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12章 美味しいもの大好き!
501.友は宝物
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本日もログインです!
のんびりほのぼのがんばるよ~。
屋敷の露天風呂でバシャバシャと泳いで、リラックスしてから農地に出発。
せっかく温泉あるのにあんまり入ってないなって唐突に思い出したんだ。温泉水自体は錬金素材に活用してたんだけど。
温泉でポカポカした気分で農地に向かい、果樹園の一画を観察する。
「むむぅ……さすがにまだ大きくなってないかぁ……」
他の果樹とは違ってまだ小さな木と、土からちょこんと顔を出した芽。
前回、ログアウト前に宝果の苗と種を植えておいたんだ。
「成長促進剤が使えるみたいだから、たっぷりあげるよ~」
苗木と芽に成長促進剤を与えると、一瞬ふわっと光の粒が舞った気がした。
それ以外の大きな変化は見えないけど、ちゃんと効果は出てるはず。
いつ頃、実がなるんだろう? ハカセに聞いておけばよかったな。
「ま、いつかは実るでしょ」
ゆっくり成長を見守ろう。グルメ大会までまだ時間あるしね。
ということで、今はもう一つの課題に取り組むことにする。
やるべきことはいっぱいあるけど、地道にしなきゃいけないのは──
「いざ、爆発耐久訓れ──じゃなくて、錬成スキル訓練!」
素で間違えました。テヘッ。
ハカセのところで錬成スキルを覚えるための特訓のイメージが、爆発九割だったからしかたないんだよ。残り一割が桃林檎の美味しさ。
爆発の破壊力はすごいのデス。
「でも、錬成スキルを使うには、爆発しても問題ない場所が必要なんだよなぁ……」
どこで訓練しよう、と考えていると、農地の端──小屋の近くにある二本の木の門が視界に入った。
「あ、そうだ! 異空間なら爆発しても、こっち側には影響ないじゃん!」
ポンッと手を叩いて、自分の発想力を褒め称える。
ここには僕しかいないから、自画自賛するしかないんだ。ちょっと寂しい。ルトがいたら巻き込むのに。
異空間(森)に向かいながら、なんとなく通知の方を見たら、僕の思いを読み取ったようにピコッと通知マークがついた。
これはもしかして──
「ルトだー!」
フレンドチャットを開いて、送り主を確認して声が弾む。
噂をすれば影がさすってことわざ、ホントなんだね。さすが親友、ベストタイミング!
でも、それならこれまでに何度もルトから連絡が入ってきててもよさそうなものだけど。ずっとイマジナリー・ルトが登場してたよ。
「なになに~……『お前、俺がテストで忙しいって知ってて爆弾投下してくるの嫌がらせか!? 絶対今度会ったら、ほっぺた引っ張ってお前の顔倍にしてやるからな! 覚悟しとけよ!』」
フレンドチャットを読み上げてから、ソッと空を見上げる。
今日も青い空が綺麗だなぁ……。
現実逃避しつつも、ルトが言う『爆弾』とは何かを考える。
「えっと……長靴猫については、全然怒ってなかったよね? 今週末、一緒に会いに行く約束したしね? じゃあ、宝果? いや、これはまだお知らせしてない……あとは、僕が爆弾兎になりつつあること? いや、これもまだ言ってない……」
次々に思い浮かぶことはあったけど、どれもまだルトに教えてないことだった。
チャットを送るのが面倒くさくて、今度会った時にお知らせしようと思ってたんだよね。
つまり、まだ爆発してない情報爆弾を、僕は持ったままだっていうことだ。
あれ……これ全部教えたら、ほっぺたを引っ張られるだけじゃ済まないのでは……?
「言うのやめとこー」
うんうん、と頷いて、情報提供をやめることにした。
ルトに教えたって活用されないかもしれない情報だし。別に情報を広める必要もないし。
僕の胸に秘めておけば、ルトは怒りを溜めなくていいし、僕も怒られないし、Win-Winだよね!
「チャットをさかのぼって……あ、闇使徒団に関する情報くらいしか送ってないや」
自分で言うのもなんだけど、僕、公表してない情報が多すぎる気がする。
誰に迷惑をかけてるわけでもないから、改善するつもりはないけどー。
でも、もふもふ教に情報を取り扱う部署(?)ができたらしいし、気が向いたら情報を提供しよう。
「闇使徒団の情報は、さすがにレイドイベに繋がるかもしれないから、周知してもらいたかったんだよねぇ。それで怒られるのは理不尽じゃない?」
プンプン。これから情報を入手した後に秘匿してもいいのかー!?
