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小学校
ボール蹴り
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ただ安らかな春の訪れと共に僕はこの町にやって来た。
まだ引っ越すまで通っていた幼稚園の友達からもらったオモチャをぎゅっと握っている。
シングルマザーだった母の再婚が決まり、再婚相手の仕事の事情でやってきたが
見知らぬ人が急に父親と名乗られても僕にとっては認識出来ないこと。
それに「落合」という名字もいかにもシングルマザーの母親が辛そうなのを見て
その懐を探ってきた感じがした。
だから、新居にも知らない人の家であり、自分の住む家という認識も自然と無かった。
「秋 どうだい、気に入ってくれた?」
和俊さんが聞くのを聞こえないふりをして足元の石ころを蹴りだした。
「秋?気に入らな...」
「うるさい、秋なんて呼ぶな」
僕は知らない人に「秋」などと軽々しく親しい感じで名前を呼んでほしくなかった。
でも、別に人見知りという訳でもない。
「秋 近くに公園があるから行こうか」
僕は首をただ少し横に振った。
「お母と行く」
「秋 お父と行っておいで」
「嫌だ!ならひとりで行く」
「待って秋!場所分からないでしょ!」
母親の言葉も無視して走り出した。
少し時間が経ち落ち着くと迷ったと気付いた。
走ってきた方向もどこだろうか。探しているうちに桜の木を見つけた。
前の幼稚園にも桜の木があり、幼稚園の友達を思い出していた。
すると、偶然にも公園があった。僕はここにいれば大丈夫と思った。
しかし、乏しい景色が目に入った。
ブランコが2台とサッカーゴールがあるだけ、幼稚園の遊具とは比べ物にならない。
帰ろうと思ったが帰る方向が分からない、結局、ブランコに座ってゆらゆらと揺れていた。
何分経っただろうか、時計は持ってないし、読めない、でも、ブランコに揺られているだけだから
あまり長い時間は経って無いと感じた。
自分と同じくらいの女の子が来た。こんなところに来るやつもいるのかと不思議に感じたが話そうとは
思わなかった。
サッカーボールでひとりてんてんとリフティングをして壁に蹴っている。
サッカーは見たことはあったがやったことは無かった、毎日のように鬼ごっこをしていて楽しかったからだ。
テンテンテンテン...ボールが転がってきた。
拾うと彼女の蹴ったボールだった。
「ありがとう!」と言われたのでボールを返した。
「君、ひとりなの?」
突拍子も無いことを彼女が言ったが無視してブランコに座った。
「ねぇ!ボール蹴りしよ!」
なんだこいつ...お人好しにもほどがある。でも、つまらなかったので首を縦に振った。
向かい合ってただボールを蹴る、何が楽しいのか分からない、そう感じていたが彼女が楽しそうなので
悪い気はしないし、あの和俊とかいう奴と一緒にいるよりはましだと感じた。
コロコロタンッ「君どこの子?」
コロコロタンッ「今日からここの子」
コロコロタンッ「なんで?」
コロコロタンッ「住む...家あるから...」
コロコロタンッ「そっかぁ」
短い質問をボールを蹴るごとにしてくる、それを短めに返す、それを繰り返した。
コロコロタンッ「名前は?」
コロコロタンッ「秋 お前は?」
コロコロタンッ「るり」
こんな小さな会話だがだんだんと心を開き、言葉のキャッチボールとはまた別にボールを蹴るごとに
楽しさが増していくのだった。
時間はあっという間に過ぎた。
「秋!良かった無事で」
母親がやってきて公園の門から話した。探しに来たのだ。
「帰るよ 秋の部屋の準備も出来たし」
僕は自然と帰るのを拒んだ。だが、無理矢理連れてかれた。
この町で始めての友達ができると思ったが叶わなかった。
それから、約1週間が経った。
僕は小学校の入学式のため小学校に来ていた。
でも、るりという女の子が気になって仕方が無かった。
家に帰ると何にもないがとりあえずあの公園に歩いていった。
しかし、以前に行ったときには方向も考えずにひたすら走って着いたから
