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9話 アビゲイルの正体
「ありがとうございます、ラギレス様……」
私は状況が理解できないまま、ラギレスの手を取った。
彼が魔族の国の公爵閣下だということは今初めて知った。
当然、驚きを隠せない。
立ち上がると、彼は私を庇うようにして王太子との間に立った。
「リタ王国の王太子よ……自身の妻を公衆の面前で突き飛ばすとは正気か?」
「……!」
ラギレスの気迫に、非力な王太子がビクリと肩を上げた。
相手は魔族だった。
生身の人間が敵うはずのない相手。
私たちは魔法を扱えるわけでもなければ、彼らのように強靭な肉体を持ち合わせているわけでもない。
王太子はそれでもめげずに声を上げた。
「あなたは魔族の国の……何故公爵閣下がそんな女の肩を持っているんだ!」
「王太子、あなたは自分が何をしでかしたか理解していないようだな、何て愚かなんだ。こんなのが次期国王とは、世も末だな」
「な、何だと!?」
王太子は声を荒らげた。
ラギレスはそんな彼のことなど気にも留めず、隣にいたアビゲイルに目をやった。
「そして横にいる女……私の顔を忘れたとは言わないだろうな」
「……ッ!」
王太子の横にいたアビゲイル嬢は顔を真っ青にし、今にも倒れそうだった。
(ラギレス様とアビゲイル嬢は知り合いなのかしら……?)
彼女はラギレスと目を合わせることなく、身体をプルプルと震わせていた。
「アビゲイル!」
王太子が慌ててアビゲイルの身体を支えた。
「魔力のない人間たちは騙せても、私たち魔族の目は誤魔化せまい」
ラギレスはそう言うと、指をパチンと鳴らした。
その瞬間、アビゲイルが真っ黒な霧に包まれた。
「アビゲイル!?」
「キャアッ!」
彼女を守ろうと抱きしめた王太子は吹き飛ばされ、周囲にいた人々も咳き込んだ。
霧の中から姿を現したのは――
「………………シア?」
ついさっきまでそこにいたアビゲイルは一体どこにいったのか。
半年前に亡くなったはずのシアが座り込んで動けなくなっていた。
(どうしてシアが……彼女はたしかに事故で亡くなったはずなのに……)
会場にざわめきが広がった。
「あれって……シア嬢だよな?」
「事故で亡くなったはずでは?」
「偽物か?何故ここにいるんだ?アビゲイル嬢は一体どこに……」
驚いているのは皆同じだった。
「シ、シア!?生きていたのか!?」
王太子が慌てて彼女に駆け寄ろうとするが、彼女の周りに張り巡らされた結界が、彼を弾き飛ばした。
「うっ……!」
二度も吹き飛ばされ、彼は床に倒れこんだ。
「シ、シア……」
シアはラギレスの魔法によって身体を拘束されていた。
まるで罪人が受けるかのような扱いだった。
「アビゲイル・オスカー。名前と外見を変えればバレないとでも思ったか?」
「ラギレス……アンタこそ、ホンットしつこいわね」
ラギレスはシアを冷たい目で見下ろした。
(一体どういうこと?何が起きているの?)
私は状況が理解できないまま、ラギレスの手を取った。
彼が魔族の国の公爵閣下だということは今初めて知った。
当然、驚きを隠せない。
立ち上がると、彼は私を庇うようにして王太子との間に立った。
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「……!」
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相手は魔族だった。
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「あなたは魔族の国の……何故公爵閣下がそんな女の肩を持っているんだ!」
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「な、何だと!?」
王太子は声を荒らげた。
ラギレスはそんな彼のことなど気にも留めず、隣にいたアビゲイルに目をやった。
「そして横にいる女……私の顔を忘れたとは言わないだろうな」
「……ッ!」
王太子の横にいたアビゲイル嬢は顔を真っ青にし、今にも倒れそうだった。
(ラギレス様とアビゲイル嬢は知り合いなのかしら……?)
彼女はラギレスと目を合わせることなく、身体をプルプルと震わせていた。
「アビゲイル!」
王太子が慌ててアビゲイルの身体を支えた。
「魔力のない人間たちは騙せても、私たち魔族の目は誤魔化せまい」
ラギレスはそう言うと、指をパチンと鳴らした。
その瞬間、アビゲイルが真っ黒な霧に包まれた。
「アビゲイル!?」
「キャアッ!」
彼女を守ろうと抱きしめた王太子は吹き飛ばされ、周囲にいた人々も咳き込んだ。
霧の中から姿を現したのは――
「………………シア?」
ついさっきまでそこにいたアビゲイルは一体どこにいったのか。
半年前に亡くなったはずのシアが座り込んで動けなくなっていた。
(どうしてシアが……彼女はたしかに事故で亡くなったはずなのに……)
会場にざわめきが広がった。
「あれって……シア嬢だよな?」
「事故で亡くなったはずでは?」
「偽物か?何故ここにいるんだ?アビゲイル嬢は一体どこに……」
驚いているのは皆同じだった。
「シ、シア!?生きていたのか!?」
王太子が慌てて彼女に駆け寄ろうとするが、彼女の周りに張り巡らされた結界が、彼を弾き飛ばした。
「うっ……!」
二度も吹き飛ばされ、彼は床に倒れこんだ。
「シ、シア……」
シアはラギレスの魔法によって身体を拘束されていた。
まるで罪人が受けるかのような扱いだった。
「アビゲイル・オスカー。名前と外見を変えればバレないとでも思ったか?」
「ラギレス……アンタこそ、ホンットしつこいわね」
ラギレスはシアを冷たい目で見下ろした。
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