[完結]さよなら地球人

夏伐

文字の大きさ
10 / 21

10 花火大会

しおりを挟む
 花火大会の日。

 アオとヒカリコは二人。家の庭でスイカを食べながら花火を見るそうです。
 私は一人、花火大会の会場に行きました。

 屋台がたくさんあります。
 べっこう飴屋さんなどヒカリコちゃんがとても喜びそうです。

 一つお土産に買いました。

 成くんと合流すると、なんと浴衣を着ていました。

「制服なんだ……」

「制服じゃないんだ……」

 私がおかしいのだと周りの恰好を見て察しました。
 リサーチを怠ったのがいけませんでした。

 二人で花火がよく見えそうな土手に行くと、明らかに他と違う動きをする集団がおりました。二組も。

「あ、あれ……」

「なにしてんだ?」

 周りがざわつく声を受けながら二組ともベントラーベントラーと叫んでいます。

「神のメッセンジャーよぉぉ!!!」

「「「うぉおおおおお!!!!」」」

 こちら宇宙倶楽部のみなさんのようです。

「宇宙人! うっちゅうっじん! 私たちと友達になりましょう!!」

「部長! 落ち着いて!」

「そうです、人が見てます!」

「ベント? なんだっけ? なむ……?」

「なむあみだぶつ!!」

 こちらオカルト同好会です。

 どうやらあれは宇宙船を呼び出す儀式のようです。連れてってほしいならいくらでも片道切符を差し上げるのですが。

「ば、場所、変える?」

「……ん」

 塩原部長がいつもより回転率が上がっていたような気がいたします。


 花火とても綺麗です。

 それに宇宙教と部長がいない土手は静かでとても夏っぽい感じがしました。浴衣を着てくればよかったかな。

 夏は体験したことがなかったので新鮮です。

「なぁ、空野」

 成くんが私にいいました。

「空野、好きかも」

 夏は人を好きになる季節なんでしょうか?

「かも、なら止めた方が良いですよ。傷は浅い方が良いのです」

「ん」

「死んでしまいたくなっても構わないなら」

「ん」

「それでも良いなら、一緒にいましょう」

「……うん」

 もしかしたら私はずるいのでしょう。
 とてもずるいのです。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く

ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。 5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。 夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…

悪意のパーティー《完結》

アーエル
ファンタジー
私が目を覚ましたのは王城で行われたパーティーで毒を盛られてから1年になろうかという時期でした。 ある意味でダークな内容です ‪☆他社でも公開

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

愛していました。待っていました。でもさようなら。

彩柚月
ファンタジー
魔の森を挟んだ先の大きい街に出稼ぎに行った夫。待てども待てども帰らない夫を探しに妻は魔の森に脚を踏み入れた。 やっと辿り着いた先で見たあなたは、幸せそうでした。

愚者による愚行と愚策の結果……《完結》

アーエル
ファンタジー
その愚者は無知だった。 それが転落の始まり……ではなかった。 本当の愚者は誰だったのか。 誰を相手にしていたのか。 後悔は……してもし足りない。 全13話 ‪☆他社でも公開します

ちゃんと忠告をしましたよ?

柚木ゆず
ファンタジー
 ある日の、放課後のことでした。王立リザエンドワール学院に籍を置く私フィーナは、生徒会長を務められているジュリアルス侯爵令嬢アゼット様に呼び出されました。 「生徒会の仲間である貴方様に、婚約祝いをお渡したくてこうしておりますの」  アゼット様はそのように仰られていますが、そちらは嘘ですよね? 私は最愛の方に護っていただいているので、貴方様に悪意があると気付けるのですよ。  アゼット様。まだ間に合います。  今なら、引き返せますよ? ※現在体調の影響により、感想欄を一時的に閉じさせていただいております。

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

処理中です...