6 / 13
手の中いっぱいの嘘(法王の逆位置)
しおりを挟む
「……」
同じ名前でも、向きが違うとこうも変わるのだろうか。カード達と過ごす時間が長くなっていくにつれて、その疑問はどんどん大きくなっていっている。
愚者や魔術師にしてもそうだが、正位置と比べるとかなりの豹変ぶりだ。そして、この男も例外ではない。
「ね~ぇ~……僕の話ちゃんと聞いてくれてる~?」
彼の名は『法王』の逆位置、正位置とは兄弟らしく、彼は正位置を『兄さん』と呼んでいる。
主な意味は『ペテン師・騙し・偽り』で、兄と違って非常によくしゃべる、非常に。いや異常というべきだろうか、異常なまでによくしゃべるのだ。
「はいはい聞いてるよ。で、何の話だっけ?」
「聞いてないじゃないか~……ひどいなぁ。折角僕の貴重な体験談を話してるっていうのにさー」
「どうせ噓なんでしょ? 貴方の話って全部噓じゃない……聞く意味ないじゃん」
そう、彼はおしゃべりなのだが、彼の話す話は全て嘘なのである。どれだけ真剣な口調で話をしていても、最後には『まぁ噓だけどね♪』といい、噓であったことが発覚する。毎回こんな調子であるため、いい加減慣れてしまったのだ。
「噓じゃないよー! 今回は本当、ねぇ聞くだけ聞いてよー!」
それでも彼の話には、耳を傾けてしまう。その理由は、たとえ噓だとわかっていても、それが面白いと感じるからだ。彼の噓には人を傷つける噓がない、どれも人を面白おかしく笑わせる噓なのだ。だからこそ余計に聞きたくなってしまうのかもしれない。
「はぁ……もう分かったよ~……今日はどんな噓を話してくれるの?」
こうしてまた、私は彼の噓に引き寄せられる。
楽しくて面白い、彼だけがつける噓の話に。
同じ名前でも、向きが違うとこうも変わるのだろうか。カード達と過ごす時間が長くなっていくにつれて、その疑問はどんどん大きくなっていっている。
愚者や魔術師にしてもそうだが、正位置と比べるとかなりの豹変ぶりだ。そして、この男も例外ではない。
「ね~ぇ~……僕の話ちゃんと聞いてくれてる~?」
彼の名は『法王』の逆位置、正位置とは兄弟らしく、彼は正位置を『兄さん』と呼んでいる。
主な意味は『ペテン師・騙し・偽り』で、兄と違って非常によくしゃべる、非常に。いや異常というべきだろうか、異常なまでによくしゃべるのだ。
「はいはい聞いてるよ。で、何の話だっけ?」
「聞いてないじゃないか~……ひどいなぁ。折角僕の貴重な体験談を話してるっていうのにさー」
「どうせ噓なんでしょ? 貴方の話って全部噓じゃない……聞く意味ないじゃん」
そう、彼はおしゃべりなのだが、彼の話す話は全て嘘なのである。どれだけ真剣な口調で話をしていても、最後には『まぁ噓だけどね♪』といい、噓であったことが発覚する。毎回こんな調子であるため、いい加減慣れてしまったのだ。
「噓じゃないよー! 今回は本当、ねぇ聞くだけ聞いてよー!」
それでも彼の話には、耳を傾けてしまう。その理由は、たとえ噓だとわかっていても、それが面白いと感じるからだ。彼の噓には人を傷つける噓がない、どれも人を面白おかしく笑わせる噓なのだ。だからこそ余計に聞きたくなってしまうのかもしれない。
「はぁ……もう分かったよ~……今日はどんな噓を話してくれるの?」
こうしてまた、私は彼の噓に引き寄せられる。
楽しくて面白い、彼だけがつける噓の話に。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
ざまぁされるための努力とかしたくない
こうやさい
ファンタジー
ある日あたしは自分が乙女ゲームの悪役令嬢に転生している事に気付いた。
けどなんか環境違いすぎるんだけど?
例のごとく深く考えないで下さい。ゲーム転生系で前世の記憶が戻った理由自体が強制力とかってあんまなくね? って思いつきから書いただけなので。けど知らないだけであるんだろうな。
作中で「身近な物で代用できますよってその身近がすでにないじゃん的な~」とありますが『俺の知識チートが始まらない』の方が書いたのは後です。これから連想して書きました。
ただいま諸事情で出すべきか否か微妙なので棚上げしてたのとか自サイトの方に上げるべきかどうか悩んでたのとか大昔のとかを放出中です。見直しもあまり出来ないのでいつも以上に誤字脱字等も多いです。ご了承下さい。
恐らく後で消す私信。電話機は通販なのでまだ来てないけどAndroidのBlackBerry買いました、中古の。
中古でもノーパソ買えるだけの値段するやんと思っただろうけど、ノーパソの場合は妥協しての機種だけど、BlackBerryは使ってみたかった機種なので(後で「こんなの使えない」とぶん投げる可能性はあるにしろ)。それに電話機は壊れなくても後二年も経たないうちに強制的に買い換え決まってたので、最低限の覚悟はしてたわけで……もうちょっと壊れるのが遅かったらそれに手をつけてた可能性はあるけど。それにタブレットの調子も最近悪いのでガラケー買ってそっちも別に買い換える可能性を考えると、妥協ノーパソより有意義かなと。妥協して惰性で使い続けるの苦痛だからね。
……ちなみにパソの調子ですが……なんか無意識に「もう嫌だ」とエンドレスでつぶやいてたらしいくらいの速度です。これだって10動くっていわれてるの買ってハードディスクとか取り替えてもらったりしたんだけどなぁ。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
ちゃんと忠告をしましたよ?
柚木ゆず
ファンタジー
ある日の、放課後のことでした。王立リザエンドワール学院に籍を置く私フィーナは、生徒会長を務められているジュリアルス侯爵令嬢アゼット様に呼び出されました。
「生徒会の仲間である貴方様に、婚約祝いをお渡したくてこうしておりますの」
アゼット様はそのように仰られていますが、そちらは嘘ですよね? 私は最愛の方に護っていただいているので、貴方様に悪意があると気付けるのですよ。
アゼット様。まだ間に合います。
今なら、引き返せますよ?
※現在体調の影響により、感想欄を一時的に閉じさせていただいております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる