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25. 操り動かすモノ達の向かう先
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エリミア国王との会談を早々に切り上げる事になったのは、自身の未熟さ故であると言う自覚は持つ。
会談を行った王宮へ続く扉より1人現れたニュールは、苛立ちを隠せないような様子で…少し殺伐とした空気感纏い、兵に囲まれたまま待機していたプラーデラの者達の前に立ち声を掛ける。
「取り敢えず戻る…」
そう無表情に呟くと、未だ冷めやらぬ怒気を抱えたまま…憮然とした表情で大気中の魔力を集め魔力を導き出す。
『今さらだが…大賢者ならでは出来る魔力扱いを見せつけるのも、力の誇示にはなるのだろうか…』
考えるとはなしに考え…集めた魔力使い一瞬で転移陣の起点を築き、プラーデラの者たちをの環の中に収め…飛ぶ。
「多少の威嚇にはなった…と思うが、効果が出る程かは分からん…」
何とも言えぬ不完全燃焼な状態で戻ってきた青の塔にて…。
少し落ち着いた後…国王との "対等なる時" の内容を説明しながら、遣っちまった感を漂わせ…額に手を当て頭悩ませるニュール。
自身の力不足…至らなさに羞恥を覚える。
目指したのは "プラーデラを相手にするなら覚悟しろ!" とガツンと圧力を掛け、思う方向に話を進める…その様な予定だった。
相手方に十分な揺さぶりをかけるはず…だったのだが、逆に自身の感情揺さぶられてしまう。
武力ちらつかせつつ言葉で丸め込み手を引かせる…と言う、本来望むべき状態を導き出せなかった不甲斐なさを…皆に懺悔し…陳謝する。
「言い訳になっちまうが…話が通る相手では無かった。そして…此方の思いなど見抜かれていたであろうな…」
予想以上に自国の存在への優越意識が高いエリミア国王、既に堅牢なる意思を持ち…揺らぐ部分を見いだせなかった。
其の上…端々に見られる独善的な態度が目に余り、ニュールの忍耐力は直ぐに限界を超えてしまった。
もしかしたら…其れさえも策謀だったかもしれない。
先に退出したのはニュール。
"対等なる時" を申し出たニュールだったが、エリミア国王は応じるには応じたが…話し合い…と言えるような駆け引きは成立しなかった。
無意味な腹の探り合いを投げ出し…敗けを認めた…と思われても仕方のない状況ではあったが、必要以上の譲歩を引き出そうと足掻くのも悪手である。
罠にはめられたり…揚げ足を取られたりする危険性孕むので、致し方のない選択でもあった。
権謀術数に向かないニュールには妥当な線だったと思われる。
「まぁ、此方が準備整うまでの牽制…ぐらいにはなったんじゃない? 先に手を引いたのは情けないけど、ニュールがまともな話し合いを単独で行って成功でもしちゃったら…天変地異が起きちゃいそうだからねぇ。まぁ、国を背負っている癖に情けない結果になっちゃったのは…慚愧に堪えない…ってやつなのかなぁ」
状況理解しているのに…ニュールの申し訳なさそうな表情を楽しむためだけに、小さく持ち上げて…大きく叩き落とすリーシェライル。
「リーシェってばニュールだって頑張ったんだから仕様がないでしょ? 元々、口下手なんだから無理だよ」
フレイリアルが助け船のように差し出したのは…泥舟。
無理やり乗せられて…沼の底に沈められる様な気分を味わうニュール。
話してスッキリするのかと思いきや、何か余計に悔しい…話す前より一層モヤモヤした気分になるのである。
エリミアの王宮よりニュールが立ち去った後、話し合いを行った場所にて1人留まるエリミア国王イズハージェス。
「新たなる茶を用意してくれ」
席を外させていた侍従呼び戻し、新たな茶を所望する。
無言で従う者に再び声を掛ける。
「2人分でな…」
客は帰った…と思われたので一瞬侍従の頭に疑問が浮かぶ。
それでも一切表情には出さず、従順に指示通り対応し…後はいつも通り退室する。
