339 / 555
9章 もふうさフィーバー
323.仲間を紹介するよ
しおりを挟む
モンちゃんから仕掛けられたイタズラに、プンプンと怒った感じを装いながらペシペシとモンちゃんの膝を叩く。
「ほんとにびっくりしたよぉ」
「ははっ、そりゃいいな。それより、新しいテイムモンスターを連れてきたのか?」
モンちゃんは僕の文句を意に介さなかった。さらっと流されちゃう。僕も本気で抗議してるわけじゃないからいいけどさ。
ヒスイに視線を向けたモンちゃんに「うん!」と頷いてから、僕はヒスイの背中をポンポンと叩いた。
「頼りになる僕の新しい仲間だよ。スタ島で出会ったんだ。妖怪モンスターっていう分類で、スタ島にいる神魔の眷属仙猫っていう種族なんだ。名前はヒスイだよー」
「にゃ(よろしくにゃー)」
「……なるほど? うん、そっか。さすがモモだな……」
モンちゃんが固まり、一拍置いてから頷いた。僕を通り越して遠くを見てる気がする。
ついでに「俺に土産のように驚きを持ってくるのが当たり前みたいになってねーか……?」と首を傾げてた。
ちょっとそれは当たってる。モンちゃんが驚くところ見るの楽しいんだもん!
僕がにこにこと笑ってモンちゃんの反応を見てたら、「とりあえず中で話すか……」とため息混じりに促された。
はーい、のんびり話そうね。
後で、もう一体の仲間を紹介するけど……家の中で大丈夫かな? 大丈夫であってほしいな。ストルムの良心を信じる!
家の中に招いてくれるモンちゃんについていくと、客間ではモンちゃんの奥さんのレアナさんがお茶とお菓子を準備してくれてた。いつもありがとー。
レアナさんが僕を見てクスクスと笑う。
「この人が子どもみたいなイタズラを仕掛けて、ビックリしたでしょう?」
「うん、すっごく驚いたよー。でも、カッコいい子に会えたからいいや」
「あら、優しいわね。でも、お詫びにお菓子は仙桃ミルクを使ったものにしたのよ。たくさん食べてね」
机の上にはマドレーヌが積まれていた。中に仙桃ミルクジャムが入ってるらしい。食べるの楽しみ!
「あ、僕もお菓子持ってきたよー。僕の農地で採れた王桃を使ったタルト。一緒に食べようよ」
「へぇ、美味そうだな」
「モモが持ってきてくれるお菓子はいつも美味しいものね」
あまり甘味を好まないヒスイ以外にタルトを配って、実食です。
王桃が甘くてジューシーでうまうま。
僕の動きに合わせてキラキラが舞うよ。この王桃、【美しき王桃】っていうアイテムで、食べるとしばらくの間、周囲にキラキラエフェクトが生じるんだ。
つまり、これを食べたモンちゃんとレアナさんも――
「うおっ、なんだこれ!?」
「あら、まぁ、キラキラしてるわねぇ」
モンちゃんがぎょっとした顔で周囲を見て、レアナさんは驚いてるけどおっとりした雰囲気で微笑む。
対照的なリアクションだけど、僕の予想通り。
「えへへー、キラキラエフェクトが付く特別な王桃なんだよ~」
「……最初に言ってくれ」
モンちゃんが額を手で押さえて呻いた。
続けて「消えるまで外出れねぇ……」ってぼやいてるけど、普通に出たらいいと思うよ? お弟子さんたちに「師匠キラキラー!」って喜んでもらいなよ。キラキラしてるモンちゃん、予想してた以上に面白いから。
「――モモ?」
「なぁんにも考えてないよ。ほんとだよ」
モンちゃんにジトリと睨まれて、目を逸らしながら誤魔化す。思考を読み取るのやめてほしいなー。怒られるのはヤダ。
「はぁ……それにしても、神魔の眷属か……相変わらず凄いモンスターを気軽にテイムしてくるなぁ」
「にゃ(褒められてるにゃ?)」
「褒めてくれてると思うよ」
「にゃにゃー(照れるにゃー)」
ヒスイがにゃごにゃごと鳴きながら顔をくしくしと洗っていた。照れてるにゃんこ可愛い!
モンちゃんも表情を和らげてヒスイを見てる。ヒスイの魅力はモンちゃんにも通じてるみたい。さすがヒスイー!
