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「ほ……ほんとにフォローされてる……」
数日後、俺のツイッターアカウントを教えたら即フォローされていて、改めてあれが本当にシャルだったのだと実感した。他にも普通に連絡先を交換したけど、いくら実況者の友達が居ないと言っても俺みたいな無名の底辺実況者と友達になりたいって思うか?登録者数に200万も差があるんだぞ?自分の動画ページを見ると、最近の動画の再生数が伸びていた。これは多分シャルが急にフォローした奴が一体何なのか見に来た人たちだろう。シャルの影響力の凄さを身をもって実感した。
シャルと交流するようになってから、実況やゲームの話をするのは楽しかった。俺は親や友人に活動の事を言わずに続けてきたので、俺もシャルと同じく実況者仲間がおらず一人で活動してきたのだ。そもそもリアルで誰かと実況の話をするという発想が無かったけど、実際に話せるっていうのは結構楽しいな。シャルとは気が合って一週間経った頃にはすっかり普通の友達みたいになっていた。
「ロミスケくんって昔ドームファンタジー2実況してたよね!」
「えっ!俺の昔の動画見た事あるの!?」
「あの頃って実況してる人も少なかったし俺は視聴者側だったから色んな人の見てたよ!」
元々シャルは視聴者側でかなり昔から動画を見ていたらしい。あの頃はサイト自体の人口も少なかったし、俺くらいの奴も結構居た。だからシャルもその中の一人として見ていたのだろう。
「そうなんだ……まさかシャルが俺の動画見てたなんて。別に面白くもないのに」
「そんな事無いって!俺はエンタメ全振りの実況してるけど、ロミスケくんの実況って友達がやってるのを隣で見てるみたいな安心感あって楽しいんだよね~」
「……!」
俺が今までコメントで言われて嬉しかった事をシャルは全部言ってくれた。まずい、ちょっと泣きそう。俺の動画は全然伸びなかったけど、確かに面白いと思ってくれている人の存在を実感できて少しもやもやしていたものが晴れた気がした。
「ありがとう……シャルにそう言ってもらえると嬉しい」
「っ……!俺、ずっとロミスケくんの動画楽しみにしてるから!」
シャルはキラキラした笑顔で笑いかけてきた。普段俺はあまり笑う事が無いけど、シャルの前では自然と笑顔になってしまう。やっぱりシャルは凄いなあ、ますます何で俺なんかと友達になってくれたのか疑問だ。
◇
シャルと仲良くなって更に数ヶ月後、ある日シャルからのDMが来ていた。何だろうと思って開くと、衝撃的な内容が送られてきていた。
『良かったら今度コラボしない?』
「ええっ!?」
あのコラボしないで有名なシャルが、コラボ!?しかも俺と!?シャルがコラボ実況するなんてなったらトレンドに載る事間違いなしな事案なのに、相手が俺なんてなったらどうなる。
『申し訳ないけど、初コラボが俺みたいな無名な奴なんて炎上しちゃうよ』
『大丈夫!絶ッッッ対に俺が上手くやるから!ロミスケくんとコラボしたいんだよ!』
なぜか分からないが、シャルはよっぽど自信があるようだ。いくら十年以上やっていても大勢の人に見られる経験が無さすぎて不安でしょうがない。
『俺もコラボ初めてだからやり方分からないんだけど……』
『昔は友人と二人実況とか流行ってたでしょ?あんな感じだよ。ロミスケくんはいつもみたいに実況してくれたらいいから』
『そういうもんなの?……じゃあ、よろしくお願いします』
『やった~~!!ロミスケくんの初めて貰っちゃお!』
誤解を呼ぶ言い方なのが気になるが、シャルはとても喜んでくれている。これは気合いを入れて頑張らないと……。
「今回は初のコラボ実況で~す!お相手はこちら!」
「どうも……はじめまして、ロミスケです」
ああ……ついにコラボの日が来てしまった。配信じゃないだけマシだけど、話題になる事が確定の動画に出るってなると死ぬほど緊張してきた。会社のプレゼンより緊張してる。コラボはシャルの家に呼んでもらいオフラインで実況を撮る事になった。さすが人気実況者だ……俺ではとても住めない部屋に住んでるし、高性能マイクに、金の盾に……視界には羨ましくなるものばかりだ。
「ロミスケくんは俺の友達です!ついにコラボする夢が叶いました!」
「夢って……それは俺のセリフだよ」
シャルは俺の事をあくまで友人として紹介した。このコラボ実況は異例中の異例だし、俺が売名しようとしてると思われても仕方ないだろう。だからあえて俺の実況については触れず、楽しくゲームするだけの動画にしてくれているんだ。
「せっかくだから二人でできるゲームしようと思ったんでこれやりまーす!」
「モリオパーティ4かあ。俺これ友達とやった事ないや」
「やった事ないんじゃなくてやる友達が居ないんでしょ?」
「現実を突きつけないで!」
始める前はあれだけ緊張していたのに、いざゲームをやり始めると楽しくていつものように喋っていた。俺はあんまり話さないのに対し、シャルはめちゃくちゃ喋る。これが二人のいつものスタイルで正反対だけど、逆にお互いを邪魔しないので動画の方もなかなかいい感じだった。
「ここに爆弾を置いて……」
「うわーっ俺ばっかり狙うなって!!」
自分でも分かる、いつもと声色が違う。友達とゲームするってこんなに楽しかったんだ。シャルが居るだけで盛り上がるし、俺もいつもより笑ってる気がする。やっぱり人気実況者はそれだけの力があるのだと思った。