道がわからなかった。
ずっと、歩いているがあの桜の木が見えない。
仕方なく歩いて来た道を辿って帰っていった。
とぼとぼ歩いていると目の前から
「あれ、秋くん?」
彼女の声だ。驚いて上を向いた。
やっぱり、いたのは彼女だった。サッカーボールを持っている。
彼女がまた歩みを始めたのを見て、ついていくことにした。
そこからは2分も経たずに桜の木が見えた。意外に近かったようだ。
彼女はサッカーボールを蹴りだした。
僕は少し戸惑ったが迷わずに口にした。
「僕もしたい...ダメ?」
彼女は少し驚いて、首を縦に振り、にこりと笑った。
少しの間、向かい合ってボールを蹴りあった。
すると、彼女から長い間閉じている口が開き、言葉を発した。
「1on1やろうよ」
「何それ?1オー1って」
「えっとね!ゴールに入れるの!」
まぁやってみれば分かるかと思い、やってみることにした。
彼女がドリブルを始め、それを取りにいかないといけない...でも、技術が無いのでどうしようもなく
がむしゃらに走って、ボールに足を当てた。
意外に簡単に取れたが彼女は嬉しそうだった。
「次は秋くんが攻撃する番だよ」
見よう見まねでドリブルというものをしてみた。
ボールを蹴る力加減が分からずに蹴ると曖昧だったからかとんでもない方向にボールが飛んでいき
草むらの方に入っていってしまった。
「あっごめん...」
「大丈夫だよ。たかがボールだし」
そう言ってブランコに座った。そうは言ったものの悲しそうに見えた。
「探すよ」
そう言って草むらの中に入っていった。そのあとに彼女が言った言葉は無視した。
でも、いつもしている無視とは別な気がした。
それから何分経っただろうか。やっとのことでサッカーボールを見つけることが出来た。
「...るりあったよ」
彼女は何も言わずにボールを受け取り、それからまるで地中で埋まっていた化石のように急に口を開いた。
「これパパに貰ったんだ」
「そうなんだ」
「去年、ここに来たときに近くに年が近い子も全然いないし、公園もブランコしか無いじゃん でも、サッカーゴールがあるからってくれたの」
その話を聞いて羨ましかった。僕は物心ついた頃には父親はいなかったし、ましてや再婚の相手をお父と呼びたくはなかった。
そんなことを言うのは野暮な気がした。
「もう帰らなくちゃ、じゃあね、秋くん」
「うん。またね」
と帰ろうとしたらいつまで経っても離れない。バイバイが気まずく感じた。
着くと驚いた。家が隣なのだ。
「ふふふ、家隣なの気がつかなかったよ。今度こそバイバイ」
「バイバイ」
家の扉をそうやって言って開けた。
「お帰り、秋」
お父は僕に向き合ってくれているのに対して、僕はそれを叩き壊していたようだ。
「ただいま...お父」
父親と母親の表情が急変した。多分、僕の口からお父という言葉が出たからだろう。
るりが教えてくれた気がした。何事も見方次第だ。
お母とお父のなれそめは知らないがお父がお母を助けたかったとみれば「落合」という名字も「落」ちぶれた人と力を「合」わせて生きる。シングルマザーが落ちぶれたとは偏見だが...
小学1年生になって成長したのかでも、小学1年生にしては大人だなと自分を自画自賛していたりしなかったり。曇りが多かった最近の天気も晴れ間が出た。
それから、るりとは色んなところであった。
小学校が同じ、同級生、クラスは違ったが
毎日、学校での友達とのじゃれあいも楽しいし、テストで満点取れればうれしいでも、何より楽しかったのは放課後だった。
「秋くん今日は何する?」
「もちろん!1on1だろ」
「そうこなくちゃ」
毎日毎日、雨が降らなきゃ...いや、雨が降ってもかっぱを着てやっていたか。
この公園で1on1をるりと僕でやっていた。
確かに帰ると学校の友達と会えないのは寂しくも感じたがこれをしてる間は忘れられた。
「くそ、また抜けられた!」
「ふふふ、やったね🎵」
最初の内は実力とかも同じくらいだったがいつしか離されていた。
でも、嫌ではなかった。四六時中、勝つ手段を探してこの時間にかけるそれで勝てればうれしいし...
