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文純学2
しおりを挟む赤い日が陰った。
電線がいく本も、血のように(炎のように)熱い空に走っている。
これは夏だ。
暑い日が沈む。
静けさに蝉。
遠くから響く、遠くへ響く。
僕は家を出た。
いや、家に帰ろうとしている。
僕は(今)以前の時を持たないらしく、ただ、ポツリと立っていた。
静かな、赤と影の町だ。
家々は黒々と、沈黙している。
僕を受け入れない。閉じている。
“これは夏の日だった。暑い暑い、1日だった。
シャツは肌にはりついてうざったく、3回も自動販売機で飲み物を買った。
自転車を漕げば熱風で、顔に首に熱がまとわりついて、振り払うようにペダルを踏む。”
これは何億光年か先の星が見た僕。
(僕の)隣の残像。
駄菓子屋の影が黒く恐ろしく伸びている。不釣り合いに不自然に伸びている。
ぱしゃりとアスファルトから金魚が跳ね、
ぱしゃりとアスファルトに消えた。
地平線が赤く、駄菓子屋の屋根がいちめん赤く、止まれの標識の白色が赤い。
家々は沈黙している。いきていたものまで、沈黙している。あらゆる微生物も沈黙し、かつての生き物たちはただ空気に撫でられている。
僕は家々から深く温かい、ちりぢりになった記憶が吐き出されていくのを聞いた。はあー、と、長く細く長く。
一方僕の目はただ赤い空と赤い家々を見ていた。
あらゆるかつての生き物は、僕の頭の中の幻影と(いうことに)なった。
僕はあらゆる音を聞いた。遠い北の、風が削る氷河の、岩を打つ音の中に白熊の爪痕を聞いた。白熊もまた、僕がおす自転車の軋む音を、思うまま透明に整った、蝉の声の下に聞いた。
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