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8話 ラギレス・フォルティナ公爵
「こ、恋人……!?次期王太子妃……!?」
「殿下は何を言っているんだ……!?」
会場にいる人々は驚きを隠せなかった。
結婚したばかりの王太子が突然恋人を連れてパーティーに姿を現したのだから当然だった。
(殿下……)
私はただその光景を遠くからじっと眺めていることしかできなかった。
オスカーなんて貴族は聞いたことが無い。
つまり、彼女は平民だということだ。
側室ならまだしも平民を王太子妃にするだなんて、そんなの認められるはずがない。
当然、貴族たちは反対するはずだ。
平民が次期王妃など、プライドの高い彼らが納得するわけがないからだ。
しかし――
「皆さん初めまして、アビゲイル・オスカーと申します」
アビゲイルはニッコリと笑った。
まるでシアを連想させるような優雅な笑みに、会場の空気が一瞬にして変わった。
私はどこか妙な違和感を感じてならなかった。
(まるで……前に魔族様に魔法をかけられたときのようだわ……)
「……そうだな、彼女こそ王太子妃に相応しい」
「ああ、あんなお飾りの妻よりもアビゲイル嬢のほうが王太子妃となるべきだ」
「そうだ、アビゲイル嬢こそが王太子妃だ」
まるで洗脳でもされたかのように、全員が突如現れた平民の少女を認め始めた。
いてもたってもいられなくなった私は、慌てて王太子の元へ駆け寄った。
「王太子殿下!これは一体どういうことですか……?」
「聞いていなかったのか?私は彼女を王太子妃とするつもりだ」
「な、何を……」
殿下は冷たい目で私を見下ろしていた。
ついさっきアビゲイルに向けていた優しいまなざしとは打って変わって、凍てつくような瞳だった。
「殿下、平民を王太子妃とするなんて正気ですか!彼女のことを思っているのならば、どうか正妻ではなく側室に――」
「うるさい!お前に口出しされる筋合いはない!」
「キャアッ!」
殿下は怒りに任せて私を突き飛ばした。
「いたた……」
床に倒れた私は身体を強く打ち付け、痛みで動くことができなかった。
周囲の人々の嘲笑うような声が耳に入る。
「あら、なんてみっともないのかしら」
「王太子妃さまが床に転がってるぞ」
誰も私を助けてくれる人などいない。
この会場にいる人たちは全員が私の敵も同然なのだから。
(恥ずかしい……こんな姿で……)
うつむいて顔を上げられなくなっていた私に、突然手が差し伸べられた。
「――大丈夫か?」
頭上から聞こえた温かい声に顔を上げると、知った顔が目に入った。
「……あなたは……ラギレス様……?」
何と、私に手を差し伸べていたのはラギレスだった。
(どうしてラギレス様がここに……?)
理解が追いつかなかった。
突然の魔族の登場に、人々はざわめいた。
「あら、何てかっこいい人……」
「あの人ってたしか……魔族の国の……」
「――ラギレス・フォルティナ公爵閣下よ!間違いないわ!」
(公爵閣下……?ラギレス様が……?)
「殿下は何を言っているんだ……!?」
会場にいる人々は驚きを隠せなかった。
結婚したばかりの王太子が突然恋人を連れてパーティーに姿を現したのだから当然だった。
(殿下……)
私はただその光景を遠くからじっと眺めていることしかできなかった。
オスカーなんて貴族は聞いたことが無い。
つまり、彼女は平民だということだ。
側室ならまだしも平民を王太子妃にするだなんて、そんなの認められるはずがない。
当然、貴族たちは反対するはずだ。
平民が次期王妃など、プライドの高い彼らが納得するわけがないからだ。
しかし――
「皆さん初めまして、アビゲイル・オスカーと申します」
アビゲイルはニッコリと笑った。
まるでシアを連想させるような優雅な笑みに、会場の空気が一瞬にして変わった。
私はどこか妙な違和感を感じてならなかった。
(まるで……前に魔族様に魔法をかけられたときのようだわ……)
「……そうだな、彼女こそ王太子妃に相応しい」
「ああ、あんなお飾りの妻よりもアビゲイル嬢のほうが王太子妃となるべきだ」
「そうだ、アビゲイル嬢こそが王太子妃だ」
まるで洗脳でもされたかのように、全員が突如現れた平民の少女を認め始めた。
いてもたってもいられなくなった私は、慌てて王太子の元へ駆け寄った。
「王太子殿下!これは一体どういうことですか……?」
「聞いていなかったのか?私は彼女を王太子妃とするつもりだ」
「な、何を……」
殿下は冷たい目で私を見下ろしていた。
ついさっきアビゲイルに向けていた優しいまなざしとは打って変わって、凍てつくような瞳だった。
「殿下、平民を王太子妃とするなんて正気ですか!彼女のことを思っているのならば、どうか正妻ではなく側室に――」
「うるさい!お前に口出しされる筋合いはない!」
「キャアッ!」
殿下は怒りに任せて私を突き飛ばした。
「いたた……」
床に倒れた私は身体を強く打ち付け、痛みで動くことができなかった。
周囲の人々の嘲笑うような声が耳に入る。
「あら、なんてみっともないのかしら」
「王太子妃さまが床に転がってるぞ」
誰も私を助けてくれる人などいない。
この会場にいる人たちは全員が私の敵も同然なのだから。
(恥ずかしい……こんな姿で……)
うつむいて顔を上げられなくなっていた私に、突然手が差し伸べられた。
「――大丈夫か?」
頭上から聞こえた温かい声に顔を上げると、知った顔が目に入った。
「……あなたは……ラギレス様……?」
何と、私に手を差し伸べていたのはラギレスだった。
(どうしてラギレス様がここに……?)
理解が追いつかなかった。
突然の魔族の登場に、人々はざわめいた。
「あら、何てかっこいい人……」
「あの人ってたしか……魔族の国の……」
「――ラギレス・フォルティナ公爵閣下よ!間違いないわ!」
(公爵閣下……?ラギレス様が……?)
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