「君って感覚だけは大賢者並みだよね…」
いつの間にか窓際…窓に掛けられた薄布の内に人影が生じ、其処から声を掛けてくるモノ。
「貴方からお褒めの言葉を頂けるとは、有り難き幸せでございます」
立ち上がった国王が恭しく礼をして答えると、豪奢なマントを頭から深々と被るモノが…窓際から現れた。
「我のお気に入りとの話し合いはどうだった?」
「十分楽しめましたぞ」
「可愛らしいよね?」
「…確かに…若いですな…」
微笑ましいモノを語るように…笑み浮かべ問いかけてくる訪問者に対し、若干返答に困り…苦笑い浮かべるエリミア国王。
明らかにニュールとの話し合いを指している問いではあるが、 "可愛い" …と言う言葉に該当する存在を思い浮かべられず戸惑ったのであろう。
ニュールと "可愛い" は酷く似合わない。
豪奢なマントを払いのけ、国王と共に席に着くモノ…。
其処には、華麗で美しいと言わざるを得ない容貌持つ青年が座っていた。
見た目の感じからすると明らかにニュールよりも若いのだが、持つ雰囲気が何処か異様であり重厚感漂う。
神々を信奉する国の宗教画に描かれた1柱…と言った感じで、美しさの中に崇高さと威厳を持つような容貌と…それに見合う雰囲気を醸し出す。
目の前のエリミア国王よりも明らかに高貴で尊い存在であると判断され、其の内から感じられる存在感は底知れず…容赦なき恐ろしさを秘めている…と言った感じだ。
実際にエリミアの国王は、上位のモノに対するが如く…不明の訪問者に慇懃な態度で接する。
「ところで…彼からの言葉や…質問に対しての答えは?」
「既に貴方様は存じていること…と思いますが、プラーデラの国王であり大賢者様であるモノよりの言葉は…助言…として有り難く受け取りはしましょう。其れでも…私の心は既に決まっております故、如何ともしようが御座いません」
エリミア国王は、冷静に…客観的に判断し答える。
そして言葉続け、真に望む願いを口にする。
「私が望むのは往古の世界…此の地と貴方様が存分に力を発揮なさる領域。その様な力在る世界を、切に望んでいるのです…」
懇願するように投げかけられた言葉に対し、美しき訪問者は簡略に返す。
「我は偏るモノだよ」
「偏りこそ世界の常。正しき状態であります」
其の思い入れの様な力強さに苦笑する…其処に在るモノ。
「偏るが故に…君が望むモノが思い通り得られるとは限らないんだがなぁ」
「均衡は停滞です。先に進む力を持ち続けるには不平等さえも必要。干渉における不公平でさえ悪とは限りませぬ」
「相変わらずだね…」
揺らがぬ国王の意思…其れを興味深げに観察しながら、答えを帰す不明の訪問者。
「望むのは本来あるべき世界。力満ちた世界を取り戻したいのです…」
エリミア国王の持つ意思は堅い。
「始まりの地にある我が国…我が一族は、此の国に…世界に捧げられし生贄。運命からは逃れられないし、逃れるつもりもありません」
「君も十分に我の好む面白さ持つよね…」
「わが想いがお眼鏡に叶い、幸いでございます」
「ホント従順だなぁ。…あぁ、もう…わかったよ、でも我も直ぐに動き始めるには…力不足だからね。今は我自身が、儚きモノだから」
何処までも崇め奉るような状態に、少し辟易としたかのように答える。
それでも動じず…何処までも追従する。
「承知しております」
「それに、我の愛でしモノの…涙ぐましい努力も汲んであげたいんだよね」
「我が神の御心ままに…」
そう答えるとイズハージェスは立ち上がり…訪問者の横へ移動する。そして神を持たぬ国の国王が堂々と神と信じるモノに跪き頭を垂れる。
「我は神じゃないよ…。この世界の神というのなら…我らが選び愛でしモノ、そちらの方が近いんじゃあないのかな…」
「貴方様方ではなく…貴方様が、この世界で私が崇めるモノなのです」
「我は旧秩序の残りモノ。むしろ神の…見守るモノの…対局にある存在だよ。楽しむために手出しをする危険なモノなんだ。今…我に加担していても、君が最後まで我の掌の上に居るかは保障してはあげられないし…面白そうなら投げ捨てるよ…」
