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2. 訪ねる理由
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ミーティやモーイ自身の問題を解決するため、王として…身近な者として…ニュールは2人を樹海の集落へ送り出す決断を下した。
その時の話し合いで、2人が希望するエリミアへの立ち寄りにも許可を出したのだ。
樹海の集落で目的を果たした後…ミーティとモーイがエリミアまで行くのは、友である旅仲間に会う…というご褒美的な約束。
しかし、予想外にもニュールが其の希望に乗っかる…と申し出た。
「エリミアで少し合流させてもらう」
申し出を受けたミーティは、保護者の同伴を厭わしく思う子供と言った態度で…視線逸らす。
成年を迎えたとはいえ…未だ無邪気さ残る歳、分かりやすい態度で不貞腐れた。
そして、其の少しもどかしい思いを…遠回しに言葉にする。
「ニュールは忙しいし、全部オレ達だけで問題ない…ぞ」
良くも悪くも…単刀直入…開けっぴろげが取り柄のミーティだが、途中からのニュールの合流が…未熟と判断された自分達の様子見…の気がして素直さから遠ざかる。
プラーデラで過酷な任務を "師匠" ではあるが "直属の上司" でもないピオから常に振られ、文句言いつつ…実直にこなしてきたミーティ。お陰で自信がつき、どんな単独任務でもこなせると自負する。
ニュールも今のミーティの実力は十分理解してるし、それ故に…国としの訪問を任せ…個人の問題解決のために樹海の集落へ2人で行かせる事にしたのだ。
「アタシはニュールも一緒って嬉しいんだけどな」
ミーティだってモーイ同様嬉しくもある。
ただし…信用されてないのでは無いかと言う憤りと…こそばゆい恥ずかしさ…微妙な思いが募り、ミーティの態度はグルリと後ろ向きだった。
モーイは其の状況を理解し、面白そうに端から観察して楽しむ。
「…あぁ、お前が十分対応出来るって事は理解してる。オレに…用事があるんだ」
「わかった…」
2人の提案に保護者同然で加わる事への言い訳を、苦笑しながら述べるニュール。
其れに対し…ミーティは少し納得のいかない…物言いたげな表情浮かべつつ、短く了承した。
ミーティも…今回のニュールの合流予定が、決して2人を不安視しているから…と言う訳でもないと理解していた。
だが…未だに少し引っ掛かりを持つ…良いお年頃ゆえ、深読みが過ぎる。
樹海での出来事を乗り越えるより前のミーティは、覚悟や分別持たぬ…子供だった。
逆に其の心情を思考の中で理解するニュールだが、魔物の心情に偏るモノであっても…何処か不合理さ感じる。
他意無く申し出た同行であるし、同じ旅仲間の1人でもあったニュールとしては…少々複雑だ。
ニュールにも同行する…理由は確かにあるのだが、少しお節介な気持ちが含まれていたのも事実。
浮かべた苦笑の中には、魔物な心持ちであると言うのに…習性で過保護的行動を取る自分自身への…嘲りも入る。
どっちもどっちな感じであった。
ニュールが2人に同行し、エリミア辺境王国に入る目的は…滞っていた用件済ませる決意をしたからだ。
有耶無耶になっている…フレイリアルの守護者…という繋がり保持する契約の解除。
それを実行に移す事。
守護者契約の維持での弊害が起こる事も無く、それ故に今まで放置していた案件。
だが、懸念する部分が無い訳でもない。
ニュールとフレイリアルの守護者の契約を仲立つ…認証与えし "正統なる王" として、エリミア辺境国王国王イズハージェス・バタル・リトスの名が紛れ込んでいるのが…最大の気掛かりであった。
エリミアの賢者の塔で執り行われた選任の儀であり、守護者契約への関わりへ国王の名が入るのは致し方ない。
契約結んだ頃のエリミア国王は…隣に立つ王妃の言いなりであり、本人の顔さえ思い浮かばない…傀儡とでも言うような意思を放棄した…人形に近き者。
お飾りであり、危険視するような存在ではなかった。
しかし…今のエリミア国王は、以前の無気力な状態…とは異なる。
