もふもふで始めるのんびり寄り道生活 便利なチートフル活用でVRMMOの世界を冒険します!

ゆるり

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10章 海は広くて冒険いっぱい

407.ここはもふもふを愛でる場所……

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 プライベートエリア【もふもふ愛ランド】。
 ここはもふもふ教信徒のみが立ち入れるプライベートエリアです。

 ──という表示を転移した途端に見て、顔がスンッとなった僕です。こんちゃー。

「もふもふ愛ランド……」
「もふもふ教の教義を表した、いいネーミングですよね。ちょっと古い雰囲気があるのがエモいです」

 ぽつりと呟いた僕に、ルナがニコニコと微笑みながら説明してくれた。
 僕、エモいっていう感覚がよくわからないやー。

「もふもふ教の教義って──」

 ルナと会話を続けようとしていると、割って入る存在が現れた。
 金髪に大きな耳、たくさんのもふもふ尻尾。これは間違いなくタマモ!

「もちろん『もふもふ可愛いは正義! もふもふは全力で愛で崇める!』ですよ」
「だよねー。うん、知ってた」

 満面の笑みで答えてくれたタマモに頷く。
 遅れて「こんちゃー」と挨拶すると、タマモも「こんちゃー」と蕩けるような笑みで返してくれた。

「お待ちしてましたよ、モモさん!」
「むしろ、教会で待ち構えてなかったのが、実は意外だったよ」

 教会にいる時、密かに『どこから現れるのかな?』って思ってた。
 ルナが現れて案内してくれたから、最終的に『あ、いないんだ?』と悟ったけど。

 タマモはちょっとしょんぼりした様子で顔を俯ける。耳も尻尾も悄気た感じで垂れてるのが可愛い。
 僕ももふもふ好きなんだよ。じゃないと、天兎アンジュラパのアバターをここまで楽しんでないよね。

「私が教会内をご案内したかったのですが、実はもふもふ愛ランドの飾り付けに時間がかかってまして」
「そうなんだ? 遊具は設置済みだって聞いてたけど……」

 さっき見た連絡では、そう言ってたよね? と首を傾げる僕の横で、ルナがぽかんと口を開けてどこかに視線を向けていた。
 その視線の先を追って、僕もルナと同じように固まる。

「──ウサギ……?」

 無人島は中央が少し山になってるんだけど、その頂上付近にウサギの耳らしきものが見えたんだ。
 とっても大きい。どれくらいかって言ったら……山がウサギの頭なのでは、と疑っちゃう感じ。

「はい! もふもふ教のもふもふ愛ランド、その象徴となるのは、やはりもふもふ神さま──つまりモモさん! モモさんと言えば天兎アンジュラパ! 天兎アンジュラパと言えばウサギ! ウサギと言えばウサ耳!」

 タマモがぎゅっと握りこぶしを作りながら熱弁を始める。
 うん、連想ゲームのようにウサ耳に辿り着いたことはわかったけど、だからって、どうして山にウサ耳が生えてるの?

 山に生えてるウサ耳は、木の骨組みに蔦が巻きつけられて完成しているようで、緑色だからあまり違和感がない。
 海の方から遠目に見たら、『なんだ、あのウサギの島は……?』と戸惑うこと間違いなしだけど。

「──というわけで、ウサ耳を作りました! あそこは展望台になっているので、見晴らしもいいですよー」
「登れるんだ!?」

 説明になってるんだかわからない話と共に、驚くべき情報をのほほんと告げられた。
 タマモ、建築もできるの? あんな巨大なものを作れちゃうの……?

「はい! このために、【建築】スキルをゲットしたので」
「タマモの本気具合がたまにちょっと怖いよ……」

 軽く引いている僕に、タマモは「えっ、怖い、ですか……」とショックを受けてる。
 ルナが「ははは……これはフォローのしようがない……かな……」と遠い目をしながらも、雑にタマモの肩をポンポンと叩く。

「建築スキル、便利ですよ……? 道中にたくさんウサギの置物を作れましたし、簡易的な遊具も設置できましたし、休憩スペースやふれあい広場用のスペースも用意できましたし、アイテムを持ち寄って販売することができる屋台も複数備え付けたんですよ……?」

 捨てられた子犬みたいな目で見つめられて、どうして拒めようか、いやできまい(反語)。

 めちゃくちゃがんばってくれたのは事実だろうし、それで喜んでいる人は確実にいるわけで、ここはその努力を褒めよう。

「そっかそっか。タマモすごいねー。短期間でいっぱい作ったんだねー。見るのが楽しみ!」
「っ、では、ご案内しますね!」

 一気にパァッと輝くような笑顔になった。
 タマモはチョロい。

 ついでにもふもふも味わわせてあげようと「お疲れさまのハグー」と両腕を広げると、すぐさま抱きしめられた。
 タマモが興奮を表すようにクルクルと回るから、ちょっとハードなコーヒーカップに乗ってる気分。遠心力という意味で、ね。たーのしー♪

「まずは遊具スペースに行きましょうねー」

 興奮がちょっとおさまったところで、ルンルンと鼻歌を歌いながら、タマモが僕を抱いたまま移動を始める。

 ルナや他の人たちが「もふらーさん、ずるぃ!」と抗議してるのも笑顔でスルーだ。
 もふもふ愛で満たされてる時のタマモは無敵。後で呪われても助けてあげないぞ。

「あ、そうだ。ウサギの旗、いる?」

 ふとスイちゃんにもらったアイテムを思い出して、アイテムボックスから取り出す。

 旗に載っているウサギは僕に似てるし、タマモも気に入ると思うんだけどなぁ──と視線をタマモに向けたところで「あっ」と声が漏れた。

 喜びのあまり顔面崩壊レベルに笑顔になってるタマモと、それを恨めしげに見るついでに「呪おう」と呟いてる人多数。

「もふもふ神さまから神器を授けられる、だと……!? 羨ましすぎて、軽率に窃盗してしまいそう……おまわりさん、この手が悪いんです……!」

 自首するのは偉い(?)と思ったら、微妙に責任逃れしてる人がいた。ルナです。
 ウゴウゴと動く右手を左手で押さえてるけど、ルナの手は勝手に動くものなの? ちょっと厨二病っぽさがあって笑っちゃう。

「お金ならいくらでも積みますけど? どうして私たちにはないんです……?」
「血涙レベルの悲しみ……」
「もふもふ神さまのことだから、私たちを見捨てませんよね……?」

 悲しみと期待が綯い交ぜになった目を向けられて、どうしてスルーできようか、いやできまい(反語:本日二度目)。

 僕はもふもふ可愛い神アイドルで、やり手の商人だからね!
 ちょっぴりこういう展開になることは予想してたから、ちゃんと準備万全だよ! 似たような旗をたくさん作っておいたんだ。

「たくさん作ったから、お店で販売してるよー。うちわとか、うさぎ型ペンライトも売り始めてるからね!」
「さすがもふもふ神さま、最高です!」
「そこに痺れる憧れるぅうう」
「さすモモ!」
「もふもふ教万歳! もふもふ神さま万歳!」

 万歳三唱を始めるみんなを見て、今日も楽しそうだな、ってのほほんと微笑んでいられるから、僕は随分ともふもふ教のノリに慣れたと思う。
 僕、もふもふ神さま務まってる! えっへん。

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