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3. 正統なる王
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状況が激変する1の年程前。
エリミア王国の王城敷地内…賢者の塔で選任の儀は行われ、ニュールとフレイリアルの守護者契約は結ばれた。
一般的な選任の儀は、風習と言った感じに近い形式的なもの。10歳前後で行われる伝統的な儀式であり、祝い事の一種として執り行われていた。
儀式自体よりも其の後1の月の間が重要であり、進む道を選び希望する…職業選択をする期間。
儀式後の此の期間は、各所で弟子を受け入れのための門戸が開かれる。
選び…選ばれ、希望する職業の見習い行える受け入れ先と契約する、将来へ向けての大切な第一歩となるのだ。
勿論…そういった下積み無しで受け入れてもらえる所もあるが、初めは皆…夢も希望もある。
「私は商人になって金持ちになるぞ」
「オレは鍛治師かなぁ」
「僕は父ちゃんと一緒の石拾いだ」
「アタシは兵士になる。王国内で一番強くなる」
其々本人が希望する場所へ向かう。
受け入れてもらえるか…遣り遂げられるか…は別として、一般の子供達は…家業や立場に縛られる事も無く…人々の職業選択は基本的に自由だった。
守護者制度を持つ国の王族にとって、選任の儀は重要な通過点。
儀式受ける事で最初の守護者を得られ、両者の間の繋がりを明確に築く事も可能だ。しかも其の繋がりの強さを、目で見る形で確認出来る。
天輝石を介し魔力を流してもらうことで、守護者との繋がりの状態を…其の輝きによって確認できるのだ。
儀式受ける年頃の子供にとっては楽しめる場…なのだが、明確に目に見える分…子供以上に保護者達が白熱する。
「ウチの子の守護者務める者との繋がりは、幼き頃より築かれたもの。他の者どもに輝き劣ることはありえぬ…」
「息子の守護者は高位魔石内包者。魔力扱いに長けた者ゆえ輝きも一際明るかろう」
「うちの場合、娘自身が高位魔石内包叶ったもので…強き光り放つは必然です」
親による親のための自慢大会、品評会のような状態になる。
子供の価値を上げるため…財力にもの言わせる者達の、権勢誇る場…にもなっていた。
守護者が確定すると… "正統なる王" による宣誓で、守護者契約を結ぶ。
繋がりの確認及び契約を…天輝石に魔力流し執り行うのは、大賢者…若しくは複数名の高位賢者である。
最終的に守護者得た王族は、其々に責務を割り振られ…守護者と共に各所に向かい活動始めるのだ。
これが王族にとっての選任の儀だった。
一般の者とは違い其処に夢見る自由は無い。
権利に伴う義務…であり、もたらされる利益を享受する限り…選択の余地はない。
国によって規定は異なるが…守護者とは、守るべき主人と回路繋ぎ…危機に対応し守護にあたる護衛であり…王族の補佐を行う従者でもある。
守護者の繋がりは…相互の位置や状況の把握・意思疎通を可能とし、守護される王族の安全性を増すために必須となるもの。
制度持つ国の王族は、守護者得るまで活動を制限される事が多い。
エリミアの場合…許可を得られない限り自身の暮らす屋敷の敷地外での王族単独での活動は、基本的に禁じられていた。
守護者を得ない限り、半永久的な軟禁状態が続くことになる。
エリミア辺境王国の王女であるフレイリアルであるが、決して今まで良い待遇を受けてきたとは言えない。
エリミアで忌み嫌われる…樹海の色合い持ち生まれた、疎まれし存在。
ただ待つだけでは、一生幽閉されるような生活が続いたであろう。
だからこそ…状況を打開すべく決断し、行動に移したフレイリアル。
ニュールを騙すように巻き込みはしたが、自力で守護者得て脱出する道を切り開いたのである。
"解任の儀式…守護者契約の解除は、どちらかの生活状況の変化など止むを得ない理由で守護者と被守護者が離れる場合に執り行う。"
其れが守護者について、エリミア王国の規定として定められ記されている内容。
規定通り、選任の儀を行う期間外でも新たに守護者を任じる事は多い。
