もふもふで始めるのんびり寄り道生活 便利なチートフル活用でVRMMOの世界を冒険します!

ゆるり

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7章 世界が広がっていくよ

263.熱いのやだー

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 そこは炎で溢れた空間だった。広々とした岩の空間に溶岩の池がたくさんあって、何度もボワッと火を噴いてる。

「あちちっ!」

 ブワッと押し寄せてくる熱い空気に、思わず後ずさった。後ろには壁があったから、ぶつかっちゃって痛い。

「くまま(あれ、なにー?)」

 前にいたショコラが、首を傾げてる。なにを指してるかは明白だ。

「……鳥、かな?」

 空間の中央に炎を纏った鳥のようなモンスターが佇んでる。見るからに強そう。

——————
炎獄鳥フレインフェルード
 火属性のモンスター。高い攻撃力と素早さが特徴。
——————

 情報少ない!
 これ、全鑑定スキルのレベルが足りてないのかな? 鍛えた方がいいかもー。

「みんな、攻撃準備! 相手は火属性だから、ペタの水攻撃、頼りにしてるよー」
「くるる(消火ー)」
「なんか違う気がするけど、まぁいいや。周りの溶岩も気をつけてね」

 炎獄鳥フレインフェルードがギロッと僕たちを睨む。怖い!

 内心でヒェッとなりながら、水魔術を用意する。炎獄鳥フレインフェルード相手に火魔術を鍛える余裕はないもん。

「くるる(水噴射ー)」
「【水の槍ウォーターランス】!」

 ペタと僕のスキルが炎獄鳥フレインフェルードに直撃した。
 でも、体力の減り方少なすぎる!

「えー!? 水が弱点じゃないの?」

 びっくりしちゃう。スラリンたちも戦い始めてちょっとだけ余裕ができたから、他の魔術を試してみた。

 ——結論。一番効くのはやっぱり水魔術だった。炎獄鳥フレインフェルードの防御力が高かっただけみたい。

 だけって言っても、それが厄介なんだけどねー!

「ひたすら攻撃するしかないか……っ、うわっ!?」

 突然、大量の火が降り注いできた。慌てて逃げ惑う。かすったら、結構体力削られちゃったよぉ。

「きゅぴっ(あちちっ!)」
「ぴぅ(回復ヒール!)」

 体力が半分削れたスラリンを、ユキマルが回復させる。
 ペタは向かってきた火に水を噴射して相殺したようだ。ショコラは岩を操作して盾にしてる。
 ナッティは——

「……え、ズルくない?」
「きゅーきゅい(私にこのバトルは合わないわ……)」

 ショコラの背後に隠れているナッティを、思わずジトッと見ちゃった。僕もそこにいたいー!
 でも、今のナッティではまともに戦えない相手なのも事実。

「んー、交代しよっか」
「きゅーきゅい(そうしてちょうだい)」

 少し悔しそうに頷いたナッティに、「ここまでありがとー」と声をかけて帰還させる。

 オギンとピア、どっちを喚ぼうかなー?
 時折放たれる火や凄い勢いで突撃してくる炎獄鳥フレインフェルードを回避し、水魔術で攻撃しながら悩む。

「——ピアにしよう!」

 暑い空間に氷属性のオギンを喚んだら可哀想な気がした。火属性には弱いはずだし。

「【召喚】ピア」
「もふ~……もふ(ぽかぽか?)」
「そのレベルの暑さじゃなくない?」

 楽しそうに宙を浮くピアに苦笑する。
 さすが強いモンスターだなぁ。その余裕が羨ましいかも。

「きゅぃー(やだー!)」
「スラリン、危ない!」

 叫び声が聞こえて慌てて視線を向けたら、スラリンが火の直撃を受けそうになってた。

「もふっ」
「きゅぃ……? きゅっ(ありがと!)」

 僕が水魔術を放つ前に、分裂したピアがスラリンの代わりに火を受け止めた。
 おー、すごい! そういう戦い方もできるのかぁ。

「あ、でも、さすがにダメージくらってる……」

 ピアの体力が少し削られていた。分裂体が攻撃を受けてもダメージを負うんだね。多少弾き返してるし、防御力が高いから、僕たちほどの影響はないみたいだけど。

「ぴぅ(回復ヒール!)」
「もふー(ありがとー)」

 ユキマルのおかげですぐさまピアが全快になる。

炎獄鳥フレインフェルードの体力、もうすぐ半分になるよー。もうちょっとがんばろう!」
「くままー」

 僕たちが気合いを入れ直したところで、炎獄鳥フレインフェルードの様子が少し変わる。纏ってる炎がさらに大きくなってるような……?

「ギュアーッ!」
「ふぎゃ!?」

 炎獄鳥フレインフェルードが大きく羽ばたいた瞬間、大量の燃える羽根が勢いよく飛んできた。避けきれないっ!

 熱を感じた次の瞬間に、壁の方まで吹き飛ばされる。溶岩に落ちなくて良かったー!

「きゅぃ……」
「ぴぅ、っ(範囲回復エリアヒール)」

 僕やスラリン、ユキマルは体力が半分以下になってたけど、なんとか少し回復する。
 こんなに攻撃受けたの初めてかも。また同じ攻撃を受けたらヤバい。死に戻りしたくないよぉ。

「ギュアーッ!」
「のわっ」

 畳み掛けるように炎獄鳥フレインフェルードが火を吹く。さっきと違ってフィールド全体を攻撃したわけじゃなかったから、なんとか避けられた。

「くまま(岩槍ー)」
「くるる(水噴射ー)」
「きゅぃ(岩を発射するよー!)」
「ぴぅ(謎光線ミステリレイ)」

 それぞれが攻撃を仕掛ける中、僕も水魔術を放つ。
 ついでに、回復薬を使い、スラリンたちにも投げた。何度も火が降り注いでくるから、回復を怠ったら負けちゃいそう。

「もふー!」

 炎獄鳥フレインフェルードの体力が三分の一以下になったところで、僕らを庇って攻撃を受けてくれていたピアが、珍しく怒ったような声を上げる。

「ピア?」
「もっふー(みんなをいじめるなんて、きらいー!)」

 ピアからブワッと圧力が溢れた。
 これは、もしかして——?

「ギュアー……」

 衝撃波を受けた様子で後退した炎獄鳥フレインフェルードの姿が、光となって消えていく。

〈〈東の鉱山ダンジョン・火のボス【炎獄鳥フレインフェルード】がプレイヤーによって初めて倒されました〉〉

 やっぱり即死攻撃だったー! 三分の一まで体力を削ってからスキルを使ったのは、そういう仕様かな?
 というか、ワールドアナウンス……これ、騒ぎになってそう。

 なにはともあれ——

「ピア、ぐっじょぶ!」
「もふ~」

 のほほんとした様子だけを見てたら、つよつよモンスターだとは思えないんだけどねぇ。ほんと、いざという時に頼もしい!

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