結婚初夜、「何故彼女が死んでお前が生きているんだ」と夫に言われました

ましゅぺちーの

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3話 王妃エリザベート

「王妃様、アリサです」
「入りなさい」


扉を開けると、椅子に座る王妃エリザベートの姿が目に入った。
エリザベートは扇子で口元を隠しながら目を細めて私を見ていた。


私はそんな彼女のもとへ歩き、カーテシーをして挨拶をした。


「王妃様、ご機嫌いかがでしょうか」
「テオドールから話は聞いたわ、初夜を行わなかったそうね?」
「ええ、王太子殿下は疲れていたようでして」
「そう、当然ね。あの子はシアを愛していたのだから」
「……」


王妃はきっと誰よりもテオドールの気持ちを知っていただろう。
愛する息子の願いを叶えてあげたいと思うのは、親ならば当然のことだ。


「シアがテオドールと結婚していたら……私たちはみんな幸せになれたはずよ」
「……そうですね」


何度も聞いたことだった。
そのとき、ふとシアが生きていた頃、彼女に言われた言葉が頭をよぎった。


『お姉さま、お願いがあるの。テオドール様を私に譲ってくれないかしら?私たち、愛し合ってるのよ』


王太子を愛してはいなかったが、王命で決められた婚約を、簡単に破棄することなどできないことを知っていた私は断った。
そのことを知った両親は私を厳しく叱責した。


『妹の頼みすら聞いてやれないのか?お前はいつからそんな冷たい女になったんだ』
『あなたは一体いつまでその座にしがみついているのかしら?いい加減妹に譲ってあげなさい』


二人は高位貴族として、誰よりも王命の大切さを知っているはずなのに。
それでもそのようなことを言うのは愛するシアのためだろう。


「あなた、聞いているのかしら?」
「あ、はい……」
「この私の話の最中に考え事をするなんていい度胸ね」
「……」


リタ王国の国王陛下は数年前病にかかり、長い間床に伏せっている。
そのため、王妃エリザベートは今この国の最高権力者だった。
王太子妃になったとはいえ、実家からも見放されている私にとって彼女はあまりにも強大な相手だった。


「大体あなたは昔からいつも――」
「……」


王妃エリザベートの説教は一度始まるとなかなか終わらない。
王太子と婚約した十二年前からずっと耐えていた。


「この際はっきり言わせてもらうけれど――あなた、人として終わっているわ」
「……!」


人格まで否定されたのは初めてだった。
昨夜王太子に言われた言葉と相まって、心がズタズタに壊れていく。


「いるだけで不幸を呼び寄せる疫病神みたいなものなのだから、せいぜい役に立つお飾りの妻でいなさい」


それだけ言うと王妃は私に出ていくように命じた。


「はい……陛下……」


言い返したくなるのを何とか我慢した私は、そのまま王妃の部屋から出ていった。


早歩きで王宮の廊下を歩いていると、使用人たちの嘲笑うような声が聞こえてきた。


「ふふ、誰からも愛されない妃殿下」
「誰からも必要とされない妃殿下」


嘲りの声は次第に大きくなっていく。


「なんでアイツが生きてるんだよ」
「なぜシアお嬢様が死ななければならなかったんだ」
「いっそ……」








「「「「「アイツが死ねばよかったのに」」」」」



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