条件さえ満たせば…、何の縛りもなく…解除可能な契約であった。
「ニュロ、教えてほしいことがある…応じてくれ」
ニュールはゆっくりと目を瞑り、意識下へ潜る。そして予定する計画を遂行するために必要な助力を得るべく、内在する自身の助言者となってくれた…叔父でもあったニュロを呼び出す。
勿論…助言者となっている時点で、現身の無き存在である。
もっとも自ら進んでニュールの助言者となったニュロは、自身の状況に後悔することもない。
意思あるモノでありながら器持たぬ状態となっても、心から現状を楽しんでいる。
だからこそ、呼び出したとしても直ぐに現れた試しがない。
元はヴェステ王国王立魔石研究所の職員でもあったニュロ。
内なる空間でも日夜自身の研究に励むべく、深層にまで潜って…記憶の記録を参照したり…情報礎石洗い出したり…色々と取り組んでいる。
中々見つけられないし…呼び掛けも届かない。
呼び出す意思を送り、数日経つと現れる…と言った感じの事が多かった。
ニュール自身で意識下から繋がる…大賢者が持つ情報を検索する事も可能…ではあるが、ニュロに頼むより効率は悪くなる。
自身で探す場合は表層の意識が消えてしまい、肉体は意思が抜けた傀儡状態になってしまうので定期的に身体に戻らねば生命の保持が難しくなる。
そのため…本来なら呼び出した大賢者統合人格を代理とし、身体動かしておく事こそ最良の選択。
ただしニュールが内包するのは、魔物魔石から成り上がった賢者の石。
賢者の石に内在する…魔石継承してきた知識の根元たるモノ達は、高い知能持つ意思ある存在とは言え…殆どが魔物だ。
大賢者統合人格は…其れらから組み上げられる人格であり、魔物そのものの思考持つモノが現れる確率が高くなる。
以前…インゼルでヴェステ軍を殲滅し…大量の命を握り潰し…意思無き人形作り出したような、躊躇なき殺戮機械が生まれる可能性も…。
代理として入り込む存在によっては、自身が体に戻ったとき…周囲のニュールを見る目が変わってしまう事さえ予想できる。更に…想定できる最悪の事態を考えるならば、周囲から綺麗サッパリ人類が抹消されてしまう危険性も…無きにしも非ず。
其ぐらい自身の器にも…内在するモノにも…人外の力を秘めている自覚はあるので、大人しく待つ。
今回も最初の呼び掛けから待つこと3の日、ニュロの意思を感じ…目を閉じると眼前に急激現れた気配が形作る。
そして必要な情報を記した文書をニュールの目の前に差し出し、唐突に説明を始める。
「儀式を執り行うならば正統なる…大地との契約が成立した王が必要みたいだよ」
“大賢者が守護者と選任の儀を受ける者の間に回路を繋ぎ確認し、魔輝石を通した大地との契約を結ぶ。そして最後の契約の承認は、大地の代理人たる正統なる王が行う。”
一瞬目に入った渡された文書にも、同じような事が記してあった。
「王の承認は契約書に印を押して有効であることの証明をする様なものみたいだね。重要ではないけど必要…って感じかな…。細かい事は其所に記してあるから読んでみて」
ニュロの言葉に従い、文書の内容に目を通す。
“守護者契約の承認を与えるためには、王は正統なる王である必要がある。”
“正統なる王…それは因果律に導かれ万象に認められし者が、大地との契約によって得られる称号。”
“血統や資質で条件整う場合もあるが、条件満ちても契約結べぬ事もある。”
「正統なる王になるためには大地との契約が必要ってことは分かったのは良いが、大地との契約結ぶ方法については全く記録されてなかったんだな…」
ニュロが調べてくれたものは、何故か意識下での情報の伝達なのに毎回文書形式で渡される。
此の調べものとは全く関係の無いことだったが…つい気になり、ニュールは疑問を口にする。
「所で…情報の概要まとめてくれるのは有難いんだが、何で毎回文書なんだ?」
「だって、この方が情報の取捨選択が出来るだろ?」
微笑みながらニュロが述べる。
「僕はニュールの内に在るし…根元では1つのモノだけど、別の意思を持つ他者でもある。意見は伝えても、決断は君がすべきこと。だから、この形で情報提示した方が一層選びやすいと思ったんだ。僕なりのチョットした気遣い…かな?!」
