もふもふで始めるのんびり寄り道生活 便利なチートフル活用でVRMMOの世界を冒険します!

ゆるり

文字の大きさ
497 / 555
11章 夏の海ではしゃいじゃお

457.進化のいろいろ

しおりを挟む
 ツッキーは進化できる状態になってすぐに輝月狼シャインルナウルフへの進化を決めたらしい。
 その理由は──

「だって、この名前のモンスター、絶対カッコいいだろ! キラキラ感が増して最高じゃん!」

 ──だって。
 僕が「ツッキーらしいね……」って呆れながら言っちゃうのも当然だと思う。

「一応資料室とかで情報は集めてたにゃ」
「モモさんの天兎アンジュラパと違って、僕たちの種族はそれなりに資料がありましたし」

 ムギとソウタが説明を補足してくれた。
 そっか。さすがのツッキーも多少は慎重に進化先を選んだんだね。最終的に見た目が決め手になったのは間違いないらしいけど。

「二人は進化をどうするの?」
「考え中にゃ。今のところ、どれに進化してもサイズが大きくなるみたいだから、街歩きが不便になりそうだにゃ」
「結構特殊な進化先もありますけど、それだとこの先困る可能性もありますしね」
「属性の変化は影響が大きいにゃ。大きさが変わると、慣れるのにちょっと時間も必要だしにゃ」

 二人は僕と同じくらい悩んでるみたいだ。
 進化したら戻れない可能性が高いもんね。ツッキーみたいに思い切りよく決断するのは難しいよ。

 ムギたち以外にも、すでに進化できる状態になってる人は他にもいるみたいだけど、全員保留してるんだって。
 一番の理由は、まだ明かされてない進化先があって、今の状態でする選択が最善にならない可能性があるから、らしい。

 それは僕も同感! 『???』って隠されてる進化先が気になるんだよねぇ。

「今のところ、バトルで困ってないしにゃ」
「進化が必須って感じじゃないんですよね。レベルは明らかに上がりにくくなってますけど」
「そうなんだ?」

 意外な話を聞いた。
 ソウタ曰く、進化しないままだとレベル35以上になるための経験値がたくさん必要になるらしい。それは、進化したツッキーと比べて明らかな差だとか。

 つまり、希少種族はレベル35くらいで進化することが推奨されてるってことかぁ。
 まあ、攻略最前線に立つわけじゃないなら、そこまでレベルを上げることにこだわる必要はないし、問題はない気もする。

「ほえー。レベル35かぁ……まだ遠いですねぇ」

 ぷる君が体の中で魚の骨を泳がせながら呟く。
 それがスケルトン・フィッシュの完成形? だいぶ不気味だよ?

「ぷる君もすぐなれるって。モモさんの教えを糧に、漁をがんばれ! 俺が協力してもいいヨー」

 ヤナがぷる君をペシペシと叩いて激励する。
 この二人、ほんと仲良くなったなぁ。ヤナが生き生きとしてる。スケルトンに『生き生き』って表現が相応しいかは、ちょっと疑問だけど。

「ヤナさん、ありがとうございます! 時間がある時はぜひ!」

 嬉しそうに応えたぷる君が、「あれ? そういえば──」と言葉を続ける。

「もしかして、ヤナさんはもうレベル35超えてるんですか? 進化してます?」
「してるよー」
「してるんだ!?」

 僕は驚いて、思わず二人の会話に口を挟んだ。
 え、ヤナの見た目変わってなくない? これで進化してるの?
 じっと観察してみても、全然前との違いがわからない。

「これ、ここ見てください」

 ヤナがマントを揺らした。チラチラと胴体の骨が見える。でも、それがどうしたの?