負ければ悔しいけどまた模索出来るのが楽しみになった。
「おかえり 秋」
「ただいま」
「今日は勝てたのか?るりに」
「1回だけ勝てたけどね~強いハハハ」
お父も昔、サッカーをしてたらしい今ではお母よりも好きかもしれない。
別にお母が嫌いとかそういうのではない、どっちも好きなことに変わりはない。
「ごはんできたよー」
「はいはーい」
晩御飯を食べてる時にお父とサッカーの話をするのも1つの楽しみとなっていた。
「今日は負けねーぞ!」
「へぇ、それは楽しみだなー」
「今日はとっておきの必殺技があるんだ」
「そうなの?奇遇だね私もなの」
「えっ!うそ!」
「うそだよ。ハハハ」
僕はいつも通りボールを取りに走ってボールを取りに行く。
「必殺 スーパースライディング!」
格好つけたつもりだったが難なくジャンプで避けてあっという間にボールはネットの中ボールが風のように舞い、蜂のようにネットにさしてきた。
「やった‼私の勝ち」
「次こそ!」
しかし、日に日に僕はるりに勝てなくなっていった。
いつの日か100戦中50勝だったのが100敗になってしまっていた。
「秋!サッカー行こうぜ!」
学校でも友達とサッカーをするようになった。しかし、そこにはいつもるりの姿は無く、敗北をドリブルで味わうことがなかった。
毎日サッカーを楽しみ、サッカーにいつしか恋をしていた。
ある日の休み時間だった。
「秋!お前町内のサッカーチームに入れよ」
声をかけてきたのは同級生の太一くんと夏樹くんだった。
3年生になると町内のサッカーチームに入れるようになるらしい。この時、僕は始めて耳にした。
「どうしようかな...」
練習場所は遠いし週3日、5時から8時までの練習のため親に迷惑をかけるのではないかと考えていた。なにより、もしかすると...
「お父と相談するよ」
「そっかぁ、待っているぜ!」
「うまくやれよ」
「うん」
公園でいつも通りに1on1をした後、家に帰って親と相談し、許可は出た。しかし、どこか楽しみが消える気がしてままならなかった。
次の日の放課後、るりの様子がおかしかった。
「今日は普通にボール蹴らない?」
あの勝負事にしか目がいかない荒々しい彼女の目が珍しく日向ぼっこしている最中の亀のような落ち着きのある目だった。
しばらくの間、2人共黙ってボールを蹴っていた。物言いたそうな彼女とそれを探っている僕。ボールが地面を転がる音が響いた。
3年間一緒にいても考えていることはわからない。ただ待った。
コロコロタンッ「ねぇ」
ボソッとるりが口を開いた。るりが黙っているのを見るのはボールを僕が草むらに蹴った日以来だ。
コロコロタンッ「なに?」
コロコロタンッ「町内のサッカーチームあるじゃん」
コロコロタンッ「あるね」
コロコロタンッ「女子は入れないかな?」
コロコロタンッ「いいや」
るりはサッカーチームの練習を見に行き、マネージャー志望と勘違いされたらしい。
コロコロタンッ「入るのか?」
コロコロタンッ「秋くんは?」
コロコロタンッ「入るかな...」
悩んでいたことなのに口走った。入りたいがここでサッカーが出来ないなら入る気はなかったはずなのに。しかし、ここで迷っていると言えば、るりは入らずに終わり、彼女の才能を潰す気がした。
また、沈黙になった。ボールが止まった。すると、るりはサッカーゴールに向かって思いっきりボールを蹴った。
タンッタンタンとボールがネット内で転がった。
「私も入る!」
僕はるりが強いと思っていた。サッカーもだがいつも明るく太陽のようだ。だから、雲がかかろうと雨が降ろうとこの公園内は晴れていた。公園の桜の木の花が散り、新たに草をつけていた。
まだ引っ越すまで通っていた幼稚園の友達からもらったオモチャをぎゅっと握っている。
シングルマザーだった母の再婚が決まり、再婚相手の仕事の事情でやってきたが