軽い感じで簡潔に理由を述べるニュロだが、明確にニュールとの間に線引きを行った上で様々な要請に応じる。
一応其処には、ニュロなりの思いがある。
境界が無くなれば少しずつ同化し、単一のモノとなっていく。
その為の敢えて築いた障壁…区分。
あの日結んだ…彼方の存在との契約に従い、これからの長い年月…永遠に近い時をニュールは見守り役として過ごさねばならぬだろう。
その時ニュールを独りにしないための方策、助言者として…連れとして過ごすための覚悟。
ニュロの持つ思いが作り出す、ニュロ自身のニュールの中での在り方。
「あぁ、確かに文書だと認識しやすいし選択できるかもな。ありがとう…いつもスマン…」
またしてもニュロに気遣われ…心救われている事に気付く。
ニュールの魔物な心持ち広がる冷んやりとした意識下での空間、思いが持つほんわかとした温かさが広がり伝わる。
同じ意識下で簡単に思いの詳細まで伝わる中であるが、思いやりへの感謝を示しつつ…気付いても気付かぬふりで適度な距離感保ち…遣り過ごす。
「ニュールの賢者の石が持つ…表層の記録から探れる情報は、守護者契約に必要な条件ぐらいだったよ。少し深い場所にある整理されてない記憶の記録を確認しても同じだったんだ」
渡した文書の情報を確認しているニュールに、ニュロは口頭で現在の状況説明を追加していく。
「魔物魔石を内包するモノが人間の中で王として…大賢者として…存在するのは、君が初めてのようだから…仕方ないんだけどね…」
ニュールの情報源となる賢者の石は魔物魔石であり、人が持てぬ貴重な記憶も記録されている。
ただし…人の領域に関して刻まれる記憶の記録は乏しく、簡単に確認できる範囲では…魔物の内から見た人の記録がわずかにあるだけ…。
其方から探し出すのは難しそうだ。
「もう一度オレも周囲の文献などあたってみる」
「そうだね、僕ももう少し違う視点で此処を探してみるね。それでダメなら周囲の者に尋ねてみるのが良いかもしれないね…」
ニュールもニュロも、簡単には諦めない質なのだった。
エリミア王国の王城敷地内…賢者の塔で選任の儀は行われ、ニュールとフレイリアルの守護者契約は結ばれた。
一般的な選任の儀は、風習と言った感じに近い形式的なもの。10歳前後で行われる伝統的な儀式であり、祝い事の一種として執り行われていた。
儀式自体よりも其の後1の月の間が重要であり、進む道を選び希望する…職業選択をする期間。
儀式後の此の期間は、各所で弟子を受け入れのための門戸が開かれる。
選び…選ばれ、希望する職業の見習い行える受け入れ先と契約する、将来へ向けての大切な第一歩となるのだ。
勿論…そういった下積み無しで受け入れてもらえる所もあるが、初めは皆…夢も希望もある。
「私は商人になって金持ちになるぞ」
「オレは鍛治師かなぁ」
「僕は父ちゃんと一緒の石拾いだ」
「アタシは兵士になる。王国内で一番強くなる」
其々本人が希望する場所へ向かう。
受け入れてもらえるか…遣り遂げられるか…は別として、一般の子供達は…家業や立場に縛られる事も無く…人々の職業選択は基本的に自由だった。
守護者制度を持つ国の王族にとって、選任の儀は重要な通過点。
儀式受ける事で最初の守護者を得られ、両者の間の繋がりを明確に築く事も可能だ。しかも其の繋がりの強さを、目で見る形で確認出来る。
天輝石を介し魔力を流してもらうことで、守護者との繋がりの状態を…其の輝きによって確認できるのだ。
儀式受ける年頃の子供にとっては楽しめる場…なのだが、明確に目に見える分…子供以上に保護者達が白熱する。
「ウチの子の守護者務める者との繋がりは、幼き頃より築かれたもの。他の者どもに輝き劣ることはありえぬ…」
「息子の守護者は高位魔石内包者。魔力扱いに長けた者ゆえ輝きも一際明るかろう」
「うちの場合、娘自身が高位魔石内包叶ったもので…強き光り放つは必然です」
親による親のための自慢大会、品評会のような状態になる。
子供の価値を上げるため…財力にもの言わせる者達の、権勢誇る場…にもなっていた。
