5 / 127
一章
二度目の人生は
しおりを挟む
しばらくして、私とミリアは離れへと到着した。
(初めて来た……)
前世ではここへ来たことなどもちろん無かった。
勉強に明け暮れていて、そんな時間も無かったからだ。
離れは公爵邸より小さかったが、二人で泊まるには十分すぎるくらいだった。
中に入った私たちは、公爵邸から持ってきた荷物を部屋に置いた。
「中は結構綺麗なのね」
「使用人が定期的に掃除をしていますので」
私の言葉にミリアは優しい笑みを浮かべて言った。
「……!」
こんなに優しい笑みを向けられるのは久しぶりだったため、一瞬ドクリとした。
前世では虐げられていたからか、何だか慣れない。
「庭園はどこにあるのかしら?」
「庭園へは、私がご案内いたします」
そう言ってミリアは庭園までの道を歩き出した。
私はそんなミリアの後について歩いた。
(……)
私は前を歩くミリアの背中に向かって口を開いた。
「ミリア……その……ありがとう……私の我儘に付き合ってくれて……」
「私は使用人として当然のことをしているだけです、お嬢様」
ミリアは私の言葉に振り返ってそれだけ言った。
前世ではミリアを含めた公爵邸の使用人とはほとんど関わることはなかった。
小さい頃の私は、屋敷の使用人たちとよく遊んだりしていた。
だが成長するにつれて皆がお父様に見向きもされない私を嘲笑っているような気がして、次第に関わりたくなくなっていった。
だけど今は……
「私、てっきり使用人たちに嫌われているかと思っていたわ」
「私たちがお嬢様をですか?そんなことありえません!」
ミリアは私の言葉に驚いた顔をして必死に否定した。
「本当のことを言うと、お嬢様は……昔はよく笑っていらしたのに、成長するにつれ滅多に笑わなくなり、王太子殿下の婚約者になってからは自室にこもりきりになってしまわれたので皆、どう接していいか分からなくなっていたのです」
「……!」
そう口にしたミリアは酷く悲しそうな顔をしていた。
(そう、だったのね……)
皆、私のことを嫌ってなどいなかった。
私が変わってしまったが故に、どう接していいか分からなくなっていたのだ。
どうやら私はとんでもない勘違いをしていたようだ。
(ミリア……みんな……)
そこで私の頭をよぎったのは、幼い頃使用人たちと屋敷で遊んだときのことだった。
母親は早くに亡くなり、父親に放っておかれて一人ぼっちだった私の傍にいてくれた。
一緒に遊んで楽しませてくれた。
たくさん笑わせてくれた。
私は、彼らにどれだけ助けられたのだろうか。
ミリアの言葉に涙が出そうになった。
「……私、貴方たちのことを誤解していたわ」
「はい!ですからこれからは私だけではなく他の使用人たちとも積極的に関わってみてはいかがでしょうか!みんなお嬢様のことが大好きですから、たくさん話しかけていいんですよ!」
ミリアは私に眩しいほどの笑顔を向けた。
「ミリア……!」
そんなミリアの笑顔を見ると自然と私の口元も綻ぶ。
「うん、そうするわ」
「お嬢様、ようやく笑ってくださいましたね」
私の笑った顔を見たミリアが嬉しそうに言った。
(ハッ……!)
自分で気付いて顔が赤くなる。
たしかに久しぶりに笑ったかもしれない。
前世での私の生活はとてもじゃないが幸せとは言えないものだったから。
(…………でも、今は幸せかもしれないわね)
そのことを考えるだけで、再び口角は上がっていく。
そんな私を見たミリアが短く笑いながら言った。
「お嬢様は美しいのですから、もっと笑ってください!」
「こうかしら?」
私はさっきよりも大きな笑みを浮かべる。
「お嬢様……!」
ミリアは何故か泣きかけていた。
どうやら普段からあまり笑わなかった私の笑顔を見れたのがそれほど嬉しかったらしい。
「ほら、早く行くわよ」
「はい!お嬢様!」
私の言葉にミリアは元気の良い返事をした。
そして二人並んで再び庭園までの道のりを歩き出した。
◇◆◇◆◇◆
「お嬢様、ここが庭園になります」
しばらくして、離れの庭園に到着した。
「わぁっ……!素敵……!」
私は感動のあまり、無意識にそんなことを言っていた。
庭園は驚くほど綺麗な場所だった。
離れにある庭園には色とりどりの花が美しく咲き誇っていた。
中央にはお茶会用の席があり、その周りを囲むようにして赤いバラが咲いている。
入口にはピンク色の花で飾られているアーチが置かれており、まるで夢の国の出入り口のようだった。
(あれは何ていう花なんだろう?すごく綺麗だわ!)
