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二章
花
公爵邸までの馬車の中で、私は自分の不甲斐なさに一人落胆していた。
(本当に、私はいつも何も出来ない……)
どうしてこうも自分は無力なんだろう。
いつだって殿下に頼りきりで、自分自身で何かを成し遂げたことなどほとんど無かった。
愛する人を慰めることさえも、今の私にとっては難しいことだった。
(でもこのまま、というのはやっぱり嫌だわ……)
殿下の悲しそうな顔を思い出すたびに胸がズキズキ痛む。
社交界での彼はいつだって完璧な王子様だったから。
(それに、王妃陛下のことも何だか気になるわね……)
――エリザベス王妃陛下
この国で最も尊い女性であり、隣国から嫁いできた元王女。
『俺に興味を抱くような人では無かったから』
殿下はああ言っていたが、私からしたら何かが隠されているような気がしてならない。
(王妃陛下は本当に殿下に無関心なのかしら?)
私のことを嫌うのは分かるが、殿下に対して興味が無いというのはどうも理解することが出来なかった。
殿下が何かしたとは到底思えないし、いくら愛していない男との子供とはいえ彼女がお腹を痛めて産んだ子供に違いは無いから。
(私も出来ることなら王妃陛下と親しくなりたいわ……)
エリザベス王妃陛下は殿下の母親なので将来は義理の親子になるのだ。
だからこそ、出来るだけ良好な関係を築いていけたらいいなと思っている。
(その点で言えば、国王陛下も義理の父親だけれど……)
あんな人と仲良くするだなんて死んでも御免だ。
大体あの人は私を娘ではなく一人の女として見ているわけだし。
近付かない方が良いだろう。
そう心に決めたはいいものの、問題は山積みだ。
(私がエリザベス王妃陛下に好かれるだなんて……そんなこと可能なのかしら……)
前世ではどれだけ頑張っても王妃陛下に認められることは無かった。
ニコニコと愛想良く話しかけても、王妃教育で培った美しいカーテシーを披露しても眉をひそめられるだけだった。
そのようにする理由を知ってからはむしろ妙に納得したが。
私と王妃陛下の間には深い溝がある。
こればっかりはどうしようもなかった。
私はハァとため息をついて窓の外に視界を向けた。
美しく咲き誇る色とりどりのパンジーが私の目に入った。
パンジーは十月に咲く花だ。
(もうそんな季節なのね……)
時の流れは本当に早い。
私が二度目の生を受けてから既に三年が経とうとしていた。
風を受けてゆらゆらと揺れる花たちをじっと見ていた私の脳裏に、ある考えがよぎった。
(……そうだわ、これなら)
ようやく良い案を見つけ出した私は、馬車の中で一人口角を上げた。
(本当に、私はいつも何も出来ない……)
どうしてこうも自分は無力なんだろう。
いつだって殿下に頼りきりで、自分自身で何かを成し遂げたことなどほとんど無かった。
愛する人を慰めることさえも、今の私にとっては難しいことだった。
(でもこのまま、というのはやっぱり嫌だわ……)
殿下の悲しそうな顔を思い出すたびに胸がズキズキ痛む。
社交界での彼はいつだって完璧な王子様だったから。
(それに、王妃陛下のことも何だか気になるわね……)
――エリザベス王妃陛下
この国で最も尊い女性であり、隣国から嫁いできた元王女。
『俺に興味を抱くような人では無かったから』
殿下はああ言っていたが、私からしたら何かが隠されているような気がしてならない。
(王妃陛下は本当に殿下に無関心なのかしら?)
私のことを嫌うのは分かるが、殿下に対して興味が無いというのはどうも理解することが出来なかった。
殿下が何かしたとは到底思えないし、いくら愛していない男との子供とはいえ彼女がお腹を痛めて産んだ子供に違いは無いから。
(私も出来ることなら王妃陛下と親しくなりたいわ……)
エリザベス王妃陛下は殿下の母親なので将来は義理の親子になるのだ。
だからこそ、出来るだけ良好な関係を築いていけたらいいなと思っている。
(その点で言えば、国王陛下も義理の父親だけれど……)
あんな人と仲良くするだなんて死んでも御免だ。
大体あの人は私を娘ではなく一人の女として見ているわけだし。
近付かない方が良いだろう。
そう心に決めたはいいものの、問題は山積みだ。
(私がエリザベス王妃陛下に好かれるだなんて……そんなこと可能なのかしら……)
前世ではどれだけ頑張っても王妃陛下に認められることは無かった。
ニコニコと愛想良く話しかけても、王妃教育で培った美しいカーテシーを披露しても眉をひそめられるだけだった。
そのようにする理由を知ってからはむしろ妙に納得したが。
私と王妃陛下の間には深い溝がある。
こればっかりはどうしようもなかった。
私はハァとため息をついて窓の外に視界を向けた。
美しく咲き誇る色とりどりのパンジーが私の目に入った。
パンジーは十月に咲く花だ。
(もうそんな季節なのね……)
時の流れは本当に早い。
私が二度目の生を受けてから既に三年が経とうとしていた。
風を受けてゆらゆらと揺れる花たちをじっと見ていた私の脳裏に、ある考えがよぎった。
(……そうだわ、これなら)
ようやく良い案を見つけ出した私は、馬車の中で一人口角を上げた。
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