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悪の思考(正義の逆位置)
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「これは冥界の女王ではないか、我がアジトに何用だ!」
「こんにちは、挨拶に来ただけだよ」
「下僕共よ、冥界の女王に悲鳴を浴びせるのだ!」
「あはは、相変わらず手入れしているんだね。いいよ全部動かさなくても、ちゃんと聴こえたから」
正義の逆といえば、何を思い浮かべるだろう。大半の人は正義の逆を『悪』だと答え、『悪』に対して嫌悪感を抱く事もあると思われる。悪には様々な種類があり、目に見えるものもあれば見えないものもある。それらを判断するのは簡単なようで難しく、時には誤った判断により本来悪ではないものが悪呼ばわりされてしまうこともある。
然しながら、彼女を見ていると本当の悪とは一体何なのだろうかと疑問に思ってしまう。それは彼女の独特の考えや性格が影響しているのだろうと思う。
ここで彼女の紹介をしておこう。彼女は『正義』の逆位置、主な意味は『歪んだ価値観・不信感・過度な批判』など。冒頭から察した人もいるとは思うが、彼女は俗に言う厨二病気質である。
彼女のいう冥界の女王とは、私の事を指しているようだが、何故そのようなあだ名になったのかは分からない。
また、下僕共と言っていたのは彼女が愛用しているぬいぐるみ達で、ひとつずつ動かしながらあたかもぬいぐるみが挨拶をしているかのように動かそうとしていたため、途中で止めたのである。
「流石は冥界の女王、下僕共の声にも耳を傾け支配するとは関心ものだ」
「いや別に支配してはいないんだけど……変わりなくて良かったよ」
「変わり続けるは人の定め、我々は屈さず今をゆくのみ。だが過敏な態度は身を滅ぼすことになるであろう!」
「……要するに、デマ情報に流されないようにしろってことを言いたいんだね。忠告ありがとう」
彼女の発言は理解するのが難しい反面、理解できると非常に常識的な事を言っているのが分かる。意外にも常識人な彼女だが、正義の正位置さん曰く態とこのような態度をとっているのだという。その理由については本人が言わないため不明との事だが、彼女の持つ意味や行動から何となく理由が分かった。
「ねぇ、逆正義さん」
「何用だ冥界の女王、我は下僕共に永遠の眠りを与えねばならんのだ!」
「ぬいぐるみを寝かせてあげるんだね、しながらでいいから聞いて。私ね、少しだけあなたの気持ちが分かった気がするの……人のことが、信用出来ないんだよね」
「……」
「人が信用出来ないから、人が自分に距離を置くような態度を取り続けているんだよね。そうすれば自分に必要以上に干渉してこないから、自分も相手も嫌な思いをしなくて済むって……」
彼女のこの態度には、何かしらの意味があると思いながら関わってきた。そのうちに少しずつではあるが、彼女の本当の思いに何度か触れる事が出来たことがあった。その全ては普段の彼女の態度からは決して汲み取ることができないような、優しさに溢れたものだった。
然し、彼女は決してそれを表には出さない。最初は出すのが怖いからかと思っていたが、彼女が本当の思いを話す時の態度をみて、そんな単純なものではないのかもしれないと思うようになっていた。
「もう分かってくれているとは思うけど、私は決してあなたを否定したり見捨てたりしない。どんなあなたでも、私は受け入れるし話にもちゃんと耳を傾けるから……」
「……聞かずとも分かっている、だがもう少し時間をくれ。必ず……主の思いに答えてみせる」
私の言葉に、彼女は悲しそうな目線を向けながらそう言った。
「こんにちは、挨拶に来ただけだよ」
「下僕共よ、冥界の女王に悲鳴を浴びせるのだ!」
「あはは、相変わらず手入れしているんだね。いいよ全部動かさなくても、ちゃんと聴こえたから」
正義の逆といえば、何を思い浮かべるだろう。大半の人は正義の逆を『悪』だと答え、『悪』に対して嫌悪感を抱く事もあると思われる。悪には様々な種類があり、目に見えるものもあれば見えないものもある。それらを判断するのは簡単なようで難しく、時には誤った判断により本来悪ではないものが悪呼ばわりされてしまうこともある。
然しながら、彼女を見ていると本当の悪とは一体何なのだろうかと疑問に思ってしまう。それは彼女の独特の考えや性格が影響しているのだろうと思う。
ここで彼女の紹介をしておこう。彼女は『正義』の逆位置、主な意味は『歪んだ価値観・不信感・過度な批判』など。冒頭から察した人もいるとは思うが、彼女は俗に言う厨二病気質である。
彼女のいう冥界の女王とは、私の事を指しているようだが、何故そのようなあだ名になったのかは分からない。
また、下僕共と言っていたのは彼女が愛用しているぬいぐるみ達で、ひとつずつ動かしながらあたかもぬいぐるみが挨拶をしているかのように動かそうとしていたため、途中で止めたのである。
「流石は冥界の女王、下僕共の声にも耳を傾け支配するとは関心ものだ」
「いや別に支配してはいないんだけど……変わりなくて良かったよ」
「変わり続けるは人の定め、我々は屈さず今をゆくのみ。だが過敏な態度は身を滅ぼすことになるであろう!」
「……要するに、デマ情報に流されないようにしろってことを言いたいんだね。忠告ありがとう」
彼女の発言は理解するのが難しい反面、理解できると非常に常識的な事を言っているのが分かる。意外にも常識人な彼女だが、正義の正位置さん曰く態とこのような態度をとっているのだという。その理由については本人が言わないため不明との事だが、彼女の持つ意味や行動から何となく理由が分かった。
「ねぇ、逆正義さん」
「何用だ冥界の女王、我は下僕共に永遠の眠りを与えねばならんのだ!」
「ぬいぐるみを寝かせてあげるんだね、しながらでいいから聞いて。私ね、少しだけあなたの気持ちが分かった気がするの……人のことが、信用出来ないんだよね」
「……」
「人が信用出来ないから、人が自分に距離を置くような態度を取り続けているんだよね。そうすれば自分に必要以上に干渉してこないから、自分も相手も嫌な思いをしなくて済むって……」
彼女のこの態度には、何かしらの意味があると思いながら関わってきた。そのうちに少しずつではあるが、彼女の本当の思いに何度か触れる事が出来たことがあった。その全ては普段の彼女の態度からは決して汲み取ることができないような、優しさに溢れたものだった。
然し、彼女は決してそれを表には出さない。最初は出すのが怖いからかと思っていたが、彼女が本当の思いを話す時の態度をみて、そんな単純なものではないのかもしれないと思うようになっていた。
「もう分かってくれているとは思うけど、私は決してあなたを否定したり見捨てたりしない。どんなあなたでも、私は受け入れるし話にもちゃんと耳を傾けるから……」
「……聞かずとも分かっている、だがもう少し時間をくれ。必ず……主の思いに答えてみせる」
私の言葉に、彼女は悲しそうな目線を向けながらそう言った。
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