気付けば私は貴族令嬢としてはありえないくらいはしゃいでしまっていた。
王太子の婚約者としては失格だが、今日くらいは良いだろう。
ここにはミリアしかいないのだし。
前世はそこまで花に興味は無かったが、やはり美しく咲いている花を見ると良い気分になる。
「屋敷と同じく、定期的に手入れがされているので美しいまま保たれているんですよ」
子供のようにはしゃいでいる私を見てミリアが笑いながら言った。
「そうなのね」
(こんな美しい場所の存在を知らなかっただなんて!もったいないことをしたわ!もっと早くここに来ればよかった)
このときばかりは、長い間この場所に来なかったことを心から後悔した。
私はそのまま、ミリアとかなり長い時間を庭園で過ごした。
お茶会の席は二人分あったので、ミリアと向かい合ってお茶をした。
最初こそ謙遜していたミリアだったが、時間が経つにつれ表情が柔らかくなっていった。
「あら、もうこんな時間?」
「楽しい時間は早く過ぎ去るものです」
「本当にそうね」
気づけば夕方になっていたので、私とミリアは屋敷の部屋へと戻った。
夕食の準備をするからと、ミリアとは一度別れた。
特にすることが無かった私はベッドに突っ伏し、これからのことについてを考えた。
(……このままいけば、私は前世と同じ末路を辿ることになる)
――愛されない、お飾りの妃。
そんなの冗談じゃない。
とりあえず殿下との婚約は絶対に解消しなければいけない。
これだけは譲れない。
しかし、王族との婚約を貴族側から解消するというのは難しいことである。
そのために私が出来ることは何だろうか。
「……」
私はふと前世での殿下を思い出した。
あんな人でも最初は優しかったのだ。
定期的にお茶会をしていたし、優しい目で私の話を聞いてくれた。
(……気付いたら、ああなってたのよね)
――グレイフォード・オルレリアン王太子殿下
国王陛下と王妃陛下の間に生まれた第一子で、この国の王太子殿下だ。
現在王家には、彼しか子供はいない。
つまり、彼が将来国王になるのは確定しているということだ。
(……それが問題なのよね)
そうともなれば出来るだけ嫌われず、円満に婚約解消をしたい。
国王と「良い友人」でいればメリットも多いだろう。
しばらく考え込んでいた私は、今から殿下と良い関係を築いて男爵令嬢が現れたらさっと身を引けばいいのではないかという結論に至った。
(よし、殿下とのことについてはその方針でいこう)
ようやく自分のするべきことが決まった私は、ふぅと一息ついた。
せっかく与えられた二度目の人生。
どうせなら誰かに心の底から愛される、幸せな人生を歩みたい。
一度目の人生では夫からも、父からも愛されなかった私。
今度は間違えたりしない。
(自分の幸せは自分でつかみ取るんだから!!!)