「ヒスイを入れて、モモがテイムしたモンスターは八体か?」
「ううん、もう一体いるよー」
「ほう? そいつはなんだ? いや、待て、心の準備をするから――」
興味深そうに聞いてきたと思ったら、モンちゃんがすぐに手のひらを僕に向けて制止してくる。
でも、僕は走り出したら止まらないをモットーにすると今決めたので、気にせず召喚しまーす。
「【召喚】ストルム(小っちゃな姿で来てね)」
こっそりとサイズを念じながらストルムを喚ぶ。伝わってるかはわからない。
「待てと言ってるだろうがっ!」
『またライブする?』
ストルムがパッと現れて、楽しそうに飛び回る。でも、ライブ会場じゃないことにすぐに気づいて、ちょっとしょんぼりしてた。
一緒にライブして、ハマっちゃったみたいなんだよねー。
「――竜……?」
「そうなのです。えへん」
叫んだ後、ストルムを見て呆然とした顔で固まるモンちゃんに、僕は胸を張って頷く。
レアナさんは「あら……あらあら……」と目をパチパチと瞬かせていた。さすがにレアナさんもすっごく驚いたみたい。
『この人誰?』
「モンちゃんだよー。凄いテイマーさんなんだ」
『へぇ、確かにモンスターに好かれてる気配がするね』
そういう気配ってわかるものなんだ?
ストルムの言葉に首を傾げながら、今度はモンちゃんたちに紹介することにした。
「この子は白嵐竜のストルムだよ。本来のサイズはすっごく大きいんだけど、このくらい小さくなれるんだー」
『どうもー。おいら好みの魔力をくれたら、よろしくしてあげるよ』
ちょっぴりストルムが偉そう。竜だから、これが普通なのかな。
モンちゃんはいつの間にか頭を抱えていた。お薬飲む?
そっと初級回復薬を差し出してみたけど、受け取ってもらえなかった。これでは頭痛が治らないもんね。
モンちゃんたちが落ち着いてお話できるようになるまで、マドレーヌを食べて待っていよう。
――う~ん、仙桃ミルクジャムうまうまで幸せ~。
「ほんとにびっくりしたよぉ」
「ははっ、そりゃいいな。それより、新しいテイムモンスターを連れてきたのか?」
モンちゃんは僕の文句を意に介さなかった。さらっと流されちゃう。僕も本気で抗議してるわけじゃないからいいけどさ。
ヒスイに視線を向けたモンちゃんに「うん!」と頷いてから、僕はヒスイの背中をポンポンと叩いた。
「頼りになる僕の新しい仲間だよ。スタ島で出会ったんだ。妖怪モンスターっていう分類で、スタ島にいる神魔の眷属仙猫っていう種族なんだ。名前はヒスイだよー」
「にゃ(よろしくにゃー)」
「……なるほど? うん、そっか。さすがモモだな……」
モンちゃんが固まり、一拍置いてから頷いた。僕を通り越して遠くを見てる気がする。
ついでに「俺に土産のように驚きを持ってくるのが当たり前みたいになってねーか……?」と首を傾げてた。
ちょっとそれは当たってる。モンちゃんが驚くところ見るの楽しいんだもん!
僕がにこにこと笑ってモンちゃんの反応を見てたら、「とりあえず中で話すか……」とため息混じりに促された。
はーい、のんびり話そうね。
後で、もう一体の仲間を紹介するけど……家の中で大丈夫かな? 大丈夫であってほしいな。ストルムの良心を信じる!
家の中に招いてくれるモンちゃんについていくと、客間ではモンちゃんの奥さんのレアナさんがお茶とお菓子を準備してくれてた。いつもありがとー。
レアナさんが僕を見てクスクスと笑う。
「この人が子どもみたいなイタズラを仕掛けて、ビックリしたでしょう?」
「うん、すっごく驚いたよー。でも、カッコいい子に会えたからいいや」
「あら、優しいわね。でも、お詫びにお菓子は仙桃ミルクを使ったものにしたのよ。たくさん食べてね」
机の上にはマドレーヌが積まれていた。中に仙桃ミルクジャムが入ってるらしい。食べるの楽しみ!