駆り立てられるような面差しで…精力的に活動する様は、何処か含みがあり…相当に怪しい。フレイリアル達に影響及ぼすような、悪巧み…策謀を持っていそうだった。
「新しい仕組みを…往古の機構に頼らない体系を作り上げたら、私は…私達は此処を出て旅に出るの」
大事変の後…其々が離れて活動する場所から行う、守護者契約を使った近況報告。
最初にフレイリアルがニュールへ伝えてきた内容だった。
「あんまりゴリ押しで進めるような無茶はするんじゃないぞ」
「リーシェだって居るんだから大丈夫だよ!」
「いやっ…2人揃った方が危うい気がするぞ…」
フレイリアルが大賢者になるにあたり、自らの賢者の石を捧げ…助言者として現身を捨て内在する者となったリーシェライル。
大賢者に至るために必要な条件。
至高の存在へ到達すべき資質と賢者の石、そして案内人となり導く助言者。
自らの持つ全てを奉じ…フレイリアルを救うべく大賢者へと至らしめ、フレイリアルの意識下に鮮明に存在し…守り導くモノとなった。
全てを排し…フレイリアルを一番に掲げ…理不尽なまでの力を用いて手助けする、周囲にとって…危うき存在となり得るモノ。
其の様な際どいモノは、美しき先代大賢者リーシェライルしか存在しない。
故に…突っ走るフレイリアルを煽る事はあっても、決して制御する事はないだろう。
「心配性だなぁ、協力者も得たから問題ないってば!」
「無茶して困るのは周りだ…その協力者が参っちまうぞ」
散々苦労した経験上、口煩くなるのは仕様がない。
王国内でフレイリアルが密かに進める、往古の機構を介さぬ新たなる魔力運用体系の設立。
それは賢者の塔や大賢者と世界の関係を歪める原因となる…機構からの脱却であり、フレイリアルにとって改変を進め完成させる事が…エリミアでの目指すべき目標であった。
利を求め…思惑持つ者となったエリミアの国王は、フレイリアルが目的を達成するための障害となり得る…十分に警戒すべき人物に変化していた。
守護者契約媒介した者として、何らかの影響を及ぼす可能性があるのなら…関わりを断つべき存在。
守護者契約の繋がりそのものへの干渉を感じ無いのは幸いだが、契約を解除しない限り続く憂慮だ。
最大の問題点以外は些細なものであり…守護者契約している当事者間で双方向で思考や感情が漏れ出しやすい…と言った程度の事、其れは守護者の繋がりそのものによる弊害である。
今まで問題無く過ごし…其処に安心感さえ抱いてきたからこそ、フレイリアルは契約の解除に対し…ずっと後ろ向きだった。
本来の守護者の務めとは、保護すべき者の近くに存在し…繋がり持ち…絶対的な安全を維持する事であるが…今は遠距離に在り役割を担っていない。
その上…若干といえど不利益生む可能性のある…悪影響もたらす者が介在している契約ならば、一掃してしまうのが得策。
もとより…今のニュールでは立場的にも守護者の使命を果たし辛い。
「…そろそろ守護者の契約は変更すべきだ。新たな守護者の任命が必要だろ?」
大事変以降…定期的に守護者の繋がりで遣り取りしてきた中、ニュールが再三再四…提案してきた内容。
本来なら即決しても良い選択であり、フレイリアルも頭では納得していたのだが…何だか心が納得しない。
「でも、特に凄っく問題があるわけでもないし…其のままで良くない?」
開かれた…守護者の繋がりより、フレイリアルの…灰簾魔石色纏う輝く新緑の色した魔力と共に…不服そうな…不安そうな…複雑な色合い含む声や心情がニュールに直接届く。
遠距離でも問題なく使える心話…と言った感じで便利な守護者の繋がりではあるが、代替方法は幾らでも存在する。大賢者による意識下での繋がりも然り…映像繋げる魔法陣だって存在する。フレイリアルには空間転位を使い音声中継する事さえ可能であり、守護者の繋がりだけが特別…と言う訳ではない。
「此の繋がりを何らかの形で悪用される可能性を維持したままでは、お互いにとって不利益となるだろ?」
「…そうなんだけど…何か…」
魔物の心を完全に取り込んでからのニュールは、以前にも増して淡々とし…本能で最適解を見つけ出すように突き進む。
理性的に理路整然と進め…端的であり、結果への道程に何の情も含まれないようだ。