見知らぬ人が急に父親と名乗られても僕にとっては認識出来ないこと。
それに「落合」という名字もいかにもシングルマザーの母親が辛そうなのを見て
その懐を探ってきた感じがした。
だから、新居にも知らない人の家であり、自分の住む家という認識も自然と無かった。
「秋 どうだい、気に入ってくれた?」
和俊さんが聞くのを聞こえないふりをして足元の石ころを蹴りだした。
「秋?気に入らな...」
「うるさい、秋なんて呼ぶな」
僕は知らない人に「秋」などと軽々しく親しい感じで名前を呼んでほしくなかった。
でも、別に人見知りという訳でもない。
「秋 近くに公園があるから行こうか」
僕は首をただ少し横に振った。
「お母と行く」
「秋 お父と行っておいで」
「嫌だ!ならひとりで行く」
「待って秋!場所分からないでしょ!」
母親の言葉も無視して走り出した。
少し時間が経ち落ち着くと迷ったと気付いた。
走ってきた方向もどこだろうか。探しているうちに桜の木を見つけた。
前の幼稚園にも桜の木があり、幼稚園の友達を思い出していた。
すると、偶然にも公園があった。僕はここにいれば大丈夫と思った。
しかし、乏しい景色が目に入った。
ブランコが2台とサッカーゴールがあるだけ、幼稚園の遊具とは比べ物にならない。
帰ろうと思ったが帰る方向が分からない、結局、ブランコに座ってゆらゆらと揺れていた。
何分経っただろうか、時計は持ってないし、読めない、でも、ブランコに揺られているだけだから
あまり長い時間は経って無いと感じた。
自分と同じくらいの女の子が来た。こんなところに来るやつもいるのかと不思議に感じたが話そうとは
思わなかった。
サッカーボールでひとりてんてんとリフティングをして壁に蹴っている。
サッカーは見たことはあったがやったことは無かった、毎日のように鬼ごっこをしていて楽しかったからだ。
テンテンテンテン...ボールが転がってきた。
拾うと彼女の蹴ったボールだった。
「ありがとう!」と言われたのでボールを返した。
「君、ひとりなの?」
突拍子も無いことを彼女が言ったが無視してブランコに座った。
「ねぇ!ボール蹴りしよ!」
なんだこいつ...お人好しにもほどがある。でも、つまらなかったので首を縦に振った。
向かい合ってただボールを蹴る、何が楽しいのか分からない、そう感じていたが彼女が楽しそうなので
悪い気はしないし、あの和俊とかいう奴と一緒にいるよりはましだと感じた。
コロコロタンッ「君どこの子?」
コロコロタンッ「今日からここの子」
コロコロタンッ「なんで?」
コロコロタンッ「住む...家あるから...」
コロコロタンッ「そっかぁ」
短い質問をボールを蹴るごとにしてくる、それを短めに返す、それを繰り返した。
コロコロタンッ「名前は?」
コロコロタンッ「秋 お前は?」
コロコロタンッ「るり」
こんな小さな会話だがだんだんと心を開き、言葉のキャッチボールとはまた別にボールを蹴るごとに
楽しさが増していくのだった。
時間はあっという間に過ぎた。
「秋!良かった無事で」
母親がやってきて公園の門から話した。探しに来たのだ。
「帰るよ 秋の部屋の準備も出来たし」
僕は自然と帰るのを拒んだ。だが、無理矢理連れてかれた。
この町で始めての友達ができると思ったが叶わなかった。
それから、約1週間が経った。
僕は小学校の入学式のため小学校に来ていた。
でも、るりという女の子が気になって仕方が無かった。
家に帰ると何にもないがとりあえずあの公園に歩いていった。
しかし、以前に行ったときには方向も考えずにひたすら走って着いたから
道がわからなかった。
ずっと、歩いているがあの桜の木が見えない。
仕方なく歩いて来た道を辿って帰っていった。
とぼとぼ歩いていると目の前から
「あれ、秋くん?」
彼女の声だ。驚いて上を向いた。
