[完結]さよなら地球人

6 怖い話

　今日は私、星空が体験した怖い話をしたいと思います。

　私のクラスには天原成くんという男の子がいます。知っている人に似ているなあと思ったら、なんと昔の同級生の子供だったんですよ！

　懐かしくなって話しかけたのがいけませんでした。

　彼は親と違い話しかけても「ん」「うん」「そう」「へー」の四パターンしかないような人間だったのです。

　詳しく聞き出してみると、彼の両親は共働き。基本的な食生活は菓子パンカップラーメンお菓子ばかりだそうです。信じられますか！！

　何となく親心に近いものなんでしょうか、とても心配です。

　放課後彼の家に遊びに行くという体で夕飯を作りにいったのです。

　私、普段は自分の分しか作らないですが、料理のレパートリーはそこそこなのです。その時はアオは入ったばかりの陸上部で頑張っていましたが、何故かヒカリコちゃんが一緒でした。何か相談したいことでもあったんでしょうか？

　ヒカリコちゃんには定期的な報告をしてもらうことを厳命し、ついでにアオくんの近況、連絡用のメールアドレスなんかも教えました。

　メールと聞いて分からないようでしたので、支給された携帯電話をヒカリコちゃんに渡しました。

　支給分は二つでしたので、てっきりヒカリコちゃんには別途渡しているものかと思ったのですが、ひとまずの連絡手段はないといけません。

　私の分は経費で落とします。最新機種をね。


　少し経過した土曜日の午後。

　私はなんと成くんに呼び出されまたもお家へ伺うことになりました。
　毎日夕飯を作りにいっていたのですけれどね。

　そこで私は昔の同級生とエンカウントしてしまいました。任務の危機です。

「君のお母さん、桜って名前だったりする？　桜の花が好きな……」

　昔私が使っていた名前です。顔も同じだったりするんですが、やはり本人とは気づかないようですね。ヒヤヒヤ損です。

「は、はい……」

「そうかそうか！！　いやぁ懐かしい！」

　料理の味付けがそっくりだったそうです。お弁当を食べてたくらいなのに、よく今まで覚えていられたものですね。こういうのを餌付けというんでしょうか？

　そして、ここからが怖い話なのです。……。

　彼はなんとほんのちょっと美化された青春の思い出として桜と彼の間であった出来事を語りはじめたのです。

　それはその時読んでいた本から雑談で話していたことまでです！！
　とても怖いでしょう！！

　笑いましたか？　星空七つ道具その二布団たたきをフルスイングしてお尻に当てますよ……。

　迷いましたが、部活は写真部に決めました。オカルトと私たちは少し離れていた方が安全そうですね。





　　　　　　　　　　　――――第五の月　β日　鳥曜日



<!--気づいてもらえたのは少し嬉しかったです……。-->