守護者が確定すると… "正統なる王" による宣誓で、守護者契約を結ぶ。
繋がりの確認及び契約を…天輝石に魔力流し執り行うのは、大賢者…若しくは複数名の高位賢者である。
最終的に守護者得た王族は、其々に責務を割り振られ…守護者と共に各所に向かい活動始めるのだ。
これが王族にとっての選任の儀だった。
一般の者とは違い其処に夢見る自由は無い。
権利に伴う義務…であり、もたらされる利益を享受する限り…選択の余地はない。
国によって規定は異なるが…守護者とは、守るべき主人と回路繋ぎ…危機に対応し守護にあたる護衛であり…王族の補佐を行う従者でもある。
守護者の繋がりは…相互の位置や状況の把握・意思疎通を可能とし、守護される王族の安全性を増すために必須となるもの。
制度持つ国の王族は、守護者得るまで活動を制限される事が多い。
エリミアの場合…許可を得られない限り自身の暮らす屋敷の敷地外での王族単独での活動は、基本的に禁じられていた。
守護者を得ない限り、半永久的な軟禁状態が続くことになる。
エリミア辺境王国の王女であるフレイリアルであるが、決して今まで良い待遇を受けてきたとは言えない。
エリミアで忌み嫌われる…樹海の色合い持ち生まれた、疎まれし存在。
ただ待つだけでは、一生幽閉されるような生活が続いたであろう。
だからこそ…状況を打開すべく決断し、行動に移したフレイリアル。
ニュールを騙すように巻き込みはしたが、自力で守護者得て脱出する道を切り開いたのである。
"解任の儀式…守護者契約の解除は、どちらかの生活状況の変化など止むを得ない理由で守護者と被守護者が離れる場合に執り行う。"
其れが守護者について、エリミア王国の規定として定められ記されている内容。
規定通り、選任の儀を行う期間外でも新たに守護者を任じる事は多い。
条件さえ満たせば…、何の縛りもなく…解除可能な契約であった。
「ニュロ、教えてほしいことがある…応じてくれ」
ニュールはゆっくりと目を瞑り、意識下へ潜る。そして予定する計画を遂行するために必要な助力を得るべく、内在する自身の助言者となってくれた…叔父でもあったニュロを呼び出す。
勿論…助言者となっている時点で、現身の無き存在である。
もっとも自ら進んでニュールの助言者となったニュロは、自身の状況に後悔することもない。
意思あるモノでありながら器持たぬ状態となっても、心から現状を楽しんでいる。
だからこそ、呼び出したとしても直ぐに現れた試しがない。
元はヴェステ王国王立魔石研究所の職員でもあったニュロ。
内なる空間でも日夜自身の研究に励むべく、深層にまで潜って…記憶の記録を参照したり…情報礎石洗い出したり…色々と取り組んでいる。
中々見つけられないし…呼び掛けも届かない。
呼び出す意思を送り、数日経つと現れる…と言った感じの事が多かった。
ニュール自身で意識下から繋がる…大賢者が持つ情報を検索する事も可能…ではあるが、ニュロに頼むより効率は悪くなる。
自身で探す場合は表層の意識が消えてしまい、肉体は意思が抜けた傀儡状態になってしまうので定期的に身体に戻らねば生命の保持が難しくなる。
そのため…本来なら呼び出した大賢者統合人格を代理とし、身体動かしておく事こそ最良の選択。
ただしニュールが内包するのは、魔物魔石から成り上がった賢者の石。
賢者の石に内在する…魔石継承してきた知識の根元たるモノ達は、高い知能持つ意思ある存在とは言え…殆どが魔物だ。
大賢者統合人格は…其れらから組み上げられる人格であり、魔物そのものの思考持つモノが現れる確率が高くなる。
以前…インゼルでヴェステ軍を殲滅し…大量の命を握り潰し…意思無き人形作り出したような、躊躇なき殺戮機械が生まれる可能性も…。
代理として入り込む存在によっては、自身が体に戻ったとき…周囲のニュールを見る目が変わってしまう事さえ予想できる。更に…想定できる最悪の事態を考えるならば、周囲から綺麗サッパリ人類が抹消されてしまう危険性も…無きにしも非ず。
其ぐらい自身の器にも…内在するモノにも…人外の力を秘めている自覚はあるので、大人しく待つ。
