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12章 美味しいもの大好き!
541.最高潮へ
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グルメ大会が終わった途端、タマモたちもふもふ教のみんなが、素早くステージの準備を整えた。
手慣れすぎてプロの域に達している早業だ。
大きく『グルメ大会』と書かれていた看板は下ろされ、『もふもふ神さま☆コンサート』という文字が踊るカラフルな垂れ幕が、他のキラキラした装飾と共にステージを彩る。
ステージとその前の広場をあらゆる角度から撮影するためのカメラも準備オッケー。
それを操るもふもふ教のみんなは、真剣な面持ちで動作チェック中だ。
今日撮った映像は、ちょっと編集を入れてから、動画サイトにアップする予定なんだって。
他のサーバーやリアル世界でも、もふもふ教信徒が増えているらしいし、「適宜の萌えの供給は大事です!」とタマモが鼻息荒く主張していた。
僕はいつも通りライブするだけだし、他のことはタマモたちにおまかせだよ~。いい感じにしてくださ~い。
「いやー、久々ですね! 笛の練習、たくさんしておいてよかったです!」
僕の近くでニコニコと笑っているのはシェルさんだ。
今回はシェルさんがいる第二の街でのライブだし、当然演奏を頼んでいる。声をかけなかったら拗ねるだろうし。
新曲作りも協力してもらったし、スキル屋としての本業も忙しいかな、とは思ったけど、そういう遠慮はこの場面では御法度。
シェルさんは演奏をするのが好きだしね。
「他の場所でライブすることはあったけど、シェルさんは参加できなかったもんね。今日は一緒に楽しもう!」
「はい! 俺も、他の街への出張を増やそうかなー……」
「スキル屋さんが第二の街からいなくなるのは問題になるんじゃない?」
ゲームシステム的に、スキル屋のシェルさんが自由に他の街へ移るのはどうなんだろう? シェルさんが来てくれたら僕も嬉しいけどね。
僕が首を傾げると、シェルさんも苦笑しながら肩をすくめた。
「スキル屋に移動制限があるのは事実なんで、言ってみただけです」
「そっかぁ……この街でライブする時は必ず声をかけるよ」
「それは本当にお願いしますよ!」
念を押されて「はいはい」と頷く。
シェルさんの言葉を軽く流していると、スラリンたちが「きゅぃ(ここはああして──これはこうで──)」とコンサートでの動きを確認している声が聞こえてきた。
今日は新曲の初披露もあるから、あまり慣れてないし、直前にみんなで復習するのは不思議じゃない。
グルメ大会準備で、練習不足な感じもするしねー。スラリンたちはお庭でちょこちょこと練習してたみたいだけど。
今回のライブには、スラリンとユキマル、ラッタン、ヒスイ、ナッティの小ちゃい子メンバーが参加するよ。
さすがに街中のステージはあまり広くないし、コンパクトな演出にする予定。
「モモさん、準備はいいですか?」
「いつでもどうぞー」
広場に集まるみんなの期待に溢れた目が気になってウズウズしてきたところで、タマモからコンサート開始の合図があった。
みんなに楽しんでもらえるように、がんばるぞ~。
既に空は暗くなり始めている。
ステージを照らすライトが一旦落とされると、一瞬ざわめきが大きくなって、すぐに静まった。
楽しい時間の始まりへの、溢れんばかりの期待に満ちた空気を感じて、テンションが上がる。
シェルさんを含めて、もふもふ教の音楽担当たちが最初の一音を出すのと同時に、ライトがパッとステージをカラフルに照らした。
途端に、わあ、と興奮が爆発するような歓声が上がる。
リズミカルに奏でられるイントロと共に、ライトが踊り、僕やスラリンたちも一緒にリズムに乗った。
タイミングが来たら、くるっとターンして、会場を指しながら最初のフレーズを歌う。
「♪もっふもっふーアーイドルさまー☆」
最初の曲は『もふもふ神さまはプリティ☆アイドル』だよ。
ウィンクすると、「モモさんは神!」と聖句が溢れるように聞こえてくる。
それさえもちゃんとリズムに乗っていて、楽しいライブの一部としてバッチリはまっていた。面白いなー。
「♪もっふもっふー、もっふもっふー、もっふもっふー、もっふもっふー」
繰り返す度に少しずつ高くなる感じで僕が歌うと、観客の方からもコール・アンド・レスポンスな感じで「もっふもっふー♪」と聞こえてくる。
みんな、もうこの歌に慣れてるから、団体芸みたいになってるね。
グルメ大会委員さんたちが、会場の端の方に並んで呆けた顔をしてる。会場の熱気に圧倒されてるみたいだ。
ルトは観衆の最前列付近で、リリに渡されたうちわ(僕のイラスト&『ウィンクして』の文字付き)を半眼で揺らしてる。
とりあえずルトにウィンクしたら、呆れた顔を返された。
そっちがしてって言ってるからしたのにー。
「♪もふーっとー、プーリティーなー、かーみさーまはー」
ターンして、会場のみんなに両腕を広げて手を伸ばし、満面の笑みを向ける。
リズミカルに踊っていたライトがぎゅっと僕に光を集め、強い白の光が天使の梯子のように僕を照らした。
「——♪アーイードールー☆」
パッと放った花吹雪が会場を舞う。
僕のスキル【花舞】を演出用に調整したんだよ。華やかでめちゃくちゃ綺麗。
わぁあああっ!
歓声が会場を揺らし、輝くような笑顔が満開だ。
やっぱりみんなの前で歌って踊るの大好き!
