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霧、岩、骨
しおりを挟む「しっ!先生が来る!」
誰かの囁きを合図に、一斉に布団に潜り込む。
布団の暗闇の中に響く、自分の心臓の音と押し殺した呼吸。
襖が開く音がして、足音が布団の隙間をそっとまわる。
先生が小さな声で、よし、みんな寝てるな、と呟くのが聞こえ、やがて襖が閉まり部屋は再び沈黙に包まれた。
「くくくっ」
誰かが堪えきれずに笑い出した。
それを皮切りに、部屋のそこかしこから布団のせいでくぐもった笑い声が聞こえ出した。押し殺した笑い声がますます笑いを誘う。
「ぷはっ、あははっ。おい、もう大丈夫だろ」
桐島の囁き声に安心して、僕も布団を勢いよくめくった。暗闇の中、みんなが布団をめくってあぐらをかいた。
誰かがつけた懐中電灯の明かりが、ぼんやりと僕らを照らす。
「おい!続きやろうぜ!」
高本が言って、僕の布団に這ってきた。
「そうだ!おい桜木、はやく!」
「オッケー」
僕は足元に置いていたノートほどの大きさの液晶を手に取った。
先生が来る気配がするぎりぎりまで、僕らはゲームをしていたのだ。
みんなの輪の中心に液晶を置き、寝転んで操作を始める。
[つづきから]
4人全員が、僕の上や周りから液晶を覗き込む。
白い霧の立ち込める森。
森の奥の草地の中央にそびえる、巨大な岩。
荒れた海の見える崖。
小雨の降る沼。
どこも薄暗く、どこか不気味だ。
今動けるのはこれらの場所だけだ。…見つけなければいけないものは、どこにあるのか。
…地面。
地面に埋まっている。僕の勘がそう告げている。
あの岩はなんだろう。
不自然に傾いて立っている。
暮石…みたいな。気のせいか?
手当たり次第に掘ってみる。
岩の周りを半周掘った時、シャベルの先が硬いものにぶつかった。
白いものが見える。
予想通り。骨だ。
なんの骨だろう。
頭蓋骨と、太い骨が何本か。
人…?
これが何を意味するのだろう。
拾い上げ、鑑定をかけてみる。
[本当に、鑑定をかけますか?]
[▷はい いいえ](鼓膜注意)
今までこんなこと聞かれたっけ。鼓膜注意って、見たことない。なんか変だ。
ためらいつつ、はい、を選択する。
[ … ]
[ …… ]
なんだ?
[ 骨 ]
[ 味方の ]
[ 人骨 ]
『ぎゃあああああああああああ』
「うわああああ」
突然の大音量の不気味な悲鳴に、僕の背に半分乗りかかるように覗き込んでいた山下が飛び上がった。
山下以外もびっくりして皆固まっていた。
「味方って…どういうことだよ。どっか間違えて、仲間になるはずだった人が死んじゃったのか…?」
「…っつうか味方って。ざっくりしすぎだろ」
榎本が軽く笑い飛ばすように言ったが、笑う気にはなれなかった。
すでに死んでいる味方。
取り返しのつかない事実、象徴。
すでに起こってしまった悲劇、暗喩。
僕には掘り起こした骨が、人間の骨という事実を超えた、膨大な恐怖を纏っているように思えてならなかった。
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