「我が身に…どの様な所業下されようと、貴方様の御心のままに…全てを受け入れます…」
エリミア国王が…国王として…個人として…両方の立場捧げ、更に深々と頭を垂れ…其のモノの足元に口付ける。
「良きに計らえ…」
その瞬間、イズハージェスが神と仰いだモノは、言葉と存在感のみ残し…消えた。
此の国を去るにあたって…何だかスッキリしない気分に陥るニュール。
色々と苦労を背負うことになったのは、結局いつも通りであり…我知らず溜息が出る。
王宮から戻った翌日…更なる襲撃に警戒しつつ過ごしていたが、エリミア王国側の対応を潜ませていた者に状況確認すると…全てが不明瞭な状態で収められていた。
塔への攻撃や大臣側近への襲撃は、王の一声で…プラーデラとの交流阻止を狙った…王国内の不満分子によるものと断じられる。犯人や詳細については曖昧に…不確定のまま、お茶を濁す形で片付けられていた。
王宮へのニュールの訪問…については、プラーデラ王国の重鎮が疑われた事へ抗議…であったと位置づけられる。
そしてエリミアにも非があったと認め、魔力拘束伴う箝口令が敷かれ…無かった事にされた。
微妙な立ち位置となった者達は…遠方などへ送られた…ようだ。
全てが王の意向に従ったものであり…どこまでも独善的な裁断であった。
「とてつもなく微妙な結末ですが、国王とは此の様な結果導く唯一であるべき存在。我が君にも若干見習っていただきたい部分ではあります」
傲慢な国王的後始末の仕方を見て、ピオがニュールに述べた言葉である。
相当に思い描く国王像が怪しげな方向に偏っている。
「いやっ、お前が描く王は独裁者ってやつだぞ…悪いがオレには無理だから…」
「では、せめて魔王にでも…」
「お前の提案は謹んで遠慮したいぞ!」
素直にニュールはお断りした。
国としての交流は延期…と言う形になり、プラーデラの使節に対しては賢者の塔側で対応するに留まる形となり…有耶無耶に処理された。
一応何らかのエリミアからの動きを警戒してはいたが、まるで何事も無かったかのように経過する。
そして…当初予定していた滞在日数に達するので、日程通り帰国準備を始める。
会談を行った王宮へ続く扉より1人現れたニュールは、苛立ちを隠せないような様子で…少し殺伐とした空気感纏い、兵に囲まれたまま待機していたプラーデラの者達の前に立ち声を掛ける。
「取り敢えず戻る…」
そう無表情に呟くと、未だ冷めやらぬ怒気を抱えたまま…憮然とした表情で大気中の魔力を集め魔力を導き出す。
『今さらだが…大賢者ならでは出来る魔力扱いを見せつけるのも、力の誇示にはなるのだろうか…』
考えるとはなしに考え…集めた魔力使い一瞬で転移陣の起点を築き、プラーデラの者たちをの環の中に収め…飛ぶ。
「多少の威嚇にはなった…と思うが、効果が出る程かは分からん…」
何とも言えぬ不完全燃焼な状態で戻ってきた青の塔にて…。
少し落ち着いた後…国王との "対等なる時" の内容を説明しながら、遣っちまった感を漂わせ…額に手を当て頭悩ませるニュール。
自身の力不足…至らなさに羞恥を覚える。
目指したのは "プラーデラを相手にするなら覚悟しろ!" とガツンと圧力を掛け、思う方向に話を進める…その様な予定だった。
相手方に十分な揺さぶりをかけるはず…だったのだが、逆に自身の感情揺さぶられてしまう。
武力ちらつかせつつ言葉で丸め込み手を引かせる…と言う、本来望むべき状態を導き出せなかった不甲斐なさを…皆に懺悔し…陳謝する。
「言い訳になっちまうが…話が通る相手では無かった。そして…此方の思いなど見抜かれていたであろうな…」
予想以上に自国の存在への優越意識が高いエリミア国王、既に堅牢なる意思を持ち…揺らぐ部分を見いだせなかった。
其の上…端々に見られる独善的な態度が目に余り、ニュールの忍耐力は直ぐに限界を超えてしまった。
もしかしたら…其れさえも策謀だったかもしれない。
先に退出したのはニュール。