たくさんの人をこんなに楽しませて喜ばせられるなんて、僕もすっごく幸せだよ。
もっともっともーっと、一緒に楽しもうね♪
手慣れすぎてプロの域に達している早業だ。
大きく『グルメ大会』と書かれていた看板は下ろされ、『もふもふ神さま☆コンサート』という文字が踊るカラフルな垂れ幕が、他のキラキラした装飾と共にステージを彩る。
ステージとその前の広場をあらゆる角度から撮影するためのカメラも準備オッケー。
それを操るもふもふ教のみんなは、真剣な面持ちで動作チェック中だ。
今日撮った映像は、ちょっと編集を入れてから、動画サイトにアップする予定なんだって。
他のサーバーやリアル世界でも、もふもふ教信徒が増えているらしいし、「適宜の萌えの供給は大事です!」とタマモが鼻息荒く主張していた。
僕はいつも通りライブするだけだし、他のことはタマモたちにおまかせだよ~。いい感じにしてくださ~い。
「いやー、久々ですね! 笛の練習、たくさんしておいてよかったです!」
僕の近くでニコニコと笑っているのはシェルさんだ。
今回はシェルさんがいる第二の街でのライブだし、当然演奏を頼んでいる。声をかけなかったら拗ねるだろうし。
新曲作りも協力してもらったし、スキル屋としての本業も忙しいかな、とは思ったけど、そういう遠慮はこの場面では御法度。
シェルさんは演奏をするのが好きだしね。
「他の場所でライブすることはあったけど、シェルさんは参加できなかったもんね。今日は一緒に楽しもう!」
「はい! 俺も、他の街への出張を増やそうかなー……」
「スキル屋さんが第二の街からいなくなるのは問題になるんじゃない?」
ゲームシステム的に、スキル屋のシェルさんが自由に他の街へ移るのはどうなんだろう? シェルさんが来てくれたら僕も嬉しいけどね。
僕が首を傾げると、シェルさんも苦笑しながら肩をすくめた。
「スキル屋に移動制限があるのは事実なんで、言ってみただけです」
「そっかぁ……この街でライブする時は必ず声をかけるよ」
「それは本当にお願いしますよ!」
念を押されて「はいはい」と頷く。
シェルさんの言葉を軽く流していると、スラリンたちが「きゅぃ(ここはああして──これはこうで──)」とコンサートでの動きを確認している声が聞こえてきた。
今日は新曲の初披露もあるから、あまり慣れてないし、直前にみんなで復習するのは不思議じゃない。
グルメ大会準備で、練習不足な感じもするしねー。スラリンたちはお庭でちょこちょこと練習してたみたいだけど。
今回のライブには、スラリンとユキマル、ラッタン、ヒスイ、ナッティの小ちゃい子メンバーが参加するよ。
さすがに街中のステージはあまり広くないし、コンパクトな演出にする予定。
「モモさん、準備はいいですか?」
「いつでもどうぞー」
広場に集まるみんなの期待に溢れた目が気になってウズウズしてきたところで、タマモからコンサート開始の合図があった。
みんなに楽しんでもらえるように、がんばるぞ~。
既に空は暗くなり始めている。
ステージを照らすライトが一旦落とされると、一瞬ざわめきが大きくなって、すぐに静まった。
楽しい時間の始まりへの、溢れんばかりの期待に満ちた空気を感じて、テンションが上がる。
シェルさんを含めて、もふもふ教の音楽担当たちが最初の一音を出すのと同時に、ライトがパッとステージをカラフルに照らした。
途端に、わあ、と興奮が爆発するような歓声が上がる。
リズミカルに奏でられるイントロと共に、ライトが踊り、僕やスラリンたちも一緒にリズムに乗った。
タイミングが来たら、くるっとターンして、会場を指しながら最初のフレーズを歌う。
「♪もっふもっふーアーイドルさまー☆」
最初の曲は『もふもふ神さまはプリティ☆アイドル』だよ。
ウィンクすると、「モモさんは神!」と聖句が溢れるように聞こえてくる。
それさえもちゃんとリズムに乗っていて、楽しいライブの一部としてバッチリはまっていた。面白いなー。
「♪もっふもっふー、もっふもっふー、もっふもっふー、もっふもっふー」
繰り返す度に少しずつ高くなる感じで僕が歌うと、観客の方からもコール・アンド・レスポンスな感じで「もっふもっふー♪」と聞こえてくる。
みんな、もうこの歌に慣れてるから、団体芸みたいになってるね。
グルメ大会委員さんたちが、会場の端の方に並んで呆けた顔をしてる。会場の熱気に圧倒されてるみたいだ。
ルトは観衆の最前列付近で、リリに渡されたうちわ(僕のイラスト&『ウィンクして』の文字付き)を半眼で揺らしてる。
とりあえずルトにウィンクしたら、呆れた顔を返された。
そっちがしてって言ってるからしたのにー。
「♪もふーっとー、プーリティーなー、かーみさーまはー」
ターンして、会場のみんなに両腕を広げて手を伸ばし、満面の笑みを向ける。
リズミカルに踊っていたライトがぎゅっと僕に光を集め、強い白の光が天使の梯子のように僕を照らした。
「——♪アーイードールー☆」
パッと放った花吹雪が会場を舞う。
僕のスキル【花舞】を演出用に調整したんだよ。華やかでめちゃくちゃ綺麗。
わぁあああっ!
歓声が会場を揺らし、輝くような笑顔が満開だ。
やっぱりみんなの前で歌って踊るの大好き!
たくさんの人をこんなに楽しませて喜ばせられるなんて、僕もすっごく幸せだよ。
もっともっともーっと、一緒に楽しもうね♪
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