やっぱり、いたのは彼女だった。サッカーボールを持っている。
彼女がまた歩みを始めたのを見て、ついていくことにした。
そこからは2分も経たずに桜の木が見えた。意外に近かったようだ。
彼女はサッカーボールを蹴りだした。
僕は少し戸惑ったが迷わずに口にした。
「僕もしたい...ダメ?」
彼女は少し驚いて、首を縦に振り、にこりと笑った。
少しの間、向かい合ってボールを蹴りあった。
すると、彼女から長い間閉じている口が開き、言葉を発した。
「1on1やろうよ」
「何それ?1オー1って」
「えっとね!ゴールに入れるの!」
まぁやってみれば分かるかと思い、やってみることにした。
彼女がドリブルを始め、それを取りにいかないといけない...でも、技術が無いのでどうしようもなく
がむしゃらに走って、ボールに足を当てた。
意外に簡単に取れたが彼女は嬉しそうだった。
「次は秋くんが攻撃する番だよ」
見よう見まねでドリブルというものをしてみた。
ボールを蹴る力加減が分からずに蹴ると曖昧だったからかとんでもない方向にボールが飛んでいき
草むらの方に入っていってしまった。
「あっごめん...」
「大丈夫だよ。たかがボールだし」
そう言ってブランコに座った。そうは言ったものの悲しそうに見えた。
「探すよ」
そう言って草むらの中に入っていった。そのあとに彼女が言った言葉は無視した。
でも、いつもしている無視とは別な気がした。
それから何分経っただろうか。やっとのことでサッカーボールを見つけることが出来た。
「...るりあったよ」
彼女は何も言わずにボールを受け取り、それからまるで地中で埋まっていた化石のように急に口を開いた。
「これパパに貰ったんだ」
「そうなんだ」
「去年、ここに来たときに近くに年が近い子も全然いないし、公園もブランコしか無いじゃん でも、サッカーゴールがあるからってくれたの」
その話を聞いて羨ましかった。僕は物心ついた頃には父親はいなかったし、ましてや再婚の相手をお父と呼びたくはなかった。
そんなことを言うのは野暮な気がした。
「もう帰らなくちゃ、じゃあね、秋くん」
「うん。またね」
と帰ろうとしたらいつまで経っても離れない。バイバイが気まずく感じた。
着くと驚いた。家が隣なのだ。
「ふふふ、家隣なの気がつかなかったよ。今度こそバイバイ」
「バイバイ」
家の扉をそうやって言って開けた。
「お帰り、秋」
お父は僕に向き合ってくれているのに対して、僕はそれを叩き壊していたようだ。
「ただいま...お父」
父親と母親の表情が急変した。多分、僕の口からお父という言葉が出たからだろう。
るりが教えてくれた気がした。何事も見方次第だ。
お母とお父のなれそめは知らないがお父がお母を助けたかったとみれば「落合」という名字も「落」ちぶれた人と力を「合」わせて生きる。シングルマザーが落ちぶれたとは偏見だが...
小学1年生になって成長したのかでも、小学1年生にしては大人だなと自分を自画自賛していたりしなかったり。曇りが多かった最近の天気も晴れ間が出た。
それから、るりとは色んなところであった。
小学校が同じ、同級生、クラスは違ったが
毎日、学校での友達とのじゃれあいも楽しいし、テストで満点取れればうれしいでも、何より楽しかったのは放課後だった。
「秋くん今日は何する?」
「もちろん!1on1だろ」
「そうこなくちゃ」
毎日毎日、雨が降らなきゃ...いや、雨が降ってもかっぱを着てやっていたか。
この公園で1on1をるりと僕でやっていた。
確かに帰ると学校の友達と会えないのは寂しくも感じたがこれをしてる間は忘れられた。
「くそ、また抜けられた!」
「ふふふ、やったね🎵」
最初の内は実力とかも同じくらいだったがいつしか離されていた。
でも、嫌ではなかった。四六時中、勝つ手段を探してこの時間にかけるそれで勝てればうれしいし...
