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11章 夏の海ではしゃいじゃお
457.進化のいろいろ
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ツッキーは進化できる状態になってすぐに輝月狼への進化を決めたらしい。
その理由は──
「だって、この名前のモンスター、絶対カッコいいだろ! キラキラ感が増して最高じゃん!」
──だって。
僕が「ツッキーらしいね……」って呆れながら言っちゃうのも当然だと思う。
「一応資料室とかで情報は集めてたにゃ」
「モモさんの天兎と違って、僕たちの種族はそれなりに資料がありましたし」
ムギとソウタが説明を補足してくれた。
そっか。さすがのツッキーも多少は慎重に進化先を選んだんだね。最終的に見た目が決め手になったのは間違いないらしいけど。
「二人は進化をどうするの?」
「考え中にゃ。今のところ、どれに進化してもサイズが大きくなるみたいだから、街歩きが不便になりそうだにゃ」
「結構特殊な進化先もありますけど、それだとこの先困る可能性もありますしね」
「属性の変化は影響が大きいにゃ。大きさが変わると、慣れるのにちょっと時間も必要だしにゃ」
二人は僕と同じくらい悩んでるみたいだ。
進化したら戻れない可能性が高いもんね。ツッキーみたいに思い切りよく決断するのは難しいよ。
ムギたち以外にも、すでに進化できる状態になってる人は他にもいるみたいだけど、全員保留してるんだって。
一番の理由は、まだ明かされてない進化先があって、今の状態でする選択が最善にならない可能性があるから、らしい。
それは僕も同感! 『???』って隠されてる進化先が気になるんだよねぇ。
「今のところ、バトルで困ってないしにゃ」
「進化が必須って感じじゃないんですよね。レベルは明らかに上がりにくくなってますけど」
「そうなんだ?」
意外な話を聞いた。
ソウタ曰く、進化しないままだとレベル35以上になるための経験値がたくさん必要になるらしい。それは、進化したツッキーと比べて明らかな差だとか。
つまり、希少種族はレベル35くらいで進化することが推奨されてるってことかぁ。
まあ、攻略最前線に立つわけじゃないなら、そこまでレベルを上げることにこだわる必要はないし、問題はない気もする。
「ほえー。レベル35かぁ……まだ遠いですねぇ」
ぷる君が体の中で魚の骨を泳がせながら呟く。
それがスケルトン・フィッシュの完成形? だいぶ不気味だよ?
「ぷる君もすぐなれるって。モモさんの教えを糧に、漁をがんばれ! 俺が協力してもいいヨー」
ヤナがぷる君をペシペシと叩いて激励する。
この二人、ほんと仲良くなったなぁ。ヤナが生き生きとしてる。スケルトンに『生き生き』って表現が相応しいかは、ちょっと疑問だけど。
「ヤナさん、ありがとうございます! 時間がある時はぜひ!」
嬉しそうに応えたぷる君が、「あれ? そういえば──」と言葉を続ける。
「もしかして、ヤナさんはもうレベル35超えてるんですか? 進化してます?」
「してるよー」
「してるんだ!?」
僕は驚いて、思わず二人の会話に口を挟んだ。
え、ヤナの見た目変わってなくない? これで進化してるの?
じっと観察してみても、全然前との違いがわからない。
「これ、ここ見てください」
ヤナがマントを揺らした。チラチラと胴体の骨が見える。でも、それがどうしたの?
「わかりません?」
「うん、わからない」
「えー……モモさんならわかってくれると思ったのにぃ」
「そんな言われても、ヤナのことそんなに知らないし」
拗ねた感じで言われたけど、僕はサラッと流した。事実だし。
ヤナは「今グサッてきたぁ……!」なんて言って大げさに嘆いてる。それより、進化のこと教えてよー。
「骨がちょっと黒くなったでしょ?」
「えっ……ほんとに?」
言われて改めて観察したけど、全然わからなかった。
ちょっと、って、ほんとに小さすぎる変化なんじゃない?
「うわーん、せっかく骨魔道士になったのにぃ!」
ヤナがウソ泣きをしながら教えてくれた。
骨魔道士かぁ。スケルトンの魔力攻撃型進化ルートかな?