──という気持ちをチャットに書き綴ってルトに送った。
ルトはもうログアウトしているらしい。テスト期間中にちょっとだけログインしただけのようだ。
……まぁ、忙しい相手に、情報の周知を頼んだのはちょっと悪かったかもしれない?
タマモに連絡しておこうかな。
そう思った途端、フレンドチャットの通知が来た。
今思い浮かんだばかりの『タマモ』という名を見て、キョロキョロと周囲を見回す。
あまりにもタイミングがよかったから、タマモがどこかから僕を監視してるんじゃないかと思ったんだよ。そうだったら怖いよぉ。
さすがに、監視してたとしても、タマモの名を声に出したわけじゃないから、僕の思考を察することなんでできないはずなんだけどさ。
……ちょっぴり、タマモならできそうだ、なんて思わなくもないよね。
「タマモはいない」
確認を終えて、チャットを開く。
内容は『ルトさんから連絡をいただきました。すごい情報のご提供ありがとうございます! 掲示板にはルトさんが書いてくださったのですが、その情報によってモモさんの周辺が騒がしくならないよう、私の方で監視・統制しますね』というもの。
……おっと? これ、ルトがタマモにフォローを頼んだ感じ?
忙しいと言いつつ、問題が起きないように手を打ってくれてるルト、最高の友では?
タマモにお礼の返事をしてから、ルトとのチャットを開き直して、僕が文句を連ねた言葉を見てちょっと反省した。
今度会ったら、大人しくほっぺたビヨーンの罰を受けます。
「『タマモにフォローを頼んでくれてありがとー。これからはちゃんとタイミングに気をつけて情報を送るね! あと、ルトが気になりそうな情報を見つけたら、すぐに教えてあげるからね』……こんな感じでいいかな?」
ちょっと首を傾げてから、チャットを閉じる。
ルトは優しいから大丈夫のはず!
でも、お詫びの気持ちを込めた特別なアイテムをあげたいから、錬成スキルで何か作ろうかなー。
……錬成がほとんど爆発しなくなってからになるけど!
のんびりほのぼのがんばるよ~。
屋敷の露天風呂でバシャバシャと泳いで、リラックスしてから農地に出発。
せっかく温泉あるのにあんまり入ってないなって唐突に思い出したんだ。温泉水自体は錬金素材に活用してたんだけど。
温泉でポカポカした気分で農地に向かい、果樹園の一画を観察する。
「むむぅ……さすがにまだ大きくなってないかぁ……」
他の果樹とは違ってまだ小さな木と、土からちょこんと顔を出した芽。
前回、ログアウト前に宝果の苗と種を植えておいたんだ。
「成長促進剤が使えるみたいだから、たっぷりあげるよ~」
苗木と芽に成長促進剤を与えると、一瞬ふわっと光の粒が舞った気がした。
それ以外の大きな変化は見えないけど、ちゃんと効果は出てるはず。
いつ頃、実がなるんだろう? ハカセに聞いておけばよかったな。
「ま、いつかは実るでしょ」
ゆっくり成長を見守ろう。グルメ大会までまだ時間あるしね。
ということで、今はもう一つの課題に取り組むことにする。
やるべきことはいっぱいあるけど、地道にしなきゃいけないのは──
「いざ、爆発耐久訓れ──じゃなくて、錬成スキル訓練!」
素で間違えました。テヘッ。
ハカセのところで錬成スキルを覚えるための特訓のイメージが、爆発九割だったからしかたないんだよ。残り一割が桃林檎の美味しさ。
爆発の破壊力はすごいのデス。
「でも、錬成スキルを使うには、爆発しても問題ない場所が必要なんだよなぁ……」
どこで訓練しよう、と考えていると、農地の端──小屋の近くにある二本の木の門が視界に入った。
「あ、そうだ! 異空間なら爆発しても、こっち側には影響ないじゃん!」
ポンッと手を叩いて、自分の発想力を褒め称える。
ここには僕しかいないから、自画自賛するしかないんだ。ちょっと寂しい。ルトがいたら巻き込むのに。
異空間(森)に向かいながら、なんとなく通知の方を見たら、僕の思いを読み取ったようにピコッと通知マークがついた。
これはもしかして──
「ルトだー!」
フレンドチャットを開いて、送り主を確認して声が弾む。
噂をすれば影がさすってことわざ、ホントなんだね。さすが親友、ベストタイミング!