"対等なる時" を申し出たニュールだったが、エリミア国王は応じるには応じたが…話し合い…と言えるような駆け引きは成立しなかった。
無意味な腹の探り合いを投げ出し…敗けを認めた…と思われても仕方のない状況ではあったが、必要以上の譲歩を引き出そうと足掻くのも悪手である。
罠にはめられたり…揚げ足を取られたりする危険性孕むので、致し方のない選択でもあった。
権謀術数に向かないニュールには妥当な線だったと思われる。
「まぁ、此方が準備整うまでの牽制…ぐらいにはなったんじゃない? 先に手を引いたのは情けないけど、ニュールがまともな話し合いを単独で行って成功でもしちゃったら…天変地異が起きちゃいそうだからねぇ。まぁ、国を背負っている癖に情けない結果になっちゃったのは…慚愧に堪えない…ってやつなのかなぁ」
状況理解しているのに…ニュールの申し訳なさそうな表情を楽しむためだけに、小さく持ち上げて…大きく叩き落とすリーシェライル。
「リーシェってばニュールだって頑張ったんだから仕様がないでしょ? 元々、口下手なんだから無理だよ」
フレイリアルが助け船のように差し出したのは…泥舟。
無理やり乗せられて…沼の底に沈められる様な気分を味わうニュール。
話してスッキリするのかと思いきや、何か余計に悔しい…話す前より一層モヤモヤした気分になるのである。
エリミアの王宮よりニュールが立ち去った後、話し合いを行った場所にて1人留まるエリミア国王イズハージェス。
「新たなる茶を用意してくれ」
席を外させていた侍従呼び戻し、新たな茶を所望する。
無言で従う者に再び声を掛ける。
「2人分でな…」
客は帰った…と思われたので一瞬侍従の頭に疑問が浮かぶ。
それでも一切表情には出さず、従順に指示通り対応し…後はいつも通り退室する。
「君って感覚だけは大賢者並みだよね…」
いつの間にか窓際…窓に掛けられた薄布の内に人影が生じ、其処から声を掛けてくるモノ。
「貴方からお褒めの言葉を頂けるとは、有り難き幸せでございます」
立ち上がった国王が恭しく礼をして答えると、豪奢なマントを頭から深々と被るモノが…窓際から現れた。
「我のお気に入りとの話し合いはどうだった?」
「十分楽しめましたぞ」
「可愛らしいよね?」
「…確かに…若いですな…」
微笑ましいモノを語るように…笑み浮かべ問いかけてくる訪問者に対し、若干返答に困り…苦笑い浮かべるエリミア国王。
明らかにニュールとの話し合いを指している問いではあるが、 "可愛い" …と言う言葉に該当する存在を思い浮かべられず戸惑ったのであろう。
ニュールと "可愛い" は酷く似合わない。
豪奢なマントを払いのけ、国王と共に席に着くモノ…。
其処には、華麗で美しいと言わざるを得ない容貌持つ青年が座っていた。
見た目の感じからすると明らかにニュールよりも若いのだが、持つ雰囲気が何処か異様であり重厚感漂う。
神々を信奉する国の宗教画に描かれた1柱…と言った感じで、美しさの中に崇高さと威厳を持つような容貌と…それに見合う雰囲気を醸し出す。
目の前のエリミア国王よりも明らかに高貴で尊い存在であると判断され、其の内から感じられる存在感は底知れず…容赦なき恐ろしさを秘めている…と言った感じだ。
実際にエリミアの国王は、上位のモノに対するが如く…不明の訪問者に慇懃な態度で接する。
「ところで…彼からの言葉や…質問に対しての答えは?」
「既に貴方様は存じていること…と思いますが、プラーデラの国王であり大賢者様であるモノよりの言葉は…助言…として有り難く受け取りはしましょう。其れでも…私の心は既に決まっております故、如何ともしようが御座いません」
エリミア国王は、冷静に…客観的に判断し答える。
そして言葉続け、真に望む願いを口にする。
「私が望むのは往古の世界…此の地と貴方様が存分に力を発揮なさる領域。その様な力在る世界を、切に望んでいるのです…」
懇願するように投げかけられた言葉に対し、美しき訪問者は簡略に返す。
「我は偏るモノだよ」
「偏りこそ世界の常。正しき状態であります」