確かヤナはリッチになりたいって言ってたはずだから、魔術方面で進化させるのはいい選択な気がする。
「強そうだねー、すごいねーヤナー」
適当に褒めたら、ヤナがパッと花を飛ばすような明るい雰囲気に切り替わって「でしょ!」と嬉しそうに言った。
チョロいところ、対応が楽でいいと思うよ。
そのテンションはスケルトンのダークな雰囲気を損なってると思うけど、ホラー感が全然なくて僕にとってはありがたいし。
「進化いいですねー。私、すごくゴツいのしかなかったらどうしよう……」
リコが自分の尻尾を見てから遠い目をする。
ワニ要素が増すと、もふもふ可愛さが薄れちゃうもんね。もふもふ好きにとっては大問題だ。
「ニャンコ要素を足して」
「それ無茶振りー」
真顔のナディアに要求されても、リコはアハハと笑って聞き流してる。
ワンコとワニな姿に、さらにニャンコ要素を足すのは無理があると思うよ。闇鍋感が強い。
「モモさんは、進化しても可愛さそのままですよねっ!?」
不意にタマモが身を乗り出して尋ねてきた。顔が必死過ぎる。
タマモの言葉の後に、場がシーンと静まり返った。みんな、固唾を呑んで僕の答えを待ってる気がする。
そんなに見つめられたら照れちゃうー。
言われなくたって、僕はもふもふ可愛さを失うつもりはないよ。
「そのままかどうかはわからないけど、もふもふ可愛いって思ってもらえる進化先にするつもりだよー」
「「「よかったぁあああ!」」」
安堵の声がここまで歓声に近くなることある?
みんなが嬉しそうに微笑み合っているのを見て笑っちゃった。
「僕はもふもふ神でみんなのアイドルだもん。ちゃんと期待には応えるよ!」
「さすがもふもふ神さま!」
「それでこそ、私たちの神!」
「モモさんは神!」
「素晴らしき神アイドルにバンザーイ!」
僕がいぇーいと手を上げたら、さらに大きな歓声が上がった。
ルトが「自分で『もふもふ可愛い』とか『みんなのアイドル』って言うのか……」って呆れてたけど、気にしないよー。だって、事実だもん。
僕はもふもふ可愛い神アイドルです!
今後、進化したとしても応援よろしく♪
その理由は──
「だって、この名前のモンスター、絶対カッコいいだろ! キラキラ感が増して最高じゃん!」
──だって。
僕が「ツッキーらしいね……」って呆れながら言っちゃうのも当然だと思う。
「一応資料室とかで情報は集めてたにゃ」
「モモさんの天兎と違って、僕たちの種族はそれなりに資料がありましたし」
ムギとソウタが説明を補足してくれた。
そっか。さすがのツッキーも多少は慎重に進化先を選んだんだね。最終的に見た目が決め手になったのは間違いないらしいけど。
「二人は進化をどうするの?」
「考え中にゃ。今のところ、どれに進化してもサイズが大きくなるみたいだから、街歩きが不便になりそうだにゃ」
「結構特殊な進化先もありますけど、それだとこの先困る可能性もありますしね」
「属性の変化は影響が大きいにゃ。大きさが変わると、慣れるのにちょっと時間も必要だしにゃ」
二人は僕と同じくらい悩んでるみたいだ。
進化したら戻れない可能性が高いもんね。ツッキーみたいに思い切りよく決断するのは難しいよ。
ムギたち以外にも、すでに進化できる状態になってる人は他にもいるみたいだけど、全員保留してるんだって。
一番の理由は、まだ明かされてない進化先があって、今の状態でする選択が最善にならない可能性があるから、らしい。
それは僕も同感! 『???』って隠されてる進化先が気になるんだよねぇ。
「今のところ、バトルで困ってないしにゃ」
「進化が必須って感じじゃないんですよね。レベルは明らかに上がりにくくなってますけど」
「そうなんだ?」
意外な話を聞いた。
ソウタ曰く、進化しないままだとレベル35以上になるための経験値がたくさん必要になるらしい。それは、進化したツッキーと比べて明らかな差だとか。
つまり、希少種族はレベル35くらいで進化することが推奨されてるってことかぁ。
まあ、攻略最前線に立つわけじゃないなら、そこまでレベルを上げることにこだわる必要はないし、問題はない気もする。
「ほえー。レベル35かぁ……まだ遠いですねぇ」
ぷる君が体の中で魚の骨を泳がせながら呟く。
それがスケルトン・フィッシュの完成形? だいぶ不気味だよ?