(初めて来た……)
前世ではここへ来たことなどもちろん無かった。
勉強に明け暮れていて、そんな時間も無かったからだ。
離れは公爵邸より小さかったが、二人で泊まるには十分すぎるくらいだった。
中に入った私たちは、公爵邸から持ってきた荷物を部屋に置いた。
「中は結構綺麗なのね」
「使用人が定期的に掃除をしていますので」
私の言葉にミリアは優しい笑みを浮かべて言った。
「……!」
こんなに優しい笑みを向けられるのは久しぶりだったため、一瞬ドクリとした。
前世では虐げられていたからか、何だか慣れない。
「庭園はどこにあるのかしら?」
「庭園へは、私がご案内いたします」
そう言ってミリアは庭園までの道を歩き出した。
私はそんなミリアの後について歩いた。
(……)
私は前を歩くミリアの背中に向かって口を開いた。
「ミリア……その……ありがとう……私の我儘に付き合ってくれて……」
「私は使用人として当然のことをしているだけです、お嬢様」
ミリアは私の言葉に振り返ってそれだけ言った。
前世ではミリアを含めた公爵邸の使用人とはほとんど関わることはなかった。
小さい頃の私は、屋敷の使用人たちとよく遊んだりしていた。
だが成長するにつれて皆がお父様に見向きもされない私を嘲笑っているような気がして、次第に関わりたくなくなっていった。
だけど今は……
「私、てっきり使用人たちに嫌われているかと思っていたわ」
「私たちがお嬢様をですか?そんなことありえません!」
ミリアは私の言葉に驚いた顔をして必死に否定した。
「本当のことを言うと、お嬢様は……昔はよく笑っていらしたのに、成長するにつれ滅多に笑わなくなり、王太子殿下の婚約者になってからは自室にこもりきりになってしまわれたので皆、どう接していいか分からなくなっていたのです」
「……!」
そう口にしたミリアは酷く悲しそうな顔をしていた。
(そう、だったのね……)
皆、私のことを嫌ってなどいなかった。
私が変わってしまったが故に、どう接していいか分からなくなっていたのだ。
どうやら私はとんでもない勘違いをしていたようだ。
(ミリア……みんな……)
そこで私の頭をよぎったのは、幼い頃使用人たちと屋敷で遊んだときのことだった。
母親は早くに亡くなり、父親に放っておかれて一人ぼっちだった私の傍にいてくれた。
一緒に遊んで楽しませてくれた。
たくさん笑わせてくれた。
私は、彼らにどれだけ助けられたのだろうか。
ミリアの言葉に涙が出そうになった。
「……私、貴方たちのことを誤解していたわ」
「はい!ですからこれからは私だけではなく他の使用人たちとも積極的に関わってみてはいかがでしょうか!みんなお嬢様のことが大好きですから、たくさん話しかけていいんですよ!」
ミリアは私に眩しいほどの笑顔を向けた。
「ミリア……!」
そんなミリアの笑顔を見ると自然と私の口元も綻ぶ。
「うん、そうするわ」
「お嬢様、ようやく笑ってくださいましたね」
私の笑った顔を見たミリアが嬉しそうに言った。
(ハッ……!)
自分で気付いて顔が赤くなる。
たしかに久しぶりに笑ったかもしれない。
前世での私の生活はとてもじゃないが幸せとは言えないものだったから。
(…………でも、今は幸せかもしれないわね)
そのことを考えるだけで、再び口角は上がっていく。
そんな私を見たミリアが短く笑いながら言った。
「お嬢様は美しいのですから、もっと笑ってください!」
「こうかしら?」
私はさっきよりも大きな笑みを浮かべる。
「お嬢様……!」
ミリアは何故か泣きかけていた。
どうやら普段からあまり笑わなかった私の笑顔を見れたのがそれほど嬉しかったらしい。
「ほら、早く行くわよ」
「はい!お嬢様!」
私の言葉にミリアは元気の良い返事をした。
そして二人並んで再び庭園までの道のりを歩き出した。
◇◆◇◆◇◆
「お嬢様、ここが庭園になります」
しばらくして、離れの庭園に到着した。
「わぁっ……!素敵……!」
私は感動のあまり、無意識にそんなことを言っていた。
庭園は驚くほど綺麗な場所だった。
離れにある庭園には色とりどりの花が美しく咲き誇っていた。
中央にはお茶会用の席があり、その周りを囲むようにして赤いバラが咲いている。
入口にはピンク色の花で飾られているアーチが置かれており、まるで夢の国の出入り口のようだった。
(あれは何ていう花なんだろう?すごく綺麗だわ!)
