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9章 もふうさフィーバー
331.卵には謎が詰まってる
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西のキーリ湖エリアでバトルをして、ヒスイたちのレベリングをしながら、宝石兎を探し餌付けして回る。
「うまうま~♪」
「ぷぅ!」
「君も美味しい? よかったねー」
薄紅色の宝石兎にブルーベリーを差し出しながら、僕はにこにこと微笑んだ。
僕もスラリンたちも、宝石兎と一緒に果物を食べて休憩中。
ここはセーフティエリアじゃないから警戒は必須なんだけど、ユキマルが素早く敵の接近に気づいてくれるおかげで、結構落ち着いて食べていられる。
「五色コンプリートしたなぁ」
僕は口にブルーベリーを放り込み、もぐもぐと頬張りながら、宝石兎を眺めた。
これまでに出会った宝石兎の数は十体。各色二体ずつ、このエリアで出会った。色によって棲み処が分かれているわけではないようだ。
どれも薄めの色合いで、緑色が風属性、赤色が火属性、青色が水属性、黄色が土属性、紫色が木属性だった。魔石の色と属性の関係と同じだね。
毎回、果物をあげて仲良くなって、モンスターの贈り物としてエッグビジュをもらってる。今のところ、イースタージュエルをくれる子はいない。
イースタージュエルの方がアイテムのレア度が高いのかな?
色は同じでも、個体が異なっていればアイテムをもらえるから助かる。友好度は個体が違っても属性別に上昇していくようだ。
上昇するのは毎回1%。あげる果物の種類や量を変えても、今のところその上昇率は変わらない。
つまり、宝石兎(火)二体に果物を上げたから、宝石兎(火)との友好度が2%になってるってこと。100%は遠いね……
「君たちと戦うってなったら、どうなるんだろう?」
「ぷぅ?」
宝石兎と見つめ合う。
これまで宝石兎とは戦わないようにしてきたし、今後も戦うつもりはないけど、純粋に戦闘能力は気になる。
「そういえば、鑑定してなかったや」
ふと思い出して、スキルを使ってみた。
――――――
【宝石兎(火)】
額に宝石があるうさぎ型モンスター
よく卵を持っているが、宝石兎が産んだわけではなく、卵生でもない
卵をどこから入手しているかは謎である
〈スキル〉
体当たり、爪撃、宝石砲(火)、火焔柱
――――――
「あ、卵生じゃないんだ? そうだよね、中に入ってるのはチョコレートだもんね」
鑑定結果を見て、今さらなことを理解した。
でも……この卵、なんなんだろう? 謎が深まった気がする。
僕に卵を渡した後、再度どこかから卵を入手するのかな。それとも、魔法的なもので創り出してる? その瞬間を見てみたいなぁ。
じぃっと宝石兎を見つめると、ビクビクされた。
探られてる気配を察したのかも。宝石兎は感情を読み取るのが上手で、結構ビビリだ。
果物を食べようと口を開けた状態で固まっている宝石兎が可哀想になって、そっと目を逸らしてやる。
気にせずお食べー。
「スキルは見たことないのが二つあるなぁ」
詳細を確認しよう。
――――――
スキル【宝石砲(火)】
宝石兎(火)の種族固有スキル
火属性の魔力で創り出した数多の宝石を敵に投げ、その範囲内にいる敵全員に爆発的ダメージを与える
50%の確率で火傷のデバフを付与する
スキル【火焔柱】
火の竜巻を発生させて、敵に火属性のダメージを与える
70%の確率で火傷のデバフを付与する
――――――
こっわ!?
え、爆発する宝石を投げてくるの? それ、ボムと同じだよね?
そういう攻撃の威力の凄さは、僕よく知ってるよ。伊達に爆弾魔って称号を持ってないからね。
火焔柱も、火の竜巻って見たら怖さマシマシだ。竜巻ってことは、近くにいたら回避しようとしても巻き込まれちゃう可能性がある。
どっちのスキルも、火傷になる可能性高すぎだし……
「これ、バトルを選ばなくてよかったー」
心底ホッとした。
餌付けできるって情報をくれたモンちゃんに感謝しないと。
「――ルトは戦ってそうだなぁ」
会議場で会ったルトの姿を思い出す。
最初は宝石兎とバトルする気満々だったけど、僕からの情報を聞いて考え直してくれたかな? それとも、ルトなら余裕で勝てちゃう敵だったりする?