其の思い入れの様な力強さに苦笑する…其処に在るモノ。
「偏るが故に…君が望むモノが思い通り得られるとは限らないんだがなぁ」
「均衡は停滞です。先に進む力を持ち続けるには不平等さえも必要。干渉における不公平でさえ悪とは限りませぬ」
「相変わらずだね…」
揺らがぬ国王の意思…其れを興味深げに観察しながら、答えを帰す不明の訪問者。
「望むのは本来あるべき世界。力満ちた世界を取り戻したいのです…」
エリミア国王の持つ意思は堅い。
「始まりの地にある我が国…我が一族は、此の国に…世界に捧げられし生贄。運命からは逃れられないし、逃れるつもりもありません」
「君も十分に我の好む面白さ持つよね…」
「わが想いがお眼鏡に叶い、幸いでございます」
「ホント従順だなぁ。…あぁ、もう…わかったよ、でも我も直ぐに動き始めるには…力不足だからね。今は我自身が、儚きモノだから」
何処までも崇め奉るような状態に、少し辟易としたかのように答える。
それでも動じず…何処までも追従する。
「承知しております」
「それに、我の愛でしモノの…涙ぐましい努力も汲んであげたいんだよね」
「我が神の御心ままに…」
そう答えるとイズハージェスは立ち上がり…訪問者の横へ移動する。そして神を持たぬ国の国王が堂々と神と信じるモノに跪き頭を垂れる。
「我は神じゃないよ…。この世界の神というのなら…我らが選び愛でしモノ、そちらの方が近いんじゃあないのかな…」
「貴方様方ではなく…貴方様が、この世界で私が崇めるモノなのです」
「我は旧秩序の残りモノ。むしろ神の…見守るモノの…対局にある存在だよ。楽しむために手出しをする危険なモノなんだ。今…我に加担していても、君が最後まで我の掌の上に居るかは保障してはあげられないし…面白そうなら投げ捨てるよ…」
「我が身に…どの様な所業下されようと、貴方様の御心のままに…全てを受け入れます…」
エリミア国王が…国王として…個人として…両方の立場捧げ、更に深々と頭を垂れ…其のモノの足元に口付ける。
「良きに計らえ…」
その瞬間、イズハージェスが神と仰いだモノは、言葉と存在感のみ残し…消えた。
此の国を去るにあたって…何だかスッキリしない気分に陥るニュール。
色々と苦労を背負うことになったのは、結局いつも通りであり…我知らず溜息が出る。
王宮から戻った翌日…更なる襲撃に警戒しつつ過ごしていたが、エリミア王国側の対応を潜ませていた者に状況確認すると…全てが不明瞭な状態で収められていた。
塔への攻撃や大臣側近への襲撃は、王の一声で…プラーデラとの交流阻止を狙った…王国内の不満分子によるものと断じられる。犯人や詳細については曖昧に…不確定のまま、お茶を濁す形で片付けられていた。
王宮へのニュールの訪問…については、プラーデラ王国の重鎮が疑われた事へ抗議…であったと位置づけられる。
そしてエリミアにも非があったと認め、魔力拘束伴う箝口令が敷かれ…無かった事にされた。
微妙な立ち位置となった者達は…遠方などへ送られた…ようだ。
全てが王の意向に従ったものであり…どこまでも独善的な裁断であった。
「とてつもなく微妙な結末ですが、国王とは此の様な結果導く唯一であるべき存在。我が君にも若干見習っていただきたい部分ではあります」
傲慢な国王的後始末の仕方を見て、ピオがニュールに述べた言葉である。
相当に思い描く国王像が怪しげな方向に偏っている。
「いやっ、お前が描く王は独裁者ってやつだぞ…悪いがオレには無理だから…」
「では、せめて魔王にでも…」
「お前の提案は謹んで遠慮したいぞ!」
素直にニュールはお断りした。
国としての交流は延期…と言う形になり、プラーデラの使節に対しては賢者の塔側で対応するに留まる形となり…有耶無耶に処理された。
一応何らかのエリミアからの動きを警戒してはいたが、まるで何事も無かったかのように経過する。
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