もふもふで始めるのんびり寄り道生活 便利なチートフル活用でVRMMOの世界を冒険します!

ゆるり

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5章 もふもふいっぱい?

163.僕は勉強もできるんだよ

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 冒険者ギルド二階にある図書室は狭くて、想像していたより本が少なかった。本棚が二つと、机が四つある。

「あれ? これだけ……?」
「おや、珍しいお客さんですね」

 カウンターで本を読んでいた男の人が顔を上げた。メガネを掛けてて、インテリって感じ。
 微笑まれたので、「こんにちは~」と手を振ってみる。

「テイムするモンスター探しと、結界が効きにくいモンスターの情報を見に来たんだけど」
「それでしたら、こちらですね」

 僕を本棚に案内すると、男の人が近くの机に三冊の本を載せる。さらにその上に、数枚の紙が載せられた。

「これがモンスターの資料?」
「この街近辺を網羅してますよ。より詳細を知りたい場合は、エリア・属性ごとの図鑑をお調べになるとよろしいかと」

 つまり、三冊の本はモンスター概要ってことかな。
 本棚にはエリアや属性のタイトルがついた本がたくさん並んでる。これ全てに目を通すのは大変そうだし、概要の本を教えてもらえて良かった。

 追加された紙には、現在問題になってるモンスター三種の詳細が書いてあるみたい。まだ製本されてないってことだろうな。

「わかったよ。ありがとー。あなたはここの司書さん?」
「ええ、ライリーです。資料をお探しの際はお声がけください」

 にこりと微笑むライリーさんは優しそうな人だ。

「僕はモモだよ。よろしくね。――ここ、人がいないけど、いつもこんな感じ?」
「そうですね。この辺りでよく活動する冒険者は、今さら本での情報を知ろうとしませんから。冒険者間で情報をやり取りする方が、実際の現場で役に立つと考えているようで」

 ライリーさんが「困ったものだ」と笑みを見せる。

「テイマー志望も?」
「それこそ、同じ職の方に情報を聞いた方が良いとお考えなのだと思いますよ。たまにモモさんのように、情報を探しにいらっしゃることもありますが」
「ふーん、そうなんだ」

 現地の人もあんまり本の情報を重視しないのかぁ。

 頷きながら、とりあえず紙に視線を落とす。モンスター三種は――。

狂雪獣マッディネージュ
 北の霊峰で確認された。属性は氷。主な攻撃は【吹雪】【氷柱】【爪撃】。
 このモンスターが現れると、体感が0度を下回ることがあるので、防寒対策をして行くことが必要。
 討伐証明アイテムは【雪花スノーフレーク】。

狂岩獣マッディローク
 東の鉱山で確認された。属性は岩。主な攻撃は【岩落とし】【岩槍】【体当たり】。
 このモンスターは廃鉱山を出入りしている姿が度々目撃されている。活動範囲が広がりつつあるので、最優先討伐対象に指定されている。
 討伐証明アイテムは【闇岩アークロック】。

狂水獣マッディアクア
 西のキーリ湖で確認された。属性は水。主な攻撃は【水噴射】【渦】【水鞭】。
 湖で漁を行う者に被害が頻発している。モンスターが起こす渦により、舟は湖の底に引きずり込まれる可能性が高いため、陸地からの討伐が推奨される。
 討伐証明アイテムは【水雫オーロゼ】。

 などなど、一部を抜粋しても、たくさんの情報が書いてあった。
 結構強そうだなぁ。

「氷の属性に効く攻撃ってなんだろう?」
「火属性魔術や物理攻撃が効きますよ」

 ライリーさんからすぐさま答えがあった。これは、めちゃくちゃ有能な人に出会えたのでは? ちょっと期待しながら質問を重ねてみる。

「岩属性には?」
「水属性魔術や物理攻撃が効きますよ」
「あ、物理が効くんだ?」

 硬そうなのに意外~。パチパチと瞬きをした。
 そんな僕を見たライリーさんが、クスッと微笑みながら、内緒話のように声を潜めて続ける。

「あまり知られていませんが。ただし、物理攻撃の中でも、剣や矢による攻撃は効きにくく、体術の衝撃を与えることに特化したスキルが効きやすいようです」
「へぇ、剣士より体術士が有利ってことだね」
「はい。あとは鈍器ですね」
「鈍器……」
「ハンマーや棍棒などの重みがある武器を使うとダメージを与えやすいようです」

 なるほど。なんとなく攻略法はわかったけど、ルトには向かなそうな敵かも。

狂水獣マッディアクアに陸地から攻撃するって、どうしたらいいの?」
「風魔術か風属性を付与した矢などですね。距離が離れるほど威力が減衰するので、モンスターを陸地に引き寄せてから攻撃するといいです」

 これまた、ルトには向かないかな? 遠距離攻撃を覚えてるのかわかんないや。

「そっか。あ、霊峰に行くと、どれくらいの確率で狂雪獣マッディネージュが出てくる?」

 野生の天兎アンジュラパに会うためには霊峰に行かなきゃいけないし、一番戦う可能性が高いのは狂雪獣マッディネージュだ。
 強いモンスターならあまり戦いたくないし、戦うにしても準備を万全にしてからにしたい。

「報告では、今のところ霊峰の低~中層域まででしか確認されてませんが、上層まで行く場合は、道中で必ず五回以上遭遇すると考えた方がいいと思いますよ」
「んー……それなりに確率高い感じかな? 一回行ってみるかなぁ」

 とりあえずどんな感じの敵か調べるために、バトルしてみるのが良さそう。タイミングを見て、ルトたちを誘ってみよう。

「ライリーさん、教えてくれてありがとー」
「いえ、お役に立てましたなら嬉しいです」

 にこっと微笑むライリーさん。実は暇なのかな? ずっと傍にいてくれてるもんね。

 これは遠慮なく質問してみるのが良さそう。ということで、周辺モンスターについても資料を読みながら聞いちゃうぞー。

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