「わかりません?」
「うん、わからない」
「えー……モモさんならわかってくれると思ったのにぃ」
「そんな言われても、ヤナのことそんなに知らないし」

 拗ねた感じで言われたけど、僕はサラッと流した。事実だし。
 ヤナは「今グサッてきたぁ……!」なんて言って大げさに嘆いてる。それより、進化のこと教えてよー。

「骨がちょっと黒くなったでしょ?」
「えっ……ほんとに?」

 言われて改めて観察したけど、全然わからなかった。
 ちょっと、って、ほんとに小さすぎる変化なんじゃない?

「うわーん、せっかく骨魔道士ポーンマジシャンになったのにぃ!」

 ヤナがウソ泣きをしながら教えてくれた。
 骨魔道士ポーンマジシャンかぁ。スケルトンの魔力攻撃型進化ルートかな?
 確かヤナはリッチになりたいって言ってたはずだから、魔術方面で進化させるのはいい選択な気がする。

「強そうだねー、すごいねーヤナー」

 適当に褒めたら、ヤナがパッと花を飛ばすような明るい雰囲気に切り替わって「でしょ!」と嬉しそうに言った。

 チョロいところ、対応が楽でいいと思うよ。
 そのテンションはスケルトンのダークな雰囲気を損なってると思うけど、ホラー感が全然なくて僕にとってはありがたいし。

「進化いいですねー。私、すごくゴツいのしかなかったらどうしよう……」

 リコが自分の尻尾を見てから遠い目をする。
 ワニ要素が増すと、もふもふ可愛さが薄れちゃうもんね。もふもふ好きにとっては大問題だ。

「ニャンコ要素を足して」
「それ無茶振りー」

 真顔のナディアに要求されても、リコはアハハと笑って聞き流してる。
 ワンコとワニな姿に、さらにニャンコ要素を足すのは無理があると思うよ。闇鍋感が強い。

「モモさんは、進化しても可愛さそのままですよねっ!?」

 不意にタマモが身を乗り出して尋ねてきた。顔が必死過ぎる。
 タマモの言葉の後に、場がシーンと静まり返った。みんな、固唾を呑んで僕の答えを待ってる気がする。

 そんなに見つめられたら照れちゃうー。
 言われなくたって、僕はもふもふ可愛さを失うつもりはないよ。

「そのままかどうかはわからないけど、もふもふ可愛いって思ってもらえる進化先にするつもりだよー」
「「「よかったぁあああ!」」」

 安堵の声がここまで歓声に近くなることある?
 みんなが嬉しそうに微笑み合っているのを見て笑っちゃった。

「僕はもふもふ神でみんなのアイドルだもん。ちゃんと期待には応えるよ!」
「さすがもふもふ神さま!」
「それでこそ、私たちの神!」
「モモさんは神!」
「素晴らしき神アイドルにバンザーイ!」

 僕がいぇーいと手を上げたら、さらに大きな歓声が上がった。

 ルトが「自分で『もふもふ可愛い』とか『みんなのアイドル』って言うのか……」って呆れてたけど、気にしないよー。だって、事実だもん。

 僕はもふもふ可愛い神アイドルです!
 今後、進化したとしても応援よろしく♪

しおりを挟む
感想 2,532

あなたにおすすめの小説

番外編・もふもふで始めるのんびり寄り道生活

ゆるり
ファンタジー
『もふもふで始めるのんびり寄り道生活』の番外編です。 登場人物の説明などは本編をご覧くださいませ。 更新は不定期です。

もふもふと味わうVRグルメ冒険記 〜遅れて始めたけど、料理だけは最前線でした〜

きっこ
ファンタジー
五感完全再現のフルダイブVRMMO《リアルコード・アース》。 遅れてゲームを始めた童顔ちびっ子キャラの主人公・蓮は、戦うことより“料理”を選んだ。 作るたびに懐いてくるもふもふ、微笑むNPC、ほっこりする食卓―― 今日も炊事場でクッキーを焼けば、なぜか神様にまで目をつけられて!? ただ料理しているだけなのに、気づけば伝説級。 癒しと美味しさが詰まった、もふもふ×グルメなスローゲームライフ、ここに開幕!