負ければ悔しいけどまた模索出来るのが楽しみになった。
「おかえり 秋」
「ただいま」
「今日は勝てたのか?るりに」
「1回だけ勝てたけどね~強いハハハ」
お父も昔、サッカーをしてたらしい今ではお母よりも好きかもしれない。
別にお母が嫌いとかそういうのではない、どっちも好きなことに変わりはない。
「ごはんできたよー」
「はいはーい」
晩御飯を食べてる時にお父とサッカーの話をするのも1つの楽しみとなっていた。
「今日は負けねーぞ!」
「へぇ、それは楽しみだなー」
「今日はとっておきの必殺技があるんだ」
「そうなの?奇遇だね私もなの」
「えっ!うそ!」
「うそだよ。ハハハ」
僕はいつも通りボールを取りに走ってボールを取りに行く。
「必殺 スーパースライディング!」
格好つけたつもりだったが難なくジャンプで避けてあっという間にボールはネットの中ボールが風のように舞い、蜂のようにネットにさしてきた。
「やった‼私の勝ち」
「次こそ!」
しかし、日に日に僕はるりに勝てなくなっていった。
いつの日か100戦中50勝だったのが100敗になってしまっていた。
「秋!サッカー行こうぜ!」
学校でも友達とサッカーをするようになった。しかし、そこにはいつもるりの姿は無く、敗北をドリブルで味わうことがなかった。
毎日サッカーを楽しみ、サッカーにいつしか恋をしていた。
ある日の休み時間だった。
「秋!お前町内のサッカーチームに入れよ」
声をかけてきたのは同級生の太一くんと夏樹くんだった。
3年生になると町内のサッカーチームに入れるようになるらしい。この時、僕は始めて耳にした。
「どうしようかな...」
練習場所は遠いし週3日、5時から8時までの練習のため親に迷惑をかけるのではないかと考えていた。なにより、もしかすると...
「お父と相談するよ」
「そっかぁ、待っているぜ!」
「うまくやれよ」
「うん」
公園でいつも通りに1on1をした後、家に帰って親と相談し、許可は出た。しかし、どこか楽しみが消える気がしてままならなかった。
次の日の放課後、るりの様子がおかしかった。
「今日は普通にボール蹴らない?」
あの勝負事にしか目がいかない荒々しい彼女の目が珍しく日向ぼっこしている最中の亀のような落ち着きのある目だった。
しばらくの間、2人共黙ってボールを蹴っていた。物言いたそうな彼女とそれを探っている僕。ボールが地面を転がる音が響いた。
3年間一緒にいても考えていることはわからない。ただ待った。
コロコロタンッ「ねぇ」
ボソッとるりが口を開いた。るりが黙っているのを見るのはボールを僕が草むらに蹴った日以来だ。
コロコロタンッ「なに?」
コロコロタンッ「町内のサッカーチームあるじゃん」
コロコロタンッ「あるね」
コロコロタンッ「女子は入れないかな?」
コロコロタンッ「いいや」
るりはサッカーチームの練習を見に行き、マネージャー志望と勘違いされたらしい。
コロコロタンッ「入るのか?」
コロコロタンッ「秋くんは?」
コロコロタンッ「入るかな...」
悩んでいたことなのに口走った。入りたいがここでサッカーが出来ないなら入る気はなかったはずなのに。しかし、ここで迷っていると言えば、るりは入らずに終わり、彼女の才能を潰す気がした。
また、沈黙になった。ボールが止まった。すると、るりはサッカーゴールに向かって思いっきりボールを蹴った。
タンッタンタンとボールがネット内で転がった。
「私も入る!」
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