「あ、僕もお菓子持ってきたよー。僕の農地で採れた王桃を使ったタルト。一緒に食べようよ」
「へぇ、美味そうだな」
「モモが持ってきてくれるお菓子はいつも美味しいものね」
あまり甘味を好まないヒスイ以外にタルトを配って、実食です。
王桃が甘くてジューシーでうまうま。
僕の動きに合わせてキラキラが舞うよ。この王桃、【美しき王桃】っていうアイテムで、食べるとしばらくの間、周囲にキラキラエフェクトが生じるんだ。
つまり、これを食べたモンちゃんとレアナさんも――
「うおっ、なんだこれ!?」
「あら、まぁ、キラキラしてるわねぇ」
モンちゃんがぎょっとした顔で周囲を見て、レアナさんは驚いてるけどおっとりした雰囲気で微笑む。
対照的なリアクションだけど、僕の予想通り。
「えへへー、キラキラエフェクトが付く特別な王桃なんだよ~」
「……最初に言ってくれ」
モンちゃんが額を手で押さえて呻いた。
続けて「消えるまで外出れねぇ……」ってぼやいてるけど、普通に出たらいいと思うよ? お弟子さんたちに「師匠キラキラー!」って喜んでもらいなよ。キラキラしてるモンちゃん、予想してた以上に面白いから。
「――モモ?」
「なぁんにも考えてないよ。ほんとだよ」
モンちゃんにジトリと睨まれて、目を逸らしながら誤魔化す。思考を読み取るのやめてほしいなー。怒られるのはヤダ。
「はぁ……それにしても、神魔の眷属か……相変わらず凄いモンスターを気軽にテイムしてくるなぁ」
「にゃ(褒められてるにゃ?)」
「褒めてくれてると思うよ」
「にゃにゃー(照れるにゃー)」
ヒスイがにゃごにゃごと鳴きながら顔をくしくしと洗っていた。照れてるにゃんこ可愛い!
モンちゃんも表情を和らげてヒスイを見てる。ヒスイの魅力はモンちゃんにも通じてるみたい。さすがヒスイー!
「ヒスイを入れて、モモがテイムしたモンスターは八体か?」
「ううん、もう一体いるよー」
「ほう? そいつはなんだ? いや、待て、心の準備をするから――」
興味深そうに聞いてきたと思ったら、モンちゃんがすぐに手のひらを僕に向けて制止してくる。
でも、僕は走り出したら止まらないをモットーにすると今決めたので、気にせず召喚しまーす。
「【召喚】ストルム(小っちゃな姿で来てね)」
こっそりとサイズを念じながらストルムを喚ぶ。伝わってるかはわからない。
「待てと言ってるだろうがっ!」
『またライブする?』
ストルムがパッと現れて、楽しそうに飛び回る。でも、ライブ会場じゃないことにすぐに気づいて、ちょっとしょんぼりしてた。
一緒にライブして、ハマっちゃったみたいなんだよねー。
「――竜……?」
「そうなのです。えへん」
叫んだ後、ストルムを見て呆然とした顔で固まるモンちゃんに、僕は胸を張って頷く。
レアナさんは「あら……あらあら……」と目をパチパチと瞬かせていた。さすがにレアナさんもすっごく驚いたみたい。
『この人誰?』
「モンちゃんだよー。凄いテイマーさんなんだ」
『へぇ、確かにモンスターに好かれてる気配がするね』
そういう気配ってわかるものなんだ?
ストルムの言葉に首を傾げながら、今度はモンちゃんたちに紹介することにした。
「この子は白嵐竜のストルムだよ。本来のサイズはすっごく大きいんだけど、このくらい小さくなれるんだー」
『どうもー。おいら好みの魔力をくれたら、よろしくしてあげるよ』
ちょっぴりストルムが偉そう。竜だから、これが普通なのかな。
モンちゃんはいつの間にか頭を抱えていた。お薬飲む?
そっと初級回復薬を差し出してみたけど、受け取ってもらえなかった。これでは頭痛が治らないもんね。
モンちゃんたちが落ち着いてお話できるようになるまで、マドレーヌを食べて待っていよう。
――う~ん、仙桃ミルクジャムうまうまで幸せ~。
1,374
あなたにおすすめの小説
もふもふと味わうVRグルメ冒険記 〜遅れて始めたけど、料理だけは最前線でした〜
きっこ
ファンタジー
五感完全再現のフルダイブVRMMO《リアルコード・アース》。
遅れてゲームを始めた童顔ちびっ子キャラの主人公・蓮は、戦うことより“料理”を選んだ。
作るたびに懐いてくるもふもふ、微笑むNPC、ほっこりする食卓――
今日も炊事場でクッキーを焼けば、なぜか神様にまで目をつけられて!?