気付けば私は貴族令嬢としてはありえないくらいはしゃいでしまっていた。
王太子の婚約者としては失格だが、今日くらいは良いだろう。
ここにはミリアしかいないのだし。
前世はそこまで花に興味は無かったが、やはり美しく咲いている花を見ると良い気分になる。
「屋敷と同じく、定期的に手入れがされているので美しいまま保たれているんですよ」
子供のようにはしゃいでいる私を見てミリアが笑いながら言った。
「そうなのね」
(こんな美しい場所の存在を知らなかっただなんて!もったいないことをしたわ!もっと早くここに来ればよかった)
このときばかりは、長い間この場所に来なかったことを心から後悔した。
私はそのまま、ミリアとかなり長い時間を庭園で過ごした。
お茶会の席は二人分あったので、ミリアと向かい合ってお茶をした。
最初こそ謙遜していたミリアだったが、時間が経つにつれ表情が柔らかくなっていった。
「あら、もうこんな時間?」
「楽しい時間は早く過ぎ去るものです」
「本当にそうね」
気づけば夕方になっていたので、私とミリアは屋敷の部屋へと戻った。
夕食の準備をするからと、ミリアとは一度別れた。
特にすることが無かった私はベッドに突っ伏し、これからのことについてを考えた。
(……このままいけば、私は前世と同じ末路を辿ることになる)
――愛されない、お飾りの妃。
そんなの冗談じゃない。
とりあえず殿下との婚約は絶対に解消しなければいけない。
これだけは譲れない。
しかし、王族との婚約を貴族側から解消するというのは難しいことである。
そのために私が出来ることは何だろうか。
「……」
私はふと前世での殿下を思い出した。
あんな人でも最初は優しかったのだ。
定期的にお茶会をしていたし、優しい目で私の話を聞いてくれた。
(……気付いたら、ああなってたのよね)
――グレイフォード・オルレリアン王太子殿下
国王陛下と王妃陛下の間に生まれた第一子で、この国の王太子殿下だ。
現在王家には、彼しか子供はいない。
つまり、彼が将来国王になるのは確定しているということだ。
(……それが問題なのよね)
そうともなれば出来るだけ嫌われず、円満に婚約解消をしたい。
国王と「良い友人」でいればメリットも多いだろう。
しばらく考え込んでいた私は、今から殿下と良い関係を築いて男爵令嬢が現れたらさっと身を引けばいいのではないかという結論に至った。
(よし、殿下とのことについてはその方針でいこう)
ようやく自分のするべきことが決まった私は、ふぅと一息ついた。
せっかく与えられた二度目の人生。
どうせなら誰かに心の底から愛される、幸せな人生を歩みたい。
一度目の人生では夫からも、父からも愛されなかった私。
今度は間違えたりしない。
(自分の幸せは自分でつかみ取るんだから!!!)
967
あなたにおすすめの小説
【完結】私を捨てた皆様、どうぞその選択を後悔なさってください 〜婚約破棄された令嬢の、遅すぎる謝罪はお断りです〜
くろねこ
恋愛
王太子の婚約者として尽くしてきた公爵令嬢エリシアは、ある日突然、身に覚えのない罪で断罪され婚約破棄を言い渡される。
味方だと思っていた家族も友人も、誰一人として彼女を庇わなかった。
――けれど、彼らは知らなかった。
彼女こそが国を支えていた“本当の功労者”だったことを。
すべてを失ったはずの令嬢が選んだのは、
復讐ではなく「関わらない」という選択。
だがその選択こそが、彼らにとって最も残酷な“ざまぁ”の始まりだった。
初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結保証】
星森 永羽
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。
だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。
しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。
王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。
そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。
地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。
⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。
王太子妃は離婚したい
凛江
恋愛
アルゴン国の第二王女フレイアは、婚約者であり、幼い頃より想いを寄せていた隣国テルルの王太子セレンに嫁ぐ。
だが、期待を胸に臨んだ婚姻の日、待っていたのは夫セレンの冷たい瞳だった。