一応、火傷回復薬を作ってプレゼントしよう。今回使わなかったとしても、いつか役に立つ時が来るかもしれないし。お店で売っても人気が出そう。
各種状態異常回復の薬は錬金術のレシピがあるんだ。ただ素材がなくて作れないものが多い。火傷回復薬は素材のレア度があまり高くなくて、作りやすいタイプだ。
「素材はー……【クーリングウォーター】かぁ」
確か店で買い取りしてるから、いくつか在庫があるはず。でも、今後のことを考えたら、自分で取って来られるようにした方がいいかな?
えっと、どこで取れるんだっけ……
「――北の霊峰か!」
調べた結果、北の霊峰の中層あたりで採れることがわかった。【凍らずの泉】っていうところで採水するんだって。
天兎と会うために北の霊峰に行ってみようと思ってたし、ちょうどいいかも。
「ストルムに乗って飛ぶお試しにもなるね~」
「きゅぃ(ストルムに乗って霊峰に行くの?)」
「うん! 素材探しと上層を目指して、ね」
「ぴぅ(ボクたちもがんばるよ)」
スラリンとユキマルと一緒に、ワクワクと計画を立てる。
二体とも強くなってるし、きっと攻略できるよ。
僕たちの会話中に、お腹がいっぱいになった様子の宝石兎は「ぷあー」っとあくびをして、どこかに去っていた。
お別れの挨拶なしでクール。友好度2%だから仕方ない。
そろそろ僕たちも探索を再開しようかな。
よいしょ、と立ち上がったところで、ヒスイが「にゃ」と声を上げる。
「ヒスイ? どうしたの?」
振り返ると、真剣な顔をしたヒスイが僕をジッと見つめていた。
え、なんか深刻なお話でもあるの?
「にゃ(霊峰ってところで、ヒスイも戦えるのかにゃ?)」
「あー……挑戦したいなら歓迎するよ」
ヒスイは今レベル28。霊峰の中層エリアまでならなんとか行けるかな?
ちょっぴり攻撃力と防御力が足りてない気がするから、僕たちのサポートに徹してもらった方がいい気がするけど。がんばりたい、という気持ちはできる限り尊重したい。
「にゃっ(挑戦するにゃ!)」
「おっけー。じゃあ、このメンバーにオギンを加えたパーティにしようか。とりあえずストルムは移動専門で」
うんうん、と頷いてパーティ編成を決定する。オギンの意思確認はしてないけど、慣れたフィールドだから拒否はしないでしょ。
ということで、明日は北の霊峰エリア攻略(ストルム騎乗飛行お試し?)をします!
「うまうま~♪」
「ぷぅ!」
「君も美味しい? よかったねー」
薄紅色の宝石兎にブルーベリーを差し出しながら、僕はにこにこと微笑んだ。
僕もスラリンたちも、宝石兎と一緒に果物を食べて休憩中。
ここはセーフティエリアじゃないから警戒は必須なんだけど、ユキマルが素早く敵の接近に気づいてくれるおかげで、結構落ち着いて食べていられる。
「五色コンプリートしたなぁ」
僕は口にブルーベリーを放り込み、もぐもぐと頬張りながら、宝石兎を眺めた。
これまでに出会った宝石兎の数は十体。各色二体ずつ、このエリアで出会った。色によって棲み処が分かれているわけではないようだ。
どれも薄めの色合いで、緑色が風属性、赤色が火属性、青色が水属性、黄色が土属性、紫色が木属性だった。魔石の色と属性の関係と同じだね。
毎回、果物をあげて仲良くなって、モンスターの贈り物としてエッグビジュをもらってる。今のところ、イースタージュエルをくれる子はいない。
イースタージュエルの方がアイテムのレア度が高いのかな?