今回も最初の呼び掛けから待つこと3の日、ニュロの意思を感じ…目を閉じると眼前に急激現れた気配が形作る。
そして必要な情報を記した文書をニュールの目の前に差し出し、唐突に説明を始める。
「儀式を執り行うならば正統なる…大地との契約が成立した王が必要みたいだよ」
“大賢者が守護者と選任の儀を受ける者の間に回路を繋ぎ確認し、魔輝石を通した大地との契約を結ぶ。そして最後の契約の承認は、大地の代理人たる正統なる王が行う。”
一瞬目に入った渡された文書にも、同じような事が記してあった。
「王の承認は契約書に印を押して有効であることの証明をする様なものみたいだね。重要ではないけど必要…って感じかな…。細かい事は其所に記してあるから読んでみて」
ニュロの言葉に従い、文書の内容に目を通す。
“守護者契約の承認を与えるためには、王は正統なる王である必要がある。”
“正統なる王…それは因果律に導かれ万象に認められし者が、大地との契約によって得られる称号。”
“血統や資質で条件整う場合もあるが、条件満ちても契約結べぬ事もある。”
「正統なる王になるためには大地との契約が必要ってことは分かったのは良いが、大地との契約結ぶ方法については全く記録されてなかったんだな…」
ニュロが調べてくれたものは、何故か意識下での情報の伝達なのに毎回文書形式で渡される。
此の調べものとは全く関係の無いことだったが…つい気になり、ニュールは疑問を口にする。
「所で…情報の概要まとめてくれるのは有難いんだが、何で毎回文書なんだ?」
「だって、この方が情報の取捨選択が出来るだろ?」
微笑みながらニュロが述べる。
「僕はニュールの内に在るし…根元では1つのモノだけど、別の意思を持つ他者でもある。意見は伝えても、決断は君がすべきこと。だから、この形で情報提示した方が一層選びやすいと思ったんだ。僕なりのチョットした気遣い…かな?!」
軽い感じで簡潔に理由を述べるニュロだが、明確にニュールとの間に線引きを行った上で様々な要請に応じる。
一応其処には、ニュロなりの思いがある。
境界が無くなれば少しずつ同化し、単一のモノとなっていく。
その為の敢えて築いた障壁…区分。
あの日結んだ…彼方の存在との契約に従い、これからの長い年月…永遠に近い時をニュールは見守り役として過ごさねばならぬだろう。
その時ニュールを独りにしないための方策、助言者として…連れとして過ごすための覚悟。
ニュロの持つ思いが作り出す、ニュロ自身のニュールの中での在り方。
「あぁ、確かに文書だと認識しやすいし選択できるかもな。ありがとう…いつもスマン…」
またしてもニュロに気遣われ…心救われている事に気付く。
ニュールの魔物な心持ち広がる冷んやりとした意識下での空間、思いが持つほんわかとした温かさが広がり伝わる。
同じ意識下で簡単に思いの詳細まで伝わる中であるが、思いやりへの感謝を示しつつ…気付いても気付かぬふりで適度な距離感保ち…遣り過ごす。
「ニュールの賢者の石が持つ…表層の記録から探れる情報は、守護者契約に必要な条件ぐらいだったよ。少し深い場所にある整理されてない記憶の記録を確認しても同じだったんだ」
渡した文書の情報を確認しているニュールに、ニュロは口頭で現在の状況説明を追加していく。
「魔物魔石を内包するモノが人間の中で王として…大賢者として…存在するのは、君が初めてのようだから…仕方ないんだけどね…」
ニュールの情報源となる賢者の石は魔物魔石であり、人が持てぬ貴重な記憶も記録されている。
ただし…人の領域に関して刻まれる記憶の記録は乏しく、簡単に確認できる範囲では…魔物の内から見た人の記録がわずかにあるだけ…。
其方から探し出すのは難しそうだ。
「もう一度オレも周囲の文献などあたってみる」
「そうだね、僕ももう少し違う視点で此処を探してみるね。それでダメなら周囲の者に尋ねてみるのが良いかもしれないね…」
ニュールもニュロも、簡単には諦めない質なのだった。
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