全ての繋がりや思いを排除されているような気がして、フレイリアルは心許なく…悲しくなる。
フレイリアルにとってニュールとの守護者契約は、リーシェライルの次に得た他者との確固たる繋がりであり…進み出すために自分で手に入れた初めての繋がりだった。
「ニュールは寂しくないの?」
フレイリアルが心のままに発した素直な言葉によって、冷血魔物な心持つニュールの言葉へ…温かさが加わる。
「今さら契約変更したぐらいで切れる縁でも無いだろ?」
「うん…」
沈むフレイの心をフワリと包むようにニュールが告げる。
「今まで散々面倒見て来たのを、ポイっと捨てるほど薄情でもないし…其処まで人間捨ててないぞ。だから安心しろ」
子供をあやす様な優しい響きの声と思い…が伝わってくる。
リーシェライル以外に身内らしい情を持つ近しい者を持たなかったフレイリアルにとって、守護者を引き受けてくれたニュールは2番目の身内。
契約…と言う繋がり以上の…真実心繋がるモノ。
守護者の繋がりから嘘偽りのない強く温かい思いが流れ込み、気持ちが安らぐ。
「そうだね…ニュールは父親みたいなもんだもんね!」
守護者という枠の中以外でも、思いは繋がると確信出来るようになったフレイリアル。迷いや不安は消え、力強く断言する。
「わかった! リーシェと守護者解任のことは話し合っておくよ!!」
フレイリアルは自身でニュールの手を放し進む決意をする。
「それじゃ次こそ直接会えそうだね、楽しみにしてる」
心のつかえ取れた朗らかな声で、フレイリアルは一方的に自己解決し…意思疏通を遮断する。ニュールが答えを返す隙など見つけようもなかった。
「…あの奔放に突っ走る所は改善しそうも無いな」
嵐の中心に捨て置かれたかのようなニュールは、久々に溜め息つきつつ…人間らしい苦笑を浮かべ呟く。
「オレはあんな爆弾娘のオヤジになった覚えは無いし、あんなデッカイ娘の親になる程の年でもないのだけどなぁ…」
呟く言葉に音無き溜息が紛れ込む。
「…そもそもアレが娘ならオヤジひとりで面倒見るには荷が勝ちすぎる…せめて苦楽を分かち合える嫁をもらってからにしてくれ」
以前と同じように…だが若干諦めに近い悟りの境地開きつつ…それでも夢持ちつつ…魔物な心持っても、ぼやくのであった。
その時の話し合いで、2人が希望するエリミアへの立ち寄りにも許可を出したのだ。
樹海の集落で目的を果たした後…ミーティとモーイがエリミアまで行くのは、友である旅仲間に会う…というご褒美的な約束。
しかし、予想外にもニュールが其の希望に乗っかる…と申し出た。
「エリミアで少し合流させてもらう」
申し出を受けたミーティは、保護者の同伴を厭わしく思う子供と言った態度で…視線逸らす。
成年を迎えたとはいえ…未だ無邪気さ残る歳、分かりやすい態度で不貞腐れた。
そして、其の少しもどかしい思いを…遠回しに言葉にする。
「ニュールは忙しいし、全部オレ達だけで問題ない…ぞ」
良くも悪くも…単刀直入…開けっぴろげが取り柄のミーティだが、途中からのニュールの合流が…未熟と判断された自分達の様子見…の気がして素直さから遠ざかる。
プラーデラで過酷な任務を "師匠" ではあるが "直属の上司" でもないピオから常に振られ、文句言いつつ…実直にこなしてきたミーティ。お陰で自信がつき、どんな単独任務でもこなせると自負する。
ニュールも今のミーティの実力は十分理解してるし、それ故に…国としの訪問を任せ…個人の問題解決のために樹海の集落へ2人で行かせる事にしたのだ。
「アタシはニュールも一緒って嬉しいんだけどな」
ミーティだってモーイ同様嬉しくもある。
ただし…信用されてないのでは無いかと言う憤りと…こそばゆい恥ずかしさ…微妙な思いが募り、ミーティの態度はグルリと後ろ向きだった。
モーイは其の状況を理解し、面白そうに端から観察して楽しむ。
「…あぁ、お前が十分対応出来るって事は理解してる。オレに…用事があるんだ」
「わかった…」
2人の提案に保護者同然で加わる事への言い訳を、苦笑しながら述べるニュール。
其れに対し…ミーティは少し納得のいかない…物言いたげな表情浮かべつつ、短く了承した。