ただ料理しているだけなのに、気づけば伝説級。
癒しと美味しさが詰まった、もふもふ×グルメなスローゲームライフ、ここに開幕!
【完結】デスペナのないVRMMOで一度も死ななかった生産職のボクは最強になりました。
鳥山正人
ファンタジー
デスペナのないフルダイブ型VRMMOゲームで一度も死ななかったボク、三上ハヤトがノーデスボーナスを授かり最強になる物語。
鍛冶スキルや錬金スキルを使っていく、まったり系生産職のお話です。
まったり更新でやっていきたいと思っていますので、よろしくお願いします。
「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過しました。
────────
自筆です。
【完結】小さな元大賢者の幸せ騎士団大作戦〜ひとりは寂しいからみんなで幸せ目指します〜
るあか
ファンタジー
僕はフィル・ガーネット5歳。田舎のガーネット領の領主の息子だ。
でも、ただの5歳児ではない。前世は別の世界で“大賢者”という称号を持つ大魔道士。そのまた前世は日本という島国で“独身貴族”の称号を持つ者だった。
どちらも決して不自由な生活ではなかったのだが、特に大賢者はその力が強すぎたために側に寄る者は誰もおらず、寂しく孤独死をした。
そんな僕はメイドのレベッカと近所の森を散歩中に“根無し草の鬼族のおじさん”を拾う。彼との出会いをきっかけに、ガーネット領にはなかった“騎士団”の結成を目指す事に。
家族や領民のみんなで幸せになる事を夢見て、元大賢者の5歳の僕の幸せ騎士団大作戦が幕を開ける。
異世界に召喚されたけど、戦えないので牧場経営します~勝手に集まってくる動物達が、みんな普通じゃないんだけど!?~
黒蓬
ファンタジー
白石悠真は、ある日突然異世界へ召喚される。しかし、特別なスキルとして授かったのは「牧場経営」。戦えない彼は、与えられた土地で牧場を経営し、食料面での貢献を望まれる。ところが、彼の牧場には不思議な動物たちが次々と集まってきて――!? 異世界でのんびり牧場ライフ、始まります!
ねえ、今どんな気持ち?
かぜかおる
ファンタジー
アンナという1人の少女によって、私は第三王子の婚約者という地位も聖女の称号も奪われた
彼女はこの世界がゲームの世界と知っていて、裏ルートの攻略のために第三王子とその側近達を落としたみたい。
でも、あなたは真実を知らないみたいね
ふんわり設定、口調迷子は許してください・・・
嘘つきと呼ばれた精霊使いの私
ゆるぽ
ファンタジー
私の村には精霊の愛し子がいた、私にも精霊使いとしての才能があったのに誰も信じてくれなかった。愛し子についている精霊王さえも。真実を述べたのに信じてもらえず嘘つきと呼ばれた少女が幸せになるまでの物語。
異世界で焼肉屋を始めたら、美食家エルフと凄腕冒険者が常連になりました ~定休日にはレア食材を求めてダンジョンへ~
金色のクレヨン@釣りするWeb作家
ファンタジー
辺境の町バラムに暮らす青年マルク。
子どもの頃から繰り返し見る夢の影響で、自分が日本(地球)から転生したことを知る。
マルクは日本にいた時、カフェを経営していたが、同業者からの嫌がらせ、客からの理不尽なクレーム、従業員の裏切りで店は閉店に追い込まれた。
その後、悲嘆に暮れた彼は酒浸りになり、階段を踏み外して命を落とした。
当時の記憶が復活した結果、マルクは今度こそ店を経営して成功することを誓う。
そんな彼が思いついたのが焼肉屋だった。
マルクは冒険者をして資金を集めて、念願の店をオープンする。
焼肉をする文化がないため、その斬新さから店は繁盛していった。
やがて、物珍しさに惹かれた美食家エルフや凄腕冒険者が店を訪れる。
HOTランキング1位になることができました!
皆さま、ありがとうございます。
他社の投稿サイトにも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。