「ぷる君もすぐなれるって。モモさんの教えを糧に、漁をがんばれ! 俺が協力してもいいヨー」
ヤナがぷる君をペシペシと叩いて激励する。
この二人、ほんと仲良くなったなぁ。ヤナが生き生きとしてる。スケルトンに『生き生き』って表現が相応しいかは、ちょっと疑問だけど。
「ヤナさん、ありがとうございます! 時間がある時はぜひ!」
嬉しそうに応えたぷる君が、「あれ? そういえば──」と言葉を続ける。
「もしかして、ヤナさんはもうレベル35超えてるんですか? 進化してます?」
「してるよー」
「してるんだ!?」
僕は驚いて、思わず二人の会話に口を挟んだ。
え、ヤナの見た目変わってなくない? これで進化してるの?
じっと観察してみても、全然前との違いがわからない。
「これ、ここ見てください」
ヤナがマントを揺らした。チラチラと胴体の骨が見える。でも、それがどうしたの?
「わかりません?」
「うん、わからない」
「えー……モモさんならわかってくれると思ったのにぃ」
「そんな言われても、ヤナのことそんなに知らないし」
拗ねた感じで言われたけど、僕はサラッと流した。事実だし。
ヤナは「今グサッてきたぁ……!」なんて言って大げさに嘆いてる。それより、進化のこと教えてよー。
「骨がちょっと黒くなったでしょ?」
「えっ……ほんとに?」
言われて改めて観察したけど、全然わからなかった。
ちょっと、って、ほんとに小さすぎる変化なんじゃない?
「うわーん、せっかく骨魔道士になったのにぃ!」
ヤナがウソ泣きをしながら教えてくれた。
骨魔道士かぁ。スケルトンの魔力攻撃型進化ルートかな?
確かヤナはリッチになりたいって言ってたはずだから、魔術方面で進化させるのはいい選択な気がする。
「強そうだねー、すごいねーヤナー」
適当に褒めたら、ヤナがパッと花を飛ばすような明るい雰囲気に切り替わって「でしょ!」と嬉しそうに言った。
チョロいところ、対応が楽でいいと思うよ。
そのテンションはスケルトンのダークな雰囲気を損なってると思うけど、ホラー感が全然なくて僕にとってはありがたいし。
「進化いいですねー。私、すごくゴツいのしかなかったらどうしよう……」
リコが自分の尻尾を見てから遠い目をする。
ワニ要素が増すと、もふもふ可愛さが薄れちゃうもんね。もふもふ好きにとっては大問題だ。
「ニャンコ要素を足して」
「それ無茶振りー」
真顔のナディアに要求されても、リコはアハハと笑って聞き流してる。
ワンコとワニな姿に、さらにニャンコ要素を足すのは無理があると思うよ。闇鍋感が強い。
「モモさんは、進化しても可愛さそのままですよねっ!?」
不意にタマモが身を乗り出して尋ねてきた。顔が必死過ぎる。
タマモの言葉の後に、場がシーンと静まり返った。みんな、固唾を呑んで僕の答えを待ってる気がする。
そんなに見つめられたら照れちゃうー。
言われなくたって、僕はもふもふ可愛さを失うつもりはないよ。
「そのままかどうかはわからないけど、もふもふ可愛いって思ってもらえる進化先にするつもりだよー」
「「「よかったぁあああ!」」」
安堵の声がここまで歓声に近くなることある?
みんなが嬉しそうに微笑み合っているのを見て笑っちゃった。
「僕はもふもふ神でみんなのアイドルだもん。ちゃんと期待には応えるよ!」
「さすがもふもふ神さま!」
「それでこそ、私たちの神!」
「モモさんは神!」
「素晴らしき神アイドルにバンザーイ!」
僕がいぇーいと手を上げたら、さらに大きな歓声が上がった。
ルトが「自分で『もふもふ可愛い』とか『みんなのアイドル』って言うのか……」って呆れてたけど、気にしないよー。だって、事実だもん。
僕はもふもふ可愛い神アイドルです!
今後、進化したとしても応援よろしく♪
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