でも、それならこれまでに何度もルトから連絡が入ってきててもよさそうなものだけど。ずっとイマジナリー・ルトが登場してたよ。
「なになに~……『お前、俺がテストで忙しいって知ってて爆弾投下してくるの嫌がらせか!? 絶対今度会ったら、ほっぺた引っ張ってお前の顔倍にしてやるからな! 覚悟しとけよ!』」
フレンドチャットを読み上げてから、ソッと空を見上げる。
今日も青い空が綺麗だなぁ……。
現実逃避しつつも、ルトが言う『爆弾』とは何かを考える。
「えっと……長靴猫については、全然怒ってなかったよね? 今週末、一緒に会いに行く約束したしね? じゃあ、宝果? いや、これはまだお知らせしてない……あとは、僕が爆弾兎になりつつあること? いや、これもまだ言ってない……」
次々に思い浮かぶことはあったけど、どれもまだルトに教えてないことだった。
チャットを送るのが面倒くさくて、今度会った時にお知らせしようと思ってたんだよね。
つまり、まだ爆発してない情報爆弾を、僕は持ったままだっていうことだ。
あれ……これ全部教えたら、ほっぺたを引っ張られるだけじゃ済まないのでは……?
「言うのやめとこー」
うんうん、と頷いて、情報提供をやめることにした。
ルトに教えたって活用されないかもしれない情報だし。別に情報を広める必要もないし。
僕の胸に秘めておけば、ルトは怒りを溜めなくていいし、僕も怒られないし、Win-Winだよね!
「チャットをさかのぼって……あ、闇使徒団に関する情報くらいしか送ってないや」
自分で言うのもなんだけど、僕、公表してない情報が多すぎる気がする。
誰に迷惑をかけてるわけでもないから、改善するつもりはないけどー。
でも、もふもふ教に情報を取り扱う部署(?)ができたらしいし、気が向いたら情報を提供しよう。
「闇使徒団の情報は、さすがにレイドイベに繋がるかもしれないから、周知してもらいたかったんだよねぇ。それで怒られるのは理不尽じゃない?」
プンプン。これから情報を入手した後に秘匿してもいいのかー!?
──という気持ちをチャットに書き綴ってルトに送った。
ルトはもうログアウトしているらしい。テスト期間中にちょっとだけログインしただけのようだ。
……まぁ、忙しい相手に、情報の周知を頼んだのはちょっと悪かったかもしれない?
タマモに連絡しておこうかな。
そう思った途端、フレンドチャットの通知が来た。
今思い浮かんだばかりの『タマモ』という名を見て、キョロキョロと周囲を見回す。
あまりにもタイミングがよかったから、タマモがどこかから僕を監視してるんじゃないかと思ったんだよ。そうだったら怖いよぉ。
さすがに、監視してたとしても、タマモの名を声に出したわけじゃないから、僕の思考を察することなんでできないはずなんだけどさ。
……ちょっぴり、タマモならできそうだ、なんて思わなくもないよね。
「タマモはいない」
確認を終えて、チャットを開く。
内容は『ルトさんから連絡をいただきました。すごい情報のご提供ありがとうございます! 掲示板にはルトさんが書いてくださったのですが、その情報によってモモさんの周辺が騒がしくならないよう、私の方で監視・統制しますね』というもの。
……おっと? これ、ルトがタマモにフォローを頼んだ感じ?
忙しいと言いつつ、問題が起きないように手を打ってくれてるルト、最高の友では?
タマモにお礼の返事をしてから、ルトとのチャットを開き直して、僕が文句を連ねた言葉を見てちょっと反省した。
今度会ったら、大人しくほっぺたビヨーンの罰を受けます。
「『タマモにフォローを頼んでくれてありがとー。これからはちゃんとタイミングに気をつけて情報を送るね! あと、ルトが気になりそうな情報を見つけたら、すぐに教えてあげるからね』……こんな感じでいいかな?」
ちょっと首を傾げてから、チャットを閉じる。
ルトは優しいから大丈夫のはず!
でも、お詫びの気持ちを込めた特別なアイテムをあげたいから、錬成スキルで何か作ろうかなー。
……錬成がほとんど爆発しなくなってからになるけど!
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