色は同じでも、個体が異なっていればアイテムをもらえるから助かる。友好度は個体が違っても属性別に上昇していくようだ。
上昇するのは毎回1%。あげる果物の種類や量を変えても、今のところその上昇率は変わらない。
つまり、宝石兎(火)二体に果物を上げたから、宝石兎(火)との友好度が2%になってるってこと。100%は遠いね……
「君たちと戦うってなったら、どうなるんだろう?」
「ぷぅ?」
宝石兎と見つめ合う。
これまで宝石兎とは戦わないようにしてきたし、今後も戦うつもりはないけど、純粋に戦闘能力は気になる。
「そういえば、鑑定してなかったや」
ふと思い出して、スキルを使ってみた。
――――――
【宝石兎(火)】
額に宝石があるうさぎ型モンスター
よく卵を持っているが、宝石兎が産んだわけではなく、卵生でもない
卵をどこから入手しているかは謎である
〈スキル〉
体当たり、爪撃、宝石砲(火)、火焔柱
――――――
「あ、卵生じゃないんだ? そうだよね、中に入ってるのはチョコレートだもんね」
鑑定結果を見て、今さらなことを理解した。
でも……この卵、なんなんだろう? 謎が深まった気がする。
僕に卵を渡した後、再度どこかから卵を入手するのかな。それとも、魔法的なもので創り出してる? その瞬間を見てみたいなぁ。
じぃっと宝石兎を見つめると、ビクビクされた。
探られてる気配を察したのかも。宝石兎は感情を読み取るのが上手で、結構ビビリだ。
果物を食べようと口を開けた状態で固まっている宝石兎が可哀想になって、そっと目を逸らしてやる。
気にせずお食べー。
「スキルは見たことないのが二つあるなぁ」
詳細を確認しよう。
――――――
スキル【宝石砲(火)】
宝石兎(火)の種族固有スキル
火属性の魔力で創り出した数多の宝石を敵に投げ、その範囲内にいる敵全員に爆発的ダメージを与える
50%の確率で火傷のデバフを付与する
スキル【火焔柱】
火の竜巻を発生させて、敵に火属性のダメージを与える
70%の確率で火傷のデバフを付与する
――――――
こっわ!?
え、爆発する宝石を投げてくるの? それ、ボムと同じだよね?
そういう攻撃の威力の凄さは、僕よく知ってるよ。伊達に爆弾魔って称号を持ってないからね。
火焔柱も、火の竜巻って見たら怖さマシマシだ。竜巻ってことは、近くにいたら回避しようとしても巻き込まれちゃう可能性がある。
どっちのスキルも、火傷になる可能性高すぎだし……
「これ、バトルを選ばなくてよかったー」
心底ホッとした。
餌付けできるって情報をくれたモンちゃんに感謝しないと。
「――ルトは戦ってそうだなぁ」
会議場で会ったルトの姿を思い出す。
最初は宝石兎とバトルする気満々だったけど、僕からの情報を聞いて考え直してくれたかな? それとも、ルトなら余裕で勝てちゃう敵だったりする?
一応、火傷回復薬を作ってプレゼントしよう。今回使わなかったとしても、いつか役に立つ時が来るかもしれないし。お店で売っても人気が出そう。
各種状態異常回復の薬は錬金術のレシピがあるんだ。ただ素材がなくて作れないものが多い。火傷回復薬は素材のレア度があまり高くなくて、作りやすいタイプだ。
「素材はー……【クーリングウォーター】かぁ」
確か店で買い取りしてるから、いくつか在庫があるはず。でも、今後のことを考えたら、自分で取って来られるようにした方がいいかな?
えっと、どこで取れるんだっけ……
「――北の霊峰か!」
調べた結果、北の霊峰の中層あたりで採れることがわかった。【凍らずの泉】っていうところで採水するんだって。
天兎と会うために北の霊峰に行ってみようと思ってたし、ちょうどいいかも。
「ストルムに乗って飛ぶお試しにもなるね~」
「きゅぃ(ストルムに乗って霊峰に行くの?)」
「うん! 素材探しと上層を目指して、ね」
「ぴぅ(ボクたちもがんばるよ)」
スラリンとユキマルと一緒に、ワクワクと計画を立てる。
二体とも強くなってるし、きっと攻略できるよ。
僕たちの会話中に、お腹がいっぱいになった様子の宝石兎は「ぷあー」っとあくびをして、どこかに去っていた。
お別れの挨拶なしでクール。友好度2%だから仕方ない。
そろそろ僕たちも探索を再開しようかな。
よいしょ、と立ち上がったところで、ヒスイが「にゃ」と声を上げる。
「ヒスイ? どうしたの?」
振り返ると、真剣な顔をしたヒスイが僕をジッと見つめていた。
え、なんか深刻なお話でもあるの?
「にゃ(霊峰ってところで、ヒスイも戦えるのかにゃ?)」
「あー……挑戦したいなら歓迎するよ」
ヒスイは今レベル28。霊峰の中層エリアまでならなんとか行けるかな?
ちょっぴり攻撃力と防御力が足りてない気がするから、僕たちのサポートに徹してもらった方がいい気がするけど。がんばりたい、という気持ちはできる限り尊重したい。
「にゃっ(挑戦するにゃ!)」
「おっけー。じゃあ、このメンバーにオギンを加えたパーティにしようか。とりあえずストルムは移動専門で」
うんうん、と頷いてパーティ編成を決定する。オギンの意思確認はしてないけど、慣れたフィールドだから拒否はしないでしょ。
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