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46 彼からのプレゼント
「お嬢様、お嬢様宛てに贈り物がいくつか届いております」
「……贈り物?」
フィオナは侍女から複数のプレゼントの箱を受け取った。
「あら、カイルからだわ」
そのうちの一つはカイルから贈られたものだった。
中を開けると、ネックレスが入っていた。
『美しいあなたに似合うものを町で見かけました。私たちの婚約の記念としてプレゼントします』
プレゼントには短めの手紙が添えられていた。
美しいだなんてそうハッキリと言われると何だか照れ臭い。
カイルは女性を喜ばせるのが上手いようだ。
「とても素敵なネックレスですね。リリアーン侯爵令息からのプレゼントですか?」
「ええ、次のパーティーに着けて行きましょう」
フィオナはカイルから貰ったネックレスを侍女に預け、大事に保管するように命じた。
今日彼女の元に届いたのは、主にカイルとの婚約を祝う贈り物だった。
セレナイト公爵家の長女であるフィオナと、リリアーン侯爵家の令息であるカイル。
高位貴族同士の結婚であり、それに加えて二人ともワケありなのだから、注目を集めるのは当然だった。
フィオナは次々と自身の元に届いた箱を開封していった。中には皇族からのプレゼントまであった。
そして、最後に彼女の手元に残ったのは――
「この箱は……アロイス?」
箱の表面に添えられたカードに、アロイス・フェンダルと書かれてあった。
(アロイスが、一体私に何をプレゼントするというの?)
疑問に思いながらも中を開けると、一本の赤い薔薇が姿を現した。
フィオナはプレゼントの中身に、さらに困惑した。
「まぁ……赤い薔薇だなんて……」
傍に控えていた侍女が驚いたように声を上げた。
一本の赤い薔薇の花言葉は、一目ぼれだ。
告白や恋人へのプレゼントとしてよく使われるものだ。
その意味をよく知っているフィオナは、動揺した。
何とか平静を保つと、侍女に淡々と命じた。
「……お兄様の部屋にでも飾っておいてちょうだい」
「き、キースお坊ちゃまのお部屋にですか!?お嬢様、せっかくフェンダル公爵様から頂いたというのにもったいない……」
せっかく美しく咲いている花を捨てるだなんてもったいない。
しかし、だからといって自分の部屋に飾っておくのは何だか憚られた。
(アロイスから貰ったものだし……)
ならキースの部屋に飾ればいいか。
キースは不快に思うだろうが、仕方ない。
(……揺れちゃダメよ)
フィオナは必死で心を保った。
――私たちの関係はとっくに終わっているのだから。
彼がどれだけ後悔していようと、私には何の関係もない。
「……贈り物?」
フィオナは侍女から複数のプレゼントの箱を受け取った。
「あら、カイルからだわ」
そのうちの一つはカイルから贈られたものだった。
中を開けると、ネックレスが入っていた。
『美しいあなたに似合うものを町で見かけました。私たちの婚約の記念としてプレゼントします』
プレゼントには短めの手紙が添えられていた。
美しいだなんてそうハッキリと言われると何だか照れ臭い。
カイルは女性を喜ばせるのが上手いようだ。
「とても素敵なネックレスですね。リリアーン侯爵令息からのプレゼントですか?」
「ええ、次のパーティーに着けて行きましょう」
フィオナはカイルから貰ったネックレスを侍女に預け、大事に保管するように命じた。
今日彼女の元に届いたのは、主にカイルとの婚約を祝う贈り物だった。
セレナイト公爵家の長女であるフィオナと、リリアーン侯爵家の令息であるカイル。
高位貴族同士の結婚であり、それに加えて二人ともワケありなのだから、注目を集めるのは当然だった。
フィオナは次々と自身の元に届いた箱を開封していった。中には皇族からのプレゼントまであった。
そして、最後に彼女の手元に残ったのは――
「この箱は……アロイス?」
箱の表面に添えられたカードに、アロイス・フェンダルと書かれてあった。
(アロイスが、一体私に何をプレゼントするというの?)
疑問に思いながらも中を開けると、一本の赤い薔薇が姿を現した。
フィオナはプレゼントの中身に、さらに困惑した。
「まぁ……赤い薔薇だなんて……」
傍に控えていた侍女が驚いたように声を上げた。
一本の赤い薔薇の花言葉は、一目ぼれだ。
告白や恋人へのプレゼントとしてよく使われるものだ。
その意味をよく知っているフィオナは、動揺した。
何とか平静を保つと、侍女に淡々と命じた。
「……お兄様の部屋にでも飾っておいてちょうだい」
「き、キースお坊ちゃまのお部屋にですか!?お嬢様、せっかくフェンダル公爵様から頂いたというのにもったいない……」
せっかく美しく咲いている花を捨てるだなんてもったいない。
しかし、だからといって自分の部屋に飾っておくのは何だか憚られた。
(アロイスから貰ったものだし……)
ならキースの部屋に飾ればいいか。
キースは不快に思うだろうが、仕方ない。
(……揺れちゃダメよ)
フィオナは必死で心を保った。
――私たちの関係はとっくに終わっているのだから。
彼がどれだけ後悔していようと、私には何の関係もない。
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