※この作品は、読んでいただいた皆さまのおかげで書籍化することができました。
綺麗なイラストまでつけていただき感無量です。
これまで応援いただき、本当にありがとうございました。
レジーナのサイトで番外編が読めますので、そちらものぞいていただけると嬉しいです。
https://www.regina-books.com/extra/login
離婚した彼女は死ぬことにした
はるかわ 美穂
恋愛
事故で命を落とす瞬間、政略結婚で結ばれた夫のアルバートを愛していたことに気づいたエレノア。
もう一度彼との結婚生活をやり直したいと願うと、四年前に巻き戻っていた。
今度こそ彼に相応しい妻になりたいと、これまでの臆病な自分を脱ぎ捨て奮闘するエレノア。しかし、
「前にも言ったけど、君は妻としての役目を果たさなくていいんだよ」
返ってくるのは拒絶を含んだ鉄壁の笑みと、表面的で義務的な優しさ。
それでも夫に想いを捧げ続けていたある日のこと、アルバートの大事にしている弟妹が原因不明の体調不良に襲われた。
神官から、二人の体調不良はエレノアの体内に宿る瘴気が原因だと告げられる。
大切な人を守るために離婚して彼らから離れることをエレノアは決意するが──。
侯爵令嬢ソフィアの結婚
今野綾
恋愛
ソフィアは希少なグリーンアイを持つヴィンセントと結婚した。これは金が欲しい父の思惑と、高い爵位が欲しいヴィンセントの思惑が一致したからに過ぎない。
そもそもヴィンセントには恋人がいて、その恋人は身分に大きな差があるために結婚することは叶わないのだ。
結婚して早々、ソフィアは実家から連れてきた侍女夫婦とあばら屋に住むように言われて……
表紙はかなさんのファンアートです✨
ありがとうございます😊
2024.07.05
【完結】彼の瞳に映るのは
たろ
恋愛
今夜も彼はわたしをエスコートして夜会へと参加する。
優しく見つめる彼の瞳にはわたしが映っているのに、何故かわたしの心は何も感じない。
そしてファーストダンスを踊ると彼はそっとわたしのそばからいなくなる。
わたしはまた一人で佇む。彼は守るべき存在の元へと行ってしまう。
★ 短編から長編へ変更しました。
記憶を失くした彼女の手紙 消えてしまった完璧な令嬢と、王子の遅すぎた後悔の話
甘糖むい
恋愛
婚約者であるシェルニア公爵令嬢が記憶喪失となった。
王子はひっそりと喜んだ。これで愛するクロエ男爵令嬢と堂々と結婚できると。
その時、王子の元に一通の手紙が届いた。
そこに書かれていたのは3つの願いと1つの真実。
王子は絶望感に苛まれ後悔をする。
忘れられた幼な妻は泣くことを止めました
帆々
恋愛
アリスは十五歳。王国で高家と呼ばれるう高貴な家の姫だった。しかし、家は貧しく日々の暮らしにも困窮していた。
そんな時、アリスの父に非常に有利な融資をする人物が現れた。その代理人のフーは巧みに父を騙して、莫大な借金を負わせてしまう。
もちろん返済する目処もない。
「アリス姫と我が主人との婚姻で借財を帳消しにしましょう」
フーの言葉に父は頷いた。アリスもそれを責められなかった。家を守るのは父の責務だと信じたから。
嫁いだドリトルン家は悪徳金貸しとして有名で、アリスは邸の厳しいルールに従うことになる。フーは彼女を監視し自由を許さない。そんな中、夫の愛人が邸に迎え入れることを知る。彼女は庭の隅の離れ住まいを強いられているのに。アリスは嘆き悲しむが、フーに強く諌められてうなだれて受け入れた。
「ご実家への援助はご心配なく。ここでの悪くないお暮らしも保証しましょう」
そういう経緯を仲良しのはとこに打ち明けた。晩餐に招かれ、久しぶりに心の落ち着く時間を過ごした。その席にははとこ夫妻の友人のロエルもいて、彼女に彼の掘った珍しい鉱石を見せてくれた。しかし迎えに現れたフーが、和やかな夜をぶち壊してしまう。彼女を庇うはとこを咎め、フーの無礼を責めたロエルにまで痛烈な侮蔑を吐き捨てた。
厳しい婚家のルールに縛られ、アリスは外出もままならない。
それから五年の月日が流れ、ひょんなことからロエルに再会することになった。金髪の端正な紳士の彼は、彼女に問いかけた。
「お幸せですか?」
アリスはそれに答えられずにそのまま別れた。しかし、その言葉が彼の優しかった印象と共に尾を引いて、彼女の中に残っていく_______。
世間知らずの高貴な姫とやや強引な公爵家の子息のじれじれなラブストーリーです。
古風な恋愛物語をお好きな方にお読みいただけますと幸いです。
ハッピーエンドを心がけております。読後感のいい物語を努めます。
※小説家になろう様にも投稿させていただいております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる