女の視線に気付いた殿下がクスッと笑った。
ああ、やはりお似合いな二人だなと改めて思った。
「……私も部屋へ戻る。今は少し一人になりたいんだ」
元婚約者と弟が見つめ合う姿を目の当たりにした王太子殿下はそれだけ言うと、父親と同じように謁見の間を出て行った。
しかし扉から出る寸前、彼は一度だけこちらを振り向いて言った。
「ビアンカ……悪かった」
「殿下……」
その言葉に、ビアンカ様は一瞬だけ目を丸くした。
もちろん私も彼女と同じ気持ちだ。
(あれだけ偉そうだった人が……随分変わったのね……)
彼が王になる未来は訪れないと思うが、せめてこれからは真っ当な人生を歩んでくれればと思う。
「ビアンカ様、先ほど殿下が助けてくださったとおっしゃっていましたが……」
「ええ、エドウィンの企みを事前に知っていた殿下が私を密かに保護してくださったのです」
「それで無事だったのですね……」
やはり第二王子殿下はとても優秀な方だ。
この国の王になるに相応しい。
「罪を犯してしまった彼らはこれからどうなるのでしょうか」
「どうでしょう……それは殿下に聞いてみなければ分かりません」
これから更生出来るか出来ないかは彼ら次第だろう。
決して期待しているわけではないが、二度と同じ過ちを犯さないようにと願うばかりだ。
「ビアンカ様、殿下が来ましたわ」
「殿下……」
しばらく侍従と会話をしていた殿下が、こちらへ歩いてきた。
野盗に襲われそうになったビアンカ様を保護したのは殿下だが、周囲の目を気にして一度も会っていなかったようだ。
私たちはその様子を少し離れたところでじっと見守った。
「ビアンカ、無事で良かった……」
「殿下……」
そう言って彼は彼女を抱き締めた。
「あら……」
「まぁ……!」
強く抱き締められたビアンカ様は人目を気にすることなく彼の背中に腕を回した。
「公衆の面前で婚約破棄される前に救ってやれなくて悪かった……本当に……」
「何を言っているのですか、殿下……」
ビアンカ様は目に涙を浮かべてクスリと笑った。
「今この瞬間が人生で最も幸せです……二度と殿下とは会えないとばかり思っていたので……」
「ああ、私もだ」
二人はしばらくの間涙を流して再会を喜び合った。
傍観していた私たちまで泣きそうになってしまうほど感動的なシーンだった。
「ビアンカ様があんな風に笑う姿は初めて見たわ」
「ええ、本当に第二王子殿下と愛し合っていたのね」
「お似合いな二人ですわ」
第二王子殿下とビアンカ様が王と王妃になれば、この国も安泰だろう。
長い間離れ離れになっていた恋人同士は、十年以上の時を経て再び結ばれた。
感動の再会に、誰もが涙せずにはいられなかった。
3,616
あなたにおすすめの小説
婚約破棄されないまま正妃になってしまった令嬢
alunam
恋愛
婚約破棄はされなかった……そんな必要は無かったから。
既に愛情の無くなった結婚をしても相手は王太子。困る事は無かったから……
愛されない正妃なぞ珍しくもない、愛される側妃がいるから……
そして寵愛を受けた側妃が世継ぎを産み、正妃の座に成り代わろうとするのも珍しい事ではない……それが今、この時に訪れただけ……
これは婚約破棄される事のなかった愛されない正妃。元・辺境伯爵シェリオン家令嬢『フィアル・シェリオン』の知らない所で、周りの奴等が勝手に王家の連中に「ざまぁ!」する話。
※あらすじですらシリアスが保たない程度の内容、プロット消失からの練り直し試作品、荒唐無稽でもハッピーエンドならいいんじゃい!的なガバガバ設定
それでもよろしければご一読お願い致します。更によろしければ感想・アドバイスなんかも是非是非。全十三話+オマケ一話、一日二回更新でっす!
【完結】仲の良かったはずの婚約者に一年無視され続け、婚約解消を決意しましたが
ゆらゆらぎ
恋愛
エルヴィラ・ランヴァルドは第二王子アランの幼い頃からの婚約者である。仲睦まじいと評判だったふたりは、今では社交界でも有名な冷えきった仲となっていた。
定例であるはずの茶会もなく、婚約者の義務であるはずのファーストダンスも踊らない
そんな日々が一年と続いたエルヴィラは遂に解消を決意するが──
今日は私の結婚式
豆狸
恋愛
ベッドの上には、幼いころからの婚約者だったレーナと同じ色の髪をした女性の腐り爛れた死体があった。
彼女が着ているドレスも、二日前僕とレーナの父が結婚を拒むレーナを屋根裏部屋へ放り込んだときに着ていたものと同じである。
貴方が側妃を望んだのです
cyaru
恋愛
「君はそれでいいのか」王太子ハロルドは言った。
「えぇ。勿論ですわ」婚約者の公爵令嬢フランセアは答えた。
誠の愛に気がついたと言われたフランセアは微笑んで答えた。
※2022年6月12日。一部書き足しました。
※架空のお話です。現実世界の話ではありません。
史実などに基づいたものではない事をご理解ください。
※話の都合上、残酷な描写がありますがそれがざまぁなのかは受け取り方は人それぞれです。
表現的にどうかと思う回は冒頭に注意喚起を書き込むようにしますが有無は作者の判断です。
※更新していくうえでタグは幾つか増えます。
※作者都合のご都合主義です。
※リアルで似たようなものが出てくると思いますが気のせいです。
※爵位や言葉使いなど現実世界、他の作者さんの作品とは異なります(似てるモノ、同じものもあります)
※誤字脱字結構多い作者です(ごめんなさい)コメント欄より教えて頂けると非常に助かります。
初夜に前世を思い出した悪役令嬢は復讐方法を探します。
豆狸
恋愛
「すまない、間違えたんだ」
「はあ?」
初夜の床で新妻の名前を元カノ、しかも新妻の異母妹、しかも新妻と婚約破棄をする原因となった略奪者の名前と間違えた?
脳に蛆でも湧いてんじゃないですかぁ?
なろう様でも公開中です。
【完結】復讐は計画的に~不貞の子を身籠った彼女と殿下の子を身籠った私
紅位碧子 kurenaiaoko
恋愛
公爵令嬢であるミリアは、スイッチ国王太子であるウィリアムズ殿下と婚約していた。
10年に及ぶ王太子妃教育も終え、学園卒業と同時に結婚予定であったが、卒業パーティーで婚約破棄を言い渡されてしまう。
婚約者の彼の隣にいたのは、同じ公爵令嬢であるマーガレット様。
その場で、マーガレット様との婚約と、マーガレット様が懐妊したことが公表される。
それだけでも驚くミリアだったが、追い討ちをかけるように不貞の疑いまでかけられてしまいーーーー?
【作者よりみなさまへ】
*誤字脱字多数あるかと思います。
*初心者につき表現稚拙ですので温かく見守ってくださいませ
*ゆるふわ設定です
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる