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12話 シアの過去①
「そ、そんな……洗脳……?」
「ええそうよ、みんなして馬鹿みたいに騙されちゃって。本当に面白かったわ」
ショックで声も出ない私を見たシアは醜く笑った。
彼女はこれ以上隠す必要もないのか、自身の過去について語り始めた。
「私はね、生まれたころから父親がいなかったの。ママは魔界で罪を犯して追い出されたあと、命からがら人間界へ逃げ延びた」
――侯爵令嬢シア・グランダール……いや、シアは人間ではなかった。
魔族の母親アイリーンと、同種族の父親から生まれた。
といっても彼女は父親の顔なんて見たこともなかったが。
シアの母親のアイリーンは生まれつき魅了魔法を持っていた。
魅了魔法とは男女問わず相手を自分に惚れさせ、意のままに操る恐ろしい魔法のことだ。
彼女はその力を使い、これまで好き勝手に生きてきた。
裕福な男たちを手玉に取り、人生を崩壊させ、何人もの魔族を死に追いやった。
アイリーンはとんでもない悪女だった。
そのことに心を痛めることも無ければ、翌日には平然と次のターゲットを探し始めていたのだから。
この世のすべては自分のものであり、自分はそのすべてを手に入れるに相応しい人間だ。
アイリーンは常日頃からそのような考えを持って生きていた。
しかし、因果応報は存在した。
彼女はやりすぎてしまったのだ。
アイリーンが魅了魔法を使った相手の中に、ラギレスが団長を務める魔王軍の隊員がいたのだ。
その一件で、魅了魔法を持つ彼女の存在がラギレスや魔王にバレてしまった。
平民の女の持つ魅了魔法が、公爵であるラギレスや魔王に通じるはずがない。
彼女は一気に窮地に立たされることとなった。
『アイリーンを直ちに処刑せよ』
魔王は魔王軍団長のラギレス・フォルティナ公爵に彼女の処刑を命じた。
アイリーンは死にたくなかった。
しかしラギレスは散々好き放題してきた極悪女に慈悲など与えなかった。
魔王軍は彼女を追い詰め、アイリーンはもはや魔界に逃げ道などなくなっていた。
『どうする……?どうすれば逃げられる……?一体どこへ行けば……!』
アイリーンは迫りくる魔王軍から逃げながら必死で考えた。
『魔族は全員が私の敵よ……!なら魔族のいないところへ行けばいいわ……!』
そんな彼女が逃亡先に選んだ場所が人間界だった。
アイリーンは自らの死を偽装し、秘密裏に人間界へと渡った。
――そのとき、彼女はちょうど子供を身籠っていた。
誰の子かはわからなかった。
アイリーンは元々遊び人で、多くの男と関係を持っていたからだ。
彼女は子供の存在を疎ましく思ったものの、結局産むことを決意し、人間界で出産した。
生まれたのは彼女と同じ――いや、それ以上に強力な魅了魔法を持った女の子だった。
それがシアだった。
「ええそうよ、みんなして馬鹿みたいに騙されちゃって。本当に面白かったわ」
ショックで声も出ない私を見たシアは醜く笑った。
彼女はこれ以上隠す必要もないのか、自身の過去について語り始めた。
「私はね、生まれたころから父親がいなかったの。ママは魔界で罪を犯して追い出されたあと、命からがら人間界へ逃げ延びた」
――侯爵令嬢シア・グランダール……いや、シアは人間ではなかった。
魔族の母親アイリーンと、同種族の父親から生まれた。
といっても彼女は父親の顔なんて見たこともなかったが。
シアの母親のアイリーンは生まれつき魅了魔法を持っていた。
魅了魔法とは男女問わず相手を自分に惚れさせ、意のままに操る恐ろしい魔法のことだ。
彼女はその力を使い、これまで好き勝手に生きてきた。
裕福な男たちを手玉に取り、人生を崩壊させ、何人もの魔族を死に追いやった。
アイリーンはとんでもない悪女だった。
そのことに心を痛めることも無ければ、翌日には平然と次のターゲットを探し始めていたのだから。
この世のすべては自分のものであり、自分はそのすべてを手に入れるに相応しい人間だ。
アイリーンは常日頃からそのような考えを持って生きていた。
しかし、因果応報は存在した。
彼女はやりすぎてしまったのだ。
アイリーンが魅了魔法を使った相手の中に、ラギレスが団長を務める魔王軍の隊員がいたのだ。
その一件で、魅了魔法を持つ彼女の存在がラギレスや魔王にバレてしまった。
平民の女の持つ魅了魔法が、公爵であるラギレスや魔王に通じるはずがない。
彼女は一気に窮地に立たされることとなった。
『アイリーンを直ちに処刑せよ』
魔王は魔王軍団長のラギレス・フォルティナ公爵に彼女の処刑を命じた。
アイリーンは死にたくなかった。
しかしラギレスは散々好き放題してきた極悪女に慈悲など与えなかった。
魔王軍は彼女を追い詰め、アイリーンはもはや魔界に逃げ道などなくなっていた。
『どうする……?どうすれば逃げられる……?一体どこへ行けば……!』
アイリーンは迫りくる魔王軍から逃げながら必死で考えた。
『魔族は全員が私の敵よ……!なら魔族のいないところへ行けばいいわ……!』
そんな彼女が逃亡先に選んだ場所が人間界だった。
アイリーンは自らの死を偽装し、秘密裏に人間界へと渡った。
――そのとき、彼女はちょうど子供を身籠っていた。
誰の子かはわからなかった。
アイリーンは元々遊び人で、多くの男と関係を持っていたからだ。
彼女は子供の存在を疎ましく思ったものの、結局産むことを決意し、人間界で出産した。
生まれたのは彼女と同じ――いや、それ以上に強力な魅了魔法を持った女の子だった。
それがシアだった。
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