数日後、俺のツイッターアカウントを教えたら即フォローされていて、改めてあれが本当にシャルだったのだと実感した。他にも普通に連絡先を交換したけど、いくら実況者の友達が居ないと言っても俺みたいな無名の底辺実況者と友達になりたいって思うか?登録者数に200万も差があるんだぞ?自分の動画ページを見ると、最近の動画の再生数が伸びていた。これは多分シャルが急にフォローした奴が一体何なのか見に来た人たちだろう。シャルの影響力の凄さを身をもって実感した。
シャルと交流するようになってから、実況やゲームの話をするのは楽しかった。俺は親や友人に活動の事を言わずに続けてきたので、俺もシャルと同じく実況者仲間がおらず一人で活動してきたのだ。そもそもリアルで誰かと実況の話をするという発想が無かったけど、実際に話せるっていうのは結構楽しいな。シャルとは気が合って一週間経った頃にはすっかり普通の友達みたいになっていた。
「ロミスケくんって昔ドームファンタジー2実況してたよね!」
「えっ!俺の昔の動画見た事あるの!?」
「あの頃って実況してる人も少なかったし俺は視聴者側だったから色んな人の見てたよ!」
元々シャルは視聴者側でかなり昔から動画を見ていたらしい。あの頃はサイト自体の人口も少なかったし、俺くらいの奴も結構居た。だからシャルもその中の一人として見ていたのだろう。
「そうなんだ……まさかシャルが俺の動画見てたなんて。別に面白くもないのに」
「そんな事無いって!俺はエンタメ全振りの実況してるけど、ロミスケくんの実況って友達がやってるのを隣で見てるみたいな安心感あって楽しいんだよね~」
「……!」
俺が今までコメントで言われて嬉しかった事をシャルは全部言ってくれた。まずい、ちょっと泣きそう。俺の動画は全然伸びなかったけど、確かに面白いと思ってくれている人の存在を実感できて少しもやもやしていたものが晴れた気がした。
「ありがとう……シャルにそう言ってもらえると嬉しい」
「っ……!俺、ずっとロミスケくんの動画楽しみにしてるから!」
シャルはキラキラした笑顔で笑いかけてきた。普段俺はあまり笑う事が無いけど、シャルの前では自然と笑顔になってしまう。やっぱりシャルは凄いなあ、ますます何で俺なんかと友達になってくれたのか疑問だ。
◇
シャルと仲良くなって更に数ヶ月後、ある日シャルからのDMが来ていた。何だろうと思って開くと、衝撃的な内容が送られてきていた。
『良かったら今度コラボしない?』
「ええっ!?」
あのコラボしないで有名なシャルが、コラボ!?しかも俺と!?シャルがコラボ実況するなんてなったらトレンドに載る事間違いなしな事案なのに、相手が俺なんてなったらどうなる。
『申し訳ないけど、初コラボが俺みたいな無名な奴なんて炎上しちゃうよ』
『大丈夫!絶ッッッ対に俺が上手くやるから!ロミスケくんとコラボしたいんだよ!』
なぜか分からないが、シャルはよっぽど自信があるようだ。いくら十年以上やっていても大勢の人に見られる経験が無さすぎて不安でしょうがない。
『俺もコラボ初めてだからやり方分からないんだけど……』
『昔は友人と二人実況とか流行ってたでしょ?あんな感じだよ。ロミスケくんはいつもみたいに実況してくれたらいいから』
『そういうもんなの?……じゃあ、よろしくお願いします』
『やった~~!!ロミスケくんの初めて貰っちゃお!』
誤解を呼ぶ言い方なのが気になるが、シャルはとても喜んでくれている。これは気合いを入れて頑張らないと……。
「今回は初のコラボ実況で~す!お相手はこちら!」
「どうも……はじめまして、ロミスケです」
ああ……ついにコラボの日が来てしまった。配信じゃないだけマシだけど、話題になる事が確定の動画に出るってなると死ぬほど緊張してきた。会社のプレゼンより緊張してる。コラボはシャルの家に呼んでもらいオフラインで実況を撮る事になった。さすが人気実況者だ……俺ではとても住めない部屋に住んでるし、高性能マイクに、金の盾に……視界には羨ましくなるものばかりだ。
「ロミスケくんは俺の友達です!ついにコラボする夢が叶いました!」
「夢って……それは俺のセリフだよ」
シャルは俺の事をあくまで友人として紹介した。このコラボ実況は異例中の異例だし、俺が売名しようとしてると思われても仕方ないだろう。だからあえて俺の実況については触れず、楽しくゲームするだけの動画にしてくれているんだ。
「せっかくだから二人でできるゲームしようと思ったんでこれやりまーす!」
「モリオパーティ4かあ。俺これ友達とやった事ないや」
「やった事ないんじゃなくてやる友達が居ないんでしょ?」
「現実を突きつけないで!」
始める前はあれだけ緊張していたのに、いざゲームをやり始めると楽しくていつものように喋っていた。俺はあんまり話さないのに対し、シャルはめちゃくちゃ喋る。これが二人のいつものスタイルで正反対だけど、逆にお互いを邪魔しないので動画の方もなかなかいい感じだった。
「ここに爆弾を置いて……」
「うわーっ俺ばっかり狙うなって!!」
自分でも分かる、いつもと声色が違う。友達とゲームするってこんなに楽しかったんだ。シャルが居るだけで盛り上がるし、俺もいつもより笑ってる気がする。やっぱり人気実況者はそれだけの力があるのだと思った。
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