もふもふで始めるのんびり寄り道生活 便利なチートフル活用でVRMMOの世界を冒険します!

ゆるり

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5章 もふもふいっぱい?

168.プライベートフォレストだー

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 異空間(森)に飛び込んだ途端、ふわっと草木の香りがしてくる。森林浴で、なんか気分リフレッシュできそう。

「思ったより、普通の森?」

 周囲を見渡してコテッと頭を傾ける。
 普通の森すぎて、ちょっとつまんない。でも、全然モンスターの気配がしないから気が楽かも。

「――って、それ、全然普通じゃないじゃんっ!」

 思わず自分の思考にツッコミを入れちゃった。
 この世界、森ってモンスターの住処だから、こんなに平穏な雰囲気じゃない。凶暴なモンスターが現れたり、たまに罠とかあったりするし。

 ここは静か。危機感なんて一切感じない。だから、ピクニックにはいいのかも?
 周囲を見渡して、ふと淡い光に気づいた。

「ん? あれって、採集ポイント!?」

 慌てて近づいてみる。
 やっぱり草が光ってる。紛れもなく採集ポイントだ。反射的に採集スキルを使おうとして、ハッと動きを止めた。

「もしかして、種も採れる……?」

 アイテムボックスに仕舞っていた種鎌を取り出して、採集ポイントに振りながら採集スキルを使う。

〈【空間草の種】×8を入手しました〉

「多いな! って、空間草?」

 一度で八個もアイテムが採れたこと、今までなかったんだけど。

 これは迷彩小竜カモフラミニドラゴンを倒して入手した【コレクションリング】の効果だろうなぁ。
 もしかしたら、ここが農地と似た場所として認定されてて、【世話焼き】の称号効果もあるのかも。

 それより気になるのは初めて見たアイテム。
 採集した草は【薬草】に似てたから、てっきり【薬草の種】が手に入るんだと思ってたんだけど。

「鑑定~♪」

 新しいアイテムに出会うと、なんだかワクワクするよね。
 空間草の種に全鑑定スキルを使ってみる。

――――――
【空間草の種】レア度☆☆☆☆☆
 異空間に生えている空間草の種。農地で栽培可能。
 空間草は空間魔術系アイテムの素材になる。
――――――

「めっちゃレア度高いね?」

 ☆5かー。今まで採集したアイテムの中で一番高いかも。
 そして、空間魔術系アイテムってなに?

 気になったので、種鎌を使わないで空間草を採集してみる。一気にわっさぁと採れたよー。

「これを錬金布に載っけて、レシピ検索、っと」

 錬金玉に触れて見えた検索結果に、思わず目を見張った。

「……【空間転移ドロップ(サク)】?」

 他の街の名前がついたアイテムもあったけど、とりあえず一番上の詳細を確認する。

 アイテム説明には『食べると、はじまりの街サクの転移ポイントに転移できる』と書いてあった。
 転移ポイントは各街に設定されている場所らしくて、はじまりの街だと『西の海岸』だ。

 プレイヤーは到達したことのある街までしか転移できないけど、異世界の住人NPCが使うと、アイテム作成者が到達した街ならどれでも行けるんだって。

 前にルトから【転移のブレスレット】をもらって、アリスちゃんにプレゼントしたことがあるけど、それはプレイヤーの転移に便乗させる効果のアイテムだった。
 空間転移ドロップだと、僕が転移に付き添わなくても異世界の住人NPCが転移できるようになる。

 すごいよね?
 転移スキル持ってないプレイヤーでも、アイテムを使えば転移できるようになるわけだし。

「これは、売れる?」

 それとも、今はほとんどのプレイヤーが転移スキル持ってるし、あんまり売れない? 難しいなぁ。

「あ、【空間ボム】にも使えるんだ~」

 別のアイテムレシピも発見。
 空間ボムは『ぶつかった衝撃で空間にズレを生じさせてダメージを与える』と書いてあった。いまいち効果が想像できないし、作ったら試しに使ってみようかな。

 作成に必要な素材は【空間草】【魔石】だけ。これなら量産もできそう。

「種を入手しつつ空間草もゲットするぞー!」

 思いがけず良いアイテムを発見できたなぁ。
 他にも採集ポイントあるし、新アイテムが続々見つかる予感。

 るんるん、と鼻歌を歌いながら、取り尽くす勢いで採集ポイントを巡る。

 採集ポイントになってる草は空間草が多い。
 でも、時々魔力草や薬草も採れた。これはここじゃなくても採れるからハズレかな。

 さらに採れる確率が低かったのが【異花コトハナ】っていうアイテム。

 白い百合みたいな見た目のアイテムで、錬金か調合に使用すると【異花コトハナ香水】を作れるんだって。そのアイテムの効果は、なんと『魅了』!

 モンスターに投げると、魅了デバフを付与できるらしいよー。魅了状態になったモンスターは攻撃を停止するらしいから、結構役立ちそう。

 テイムの際にも使えるんじゃないかなって、僕は睨んでる。試してみないとねー。

「木にもたくさん採集ポイントがあるな~」

 見上げると、枝に大きな黄緑色の果物がたわわに実ってた。【緑宝マスカット】だって。美味しそう!

 もちろんひとつ残らず採集したよ。種鎌を使うと、種じゃなくて苗が採れたから笑っちゃった。苗鎌は存在してないんだね。

 木には他にもたくさんの果物があって、テンション爆上がり! 僕、桃以外の果物も好きだよ~。

 果物以外にも【緑宝マスカットの枝】や【黒宝枝】など、見たことがないアイテムを入手できた。
 木の枝って、色んなアイテムに使えるから便利なんだよね。

「――あ、アイテムボックスがいっぱいになっちゃう!」

 気づいたら、容量ギリギリになっちゃってた。異空間(森)がアイテム豊富すぎるせい。
 ストレージに預けてこないとなぁ。

 種化スキルは入手できたよ!
 空間草のレア度が高かったからか、予想してたより早く習得できちゃった。ラッキー♪

「この森って、採集ポイント回復するのかな?」

 飛び回って、この中は僕の農地の倍くらいの広さがあるってわかった。そこにあるほとんどの採集ポイントを採集し尽くしたんだけど、後日来たら回復してるかな?

 モンスター空間(森)の素材にするのは保留して、異空間(森)について検証してみよう。
 モンスターに遭遇せず採集できるプライベート空間って、すごく便利だし。

「――というわけで、またね~」

 誰もいない森に手を振って、来た時のままに存在してた二本の木の間に存在する境界に飛び込んだ。

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