【完結】デスペナのないVRMMOで一度も死ななかった生産職のボクは最強になりました。

鳥山正人
ファンタジー
デスペナのないフルダイブ型VRMMOゲームで一度も死ななかったボク、三上ハヤトがノーデスボーナスを授かり最強になる物語。 鍛冶スキルや錬金スキルを使っていく、まったり系生産職のお話です。 まったり更新でやっていきたいと思っていますので、よろしくお願いします。 「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過しました。 ──────── 自筆です。

異世界に召喚されたけど、戦えないので牧場経営します~勝手に集まってくる動物達が、みんな普通じゃないんだけど!?~

黒蓬
ファンタジー
白石悠真は、ある日突然異世界へ召喚される。しかし、特別なスキルとして授かったのは「牧場経営」。戦えない彼は、与えられた土地で牧場を経営し、食料面での貢献を望まれる。ところが、彼の牧場には不思議な動物たちが次々と集まってきて――!? 異世界でのんびり牧場ライフ、始まります!

【完結】小さな元大賢者の幸せ騎士団大作戦〜ひとりは寂しいからみんなで幸せ目指します〜

るあか
ファンタジー
 僕はフィル・ガーネット5歳。田舎のガーネット領の領主の息子だ。  でも、ただの5歳児ではない。前世は別の世界で“大賢者”という称号を持つ大魔道士。そのまた前世は日本という島国で“独身貴族”の称号を持つ者だった。  どちらも決して不自由な生活ではなかったのだが、特に大賢者はその力が強すぎたために側に寄る者は誰もおらず、寂しく孤独死をした。  そんな僕はメイドのレベッカと近所の森を散歩中に“根無し草の鬼族のおじさん”を拾う。彼との出会いをきっかけに、ガーネット領にはなかった“騎士団”の結成を目指す事に。  家族や領民のみんなで幸せになる事を夢見て、元大賢者の5歳の僕の幸せ騎士団大作戦が幕を開ける。

ねえ、今どんな気持ち?

かぜかおる
ファンタジー
アンナという1人の少女によって、私は第三王子の婚約者という地位も聖女の称号も奪われた 彼女はこの世界がゲームの世界と知っていて、裏ルートの攻略のために第三王子とその側近達を落としたみたい。 でも、あなたは真実を知らないみたいね ふんわり設定、口調迷子は許してください・・・

嘘つきと呼ばれた精霊使いの私

ゆるぽ
ファンタジー
私の村には精霊の愛し子がいた、私にも精霊使いとしての才能があったのに誰も信じてくれなかった。愛し子についている精霊王さえも。真実を述べたのに信じてもらえず嘘つきと呼ばれた少女が幸せになるまでの物語。

異世界で焼肉屋を始めたら、美食家エルフと凄腕冒険者が常連になりました ~定休日にはレア食材を求めてダンジョンへ~

金色のクレヨン@釣りするWeb作家
ファンタジー
辺境の町バラムに暮らす青年マルク。 子どもの頃から繰り返し見る夢の影響で、自分が日本(地球)から転生したことを知る。 マルクは日本にいた時、カフェを経営していたが、同業者からの嫌がらせ、客からの理不尽なクレーム、従業員の裏切りで店は閉店に追い込まれた。 その後、悲嘆に暮れた彼は酒浸りになり、階段を踏み外して命を落とした。 当時の記憶が復活した結果、マルクは今度こそ店を経営して成功することを誓う。 そんな彼が思いついたのが焼肉屋だった。 マルクは冒険者をして資金を集めて、念願の店をオープンする。 焼肉をする文化がないため、その斬新さから店は繁盛していった。 やがて、物珍しさに惹かれた美食家エルフや凄腕冒険者が店を訪れる。 HOTランキング1位になることができました! 皆さま、ありがとうございます。 他社の投稿サイトにも掲載しています。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。