ミーティも…今回のニュールの合流予定が、決して2人を不安視しているから…と言う訳でもないと理解していた。
だが…未だに少し引っ掛かりを持つ…良いお年頃ゆえ、深読みが過ぎる。
樹海での出来事を乗り越えるより前のミーティは、覚悟や分別持たぬ…子供だった。
逆に其の心情を思考の中で理解するニュールだが、魔物の心情に偏るモノであっても…何処か不合理さ感じる。
他意無く申し出た同行であるし、同じ旅仲間の1人でもあったニュールとしては…少々複雑だ。
ニュールにも同行する…理由は確かにあるのだが、少しお節介な気持ちが含まれていたのも事実。
浮かべた苦笑の中には、魔物な心持ちであると言うのに…習性で過保護的行動を取る自分自身への…嘲りも入る。
どっちもどっちな感じであった。
ニュールが2人に同行し、エリミア辺境王国に入る目的は…滞っていた用件済ませる決意をしたからだ。
有耶無耶になっている…フレイリアルの守護者…という繋がり保持する契約の解除。
それを実行に移す事。
守護者契約の維持での弊害が起こる事も無く、それ故に今まで放置していた案件。
だが、懸念する部分が無い訳でもない。
ニュールとフレイリアルの守護者の契約を仲立つ…認証与えし "正統なる王" として、エリミア辺境国王国王イズハージェス・バタル・リトスの名が紛れ込んでいるのが…最大の気掛かりであった。
エリミアの賢者の塔で執り行われた選任の儀であり、守護者契約への関わりへ国王の名が入るのは致し方ない。
契約結んだ頃のエリミア国王は…隣に立つ王妃の言いなりであり、本人の顔さえ思い浮かばない…傀儡とでも言うような意思を放棄した…人形に近き者。
お飾りであり、危険視するような存在ではなかった。
しかし…今のエリミア国王は、以前の無気力な状態…とは異なる。
駆り立てられるような面差しで…精力的に活動する様は、何処か含みがあり…相当に怪しい。フレイリアル達に影響及ぼすような、悪巧み…策謀を持っていそうだった。
「新しい仕組みを…往古の機構に頼らない体系を作り上げたら、私は…私達は此処を出て旅に出るの」
大事変の後…其々が離れて活動する場所から行う、守護者契約を使った近況報告。
最初にフレイリアルがニュールへ伝えてきた内容だった。
「あんまりゴリ押しで進めるような無茶はするんじゃないぞ」
「リーシェだって居るんだから大丈夫だよ!」
「いやっ…2人揃った方が危うい気がするぞ…」
フレイリアルが大賢者になるにあたり、自らの賢者の石を捧げ…助言者として現身を捨て内在する者となったリーシェライル。
大賢者に至るために必要な条件。
至高の存在へ到達すべき資質と賢者の石、そして案内人となり導く助言者。
自らの持つ全てを奉じ…フレイリアルを救うべく大賢者へと至らしめ、フレイリアルの意識下に鮮明に存在し…守り導くモノとなった。
全てを排し…フレイリアルを一番に掲げ…理不尽なまでの力を用いて手助けする、周囲にとって…危うき存在となり得るモノ。
其の様な際どいモノは、美しき先代大賢者リーシェライルしか存在しない。
故に…突っ走るフレイリアルを煽る事はあっても、決して制御する事はないだろう。
「心配性だなぁ、協力者も得たから問題ないってば!」
「無茶して困るのは周りだ…その協力者が参っちまうぞ」
散々苦労した経験上、口煩くなるのは仕様がない。
王国内でフレイリアルが密かに進める、往古の機構を介さぬ新たなる魔力運用体系の設立。
それは賢者の塔や大賢者と世界の関係を歪める原因となる…機構からの脱却であり、フレイリアルにとって改変を進め完成させる事が…エリミアでの目指すべき目標であった。
利を求め…思惑持つ者となったエリミアの国王は、フレイリアルが目的を達成するための障害となり得る…十分に警戒すべき人物に変化していた。
守護者契約媒介した者として、何らかの影響を及ぼす可能性があるのなら…関わりを断つべき存在。
守護者契約の繋がりそのものへの干渉を感じ無いのは幸いだが、契約を解除しない限り続く憂慮だ。
最大の問題点以外は些細なものであり…守護者契約している当事者間で双方向で思考や感情が漏れ出しやすい…と言った程度の事、其れは守護者の繋がりそのものによる弊害である。
