王妃を蔑ろにし、愛妾を寵愛していた王が冷遇していた王妃と入れ替わるお話。

ましゅぺちーの

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10 気持ち

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私はあの後、すぐに自室に戻りベッドに入った。


あのまま外にいたらまたレアに何かされるかもしれない。それなら部屋の中にいた方が安全だろう。私はそう判断してすぐに部屋へと戻ったのだ。


(・・・・・・疲れた)


まだ寝るには少し早いが、それ以外にすることもなかったため私はベッドに横になった。それに何だか今日は体が重たい。


きっと色々なことがあって疲れているのだろう。


私はそう思い、ベッドの上で目を閉じた。


(・・・)


しかし、すぐに眠りにつくことは出来なかった。


何故か私の脳裏に大嫌いなはずのあの女が浮かんできたのである。


部屋へ戻る途中に気付いたことだが、王妃の腕にはいくつかのアザがあった。


それを見て私はある結論に辿り着いた。


(もしかしたら・・・あいつはずっと王宮であのような仕打ちを受けていたのか・・・?)


レアは王妃に虐げられていると言ったが、それはきっと嘘だろう。もうレアの言うこと全てが信じられなかった。何が本当で何が嘘なのか。それすらも分からない。いや、もしかしたら私に言ったこと全て嘘なのではないか。


「・・・」


今の私にはレアを愛する気持ちは微塵も残っていなかった。元の体に戻れたとしても私は以前のように彼女に接することが出来ないだろう。いや、今はそれ以上に―


(・・・・・・王妃)


あいつはどのような人間なのだろうか。私はそれが気になった。


あいつとは婚約者として長い時間を過ごしてきたが、私はあの女に全く興味が無かった。何が好きなのか、普段は何をして過ごしているのか、私は王妃のことを何も知らないのだ。


(・・・明日でこの体も最後か)


なら、あの女がどのような人間なのか調べてみてもいいかもしれない。


私はそう思いながらも眠りについた。





◇◆◇◆◇◆




そしてまた朝が来た。


この部屋で朝を迎えるのももう三回目だ。いつもと違う天井にはやはりまだ慣れない。


(今日一日を終えれば・・・ようやく元の体に戻れるんだな・・・)


どこか複雑な気持ちだった。


少し前の私ならそれが嬉しくてたまらなかったはずだ。大嫌いな女の体から抜け出すことが出来て、最愛のレアに愛を囁くことが出来る。だけど、今は自分の気持ちがもうよく分からない。


「王妃陛下、おはようございます」


考え込んでいた私に侍女が話しかけた。


こないだ私の前で怒りを露にしていた侍女だ。


「あぁ・・・おはよう・・・」


私が返事をすると彼女はニッコリと笑った。


私はそこで、あることに気が付いた。


(・・・そういえば、侍女たちの王妃を見る目が妙に優しいな)


レアに仕えているあの侍女は王妃のことを馬鹿にしているようだったが、それ以外の侍女はやけに王妃に対して友好的だった。


そのとき、昔レアが言っていたことを思い出した。レアの話によると、あの女は王妃の権力を振りかざして侍女たちをこき使っているらしい。


(・・・まぁ、嘘なんだろうな)


自分たちをこき使っている人間にあのような目は向けられないだろう。レアにはどうやら虚言癖があったようだ。私はレアのその情報だけで王妃を嫌い、辛く当たってきた。


「・・・」


(私は・・・間違えてしまったんだな・・・)


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