今まで問題無く過ごし…其処に安心感さえ抱いてきたからこそ、フレイリアルは契約の解除に対し…ずっと後ろ向きだった。
本来の守護者の務めとは、保護すべき者の近くに存在し…繋がり持ち…絶対的な安全を維持する事であるが…今は遠距離に在り役割を担っていない。
その上…若干といえど不利益生む可能性のある…悪影響もたらす者が介在している契約ならば、一掃してしまうのが得策。
もとより…今のニュールでは立場的にも守護者の使命を果たし辛い。
「…そろそろ守護者の契約は変更すべきだ。新たな守護者の任命が必要だろ?」
大事変以降…定期的に守護者の繋がりで遣り取りしてきた中、ニュールが再三再四…提案してきた内容。
本来なら即決しても良い選択であり、フレイリアルも頭では納得していたのだが…何だか心が納得しない。
「でも、特に凄っく問題があるわけでもないし…其のままで良くない?」
開かれた…守護者の繋がりより、フレイリアルの…灰簾魔石色纏う輝く新緑の色した魔力と共に…不服そうな…不安そうな…複雑な色合い含む声や心情がニュールに直接届く。
遠距離でも問題なく使える心話…と言った感じで便利な守護者の繋がりではあるが、代替方法は幾らでも存在する。大賢者による意識下での繋がりも然り…映像繋げる魔法陣だって存在する。フレイリアルには空間転位を使い音声中継する事さえ可能であり、守護者の繋がりだけが特別…と言う訳ではない。
「此の繋がりを何らかの形で悪用される可能性を維持したままでは、お互いにとって不利益となるだろ?」
「…そうなんだけど…何か…」
魔物の心を完全に取り込んでからのニュールは、以前にも増して淡々とし…本能で最適解を見つけ出すように突き進む。
理性的に理路整然と進め…端的であり、結果への道程に何の情も含まれないようだ。
全ての繋がりや思いを排除されているような気がして、フレイリアルは心許なく…悲しくなる。
フレイリアルにとってニュールとの守護者契約は、リーシェライルの次に得た他者との確固たる繋がりであり…進み出すために自分で手に入れた初めての繋がりだった。
「ニュールは寂しくないの?」
フレイリアルが心のままに発した素直な言葉によって、冷血魔物な心持つニュールの言葉へ…温かさが加わる。
「今さら契約変更したぐらいで切れる縁でも無いだろ?」
「うん…」
沈むフレイの心をフワリと包むようにニュールが告げる。
「今まで散々面倒見て来たのを、ポイっと捨てるほど薄情でもないし…其処まで人間捨ててないぞ。だから安心しろ」
子供をあやす様な優しい響きの声と思い…が伝わってくる。
リーシェライル以外に身内らしい情を持つ近しい者を持たなかったフレイリアルにとって、守護者を引き受けてくれたニュールは2番目の身内。
契約…と言う繋がり以上の…真実心繋がるモノ。
守護者の繋がりから嘘偽りのない強く温かい思いが流れ込み、気持ちが安らぐ。
「そうだね…ニュールは父親みたいなもんだもんね!」
守護者という枠の中以外でも、思いは繋がると確信出来るようになったフレイリアル。迷いや不安は消え、力強く断言する。
「わかった! リーシェと守護者解任のことは話し合っておくよ!!」
フレイリアルは自身でニュールの手を放し進む決意をする。
「それじゃ次こそ直接会えそうだね、楽しみにしてる」
心のつかえ取れた朗らかな声で、フレイリアルは一方的に自己解決し…意思疏通を遮断する。ニュールが答えを返す隙など見つけようもなかった。
「…あの奔放に突っ走る所は改善しそうも無いな」
嵐の中心に捨て置かれたかのようなニュールは、久々に溜め息つきつつ…人間らしい苦笑を浮かべ呟く。
「オレはあんな爆弾娘のオヤジになった覚えは無いし、あんなデッカイ娘の親になる程の年でもないのだけどなぁ…」
呟く言葉に音無き溜息が紛れ込む。
「…そもそもアレが娘ならオヤジひとりで面倒見るには荷が勝ちすぎる…せめて苦楽を分かち合える嫁をもらってからにしてくれ」
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